リクルートと提携した理由は?
99designsのCEOが語った日本攻略の難しさ

99designs #2/2

Skyland Ventures Meetup
に開催

オーストラリア発、世界最大級のデザインマーケットプレイス「99designs」のCEO・Patrick Llewellyn(パトリック・ルウェリン)氏が来日し、ミートアップを開催しました。リクルートと提携し、本格的に日本市場への進出をねらう99designsのこれまでのストーリーを語ります。また、デザイナーと顧客のどちらをより重視するべきか、マッチングサービス運営のコツについても語っています。(Skyland Ventures主催 99designs Meetupより/画像提供:Skyland Ventures Creative Team)

異国の地でどうやって優秀な人材を雇うか

質問者:起業家のような人を各国で雇うのは難しいと思うのですが、上手くやるためにはどういうことをされていますか?

パトリック・ルウェリン氏(以下、パトリック):新しい国では、このようなスタートアップイベントに参加するのが良いです。こういう場では、アントレプレナーや、アントレプレナーを目指しているが、まだ準備が完了していない人と出会えます。わたしたちのような会社と一緒に働くことは、ミニ・アントレプレナーとしての経験になります、99designs本体からのサポートもあります。

こういう会社の手助けをするのもいいのではないでしょうか。そこで求められるスキルセットですが、技術系というよりマーケティングのバックグラウンドを重視します。イベントに参加して名刺を配ったり、ネットワーキングをしたり、お客さんと電話で話すのが好きな社交的な人がいいと思います。

質問者:99designsは、現在ももともとの本業のビジネスモデルにずっと拘っているように思いますが、本業から枝分かれして、他の事業を考えたことはありますか。もし考えたことがなければ、それはなぜですか。また、スタートアップが手を広げすぎた結果、失敗してしまうことがありますが、そうしないためには、どのようにしてブレーキをかけたらいいでしょうか。

つまり、競合他社が他のいろいろなことをしている反面、99designsはなぜ、ひとつの小さなニッチに固執しているのか、ということです。

パトリック:それは非常に良い質問だと思います。わたしたちにとって、グラフィックデザインは大きなマーケットセグメントだと考えています。わたしたちは、ひとつの製品セグメントへの進出をある程度果たしました。

わたしたちはロゴデザインで世界的に知られています。ロゴデザインをかなりたくさんしてきました。グラフィックデザインはいくつものカテゴリーがあります。わたしたちはすべてのカテゴリーにソリューションを提供してきましたが、それを拡張していくのは長い道のりです。

世界的には1兆ドル市場ではないかとみています。この見解が正しければ、それ以外のマーケットに参入する必要がありません。初期のビジネスモデルに魅力があったので、資金を得ることができました。

わたしたちはデザインに関する事業を集中的にしてきました。そして時々、自分たちがしていることが本当に正しいのか、自問自答してしまいます。また、限られたリソースで事業を行っており、今まで自力でやってきました。

私たちは今でも比較的リーンなアプローチでいますので、1度に手掛ける事業には限りがあります。他の事を始める前に、本業でひとつのマーケットセグメントにおいて成長を遂げたいと考えています。

国境をこえたコミュニケーションを支援する様々なサービス

パトリック:もうひとつ、付け加えたいことがあります。会場にいらっしゃる方々にとって、非常に重要なことです。わたしは、自分の事業の発展段階で、あまりすぐに他のマーケットに参入することは考えません。

スタートアップを開始したら、そのマーケットでの地位を確立していこうと思います。それを最も容易にしてくれるのは、自分の地元のマーケットです。友達を雇うことは、サンフランシスコで人を雇うより容易です。

例え、サンフランシスコが世界一の人材の宝庫であっても、同時に世界一競争が激しいところでもあるからです。事業の初期であれば、友達と一緒に仕事をしたり、大学や以前の職場から人を雇ったりしていくことができます。

地元のマーケットに焦点を当てていけば、いろいろなことを容易に行うことができます。海外進出をすれば、複雑な要素が増えてきます。ときどき自問自答しますが、わたしたちは基本的には、アメリカでは1対1でしたが、海外に進出した。

それはさらに大きな投資で、製品開発を遅らせることになのです。なぜかといえば、(新製品)を開発したら、各言語での影響を考慮しなければならないし、コミュニケーションも難しい。

現在、1日24時間、週7日、世界のどこかで誰かがわたしと話したいと思っているからです。わたしがサンフランシスコにいるとき、オーストラリアとは時差があります。コミュニケーションが難しく、仕事の工程も……。事業を拡張する前に、これらの要素をきちんと把握していなければなりません。

これらの問題に対処するために、ツールの力を借りてきました。マーケットによっては、競合会社を使うことがあります。現地語の顧客サポートがすばらしい、Odeskのような会社です。

ビデオ会議はBlue Jeansでします。社内のチャットやグループコミュニケーションはSlackを使います。ダッシュボードビルダーにはGekkoboardを使います。現在は、もっと洗練されたDomoを使っていますが、予算に限界があるようでしたらGekkoboardやGoogledocsを使うとよいでしょう。現在、コラボレーションツールが多数ありますが、値段はかなり安くなっています。翻訳にはSmartling、とても良いパートナーです。

始めたばかりの頃、Skypeをあらゆるものに使っていました。顧客サポートにもSkypeを使っていました。コールセンターの5~10人のオペレータはSkypeかSkype Creditsを使っています。いろいろなサービスを使って、困難を切り抜けることができます。

現在の規模ではサンフランシスコには50人、オーストラリアには45人のスタッフがいます。コミュニケーションにおいては、全員が同じ情報を持って、お互いに繋がっているという感覚を持ち続けてほしいので、ビデオ会議サービスとしてBlue Jeansが役に立っています。

文化的な違いが大きい日本参入のためリクルートと提携した

質問者:文化的な相違を感じる都市はどこですか?

パトリック:わたしたちにとってヨーロッパは比較的、文化的に似ていると思います。ブラジルは違うし、日本も違います。明日、採用のためもあって参加するSlush Conferenceで話しますが、日本は自分たちだけで進出するのは無理だと思ったので、パートナーを見つけました。

とても大きな違いを感じるからです。デザイン業界の構成が違いますし、スタートアップシーンも他のマーケットに比べて確立していません。わたしたちは「どうやって入っていこう」という状況でした。

先週発表したばかりですが、リクルートから資金を得て、パートナーとチームも得ました。これについては、明日お話します。リクルートのチームとは、今日の午後時間を取って、日本のマーケットにどのように参入するか、話すつもりです。

実際、新しい戦略を試すことになります。日本では、カントリーマネージャーは複数いてもらう計画です。リクルートに信頼を迅速に築く手助けをしてもらい、また、チームアプローチでコミュニケーションとサービスのテコ入れを図ります。それによって、スタートアップコミュニティに自力で参入するよりも、早く浸透することができるのではないかと思っています。

専門性の高いデザイナーを抱えているのが99designsの強み

質問者:紙のデザイナーを含めて、日本ではデザイナーの絶対数が少なく、不足していることについてはどう思いますか?

パトリック:それは手強い問題です。わたしたちのコミュニティの多くでは、紙ベースの平面のデザイン、ロゴ、イラスト、本の装丁などを得意としています。ところが、ウェブデザイン、インタラクティブデザインは、もっと難しいものだと思います。

ひとつのアプローチとして、わたしたちはウェブサイトを作成するJimdoという会社とパートナーになって、デザイナーにウェブサイトデザインのトレーニングをしています。それで、デザイナーは、Jimdoのテンプレートに合うロゴをカスタマイズすることができるようになります。

パートナーを持つことで、ウェブデザインの問題を減らしています。中央ヨーロッパや北米にはインタラクティブデザインの大きなコミュニティがありますので、その市場をカバーすることができると考えています。

大抵、コミュニティの外からの仕事は多様にばらけています。アプリ用のアイコンを買う人、また、モバイルアプリのスクリーンのデザインを必要とする人などです。わたしたちのコミュニティでは、デザイナーが非常に専門化しています。

オーストリアのウィーンにいるあるデザイナーは、美しい印刷用デザインのみをしますので、彼は印刷用デザインのコンペのみに参加します。オハイオにいるデザイナーは素敵なウェブデザインをしますが、彼もまた、ウェブデザインのコンペのみに参加します。

このマーケットプレイスの良いところは、デザイナーが個々の興味のある分野に特化していますので、多様なカテゴリーのすべてでデザインを提供することができます。広い範囲の才能あるデザイナーがいるので、特定のニーズに応えることができます。でもウェブデザインは、どこの国でも同様に難しい課題ではあります。

ラップトップさえあればどこでも仕事ができる時代

質問者:この国には、すばらしいデザイナーが大勢います。彼らは5歳から漢字を習い始めますので、国民全部がグラフィックデザイナーのようなものです。アニメやもろもろをみんなが見ているのです。彼らは、いまだに日本の市場のみに注目していますが、(99designsが参入することで)海外にも目を開くのではないでしょうか。

パトリック:明日、この話をするつもりですが、99designsは日本には大きなコミュニティを持っていませんが、日本のデザイナーには注目しています。わたしたちがすべきなのは、(日本のコミュニティで)地位を確立することです。

それから、海外在住のベストな日本人デザイナーに目をむけるつもりです。99designsには、イタリア在住の日本人デザイナーがいますし、サンフランシスコには本の装丁デザインをする日本人のデザイナーもいます。

彼らのスキルと才能を、住んでいる国に係わらず、国際舞台で使ってほしいと思っています。最近気づいたことのひとつですが、人の移住が増えてきています。仕事環境がフレキシブルであることも求められています。

ヨーロッパ人のデザイナーが、大都市からタイに移ってビーチで暮らすということもありました。あるデザイナーはセミプロのスケートボーダーです。彼は1年中スケートボードをして、夜働いています。

彼は旅に出る資金を99designsのマーケットプレイスで調達しています。今はラップトップさえあれば、どこにいても自分のスキルを活かせるのです。仕事を持ってくるのはわたしたちがするので、250万ドルほど稼ぐことができるチャンスがあるのです。

99designsは就職活動用のポートフォリオにも

質問者:ある程度バイアスをかけて若者にデザインやろうよとプロモーションやエデュケーションして、啓蒙活動的にこういうものがあるから使ってみなさいと言うのか、それとも自然発生的に出てくるのを待っているのか、どういうふうな戦略をとるつもりでしょうか。

パトリック:大学かそれより上の若い年代に偏ってはいますが、非常に多様なマーケットプレイスを狙っています。子供のいるお母さんが、現在は主婦をしているが、もう一度働きたい、でも家族と一緒にいたいので在宅の仕事を希望しているということがあります。

障害がある人が、職場では難しいので(在宅希望)という場合もあります。多様でありながら、若い年代に偏りがあることは確かです。大学生に、職務経験を付けるために99designsを使うように呼びかけているせいもあると思います。

職務経験を積んで、ポートフォリオを持って、お客さんのネットワークをというようにです。大抵、99designsでフリーランスのデザイナーをするのは、スタートアップとよく似ているのです。または、ポートフォリオを持って求職活動をするとき、こんなことやあんなことを実際お客さんのためにして、報酬ももらっていると言うこともできます。

初期には、口コミに頼るしかありませんでした。顧客ベースもデザイナーコミュニティも口コミで築きあげました。今はもっとプロアクティブになっているので、ソーシャルネットワークを使ったり、大学でプロモーションを行ってみたりしています。

デザイナーの教育のために専門家を呼んで、デザインやウェブデザイン、ロゴに関する特別な要素などのワークショップを開催、また、教育のためのコンテンツを提供したりして、コミュニティに参加するように働きかけています。

デザイナーと顧客のバランスを取ることが大切

質問者:デザイナー数または顧客数のどちらに重点を置いていますか?

パトリック:顧客です。常に、重点を置いているのはお客さんです。仕事があればデザイナーが集まって来るからです。ある時期3年間ほどですが、デザイナーを呼び込むことをしていませんでしたが、1か月に1万人ほどの(デザイナーの)サインアップがありました。

チャンスがあるからです。サイトでは、お客さんが実際デザインを買ってくれることに重点を置きました。そうすれば、デザイナーを集めることができます。仕事があれば、デザイナーが来る。

現在、デザイナーと顧客のバランスが取れていますが、初期にはこれが厄介でした。デザイナーが多すぎて、充分な仕事がない。そうするとデザイナーは去っていきます。充分なデザイナーがいないのに、過剰な仕事があるのも問題です。

常にバランスに気を配らなければいけません。現在、マーケットプレイスはバランスが取れた状態が継続しています。実際はデザイナーが過剰ではあるのですが、新しいお客さんを呼び込むことができています。時々、このバランスに変化があるので、デザイナーの登録を強化しなければいけません。オンラインでデザイナーを呼び込むことも、プロモートすることもできるのです。

現在、わたしたちは、口コミに頼っていた初期に比べて、洗練されたマーケティングベースのビジネスになっています。資金を調達しなかった3年間のギャップを埋めるために無料でお客さんを見つけなければいけなかったのですが、それは上手くやりました。

今でも、50%のお客さんは口コミなので、99designsは非常に強い口コミビジネスだと言えます。良いサービスを提供すると、人はそれを話題にしてくれます。Googleや Facebookを使いましたし、 TwitterやPinterestも試してみました。

ブランド構築の初期には、PRなどを強化する必要があります。ブランド構築に関しては、広い範囲のカテゴリーでテストをしました。現地スタッフはお客さんとエンゲージするためにトレードショーなどに参加しますが、それ以上にデザイナーが共同体の感覚を持ってもらうための努力をしています。お客さんの多くは、特に初期には、1~2回サービスを使って去っていきますが、デザイナーは留まるからです。

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Skyland Ventures

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1 海外進出のカギは「ミニ・スタートアップ」 99designsのCEOが語る、グローバル展開の実践ノウハウ
2 リクルートと提携した理由は? 99designsのCEOが語った日本攻略の難しさ

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