2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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佐野陽光氏(以下、佐野):実際に長期的に事業に取り組んでいく時には、資金が必要なんですけれども。ここら辺のジレンマじゃないけれど、どう扱うかっていう。
お金がない……でもボトムラインは、常に思うんですけど、日本人で生まれた時点でもう大丈夫ですよ。
(会場笑)
いや、死なないもんね! 僕、なんで起業したかっていうと、大学卒業した時にわかった。「どうしようかな?」と思った時に、まず死なないってことがわかったんですよ。餓死するってことが多分ない。
あと新聞見ても、餓死したって出てこない。自殺のほうが多いみたい。リスクはそっちじゃない。餓死することがリスクじゃない。だから考えてみたら、リスクないんですよね。だからそんなにお金いらないんじゃないかと、そもそも。
だから逆にやっぱり、クックパッドの経験から言うと、最初お金ないから、インターネット無料の時代に値段つけて売ってたんですよ。そのサービスに。あれもすごい良かったんだなあと。お金がないなりに、小さい範囲でちゃんと利益が出るような形を常に追求するっていうのをやるべきなんだと思うんですね。
だから、それをやらずになんかその、利益っていいことなんだと思うんですよ。要するに、価値が定量化されているので。だからそれをしっかりと今の自分の、今のいる立場から、今いる地点から一歩一歩、ちゃんと実証していくっていうプロセスが、多分なんか世の中に価値を生み出していくんだと思うんですよね。
だから、あまり難しく考えずに、多分最初の資本って自分じゃないですか。自分は日本国に、とりあえずぎりぎり今のところ、あと数十年、10年、20年くらいは……まあ担保されてるかなと思うので。
そう、まずは自分を資本に結構できますよ。自分を資本に、何かちゃんとお客さんに価値を生み出す。利益が出るっていう一歩を踏み出してから考えたらいいんじゃないですかね。多分、資本がいる時ってスケールする時とか、結構限られてると思うんですよね、その資本でレバレッジがきくのって。
そこを多分勘違いして、先に潤沢な資金とか集めちゃうと、これまたお金使うの大変ですからね。だって、なんで資金が泳いでるかっていうと、お金が使えないんですよ。自分でお金が使えないから、資金がプロップしてるわけですよ、自分より上手にお金使ってる人探して。なのに、お金使って利益生み出せない人のとこにそれ集まっちゃたらつらいですよね。
だから、答えになってるかわかんないんですけど。まず、やっぱり一歩じゃないですか。今の資本から、今持ってる資本から、ちゃんと利益を生み出せるぐらいの価値をまずしっかり生み出せっていうのが、すごく大事なんじゃないかって思います。
山口豪志氏(以下、山口):新しい風に会いましたけど。佐野さんが儲かってなかった頃知ってるんで、僕はすごくシンパシー覚えましたけど(笑)。ありがとうございます。
山口:じゃあちょっと、1回この標題をおろさせていただいて(笑)。青野さん、ちょっとコメントいただいてよろしいでしょうか。
青野慶久氏(以下、青野):戻る?
山口:戻してください(笑)。
青野:すごいいい流れで来て。山口さんの意図はわかります(笑)。サイボウズだとあれですよね? 多分働き方はいろいろある。
山口:そうです。
青野:ちょっとじゃあ、そこ1分くらいだけしゃべって。あとは全然違うこといいですか?
山口:お願いします。
青野:僕たちは「働き方を良くしたいなあ」と思って。サイボウズ自身も当時、すごく離職率が高くて。僕2005年に社長になったんですけど、当時28パーセント以上の離職率。当時、みんな疲弊した顔で働いているような会社だったんですけど、ちょっと考え方を変えようと思って。
残業しないでいい制度を作ったりとか、在宅勤務をできるようにしたりとか、産休、育休で6年間取れるようにしたりとか、いろいろ働く時間帯選べたりとか。いろいろやってくうちに離職率が4パーセントまで下がり、女性が定着するようになったので今4割くらいの女性がいまして。
多分、BtoBのIT企業だと異例の高さですね、4割っていうのは。それとか、あと女性役員が2人くらい出てきたりとか、まあそんなことが起きてますというのがサイボウズです。でもちょっとそれより、今の話おもしろくて。いいですか?
青野:本当お金っておもしろいなあと思うんですけど。僕は2005年に社長になって、当時サイボウズの株価すごい低かったんですよ。僕それ結構我慢ならなくて。なんとかしたいなあと思って、頑張ってIR活動して、投資家さん回ったりして「サイボウズ株買いませんか?」みたいなこと言ったら、結構買ってくれるようになって。
そこに第二次ネットバブルが乗ってきたので、そこから、ぶわーっとうなぎのぼりに上がっていって、半年で10倍以上になって。今も多分、時価総額の10倍くらいまでのピークはつけて、僕途中からもうわけわかんないですよ。絶対そんな価値ないのに、もうどんどんあがっていくんですよ。
で、それで堀江さんが逮捕された時に、第二次ネットバブルが終わりまして、そこから急落。回った投資家のところに後で話聞きに行ったら、こんなこと言われましてね。
「あの時に勧めてくれてありがとう」と。「おかげで大儲けできたよ」と言われたんですよ。
それがちょっと自分の中でこう「あれ? 俺何をやってたんだろう?」と。この人を儲けさせるために、訪問して説明して、結局彼が売った時に買った人は大損してるわけですよね、そのあと。
「俺は何をやってるんだろう?」と。それでもう一切IR活動止めることにしました。
あと「本当に自分のやりたいこと何だろう?」と。それでも、楽しい人ならそれでもいいと思うんですよ。僕はそれを楽しめなくて。「サイボウズは売り上げ利益を追求する会社じゃありません」っていうのを、その時に定義をして、それを毎年株主総会で言った。
株主総会に行くと、株主の前で、「すいません。この会社は利益追求しませんから期待しないでくださいね」ってそんなとこから始まるんですけど。
まあでも、お金ってすごく怖いですよね。気付けば、本当にやりたくないことをやらせてしまう魔力があるというのが。本当にお金というものに使われないように、これからも事業したいなあと。こんなことを思っとります。
柳澤大輔氏(以下、柳澤):ちょっと質問していいですか? それ最初から一貫して言ってればいいけど、途中から変わったわけじゃないですか。それってできるものなのか。社長交代したから、株主も「ああ、なるほど」となるもんなのかというところを、逆にそのへん聞かせて。
青野:僕は途中で手のひらを返しましたので、1回、株主総会が荒れましたね。厳しい質問が止むことなく続くという(笑)。
(会場笑)
「お前のせいで俺は大損した!」っていう話を10分以上にわたってしゃべられる方とか「今の配当は俺の電車賃も出ないぞ、どうしてくれる電車代!」とか(笑)。
それはもうしょうがないですね。「ごめんなさい」と言うことだけですよね。
そういう利益を求める人が来られること自体が悪いわけではないと思うんですよね。ただ一緒の方向は向いてない人達が組んじゃったっていうことだと思うんですね。
柳澤さんが株主に対して仲間だ友達とおっしゃってるんですけど、やっぱり株主の人と一緒の方向を向いてると、すごくうまくいくと思うんですよ。
それがやっぱり、お金を出す人はお金がリターンっていうふうに考えるところから、ちょっと実はずれてるんじゃないかと、そんなことを思ったりします。
山口:ありがとうございます。いいですね、白熱してますね、とっても。
山口:それじゃ最後。じゃあ、森川さんコメントお願いします。
森川亮氏(以下、森川):そうですね。僕の会社はまだ始まって1カ月程なので、特になんの制度もないんですけど。僕自身が個人的に考えることからお話しするとしたら、やはりもともといろんな仕組みというものは、自然が基軸になって進んできたものだと思うんですよね。
例えば資本主義というものも、本質的には「人間というものが足るを知るものだ」という、ある程度概念があったからこそ、分配の仕組みがあって、それがエコシステムとして成り立つという概念があったと思うんですけど。
今実は、自然から人間が生まれて、人間から今度はコンピュータが生まれると、コンピュータっていうものは誰も知らないわけなんですよね。今開発の仕事をコンピュータがやってるので、こういうバランスを崩した状況になってるのかなあと思ってます。
僕が今やろうとしてることは、どこまで会社を自然に近づけられるのかっていうことを考えてまして。今、オフィスも一軒家みたいなところを借りてやってる。ガラス張りなんですよ。道を歩いてる人達は僕を見るし、僕達を見るし、僕達も道を歩いてる人を見ると。
そうするとおそらく、いいサービスをしてれば、みんなにこにこして見るんだと思うんですよね。で、悪いサービスをしてたら、嫌な顔して見るんじゃないかということ。そういう接点がまず大事だということ。
あとは働く人たちに対しても、まあ特に何のルールもなくて、みなさん自由にやってると。自然に近い状況ですよね。自然に近いからこそ、人間らしく評価できるんじゃないかなと思うんですよね。それこそがまさに多分、いい環境を作ることになるかなと思っていて。
人間が間違えたのは、自然よりも人工が正しいと。まあ欧米的な考え方だとそうなんですけど。でもアジア的な考え方はちょっと違って、自然の中に本質があるみたいな感じで、もしそれが本当の意味でこの地球を救うとか、人類を救うとか、何かそういうエネルギーになるんじゃないかなと思って。
何かそういうみんながハッピーになるような仕組みをどう作って、そこからゼロサムではなくて付加価値を見い出すのか、そんなことを考えるということですね。
山口:ありがとうございます。
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