日本の原生林はわずか2%

C.W.ニコル氏:みなさんこんにちは。日本に来て51年経ちます。そしてその間、私はいろんなことをやってきたんですけれども、今は長野の北部の山奥に住んでいます。32年間住んできました。

私は物を書いたり、テレビに出演したり、ウィスキーを作ったり、それから森を作っています。「森ですか?」と、森を作るのは神だったり自然だったりするとみんな思うかもしれないけれども、その話をしましょう。

日本は67%が森に覆われていますが、2%が原生林なんです。わずか2%なんです。日本は北から南に非常に長く伸びているので、この原生林がDNAの宝庫なんですね。

しかし過去30年において、日本の森林があまりにも激しく伐採されてきたんです。そしてその場所に廃棄物が投棄されていくのを私は目撃してきました。29年前に私は思い立って、これは「何とかしないといけない」と思いました。捨てられた森林を。

これはみなさんに理解しにくいコンセプトなのかもしれないけれども、日本の森林の多くは人間によって手を加えられているんですね。

おそらくは40%が単一樹種による植林なんですね。非常に色の濃い植林をみなさん目にすることがあると思うんですけれども、これが杉だったりするわけですね。

それから落葉樹からなる混交林なんですけれどもこれが燃料だったり、食糧だったり、動物だったり。それなりにうまく機能していたんですね。

私が来日した当初はなんて素晴らしい国なんだろうと思っていました。この森を放っておくとこれがまた違うものになってしまうんですね。荒れ果てていってしまうんですよ。

光が差し込む森を作ったら、動物たちがやってきた

ちょっとスライドをご覧いただきましょう。今ご覧いただいているのが我々の森の当初の姿なんですね。ツタがくるまって、そして木が集まって日が全く差し込んでこない、そんな森なんです。

でも日が差し込んでくるとこうなるんですね。光の10%が森の床に届かないといけないんですね。そしてこれは世界共通のルールなんです。

我々が最初に活動を始めた時は、食べられる食物が7種類しかありませんでしたけれども、今は137種になりました。「なんでこんなに木がないのか」とみなさん思うかもしれないけれども、これは木の根っこから切り倒されているからなんですけれども、それをちゃんと手入れしないといけないんですね。

そして我々は手入れをして地中を掘り起こしてみたんですけれども、そこには既になかった木の根っこが見つかったんですね。

その根っこを引っこ抜いてもう一度埋めてみたんですけれども、こういう野菜があるわけなんですけれどもね。外から持ってきて埋めるわけではないんです。

地中に埋まっていたものを掘り起こして再び埋めるわけです。ですからこうやって新しい植物ができてクマがやってきます。するとヤマネがやってきます。そして、蝶々がたくさんやってきて花も咲きます。光が床へ届けばいろんな野草、いろんな花が咲くわけです。

そうすると虫がやってきて、鳥がやってきて、種がやってきて、森のサイクルがもう1回始まるんですね。そしてみなさんの見えないところで森の床の下でものすごい世界の広がりがあるわけです。

そこにはたとえば菌糸、きのこの菌糸があったり(して)それが木とうまく絡まるわけですね。私は漁村からやってきているんですけれども、林の中で水がうまく機能していないということを気にしていたんですね。

ですから、水路を森に作りました。最初はトンボが1種しかいなかったものが今は42種になりました。カエル6種、サラマンダー多種、いろんな水の虫の家になっているわけですね。

なんでこういうことをしたかというと、床下の水の流れが止まっていたんですね。だから水がなくて木が窒息していたわけです。そして水がしみ込んで木が病気になってしまう、そういう状態だったんですね。

ですから水の流れをよくして、水が呼吸できるような状況を作ったんです。我々の森にはヘビが6種あります。私はヘビが大好きでして。

光が差し込んでくると木と木の間にスペースがあるということですから、フクロウやタカが飛ぶことができる、そして風を通すことができる。そういうことなんです。

夏の暑い日になると森は風を作り出すんです。上の方のキャノピーが水を蒸発させるのでそれが空気を冷却させるサイクルを作るんですね。

たとえば鳥の羽を持って夏の暑い日に森へ入ると、その鳥の羽の動きで風の動きがわかるんですね。

ひじょうに美しい国有林がその中にあるんですけれども、それが我々の森なんです。

今までずっとほったらかしにしてあったんですけれども、こういう状態になっていて、床下にある種が芽を出しているわけですね。

そしてクマもいます。私はクマが大好きでしてね、特にテディベアが好きなんですけれども。クマのテッドも好きですけれども、私このTED×TOKYO、クマの話なのかなと思っていましたけれども。

(会場笑)

テンやタヌキも来たりもします。

最初は大きな木がなかったのでフクロウのためにネストを作ってあげたのです。

なのでフクロウを呼び込むことができて、今はいっぱい来てもらえてうれしいです。

スライドの下の方に顔が映ってますね。これはフクロウの住処なんですね。

フクロウはこうやって自分の住処を使っているわけなんですけれども、我々が手で作ったネストボックスというのは他の動物のために作っています。

これがピーカベアというクマなんですけれども。僕はクマが怖くはないですよ。

日本で森林に関わる人の人数はドイツの20分の1

それともうひとつ、我々は自然を作っているだけではないんです。自然からいろいろいただいているんですね、自然の恵みを。

たとえばシイタケを栽培したり、キノコを栽培したり。その中にマッシュルームが400種。まあ、その中に毒キノコもあるんですけれども、まあ1回だったら食べてもいいですよ。死んじゃいますけれどもね。

そういうキノコを栽培したりもするんです。そして人がやってきます。使えない木をトリミングして、それを道路にします。

そうすると人々がその上を安全に歩くことができるわけですね。それと炭窯なども作っています。

そして今は馬を使って間伐をしています。馬を使うと森床を傷つけることがないんですね。

そしてこれが間伐材を使った木材で作ったホームセンターなんですね。我々の森の木を使っています。

日本語で雑木、要は使えない木。実際に使えない木、なんてものはないんですけれども。このホームセンターというのは100%日本の木、木材が使われています。

日本の67%は森林なんです。長野県に来たら80%が森林です。しかし日本では森林に関わる人が、森づくりに関わる人が5万人しかいないんです。

これがドイツに行くと100万人いるんですよ。私の感想ですけれども、林は美しいだけでなく生物の多様性をもたらし、食物をもたらし、木材をもたらし、そして学ぶ場を提供し、ヒーリングの場となり。

そういう愛を提供するところですから、それに愛を注ぎ、努力を惜しむことなく注ぎ込めば、そこから返ってくるものが多いんです。

人間の心のふるさとは森林にあると私は固く信じています。音楽はすべて森林から始まった。我々のDNAの半分は森から来た。私はそう思っています。

もう1人、今日登壇いただいた方がいますけれども15歳で学校を退学してチャコール作りに入ったと。

そしてウッドカッターになったという方がいますけれども、彼は誰よりも森のことを熟知している方です。

こういったローカルのエキスパートの力を得て、彼らが若者と協業で美しい未来を作れるようにしないとならないんです。

これは日本でできることなんです。ウェールズ出身の人にできるんですから、日本人にできないわけがありません。

我々には地球ひとつしかありません。ですからみなさんと一緒にシェアしなければなりません。正しい方法でシェアしましょう。

どうもありがとうございました。