遊びと学びは別物じゃない
ワークショップデザイナーが教える、ワクワクを生む3つの秘訣

ワークショップデザイナーが毎日をワクワク・ドキドキするために実践している3つのこと | Kazuyoshi Motoki | TEDxHIU

子どもから大人に向けて、コンピューターやプログラミングのワークショップを実施している元木一喜氏。学ぶことが楽しいと思えるよう、ワクワク・ドキドキを大切にしたプロジェクトを作ることを心がけています。元木氏はワクワク・ドキドキするために必要な要素として、遊ぶこと、新しい環境に飛び込むこと、表現することの3つを挙げました。(TEDxHIU2015 より)

ワクワク・ドキドキできる3つのこと

元木一喜氏:みなさん、最近一番ワクワク・ドキドキしたのっていつですか?

子どものころって、いつもワクワク・ドキドキしていました。高い滑り台に登って、勇気をだして降りたとき。自転車をこいで、補助輪が初めて取れたとき。ただ、そんな気持ちも大人になるにつれて、忘れていってしまいます。

私は今、ワークショップデザイナーとして、大人も子どももワクワクできる場を作っています。今日は、私が実践しているワクワク・ドキドキできる3つのことについて話をしたいと思います。

ワクワクするには遊ぶことが大事

1つ目、それは遊ぶこと。

少し昔のことを思いだしてほしいんです。そう、小学生のころ、幼稚園や保育園のころ。何か習い事ってしてましたか?

水泳、サッカー、ピアノや書道、英会話や学習塾。私はどれも興味を示さなかったんです。時間があれば、鬼ごっこしたり大根抜き(北海道を中心に行われている遊び)したり、そんなことばかりしている小学生でした。

ただ、1つだけ興味を持った物があります。コンピューターです。Windows95が発売されて1年後、小学校4年生のころです。新聞に偶然はさまっていたパソコンスクールのチラシがきっかけです。

今だったら、プログラミング学習、ウェブデザイン。ただ、当時の私がハマったのは、タイピングソフトとお絵描きでした。

マジックフライトというタイピングソフトがありました。魔女を岸まで届ける。正しいキーボードを打てば、高度が上がり、入力が遅かったり、間違ったりすると高度が落ちる。今思えば単純なゲームなんです。

ただ、その時の先生から「おい、この作例作ったら、魔女のゲームやっていいぞ」と言われると、誰よりも早く作ったんです。

遊んでいくうちに私は、そのソフトが表計算ソフトになり、データベースソフトになり、気づけば自動に作業するマクロを組めるようにもなっていました。

最初はただただ遊んでいただけなんです。すると、生徒からも友達からも「コンピューターについては元木に聞こう」。そんな風に言われていました。そのうちそれが喜びになり、教えることが楽しくなったんです。

私は今、専門学校で情報の教員として、コンピューターやプログラミングについて教えています。

そう、遊ぶこと。めいっぱい遊ぶこと。ワクワクするためには、遊ぶことが大事なんです。ただ、それは誰かに与えられたルールじゃないんです。

ましてや、お金をたくさんつぎ込めばレベルアップする、そんなゲームでもないんです。自分でルールを作って、自分で遊ぶこと。

みなさん最近遊んでます?

新しい環境に飛びだす

ワクワクする2つ目。それは新しい環境に飛びだすこと。

大学院に進学して、私はeラーニングの製作や学習におけるモチベーションについて研究していました。その傍ら、高校で情報の教員として先生をしていました。そのころは、どうすれば生徒が授業に興味を持ってくれるか、そんなことばかりを考えて、授業教材を考えていました。

初めての期末試験。どうすれば生徒が興味を持ってくれるか。どうすれば生徒の知識が測れて、生徒が自分自身の考えで問題を解いてくれるか。そんなことを考え、試験の半分以上を記述式にしました。

しかし、それが失敗でした。生徒が全然書いてくれないんです。書いていても全然自分の言葉じゃない。平均点もすごくひどかった。初めて受け持った生徒の数は、280人! 採点するだけでも2週間もかかったんです。

その次の期末試験では、マークシートにしました(笑)。なんと280人の採点が5分で終わったんです。5分ですよ。

この1年は、自分の理想とするものと現実のギャップをとても感じた1年でした。

その後、名古屋に移り、専門学校の教員として教えている間も、どうすれば学生がワクワク・ドキドキしてくれるか、そんなことばかり考え、実践していました。

自分がやりたいことはワークショップだった

そこで、1冊の論文と出会います。そこには、プログラミング学習について大学で教えている研究実践について書かれていました。

そこには、Scratch(スクラッチ)というプログラミングツールを使い、学生同士が学び合っている姿がありました。授業後には、学生が後輩や外の学校の子どもたちにプログラミングを教えていたんです。

Scratchは、MITが開発したプログラミング環境です。プログラミングというとすごく難しいイメージ。文法を覚えないと作ることができません。

ただ、Scratchは色や形を組み合わせるだけで、自分のキャラクターを動かしたり、すぐにその反応を見ることができたんです。子どものとき、ブロックでお城やロボットを作ったかのように!

ワークショップ。学校の勉強と言えば、大きな机に、同じ方向に椅子が向いていて、先生がひとつ高いところから板書をして、私たちがそれをノートにとる。そんな学びのものをワークショップは壊してくれました。

ワークショップの学びは、ひとりではなく共同体。知識を習得するのを主な目的とせず、自分たちで課題を決め、自分たちで納得した解に向かっていく。

そうだ! 自分がやりたいのはワークショップなんだ! そう強く思ってからは、ワークショップを実践している人、研究している人に、すぐにでも会いたいと思ったんです。

そこで、1人の先生と出会います。アメリカのセサミストリートについて研究をし、日本ではNHKの「おかあさんといっしょ」の制作に携わった同志社女子大学の上田信行先生です。

学習環境デザインをテーマに、様々なワークショップをされている方でした。上田先生が大阪で講演すると聞き、仕事の有休を取ってすぐに向かいました。

ただそこでもビックリなんです! ビックリの連続。先生はステージに上がってギターを持っているんです。ギターを持っていきなり歌を歌いだすんです。

そしてみんなに言うんです。「さあ、立って! 一緒に歌いましょう! 一緒に楽器を作って演奏しましょう」って言うんです。すごくエネルギーのある人だなぁと思いました。

それから私は、上田先生のワークショップにたくさん参加しました。もっとワークショップについて実践的、理論的に学びたいと思いました。

名古屋と東京を往復する生活

その1年後、東京にある青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムというものを受講してました。月曜日から金曜日まで、名古屋の専門学校で先生をしながら、金曜日の授業が終わったらそのままの格好で深夜バスに乗り込むんです。

週末は学生をして、終わったら深夜バスに乗ってまた名古屋に戻って先生をする。そんなことを繰り返していました。

ただそこで出会った一緒に学んでいるみんなと、 アイデアをぶつけ合ったり、ゼロからワークショップを作っていく作業。

これは、本当にワクワク・ドキドキしたんです!

2つ目のキーワードは、DIVE。ワクワク・ドキドキしている人、そんな人や場に飛び込んでほしいんです。今だったら、TEDxHIUの運営メンバーに飛び込んでみるとか。

もし、今ワクワク・ドキドキしてない人、それ、もしかしたら環境のせいかもしれません。新しい場に、自ら飛び込んでみたらどうですか? 何か見つかるかもしれません。

表現して伝えてみる

最後に3つ目。それは、表現してみることです。伝えてみること。

ワークショップやプログラミングツールについてたくさん知った私は、自分でも場を持ちたいと思ったんです。ただ最初から何でもできたわけではありません。

いち参加者としてその場に参加し、運営者の方に、今回受けたものを私もやってもいいですか?

1つずつお願いをして、見よう見まねで始めたんです。

一番最初にやったワークショップは、モーションセンサーを使った体の動きに反応する作品を作るワークショップです。

参加者は、先輩のお子さんに参加してもらい、小学校3年生の友達も3人連れてきてもらい、トータル4名。小さなワークショップです。

スクラッチの操作について簡単に確認したあとは、子どもたちにオリジナルの作品を作ってもらいました。

テーマは、動物園! 世界にひとつだけ。その子だけの動物園を作るというワークショップです。

ただ、最初ということもあり、とても試行錯誤。どうなるかわからない中、進めていきました。

ただ、そこでの子どもたちの笑顔! どうです? すごく可愛いですよね。これが忘れられなかった。それが第1回目のワークショップでした。

あと私は、レゴがすごく好きな子どもだったんです。

だからコンピューターを使わない、アンプラグドな授業ができないかと、学生と相談していました。

そのブロックを積み上げて何かできないか。

私は学生とレシピと言われる指示表を作ったんです。その指示表通り学生たちがブロックを組み立てていくと、何かでき上がっていくんです。これによってコンピューターのゼロとイチの仕組みやアルゴリズムについて学んでいったんです。

学生は自分たちで作ったもの、学んだものを自然とスマートフォンで写真を撮るんです。学生たちが自然と学んだアウトプットを自分たちでシェアし始めたんです。なかなかないですよね、こんなこと。

最近では、10年以上子供達の創造や表現力の場、それをキーワードにワークショップやイベントをしているNPO法人キャンバスの協力のもと、プログラミングを通じた学びの場、プログラミングエデュケーションギャザリング、PEG札幌を開催しました。2日間で100人近い参加者でした。

私はそこで、LEDの点灯とその光を検知する光センサーを制御し、子どもたちが画面上で作った作品をつなげるピタゴラ装置を作るワークショップを開催しました。

プログラミングと言えば、ひとつの画面に向かってカタカタするイメージありますよね。ただ、ピタゴラ装置を作るこのワークショップは、隣同士協力しないとうまく動かないんです。自然と隣同士が話しあって相談して作っていくんです。

そして、大きな作品ができたら、みなさん、今度はどうします? 自信を持ってできたものがあったら、今度は誰かに自慢したくなりますよね。

次は、発表する時間をとったんです。

自分たちの作品が動いていきます。となりの友達から光を検知したら、自分の作品が動きだす。動いたら、今度は次の友達、次の友達……に動いていくんです。さぁ、次は、最後の友達の番!

どうです? 子どもたちのワクワク・ドキドキしている姿。ここにありますよね!

自分の作ったものを誰かに見せる

3つ目のキーワード。何かモノを作ったり、自分の作ったモノが目の前にできたときに、それを誰かに見せてほしいんです。

プログラミング、ものづくりが好きな人。何か好きなものをどんどん作ってください。そしてそれを誰かに見せてあげてほしいんです。1人で本を読むのが好きな人。感想をウェブ上に公開してみてはどうですか?

絵が好きな人、学生ならルーズリーフにグラフィックな絵でノートをとってみて、友達に見せてみたらどうですか? 今まで退屈だった授業が少しワクワクするかもしれません。

何か自分の作ったものを誰かに見せること。ステージに立って表現すること。それは少し勇気のいることかもしれません。ただ、それ以上にワクワク・ドキドキするんです。そう、このTEDxのステージのように!

PLAY、遊ぶこと。めいっぱい遊ぶこと。DIVE、熱量のある人のところに飛び込んでみること。PERFORM、ステージに立って表現すること。

今は、世界中の素晴らしいアイデアや学校の授業はインターネットで無料で学ぶことができます。

これからどんどんインターネットが進んでいけば、何でもネット上でできるようになります。ただ、そのときに大切なのは、ワクワク・ドキドキする心。学ぶことが楽しいと思えることなんです。

頭の良し悪しがすべてじゃない。もし、学びたいことが決まってないあなた。大丈夫。必ず見つかります。だからもっと、遊んで、飛び込んで、表現してみてほしいんです!

そして、もしよかったら、あなたの周りの人をワクワク・ドキドキさせる、そんなプロジェクトを今日から始めてみませんか?

最後に、先ほど紹介した上田信行先生の言葉を紹介して終わりたいと思います。

楽しく学ぶ、ということではない。楽しいことの中に、学びはあふれているんだ。

ありがとうございます。

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