ゴールドラッシュとインターネットの共通点とは? ジェフ・ベゾスがネットバブルの実態について講演

The electricity metaphor for the web's future #1/2

Amazon CEOのジェフ・べゾス(Jeff Bezos)氏が、テクノロジー発展の勢いをゴールドラッシュや電気産業初期と比較し、その類似点を紹介します。インターネットはゴールドラッシュと同じく、終わりを迎えてしまうのか? Amazon創業者の視点からテクノロジーと人類の未来を予測します。(TED2003より)

ゴールドラッシュ並みのブームを巻き起こすインターネット

ジェフ・べゾス氏:復活力とテクノロジーについて考えてみると、実は非常に簡単です。他のスピーカーの方々も骨の折れる内容のお話をされると伺っていますが、テクノロジーは別です。比較的簡単に跳ね返ることが可能なのです。

また、インターネットの世界で起こった経緯を見ると、過去6年ほどの間に驚くべきことが次々と起こり、類推するのも難しい状況です。決断の仕方、物事への反応の仕方、未来の展望の多くは我々がいかに物事を列挙し分類するかに関わってきます。

昨今、私たちが目撃したインターネットの急騰と暴落は、ゴールドラッシュと比較することができるといえます。他にも例を挙げることができるかもしれませんが、インターネットブームもゴールドラッシュもとても現実味のある出来事です。

1849年に起こったゴールドラッシュは7億ドルもの金(ゴールド)がカリフォルニアから採掘されたのです。これは現実です。

一方、インターネットもとても現実的な人間のコミュニュケーション手段として始まり、大きなブームを巻き起こしました。

その後、派手に暴落しました。

(会場笑)

「誰もが職を捨て金を採掘した」インターネットとゴールド・ラッシュの類似点

両者とも行き過ぎた宣伝が行われました。皆さんもご存じだと思います。「ゲットリッチドットコム」 などです。

ゴールドラッシュの時代にも、「ゴールド、ゴールド、ゴールド」などと書かれた広告が出され、「68人の金持ちが蒸気船ポートランドに金塊を積み込む」、「ほとんどが5千ドル相当以上のゴールドを発掘し、10万ドル相当を掘り当てた者も」といった記事を読んで、人々は興奮したのです。

「黄金の国、米国のエルドラドを発見」

「尽きることのない金鉱がカリフォルニアに」といった具合です。

ゴールドラッシュとインターネットブームの類似点は他にもあります。多くの人々が仕事を投げ出してゴールドラッシュに駆けつけるという状況は何年も続きました。1849年に初めてニュースが東海岸に広まった時は、誰もこの話を信じませんでした。

そして1年後の1850年、次々に金が掘り出される話はそれでも信じられませんでした。しかし、3年後の1852年には、自分がカリフォルニアに繰り出さなかった愚かさに気づいたのです。東海岸の町々で、10から20人ずつの共同体で会社を設立しアメリカ大陸を横断したのです。

単独で出発する人は少なく、ほとんどがチームで旅に出たのです。弁護士であろうが銀行員であろうが、いかなる技能を持っていようと職を離れて金を掘りに出掛けたのです。

リチャード・べヴァリー・コール医師もそのひとりです。

フィラデルフィアからパナマ経由で地峡を渡り船に乗り、北に向かいました。

このトーランド医師は幌馬車でカリフォルニアへ向かいました。

ひとりは外科医でしたが、ふたりとも名医で成功していたにも関わらず仕事を残してカリフォルニアへ出発したのです。

インターネットでも同じようなことが起こりました。「ドクタークープドットコム」が出現しました。

そして、ゴールドラッシュ時代には人々は乗船していた船から文字通り殺到しました。

サンフランシスコ港では乗組員までもが金を探しに行ってしまい、乗り捨てられた船はピーク時には600隻も溢れました。残された600人の船長は船をホテルにせざるを得なくなったそうです。

無計画な投資によって燃え尽きる事業

「ドットコム熱」も起こりましたね。

「ゴールド熱」は行き過ぎた行動を生みました。サンフランシスコの砦には1300人の兵士がいたのですが、その半数が職務を放棄し金を探しに行ってしまったのです。

しかし、残りの半数を連れ戻しに送れば、彼らも戻ってこなくなる恐れがあったため、命令はしなかったそうです。

(会場笑)

ある兵士が家族に宛てた手紙には、「正しいことをして月給6ドルをもらうか、間違ったことをして日給75ドルを手にするかの判断はとても厳しい」と書かれています。

ゴールドラッシュにより燃え尽きる割合は非常に高かったのです。これはクロンダイク金鉱へ続くホワイト峠の道です。

ラバや馬に許容オーバーな荷物を積み上げ、無計画で当てもなしに出発したため、ほとんどの馬は目的地にたどり着く前に死んでしまったことからその道は、「死馬の道」と呼ばれるようになりました。カナダの内務大臣はこう書いています。

「馬が数千頭も死に倒れている。崖の上から落ち、群れなして泥の中にもつれ合い、死す寸前で息絶え絶えだ。こんなひどい状況はあまり知らされていないが、ワタリカラスに眼をえぐり取られ眼のない馬の死骸に、数えきれないワタリカラスが群がっているこの「死馬の道」の残酷な光景は、想像を絶するものでとても言葉では表現しきれない」

臭いがないだけでインターネットも同様に、かなりの燃え尽きがありました。皆さんも見たことがあるかもしれないコマーシャルをお見せします。これは2000年のスーパーボウルの時に放映されたCMです。

(映像開始)

(映像終了)

このコマーシャルがいったい何を売ろうとしているのか、全くわかりませんね。

(会場笑)

でも、このCMには350万ドルもつぎ込まれスーパーボウル時に流されました。当時この会社の収益は100万ドルしかなかったにも関わらずです。

しかし、ここでゴールドラッシュとインターネットブームの比較が変わってきます。ゴールドラッシュの場合、金が底をつけばそれで終わりです。

「現時点でドーソンには失望した男たちがたくさんいる。数千マイルもかけて、自分の命、健康、そして財産も賭けて危険な旅を経て、何カ月もの厳しい重労働の後、切望した最後のゴール地点で期待が頂点に上り詰めた時に、結局何も残っていなかったことに気づかされた。」

これは本当の話です。最後の金塊を掘り出した後、1849年のゴールドラッシュ時期には、2年の間にアメリカの河川領域にある石はすべて掘り返され、その後は高度な採掘技術を持つ大会社のみが採掘を続けられたのです。

インターネットが急成長を遂げられたのは、電球のおかげ?

ゴールドラッシュより楽観的に見える比較の対象は、電気産業です。インターネットと電気産業の進歩には共通点が多々あります。電気産業は、細長い横のつながりで形成されたいろいろな産業から成され、単体ではありません。

電気は幅広く活用されるため、的を絞らなければいけません。電力を供給する素晴らしい手段でありながら、声を伝達できる電話のようなきめ細かい情報まで伝達できるのです。電気にはおもしろい側面があります。

電気革命の鍵となった「アプリ」は、電化製品の黄金時代に世界を電化製品の導入に導いた電球です。電球が世界の回線を結んだのです。もともと電気回線を整備する際、誰も電化製品のことは考えておらず、電力を家庭に普及させるというより電球がメインだったのです。

従って莫大な資産が投じられ、すべての道が掘り起こされました。

これは、最初の発電所が建設されたマンハッタン南端部で道を掘り起こしている様子です。「エジソン電気照明」が「エジソン総合電気」と社名を変え、後の「ゼネラル・エレクトリック(GE)」の前身となり、莫大な費用の道路工事に経費を費やしました。

しかし、そこがインターネットとの共通点ではありません。ご存知のようにインターネットは長距離電話回線用のネットワークを基盤に構築されました。インターネットブームが起きた1994年、インターネットは年間2300パーセント増で急成長しました。

インターネットへの投資が始まる前に、どうやって2300パーセントもの割合で成長を遂げられたのでしょうか? それは、それを可能にする広範囲にわたるインフラが既に構築されていたからです。

電球がそのインフラを構築させたのです。

コンセントがなかった時代は照明用配線を利用していた

そして家電製品が普及し始め、大きなセンセーションを巻き起こしました。最初のセンセーションは1890年に世に出たこの扇風機です。

こういった電化製品の黄金時代はかなりの間続いたのです。どのようにその期間を測るかにもよりますが、40から60年間は続いたといえます。

1890年ごろ世に紹介されたこの扇風機は、大変な成功をおさめました。

そしてアイロンです。

これも大ヒットしました。ちなみにこれが最初のアスベスト訴訟の始まりです。ハンドルの下にアスベストが使われていたのです。

1905年にフーバー社から発表された、最初の「スキナー掃除機」は42キロもの重量があり、2人がかりで動かさねばならず自動車の1/4ほどの価格で売られていました。当然あまり売れませんでした。これぞ家電製品の元祖です。

(会場笑)

1905年の「スキナー掃除機」は3年後の1908年には軽量化され、18キロになったそうです。こういった家電製品はすべてがヒット商品だったわけではありません。

例えば、ネクタイのプレス機は一度もヒットしませんでした。皆ネクタイにシワがよらないように気をつけていたのでしょうか?

これは靴のドライヤー兼ウォーマーですが、これもヒットにはつながりませんでした。6色もの種類があったそうです。

(会場笑)

時には発明にも時期があります。今がその時かも知れません。スーパーボウルのコマーシャルを適切なパートナーと作ったら、今度はヒットするかも知れませんね。これでどうでしょうか?

トースターも大きな話題を呼びました。

直火でパンを焼いたからです。もちろん時間も労力もずいぶんかかりました。

ここでひとつ質問です。皆さんこれが何かご存じでしょうか?

まだ電球が挿入される差し込みは発明されていませんでした。当時、電気の回路は家庭に普及していなかったのです。照明用の配線が施され、家電がプラグで接続されました。どの家庭にも天井に電球用の差し込みがありました。そしてそこへ家電を接続したのです。

ディズニーワールドで、「進展の回転木馬」をご覧になったことがあればおわかりでしょうが、電球を外して他の家電を接続していたのです。

「OFF」の概念がなかった家電製品

次に大きな注目を集めたのは洗濯機でした。洗濯機は羨望の的でした。皆洗濯機が欲しくてたまらなかったのです。左側にせっけん水が入ります。そして回転するモーターがあり洗濯物をきれいにしたのです。

洗濯物を取り出し、すすぎ用のきれいな水の入ったドラムへ入れ脱水機にかけるのです。それが大きな話題を呼んだのです。それをベランダに置いたので、少々景観を損ねるだけでなく、長いコードを家の中まで引いて来なければならなかったので大変でした。

(会場笑)

ここでお伝えしておきたいことは、当時はまだ「OFF」の設定が発明されていなかったことです。

家電の「OFF」スイッチはかなり後になってつけられたのです。電球を接続する差し込みを占領してしまうため、洗濯機を使い終わる度にプラグからはずしたので「OFF」ボタンは必要なかったのです。

コンセントもまだ発明されていなかったので洗濯機は特に危険を伴う製品だったのです。調べてみると、髪の毛や衣服が機械に挟まっても機械をOFFにすることができず、差し込みも家の中にあるため機械を止められず、ぞっとするような話がたくさん出てきます。

(会場笑)

「OFF」スイッチを付けず電球の差し込みにコードを接続していたとは、私たちの祖先は何て愚かだったのかと思いますよね。

実は原始的な、生活の根底にあるテクノロジー

でも、祖先の非難を続ける前に私の会議室を見てください。ひどい状態なんです!

よく見るとこのコンセントは逆さまに設置されています。コードがすぐ落ちてしまうのでテープで止めました。

これは私の机の下の様子です。

2日前に撮った写真です。ですから、1908年からそれほど進歩していないと言えます。大変な散らかりようです。

(会場笑)

本当は進歩していると信じたいところです。でも、「802.11」を自分で設置しようとされたことはありますか?

ぜひ、やってみて下さい。かなり困難です。コンピューター科学の博士に頼んだのですが、これは博士泣かせです。それはDSLが既に設置されていたとしての話です。DSLを家に設置してみてください。日々DSLを設置しているエンジニアでさえ難しいのです。通常3回来てもらわなければなりません。

友人から聞いた話ですが、エンジニアが3回も客の家に来てDSLを設置し、最後にアクセスコードを聞きだすのに電話で1時間も待ったのです。幸いスピーカーフォンがあったようですが。ですから私たちもずいぶんひどいものです。

そもそもDSL自体ひどいです。最初の目的とは全く違う用途に使われている、捻じれた銅線なのです。すべてがとても原始的だということが私の意図するところです。

過去よりも未来のイノベーションのほうが大きい

しかし、そこがポイントなのです。ゴールドラッシュの「復活力」について考えてみると消極的になります。最後の金塊がなくなれば終わりです。幸いイノベーションは金塊のように尽きることはありません。新しいものをつくる度に改善点に気づき、それがまた新しいチャンスにつながります。

もしそれが信じられるなら、私たちが立っている地点はまだ原始的です。ネット上のユーザーインターフェースなど複雑なシステムだらけです。私達はインターネットで1908年のハーリー洗濯機と同じ地点に立っているのです。髪の毛が挟まる危険はありませんが、1908年と同じような原始的な地点に立っているのです。

それが信じられれば、「トラブルが続出するネットに接続する価値なし」といった1996年の見出しは気にならないでしょう。

1998年、「アマゾンドットトースト」。

(会場笑)

1999年、「アマゾンドットボム(爆弾)」。母はこの写真が大嫌いです。

もし皆さんが、今の私たちが1908年のハーリー洗濯機の地点にいると思えるならあなたは楽観主義者だといえます。私もそんなひとりです。過去のイノベーションよりも未来のイノベーションの方が大きいと信じています。

これは1917年に掲載されたシアーズ(注:デパート)の広告です。

「電気を照明以外にも活用しよう」

これが私たちの現時点だといえます。私たちは実に初期の段階にいるのです。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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