環境問題を子どもたちに引き継ぐな--地球と生物への理解を深める「バイオリテラシー」の重要性

バイオリテラシー: アルバロ・セデーニョ・モリナリ at TEDxTokyo (日本語)

自分が着ているシャツが作られるまでにどれだけの二酸化炭素が排出されたのか、自分が食べている食材はどこから来たのか。そういった地球上の環境や生物とのかかわりについて意識することを「バイオリテラシー」と呼びます。グリーン成長提唱者のアルバロ・セデーニョ・モリナリ氏は環境汚染を止めるためには人それぞれが環境にとって良い行動を取ることが必要であると語りました。(TEDxTokyo2013 より)

生物の言語を理解する「バイオリテラシー」

アルバロ・セデーニョ・モリナリ氏(以下、モリナリ):今日はみなさんにバイオリテラシーについてお話ししたいと思います。

みなさん! まず、息を深く吸って、そして止めていただけますか。みなさんの身体の全ての部分が酸素を必要としています。でも、私達は、木の伐採や有害物質の放出により、地球から酸素を奪ってきました。それはまるで、タバコを吸う時、煙を吐き出さずに肺の中にため込んでおくようなものです。

地球は、まるで巨大な肺のようで、大気圏の空気をきれいにして、生命を育むためのとてつもない能力を持っています。地球も私達と同じように息をする必要があります……。まだ息を止めている人は吐いてください。

みなさんは、バイオリテラシーを理解されていますか? 全ての生物が、生態系のどこに所属しているのかご存知でしょうか。バイオリテラシーとは、生命の、生物の言語を理解するということです。

もしバイオメガネというものがこの世にあったらどうでしょう。最先端技術で作られるようなメガネを想像してみてください。

このメガネをかけると、もののライフサイクルが見えるようになります。全てのものが、どこから来ているか理解することができます。

例えば、私の着ているシャツを、このメガネをかけて見ます。どこで作られたのか、どれ位の水、電気が必要だったか、どこで綿が栽培されたか、そして、二酸化炭素は、この天然資源からこのシャツが作られるまでにどれ位排出されたか、そういうことがわかるようになります。

(舞台照明を指差しながら)この照明を見て、バイオメガネは、電力の発電方法、水力発電なのか、太陽光発電なのか、原子力発電なのかを教えてくれます。そして、この照明を灯すために必要な電力量、あるいは、1分あたりの機会費用を教えてくれます。

じゃあ、今日みなさんが食べたランチ(お弁当)の割り箸はどうでしょうか。バイオメガネがあれば、材料の木があった森の場所、そして、環境的な機会費用まで教えてくれます。例えば、その木が伐採されなければ、どの位の二酸化炭素排出量が減少したか等も教えてくれます。

寿司ネタになる魚はどこから来たのか

みなさんが食べる寿司のネタはどうでしょう。バイオメガネをかければ、その魚が生息していた所からどれ位の距離運ばれて、みなさんの食卓に並んでいるのかがわかります。もしかしたら、その魚がいつ頃絶滅するのか教えてくれるかもしれません。

脂ののったトロを食べる楽しみを奪うつもりはないのですが、是非、そのような考え方をしてみてください。バイオリテラシーによって、人生は大きく変わります。先ほど例にあげたような情報の理解というのは、私達の行動、意思決定、全てに影響します。

それは、私達の行動の全てが、生態系に何らかの、ポジティブ、またはネガティブな影響を与えているからです。息を吐くだけでも二酸化酸素は排出されますし、バイオメガネを作るのにも二酸化炭素は排出されます。

バイオメガネは実際には存在しません。でも、私達がバイオリテラシーを高めるために、このメガネは必要ありません。無くても、私達が、物を買ったり、売ったり、消費する、発明する、捨てる時に、環境に与える影響を理解することはできますし、自然に対してポジティブな影響を与えるような行動をとることはできます。

地球環境の修理に必要な「樹木」

人間は理知的な生き物ですから、私達はバイオリテラシーを高めて、人類が歴史的にやってきた悪い行動、例えば、大気汚染、水質汚染、土壌汚染等を改めなければなりません。

そして、自然界によって補充される以上のスピードで、地球資源を使用することをやめるべきです。一部の科学者の方が、地球を冷却するために、大気圏中の二酸化炭素を回収して地下に埋めるとか、ジオエンジニアリングによって太陽光線をさえぎろうとしていると聞きますが、私はとても不安になります。

彼らは、樹というものを知らないのでしょうか。もし、みなさんが、ご自身のバイオリテラシーを高めれば、樹というのは、地球環境を修理するためのとても良い道具だということがわかると思います。

樹は二酸化炭素をとり入れて、成長したり、酸素を作ったり、空気中の窒素をとり入れ土に送ることで、肥沃な土壌を育てていきます。

また、水を純化し、日陰を提供したり、そして、何百もの生物の生息地でもあります。また、四季を通じてきれいな景観を提供することもできます。ただ、樹の最も良いところは、自然に繁殖して、何十年も、何世紀も、あるいは千年を超えて生きていくことです。

環境に対して、すばらしくポジティブな影響を発揮し続けます。

ただ、バイオリテラシーを高めていくということは、時として苦しいこともあります。グローバル・フットプリント・ネットワークによれば、平均的な日本人は、1人あたりが生み出している地球資源の7倍の量の地球資源を消費しています。同じことをアメリカと比べると、平均的なアメリカ人の場合は2倍ほどです。

一方で、日本の水質管理、ゴミ処理、公共交通機関の整備、都市計画は世界でも最も優れています。ですから、対極的な観点からものを見るというのが重要です。そして、何を改善しなければならないか、テストプラクティスをどうやってとり入れていくか、ということを考えるべきです。

世界のリーダー達が、もしバイオリテラシーを高めたら、どんなふうに世界が変わるか想像してみてください。全く新しい目線を、現在、私達が直面している環境危機に対して提供するのではないでしょうか。

そして、重要なのは、私達の考え方、行動が変わり、解決策を見出そうとするのではないでしょうか。

環境問題を子供世代に引継ぎたくない

私は、自分が、この世代のグローバルリーダーの一員だと思っています。ですから、責任を感じて、解決策を見出していかなければならないと考えてきました。

私が初めて地球温暖化のことを知ったのは、1985年、11歳の時でした。当時、私にできることは限られていました。しかし、今となっては、その問題を自分の親世代になすりつけたり、あるいは、自分の子供世代に引継ぎたくないと考えています。

もし私が、いつかバイオメガネを開発したら、是非、みなさん、自分と家族全員分を購入してください。人間は、志の高い生き物です。常にもっと遠くへ、もっと高く、もっと速く、もっと! もっと! ということを望んでいます。

ですから周りの人に「環境汚染をやめて!」と言う代わりに、例えば、地球にとって良い行動を、お互いに促し合う、奨励し合う、というのはどうでしょうか。

こちらに、みなさんのバイオリテラシーを高める上で、非常に良い3つのWebサイトを表示しています。是非、みなさんに興味を持っていただいて、広めるべき価値があると考えていただければ幸いです。

では、もう一度、息を大きく吸い込んで止めてみてください。

私達全員が、何らかの役割を持っています。みなさんは、バイオリテラシー向上のための一歩を踏み出しましたので、環境にとって良い行動をとって、全員が、十分に享受できるような環境を創っていきましょう。そして、息をするということを忘れないでください。

ありがとうございました。

(会場拍手)

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