はじめてみたアニメはスウェーデン語版『セーラームーン』

野口綾子氏(以下、野口):さて、オーサさんの漫画がいつか本当のアニメになったらいいですよね。今のはモーションコミックでしたけど、もしアニメになったら、どうしますか。

オーサ・イェークストロム氏(以下、オーサ):えー、そこまで、もう想像できませんよ。それは遠すぎます。

野口:そういえば、オーサさんが初めて見た日本のアニメは何でしたっけ。

オーサ:初めて見たアニメですか。

野口:はい。

オーサ:初めては、スウェーデンのテレビで『セーラームーン』を見ましたが。それはスウェーデン語版でしたよね。

野口:幻の銀水晶。

オーサ:はい。でも次は初めて日本語版のアニメを見ましたのは、生のアニメといいますか、日本語そのままの。それは『少女革命ウテナ』でしたよね。最初に日本語を聞いた時はフィンランド語に近いですよね、と思ってしまいました、なんとかの理由で。

野口:へえ。日本語って、フィンランド語に近いんですね。

オーサ:全然近くないんですけど。あとは日本人、みんな声がものすごく高いですと思ったんですよね。

野口:確かに。

オーサ:スウェーデン語版のアニメとかアフレコに比べましたら。でも、実は自分の声もものすごく高いですから、ちょっとうれしくなりました。

野口:あっ、同じだって。

オーサ:同じです。

野口:でも本当、私は日本のアニメをずっと見ていたので、そんなに高いなと思っていなかったけど、やっぱり海外のアニメを見ると、日本のアニメって声が高いんですかね。

オーサ:そう。

大好きだったアニメの監督からのメッセージ

野口:うん、うん、うんって、すごいうなずいていらっしゃいますが。でも、初めて見たのが『セーラームーン』で、そして日本語の字幕で見たのが『少女革命ウテナ』ということで、テレビシリーズの『セーラームーン』や映画『少女革命ウテナ』の監督を務められた幾原邦彦監督はご存知ですか。

オーサ:もちろん、はい。

野口:実はですね、その幾原邦彦監督から『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』を読んだ感想が届いているので、お披露目をしたいと思います。

頂いた感想はですね「北欧の女の子が教えてくれた正しい勘違いって楽しい。僕たちはまだまだ広がることができるし、まだまだつながることもできる。誰かと話したくなるし、誰かとわかりたくなる。カップ麺の裏にシールがあったなんて」。

オーサ:わあー!

野口:いかがですか。

オーサ:すっごいですね。神様の声ですよ。

野口:そうですよね。

オーサ:ショック、すごくうれしいです。すっごい、若いときに大好きな監督さんでした。

野口:そうですよね。でも、これはぜひね、記念になりますので。そういうことで、ちょっとしたオーサさんへのサプライズ企画でした。

オーサ:ありがとうございます。

24時間で24ページの漫画を描くチャレンジ

野口:それでは、そろそろ残り時間が少なくなってきましたが、ここからは会場の皆さまの質問に、オーサさんに答えていただこうと思います。大丈夫ですか。

オーサ:はい。

野口:ということで、皆さん、何か質問のある方いらっしゃいますか、ぜひ。ちょっと手が挙がりました。

質問者: 24時間漫画というのは、本当にやったんでしょうか。

オーサ:本当にやりました。

質問者:24時間で24ページやったんですか。

オーサ:やりました。

質問者:オーサさんはどんなテーマで。

オーサ:少女漫画の恋愛話を描きました。

質問者:24時間で完成したんですか。

オーサ:はい、そうですね。スウェーデンの専門学校でやった練習なんですけれども、24時間に24ページの漫画を描く練習ですけれども。スウェーデンの人間は大変だと思うんですけれども、でも日本人の漫画家には普通かもしれませんね。

野口:日本の漫画家さん、そんなにたくさん、早いペースなんですね。

オーサ:もちろん人によりますけれども。でも例えば週刊連載でしたら、大変そうですよね。

野口:そうですよね。ありがとうございました。

オーサ:ありがとうございます。

最初で最後のコスプレは『少女革命ウテナ』の七実ちゃん

野口:そのほか質問のある方、いらっしゃいますか。

質問者:日本のコスプレ文化に対して、どう思いますか?

オーサ:素晴らしいと思いますね、日本のコスプレ文化。最近、もう海外とかスウェーデンでもすごく人気がありますけれども。でも私が一番オタクだった時代は、まだコスプレ文化はスウェーデンまで来てませんでしたので、1回ぐらいしかコスプレやったことないんですけれども。でも最近、人気ありますよね、海外でもあります。

野口:オーサさん、その1回したコスプレは、どんなコスプレをしたんですか。

オーサ:『少女革命ウテナ』の七実ちゃん、金髪ですから、いけるのじゃないかなと思ったんですけれども、いけませんでした。

野口:うそ、いけますよ。ウィッグなしで。

オーサ:いや、ちょっと恥ずかしくて、ずっとコートを着たままでした。

野口:恥ずかしいですか。

オーサ:いや、やっぱりちょっと恥ずかしかったんです。

野口:そうなんですね。とっても似合いそうですよ。

オーサ:今はできると思うんですけれども。今年の約束は1回、コスプレをすることです。

野口:例えば何のコスプレを。

オーサ:ちょっと年を取っていますので、『千と千尋の神隠し』の湯婆婆にしようかなと思って。

野口:えー、それいきすぎですよ、いきすぎ。

オーサ:まだちょっと早いかもしれませんが、将来的には。

野口:しかも、体格もちょっとふくよかにならないと、体格もね。

オーサ:でも鼻も合っていますので。

野口:確かに鼻は高かったですね。

私は個人的に『交響詩篇エウレカセブン』というアニメが大好きで、なのでエウレカをね、本当に個人的趣味で、それをやってもらいたいなと思うんですけど。よかったら、ぜひ候補に入れてください。

オーサ:はい。ありがとうございました。

野口:ありがとうございました。そのほかご質問のある方、いらっしゃいますか。

日本とスウェーデンのファッションの違い

オーサ:はい、どうぞ。

質問者:スウェーデンから日本に来て、ファッションとかは変わりましたか。髪形とかメイクとか服装とか、ヨーロッパと日本の違いとか、どっちのほうがいいかとか、あれば教えてください。

オーサ:おもしろい質問ですよね。やっぱり影響を受けたと思います。例えば今もカラコンにはまっていまして、それはスウェーデンにはありませんね。

あとは日本の一般的なファッションですけれども、スウェーデンではちょっといけないのもありまして。例えば靴、サンダルとかを履いたままに、靴も靴下も履いてないのは、ちょっといけませんですね。

前はニーハイストッキング、すごい人気があったじゃないですか。それをそのままスウェーデンに戻ったときにしたんですけれども、結構、笑われましたので。

野口:スウェーデンにはない。

オーサ:「なにその靴下」とか言われました。ちょっと違いますね。でも、日本のファッションのほうが好きです。かわいいと思います。

野口:そうなんですね。オーサさんの、例えばご実家に帰ったときとか、スウェーデンに帰ったときとかは、服装はどうなるんですか。スウェーデンに合わせますか。

オーサ:ちょっと合わせますね。でも、毎年1カ月半ぐらいしか戻りませんので、どこがいいと言われてみますと、やっぱり日本です。

野口:そうなんですね。本当にうれしいですね、日本のことを好きになっていただいて。ありがとうございました。

オーサ:ありがとうございます。

スウェーデン人は意外とお酒に弱い?

野口:そのほか質問のある方、いらっしゃいますか。たくさんいらっしゃいます。オーサさん、ぜひ、どなたか。

オーサ:じゃあ一番近い方、お願いします。

質問者:漫画の中にビールをよく飲むシーンがあったんですけれども。こちらでも向こうでも、実際に、特に向こうでどんなお酒を飲むんですか。

オーサ:そうですね、私でしたらビールですよね。ビールが好きです。でもやっぱり、スウェーデンでは梅酒とか日本酒はあんまりありませんね。何を飲むかと言いますと、ウォッカなんかを。ウイスキーも好きですけど、そんなに飲みませんね。でもやっぱりウイスキーも、スウェーデンでは人気がありますね。飲む人が増えています。ワインもそうです。

野口:オーサさん、お酒は強いですか。

オーサ:飲むときは強いんですけれども、次の日は死んでしまいます。

野口:そうなんですね。スウェーデンの方とかって、強いお酒を飲むイメージがあるので、みんな強いのかな、なんてイメージしちゃうんですけど、やっぱり二日酔いするんですね。

オーサ:二日酔いはひどいです。もう駄目です。

野口:そうなんですね。ありがとうございました。

オーサ:ありがとうございました。

豚骨ラーメンが一番好き

野口:そのほか質問のある方、じゃあオーサさんから、ぜひどなたかご指名いただいて。

オーサ:じゃあ、あそこに黄色いセーターの方、お願いします。

質問者:一番好きなラーメンは何ですか。

オーサ:簡単ですね。豚骨ラーメンが一番好きです。

野口:おいしいですよね、豚骨ラーメン。

オーサ:おいしいですね。体に一番悪いやつです。

野口:ということで、ありがとうございました。続いて質問のある方、いらっしゃいますか。たくさんいらっしゃいます。

オーサ:ちょっと青いセーターの人、シャツですね。シャツと白いTシャツの方、お願いします。

質問者:オーサさんは次に日本でやってみたいこと、描いてみたいこと、描いてみたいテーマとか何かはありますか。

オーサ:はい、今は4コマ漫画をとても楽しんでいますが、そうですね、あとは皆さんのいい反応のおかげで、今も北欧女子日本の不思議を日刊で描くことになりましたので、それはとてもうれしいですので、これからまた皆さんが楽しめる4コマ漫画の作品2題を描きたいなと思っておりますね。でも、またいつかストーリー漫画を描きたいなと思いますね。体力があれば。

野口:そうですよね。今これを描いて、同時にストーリーのある、ストーリー性のある漫画を描いていくって、大変ですものね。

オーサ:そうですね。でも、そういう夢もあります。ありがとうございます。

スウェーデンに比べて日本は全然男女平等じゃない

野口:ありがとうございました。それでは最後、先ほどの男性の方、ぜひお願いします。

質問者:逆にスウェーデン人として、日本人にまったく理解されていなかったこと。

オーサ:うーん、難しいですね。多分、スウェーデンは本当に平等的な社会ですから、特に男女平等的ですから、そこはちょっとカルチャーギャップがあると言いますか。スウェーデン人には当たり前なことが、日本人にはそうでもないですね。具体的な例は難しいんですけれども、そこが一番、激しい差じゃないかと思います。

野口:その男女平等というのは、日本だと男性が働いて奥さんと子供を養うとか、食事とかで割り勘も全然ありますけど、男性のほうが多く出したりとか、そういうこととかですかね。

オーサ:そうですね。スウェーデンでしたら、半分半分とまでは言えないんですけれども。でも子供ができましたら、両方、責任取りますね。みんな子供のお世話をします。

スウェーデンでは子供ができましたら、1年の休みがありまして、そのとき100%の給料をもらえますね。でも、その12カ月の中、男性は3カ月、取らなくちゃいけないんですね、法律的にそういうのがありますので、違います。

野口:そうなんですか。あとレディスデーとか、ありますか。

オーサ:レディスデーはありません。

野口:ないんですね。女の子優先みたいな、映画が安いとか、ランチが安いとか。

オーサ:あんまりないんですね。

野口:そうなんですね。

オーサ:そこも違います。

野口:ありがとうございました。

オーサ:ありがとうございました。

次回作は秋ごろにでも

野口:皆さまからたくさん質問をいただきました。本当にありがとうございました。それではそろそろお時間になってしまいましたので、トークショーはこの辺でおしまいとなります。それではオーサさん、最後にひと言、お願いします。

オーサ:まずは皆さま、今日は参加させていただきまして誠にありがとうございます。あとはちょっと、今、最後なんですけれども、実は私の本が出版する前にものすごい偶然で、ほかの外国人の物語も漫画になりましたね。『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』と言いまして、友達のベンジャミン・ボアズが描いていますので、ちょっとひと言お願いします。

ベンジャミン・ボアズ(以下、ベンジャミン):私は友達のオーサさんを応援しに来ました、ベンジャミン・ボアズと申します。ありがとうございます。おっしゃったように、私の本がオーサさんの本の出版1週間前に出たので、そんな偶然で見てて、一緒になんかが出ましたねとメールを打ったら、すぐ友達になりました。

オーサさんと同様に、自分が13歳のときに高橋留美子さんの漫画が大好きで、日本に興味を持ちました。もし日本の文化をちょっともうひとつの観点から見ていただきたい人がいらっしゃいましたら、ぜひ、この『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』をどうぞ。ありがとうございます。

野口:ありがとうございました。

ベンジャミン:そして、オーサさんの日本語、めちゃくちゃ上手ですよね。

野口:ありがとうございました。『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』、ぜひ皆さん、チェックしてみてください。そしてですね、オーサさんの、今、発売中の本もそうですが、次回作が楽しみですよね。いつごろとかって予定とかありますか、ざっくりでもいいんですけど。

山崎旬氏:秋ですかね。秋を目指して。

野口:おお、秋ごろ2巻が出るそうですよ。皆さん、楽しみにしていてください。ということで、これにて『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』発売記念イベント「トークライブ&サイン会するだ!」in コミティア112を終わりたいと思います。それでは、オーサ・イェークストロムさんでした。ありがとうございました。

オーサ:ありがとうございました。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)