国有林がドローン特区に? 内閣府担当者が近未来技術の実証特区について解説

ドローンに関する国の取り組み #4/4

国際ドローンシンポジウム
に開催

昨今ニュース等で取り上げられることも多いドローンですが、日本国内での技術的な検証はどのように行われているのでしょうか。2015年5月20日に開催された国際ドローンシンポジウムの中で、内閣府 地方創生推進室の担当者が、遠隔医療や遠隔教育なども含めた国家戦略特区・近未来技術実証特区の現状を報告。全国から新たなドローン特区に関するアイディアを募る呼びかけも行ないました。

近未来技術実証特区検討会とは

藤原豊氏:ご紹介いただきました、内閣府地方創生推進室の次長をしております、藤原でございます。先ほど冒頭、このセミナーでご挨拶をさせていただきましたが、その中でも相当触れさせていただきましたけれども、今内閣府でこれは平副大臣ですね、それから著名でいらっしゃいます小泉進次郎さん、二人が主導しております近未来技術実証特区の検討会というものがございます。

これは後ほどご説明しますけれども、安倍政権の成長戦略の一つの柱として推進してございます。

それから私、今も担当しておりますが、国家戦略特区の枠組みの中で、この近未来技術実証特区のことを推進していこうということで、今年の1月からはじめてございますけれども、国家戦略特区の創設とその運営の経緯も含めて、本日は解説をさせていただければと思っております。

まず、先ほど冒頭にも申し上げたんですが、今年の3月30日、第4回目の近未来技術実証特区検討会におきまして、今日もそこでデモンストレーションなどもやられているようでございますけれども、内閣府の講堂でデモンストレーションさせていただきまして、その時の映像をご覧になっていただきたいと思います。

(内閣府でのドローンのデモンストレーションの映像)

藤原:そんな形で3月にさせていただきました。そんな検討会をしております。

6つの国家戦略特区の現状

まず戦略特区のちょっと仕組みといいますか、状況だけ申し上げます。一昨年に法律を施行しまして、去年5月に、正式に指定させていただきました。

既にご存知の方多いかもしれませんけど、6か所。東京圏といわれる、東京都、神奈川県それから成田市、この広域圏ですか。それから関西圏、大阪府、兵庫県、京都府で医療を中心としたイノベーションを推進していただくということで、広域な指定をしています。

それからこういった県ベース、沖縄県というのもありますけれども、それ以外に3つの市を指定しています。新潟市、養父市、福岡市ということで、これは安倍総理が自らドリルになって岩盤規制を打破していくというおっしゃっていただいているんですが、この市で指定したところは、特にドリルの刃先のような役割です。

農業とか雇用とか、こういった特定の分野を中心に規制改革を地域限定でまずは行っていくという仕組みでございます。

今日ドローンの話に入る前に、ちょっとすいません一般論なんですが、こういった制度改正の取り組みというのをやらせていただいておりますが、具体的には国家戦略特区の仕組みといいますと、ちょっと字が小さくて大変申しわけございませんが、都市再生のプロジェクトでございますとか、それから医療系ですね。

例えば、わかりやすい例で言えば、病院のベッドは、これは病院ごとに割り当てられていて、上乗せをすることがなかなか難しいわけです。特区に指定されている地域でありましたら、病床、ベッドが上乗せできる仕組みであったりとか、そういったことで活用いただいています。

あるいは保険外併用療養とありますが、先進国で使われるような医薬品であれば、大きな病院であれば、日本でも迅速に認可ができて患者に投与ができる、そういった仕組みを作らしてもらってます。

国家戦略特区に関する法案について

6箇所で、昨年から地域ごとの会議をまわして、総理の下にする諮問会議を月1回程度開催をしておりまして、その諮問会議と区域会議という特区の会議を繰り返しやっております。

区域会議が昨年度だけで14回、50の事業、全部合わせて50でございますが、申し上げたように都市再生、医療、農業、雇用、その他いわゆる岩盤規制改革の事業が色々な意味でスタートしているということになります。

それに加えて、この国会、実は秋の臨時国会にも出させていただいたんですが、法案を出しております。

先ほどまでのメニューじゃ足りないという声も、ビジネス界あるいは自治体のほうからも要望を受けてございましたので、さらに制度のメニュー、要するに他の地域じゃできない事業を、こういった地域でやっていただくということで、メニューの追加をさせていただいております。

詳しくはご説明いたしませんが、臨時国会で出した法案のすでに盛り込まれていたものというもので、10数項目あるんですが、さらに5項目ほど追加を致しまして、この国会にも、今まさに本日も特別委員会で審議をいただいているということでございます。

近未来技術実証特区検討会の経緯

こういった大きな流れの中で、冒頭に申し上げましたが、平副大臣、小泉政務官主導で、ここに書いてあります「実証」という言葉がポイントだと思っておりますが、いわゆる近未来技術、これはドローンだけではなくて自動走行、遠隔医療、遠隔教育、その他ございますが、こういったものを、副大臣や政務官の言葉を借りれば、「ワクワク感」のある未来を見据えた技術分野。これを自由に実証できる、そういったフィールドを政府として提供する。そんな特区があってもいいのではないかと。

特に中山間地とか離島ということで例示をしてますけれども、あまり人もいない、安全性の面でそれほど心配がないような環境を作って、そういったところで思いっきり、様々なドローンを含め、用途の実験をしてもいいじゃないか。

こういった発想で、1月13日にこういった趣旨の検討会を決定いたしました。メンバー的には副大臣と政務官に加えて、ずらっとおりますのは、数年間で特区の制度設計、それから関連市区町村との協議をやっていただいている制度改正の専門家の方々です。

一番有名なのは座長各でいらっしゃいます、八田達夫先生という大阪大学の教授でいらっしゃいますが、その方を座長にして9人のメンバーでございますが、副大臣、政務官で検討会を設置して、検討会議を始めたということであります。

これが5回、だいたい月1回以上のペースで行っていただいて、先ほど4回目だけ紹介いたしましたが、まさに冒頭申し上げましたけれども、ドローンの世界で言えば第一人者でございます、千葉大学の教授の野波先生からのヒアリングをさせていただきましたし、ほかにヤマハ発動機さん、ALSOKさんなど、今日も展示などされていると思いますけども、1回目には「自動飛行」についてのヒアリング。

その他色々な分野につきましても、順次ヒアリングをさせていただきました。そして、さきほどのようにデモンストレーションをさせていただいて、検討を続けてございます。

近未来実証特区のプロジェクトを募集した結果

この検討会の中で、1月から2月にかけて、実はアイディア募集、様々な近未来技術のアイディアがある方にに、必要であれば自治体と組んで、ぜひ様々なご提案を頂戴したい、と。

私どももご提案の中身を見て、共通の課題点をきちんと探っていきたいということで、提案募集を1ヶ月間かけさせていただきました。

急なそういった募集にも関わらず、冒頭ご紹介も申し上げましたが、自治体の33、民間の111、144の主体から70件に及びます提案をいただいたということでございます。

見ていただきますと、様々な自治体がありますが、ドローンはその中でも一番多くて、ご提案数が33件、半分近く提案いただいたということでございます。

具体的な会社名、あるいは自治体の名前もございますので、ご参考にしていただければと思います。

そういった方々の提案の分析をいたしますと、やはりドローンのところは航空法、それから電波法というところが議論の対象になっている。やはりご要望があったのは、そういったところで政府としても何らかのサポートと期待しているというお話が、特に2つございます。

ただ、遠隔医療なんかのところで、医者はテレビ電話でいろんなことを話しながらアドバイスできるんですが、薬剤師さんがそれをアドバイスをしたり、特に薬を運ぼうとしたときには様々な規制があります。

例えば運ぼうとするときに、ドローンなんかあると思うんですが、さきほど小泉政務官が映像の中でそういった発言をしていたのも、規制を意識していたと思うんですけれども、そういった様々なドローンを使った用途の中で、用途ごとに様々な規制というものが存在するのではないかという話。このあたりも抽出していくというのが一つのテーマになってございます。

各省庁、前向きに検討している

さきほどのこの検討会とほとんどメンバーはだぶっておりますが、様々な役所とドローンについて、3月9日に検討を行ない、その後もまた議論させていただいていますが、いろいろな部署、あるいは省庁に対しまして、さきほどのワーキングメンバーで、色々な議論をさせていただいております。

決して対立の図式ではなくて、本当に必要であれば法改正という議論もあるのでしょうが、各省庁とも、比較的前向きに、この議論に加わっていただきました。

例えば現在の制度でもできるかぎり何らかの形で柔軟にやっていくことが可能だろうか。場所と時間を特定して、例えば総務省さんで言えば、混信がないようにしていただきながら特区を活用してやっていただくような事も、先ほどお話ございましたが、検討していただいている。

そういった比較的前向きなお答えをいただいておりますので、ぜひ成長戦略という、これは来月おそらくまとまるのでございますが、改定をするのでございますけれども、6月の成長戦略の改定に向けて、何らかの形といいますか、ドローンに関する一つの成果というのを各省庁さんのご了解を頂戴しながら作っていきたいなと思っているところです。

戦略特区を増やす動きも

もう一つは戦略特区の文脈で動きを紹介させていただきます。先ほど冒頭で申し上げたように、戦略特区は今、6箇所ですね。この6箇所を指定しているわけですが、この指定地域を増やしていこうという動きがございます。

これはメニューを増やす話と、それから箇所数を増やしていくという話があるんですね。それで箇所数を増やしていくときに、これは第一次指定の6箇所なんですが、法律に基づいて、ガイドライン、基本方針というものがございまして、自治体のやる気でありますとか、プロジェクトの先進性とか、当然地域のインフラや環境とか、こういったものがかなり厳選に凝縮されておりますが、最後は総理が判断するわけでございますけれども、昨年6箇所決めたんです。

この基準に加えて自治体の意欲、実行力をブレークダウンしまして、これまでの規制改革メニューを使うとか、思い切った規制改革を提案しているとかに加えて、近未来技術の実証を行うことを積極的に受け入れる、そういった自治体というのを一つの用件にいたしました。まさに今回の検討会を受けて、こういった自治体に、やはり特区になっていただいているということであります。

地方創生特区と国家戦略特区の違いがわからないという人がいるんですが、一言で言うと、規制改革により地方創生を実現するということなんですけども、戦略特区の二次指定以降はこの言葉を今使ってる、と。

去年の秋から私ども石破大臣の下におりますして、副大臣も政務官もそうなんですが、石破大臣は地方創生の担当でございまして、地方創生の担当が国家戦略特区の担当を兼ねているものですから、地方創生を強力に推進する一つの手段として、国家戦略特区を位置づけているということです。

今年に入ってから、国家戦略特区の二次指定を地方創生の特区と呼んでいるとご理解いただければと思います。

市内の6割が国有林の仙北市

いくつかの候補の地域があったのでございますけれども、その中にドローンをはじめとして、近未来技術の要素を皆さん入れ込んでおられました。見ていただきますと、様々な自治体が手を挙げていただいて、無人飛行や自動走行、様々なプロジェクトについて各地から手が挙がってまいりました。

そのあたりで、既に通ったのが、仙北市というところでございます。そもそも林野の街でございます。それも、地域の8割が林野なんですが、地域の6割が国有林なんですね。

国有林は、市としてはなかなか自由に活用することはできません。国有財産ですから。そうすると本当に市長が治めてらっしゃるのは実質的に市の4割しかないっていう、そういった珍しい市なんでございます。

その目の前に広がる広大な国有林をなんとか利用したいということで、その民間開放とか、そういったご提案がありました。様々な、生ハムの業者さんとか、そういったところでどんどん豚を放牧したいといったニーズなど、色々とあったわけでございますが、そのほかにも思い切った医療の提案とか、そういった非常に元気のいい市長さんのご提案だったわけでございます。

10キロ四方の土地があれば様々な実証ができる

実は、お手元に配布してありますけれども、19ページで、まさに野波先生がアメリカの特区の例なども伝えられまして、先ほどの電波法上の実験、それから航空法の関係も含めて、直線距離10キロ程度、10キロ四方のフィールドがあれば様々な実証が可能だということを専門の立場から、この検討会最初に仰っていただいたんです。

さらにメンバーの一人に坂村健さんという最近大きな賞をいただいた、TRONなんかを作られた坂村先生が新聞に投稿されたのですが、野波先生の話なんかも途中でされて、10キロ四方ということであれば、まさに国有林も活用できる。あるいは東京大学の北海道演習林などとおっしゃっていますが、こういった区域を活用して、日本もただちに試験区域、実証特区をつくるべきだという話が出ました。

ちょうど国有林の議論もやってたんです。仙北市と。ただ、民間開放の一環でまさに無人飛行、ドローンの話があり、ちょうど国有林は人がいませんので、安全性という意味でも非常に可能ではないかということで、このあたりの議論を、国有林に関する今回の規制改革の議論のところですが、国有林の貸付面積を広げていこうと。

今も貸し付けられるのですが、それが5ヘクタールまでなのを10ヘクタールにしようとか。あるいは、貸し出しの対象者が、その町の方にしか、これまでは貸し出せなかったのですが、隣町とか、日本全国色々な民間主体に貸すことができるようにする。

そういった国有林野の規制緩和を今回の法案に盛り込んでおります。それとあわせてドローンの議論をご紹介できないかということで、まさに仙北市を、先々月3月19日に指定をしていただいたということでございます。

諮問会議での安部首相の発言

他の2地域もあわせて、総理の諮問会議の中で、最後、私どもにとっては指示になりますが、ご挨拶をされたんですが、「秋田県仙北市は、市内の6割を占める国有林野を民間に解放し、放牧やドローンの実証を行うとともに、外国医師の診療所での診察を解禁するものであります」ということです。

こういったまさに近未来技術の要素を含めて、仙北市を地方創生戦略特区の二次指定というかたちでさせていただいたのが現在の状況であります。

まさに仙北市はこれから野波先生のお力もいろいろお借りしながらになると思いますが、実証に向けた様々な取り組みに入っていくことになると思います。

先ほどビデオの中で平副大臣もおっしゃっておられましたけれども、様々なベンチャー企業の方や、当展の参加者の方、あるいは有識者の方から問い合わせございまして、どんどん人が集まり、おそらくコンベンションであったり、修理、修繕といった裾野産業など、そういったところがどんどん広がっていくことが、私どもが特区を作っていく中で、期待をしたいというふうに思っているところでございます。

実は総理の発言の最後、もう1回年内できるだけ速やかに地方創生第二弾を実現したいというふうにお話をいただていています。その要素として、近未来都市の実証を含めてと総理からも言っていただいていますので、ドローンの特区というのは仙北市に限らず、他の地域もぜひまた選定していきたいと。

それから、今東京圏をはじめとしまして、様々な地域での、一次指定をした地域におきましても、ドローンの実証に非常に積極的な地域もございます。

アメリカは今ドローン実証地域は6箇所だと聞いておりますが、私どもも何箇所つくるか、そのあたりはこれからでございますが、関係省庁のお力を借りながら、仙北市のみならず、区域を広げていきたいというふうに考えているところでございます。

国家戦略特区の二次募集

その一環で、これは先月からでございますが、年2回こういった提案募集をさせていただいています。さきほどはの近未来技術に特区からアイディア募集だったのですが、これかなり公式なものになります。

法律に基づきまして、国家戦略特区法に基づいての提案募集です。小泉政権の時につくりました構造改革特区と一緒に、今回提案募集をやらせていただいておりますが、どなたでも、民間事業者、自治体、それから個人でもご提案をいただけます。

私ども事務局のほうも、これ6月5日まででございますけれども、この近未来のご提案ですね、ドローンの話も含めてご提案を頂戴できればと思います。特に自治体と一緒に組んでやっていただければ、まさにドローン特区、近未来技術特区の議論も年内にもう1回はじまりますので、その際に有力な候補として、私どももヒアリング等々させていただく、ということになっていくかと思いますので、ぜひ本日お集まりの中の関係者の方々の中で、大変ご関心のおありになる方はご応募いただきたいというふうに思っております。

ドローンに関する当面の取組方針

最後に、今日、さまざまなところでお話がございましたけれども、例の官邸の一件から、当面の取り組み方針というものを政府全体で連絡会議でまとめさせていただきました。

ホームページ等々でも公表されていると思いますけど、その中でも、もちろん安全性をきちんと担保して明確なルール作りが必要だというのはもちろんなんでございますけれども、こういったルール制度を通じて、我が国の成長戦略に資する形で小型機、小型無人機が健全に利活用される。これが重要だということを、私ども政府の中でもきちんと認識をしてございます。

その中で特に特区制度を活用した実証実験等健全な利活用に向けた取り組みというところ、特区制度を活用した新技術実証を速やかに行うための制度改革などを検討する、そしてそして健全な利活用の実現、ひいては成長戦略に資するということで、安全性という意味では、当然明確な規制、ルール作りは必要だと思いますけれども、それと一種の対比する形で、特区制度というのは、研究開発していただくような、そういったフィールドを私どもの制度としてもぜひ提供していきたいなと思いますので、引き続きご協力いただけるよう宜しくお願いします。私の説明は以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

【いま4記事目を読んでいます】 1.「外国の方が日本よりも厳しい」国交省が航空法におけるドローン規制の現状について講演 2.ドローンの経済規模はどのくらい? 経産省担当者が日米欧の現状を解説 3.ドローンの操縦に免許は必要? 総務省担当者が無線機器の電波利用について解説

制作協力:VoXT

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