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岡田陽介氏:はじめまして。株式会社ABEJAの岡田陽介と申します。本当に今日は運営委員の皆さまが頑張ってらっしゃって、ここでお話させていただくというのを大変光栄に思っております。

まず最初に、今回私が一番お伝えしたい言葉を1つ皆さまにお見せしたいと思っております。

“The best way to predict future is to invent it.” これはアラン・ケイ(Alan Curtis Kay)というコンピュータ研究者がある経営者に言った言葉なんですけど、これを日本語に訳しますと「未来を予測する最善の方法はそれを発明することだ」ということなんですね。

アラン・ケイという方が発明したものは何かと言いますと、パーソナルコンピュータ。今皆さんこちらにいる方はほぼ全員が使われていると思います。私はこのパーソナルコンピュータというものに小学校5年生の時に出会って、これは絶対に世界を変えるものだと確信をして、コンピュータサイエンスという分野を研究、そしてこの分野を使って起業しました。

小学校5年生の時からインターネットと呼ばれるものがこの世界に張り巡らされました。このインターネットを使ってどんなことができるんだろうということをずっと考えてきました。その中で、私がずっと勉強をしてきたものが2つあります。

1つはプログラミングです。コンピュータを動かす基礎的な言語になるものですね。それを私は小学校5年生から勉強をしてきました。そして、そのプログラムの上で動くもの、その上でデザインをする。そういうものを私はずっと勉強してきました。その勉強してきたものによって、いかに社会が変わるか。そういったところに私はファーカスし始めました。

そして、大学生の頃、1つのものに出会いました。それが研究です。コンピュータサイエンスという研究フィールドに対し、いろんな国際学会などに参加させていただき、その分野のいろんな知見をためることができました。そしてその分野をもっと活性化していきたいということで、ある商店街の活性化プロジェクトをWeb サイトを通じて行ってきました。

そんな中で、もっとこのコンピュータサイエンスという分野を使って社会に貢献していきたいと思い、私は大学3年生の時に友人たちと会社を立ち上げました。この時私がすごく考えていたのは、どの道が正しいのかということです。

このまま大学を卒業して、普通の企業に就職する。それも1つ正しい道だと思っています。ただし、私は自分が選択した道を全部正しいものだと思いたいと思っています。ですので、私が選択した道は、後からやはり正しかったんだと思えるぐらいに全力で努力をしていきたいと思いました。

そんなこともあって、私は大学時代にソーシャルメディア系の会社を立ち上げました。仲間たちと24時間に近いぐらい、勉強をして、開発をして、どんな企業にしていくかということを話し合いました。そして実際、ここ名古屋で登記して会社をはじめることもいたしました。

しかし結果は見事に失敗しました。なぜか。一番の原因は、コンピュータをずっと触っていましたので開発は全然可能でした。ただそれがいかにビジネスにつながるか、ということを大学生の当時の私は全く勉強することができなかった。だから私は失敗したのだと思いました。

その時、ある経営者の方に非常に助けていただきました。それが、私が最初に就職をした会社である株式会社リッチメディアの坂本孝蔵社長です。この時私はビジネスのことを全く知りませんでした。しかし、坂本社長のほうから「1回うちで修行をしていかないか」と誘っていただき、そこで開発からスタートし、デザイン、営業、マーケティング、そして最後は経営と呼ばれるようなマネジメントも勉強させていただきました。

入社6ヵ月が経った時にマネージャーをさせていただき、ある事業部で四半期3ヵ月で数億円の損益計算書を書き、それを実際に回してみる、というところも経験させていただきました。いろんなことを経験させていただく中で、私はある日シリコンバレーに訪れることにしました。これは完全に坂本社長のご好意で、一度シリコンバレーで見てこい、修行してこいという形で行かせていただきました。

その時に私は、Apple、Google、Facebook、スタンフォード・ユニバーシティと呼ばれる世界の中心、コンピュータサイエンスの分野の中心で仕事をされている方、勉強されている方と直接お会いして話をする機会をいただきました。その時に彼らと私、どこが違うんだろうということを真剣に悩みました。

しかし、この答えはある意味で単純に頭がいいであったり、単純にそもそもの育ちが違うというところではないと気が付きました。一番違ったところ、それはなにかと言うと、本気度というところです。それは何か。彼らはずっとこのようなサイクルの中で動いています。

あるコンピュータサイエンスの分野で研究をする。そしてその研究成果を開発、実際に作っていく。そしてそれをビジネスにつなげていく。それでビジネスの得られたものを、また研究に再投資していく。大学、企業、非常に連携の取れた形で進んでいる。このようなフィールドでずっと活躍をしていました。その中で彼らがずっと言っている言葉が”Change the World”でした。

俺らは世界を変えるんだ。絶対に自分たちは世界を変えてやるんだ。そういうことをずっと言っていました。

これは他ならぬ本気度だと私は考えました。俺らは本当に世界を変えてやる、自分は世界を変えたいとずっと思っていました。しかしそれが実際に行動できていなかった。私はすごいへこみました。

なので私は自分が世界を変えたいと思って新しく会社を立ち上げることにしました。この会社は本当に世界を見据えていきたいと思います。日本だけではなくて、世界に出ていける会社。日本から、世界を変えるようなイノベーションをつくる会社。それを私は日本で作りたいと考えました。

ではなぜ日本か? シリコンバレーでやればいいじゃないかと思うかもしれません。しかし日本には、独特の風土や情緒を呼ばれるような特殊なものがあると感じています。

これを見て美しいと思われると思います。これは本当に日本独特の文化観であったり、そういうものからこれは美しいと思われています。

実際にこのような紅葉を見て、これは本当にきれいだなと思った。それがいろんなビジネスにつながる。ということは、日本人にしかできないビジネス、日本人にしか作れないテクノロジーというものが存在しているのではないか。

逆に、日本人だけじゃない、もっともっといろんな人が集まることによってできるビジネスやテクノロジーがあるんじゃないか、と思って私は株式会社ABEJAを設立しました。

私は会社というのは企業理念が存在しないと全く意味がないと思っています。ですので、私はこの会社を立ち上げる時に企業理念を一番最初に定めました。その企業理念はなにか。「イノベーションで世界を変える」。私は絶対にこれをこの会社で成し遂げようと思っています。

はっきりと申しまして、世界を変えられないようなビジネスを我々の会社は絶対にしない。すごい利益は上がるけれども、このビジネスをしていては一向に世界は変わらない、そういうものは絶対にやらないんだという意思決定をする。そういった明確な意思決定基準を企業理念に設けています。

この理念から派生するものとして、2つのビジョンを定めています。1つは「全ての人に情報革命の恩恵を与える」。今皆さんは普通にコンピュータというものを触っていると思います。

しかし、80歳90歳のおじいちゃんおばあちゃん、もしくは0歳の赤ちゃんまでがコンピュータというものを使えているかと申しますと、それは絶対にノーだと思います。しかし、我々のテクノロジーを使うことによって、そういう方たちにも情報革命の恩恵を与えていきたい。そういう風に思っております。

そしてもう1つ「100年後のあたりまえを創造する」。これは何かと申しますと、今最先端のものというのはたくさんあると思っています。しかし私たちは100年後もうこれはあたりまえだ、この生活になくてはならない、と言われるものを、あたりまえを想像したいという風に考えています。

最初私が1人から始めたメンバーは約12人にまで成長し、外部の協力者も含めると30人ほどの組織になろうとしています。そして今もこのような形でメンバーが楽しく仕事をしている、私はこういうものを見ると幸せな気持ちになります。

いま我々がやっているテクノロジーはコンピュータビジョンと呼ばれるものです。これは何かというと、人の目であったり、脳を作るような研究です。最近機械学習、コンピュータビジョンというものがこの分野では非常に流行っています。

この分野はなぜ流行るのかと申しますと、今までコンピュータで無理と言われていた領域をこのテクノロジーを応用することで解決できるかもしれない。ということは我々としては、それをテクノロジーで解決するのではなく、ビジネスで解決していこうと思っています。

それで実際に今、我々の会社はヨーロッパ、フランスで最大の通信事業者である”orange”をやっているインキュベーションプログラムにも採択いただいていたり、世界で5本の指に入るようなソフトフェア企業であるSAPという会社ともコラボレーションをさせていただき、世界に向けて打って出ようとしています。

そして、いま我々はシリコンバレーで行われたようなリサーチ、デベロップメント、ビジネス、この3つのサイクルを使った形でビジネスを回しています。国内外の大学の先生方には非常に多く協力していただき、多くの研究成果を事業化、アドバイスをいただいております。

それを我々のほうで一般的にビジネスにできる形まで開発をさせていただき、それを多くの企業様、ユーザー様のところへ届ける。それが我々の一番の責任だと考えております。

この日本から我々はやろうとしています。この日本という小さな国から、世界に打って出る。そのテクノロジーベンチャーの初めての事例に我々はなりたいと思っています。

またこの図なんですけど。

はっきり言って、この道が正しい、もしくは間違っている、それは誰にもわかりません。神様にもわからないかもしれません。しかし私は自分が選択した道、自分が正しいと思えた道を後から振り返った時にこれはやはり正しかったんだと思えるように、いま全力で努力をしていきたいと思っています。

最初にご紹介した言葉、”The best way to predict future is to invent it.” 未来を予測する方法は、自分たちでそれを作っていくことなんです。ですので、みなさん、なにか自分がこうしたい、ああしたい、いろんな思いがあると思います。その思いを実際に自分たちで作っていく。そうすることによって、自分たちが考える明るい未来、世界を変えるような未来が開けるようになると思っています。

最後にもう一度この言葉です。”Change the World” 我々は、絶対に世界を変えてみせます。みなさんも、ぜひ何か世界を変えるアイディアを実践してください。そして、ここにいる全員で、もしくはユーストリームをご覧になっている皆さま方全員で、世界中の方々で世界を1歩でもより良いものに変えていく。世界を変えていければいいと思っております。ありがとうございました。