スタートアップに新卒で入るのってどうよ? NewsPicks佐々木編集長らがメリット・デメリットを語る

スタートアップで働くということ #2/4

IVS 2015 Spring Workshop
に開催

学生からのQ&Aに答える「IVS 2015 Spring Workshop」にスタートアップ企業の経営者ら4名―グリー・青柳氏、コロプラ・千葉氏、NewsPicks・佐々木紀彦氏、freee・佐々木大輔氏が登壇。新卒は大手とスタートアップどちらで働いたほうが良いのか。学生に向けて会社の選び方について語りました。(IVS 2015 Spring Workshop より)

六本木ヒルズから雑居ビルに

佐々木大輔氏(以下、佐々木大輔):千葉さんはどうですか?

千葉功太郎氏(以下、千葉)今の話聞いてすごく懐かしかったんですけど(笑)。僕結構大学の時から商売やりたい派だったので、この近くに友達と一緒にアパート……、違うな、友達の家の勝手に一部屋占拠してそこをオフィスにしてたので、そういうぐちゃっとした感覚は大好きなんです。そういう意味でスタートアップは大好き。

ただ大変でしたね。コロプラ実は大変で。僕その前はKLabという会社で7年位創業から取締役していて、六本木ヒルズに入って「六本木ヒルズの取締役様です!」みたいなちょっと意気がってた時代が30代くらいからあって、俺もちょっとイケてるかなと思ってた時代があった後遺症で仕事が全然できなくなっちゃったんです。実務が。

部下がやってくれるし、あんまり自分で書類作らなくなっちゃったし。こっから2年経ってコロプラだったんですけど、僕2年産休取ってて、子どもの面倒見てたんですけど、その時個人でいろいろ仕事している時に嫁さんに「企画書も作れないのか!」って怒られて(笑)。

そこで、すっごい勢いで嫁さんに実務を特訓してもらって、とにかく1時間に1個企画書を書くっていうのを徹夜してやったおかげで、コロプラスタートした時に手を動かして何でも実務をやるようになったっていうのが何気に成功の要因なんじゃないかなと思ってます。

ちょっと会社が大きくなるとなかなか手を動かす機会も減ってきちゃうと思うんですが、ベンチャーっておもしろいです。会社をつくった時も馬場がいて、デザイナーの女の子がいて、マンションの1室なんで何でもやんなくちゃいけないんですね。

馬場はプログラミングなんでサービスを作ってもらわなきゃいけない、デザイナーは絵を描かなきゃいけない。俺はもう、全部やんなきゃいけないってことで、アスクルから交通費の領収書の入力やトイレの掃除とか「とりあえず何でもやろう!」と思って、やってました。

ただマンションじゃどうにもなんないから「オフィス借りよう」と思って一生懸命、探すんですけど信用がないんですね、スタートアップって。前KLab社では六本木ヒルズに入居してたのに、なんで小さな築30年の雑居ビルが俺は借りれないんだって思いました。

何軒も回って、やっと最終的に上に大家さんが住んでる恵比寿の雑居ビルの片隅で、「千葉さんが個人保証してくれるなら、貸してやるよ」くらいの。なぜか僕が個人保証する形で入ったんです(笑)。

スタートアップの何が大変って社会的信用が全くないっていう所で一歩一歩信用を作っていかなければならないことが思った以上に大変でした。大きくなってしまうとわからなかったんですけれども、そういえば最初そうだったなともう1回コロプラの創業でよくわかりました。

スタートアップはオフィス借りるのも採用も、実務も大変で、意外とそれをやっているとスタートアップでやらなきゃいけない事業の時間も奪われてしまうので昼夜働くしかないなっていうのが、丁度6年前です。

立ち上げたばかりのスタートアップは信用がない

佐々木大輔:信用ついてきたなっていうタイミングはあるんですか?

千葉:オフィスが今まで6回変わってるんですけど、2回目まではスーツ着て大家さんの所へ行くんです。「我々コロプラと申しまして」って企画書出してこのような事業をやっているんですけどもって言うんですけど、3回目になってスーツ着なくても向こうから貸してくれるようになったんですね。

この時から「来たかも」って(笑)。やっとスーツきてプレゼンしなくても借りれる様になったって思った。そこが僕にとって1番嬉しかったですね(笑)。

佐々木大輔:(笑)。なるほど、信用が付いてくるとやったなって思う様になるんですね。

千葉:はい。なんにもないんです。スタートアップ(笑)。

佐々木大輔:佐々木紀彦さんは1番最近スタートアップに参加しましたよね。

佐々木紀彦氏(以下、佐々木紀彦):ちょっと聞きたいんですけど、このセッションって「スタートアップで働こう」っていうセッションなんですかね? 「スタートアップってこんなに素晴らしい」っていう。

一同:(笑)。

佐々木大輔:そうです(笑)。

(会場笑)

佐々木大輔:あんまり素晴らしそうじゃないですよね、今までの流れでは。

佐々木紀彦:どっちなのかなと思って(笑)。ちなみに今どきの学生さんってどれくらいスタートアップで新卒で入ろうという意思があるんですかね?

今4月に向けてNewsPicksで就活特集やってるんです、そのリサーチも兼ねて。「おもしろそうだったらスタートアップで働いてみたい」っていう方どれくらいいらっしゃいますか? (会場挙手)

佐々木大輔:半分くらいですか。じゃあ結構多いんですね……。じゃあ三菱商事に受かってもおもしろそうなスタートアップあったらそっち行くって人はどれくらいいますか?

(会場挙手)

佐々木紀彦:じゃ、結構皆さん積極的なんですね。

千葉:多いけどさっきより減った(笑)。

IT業界と出版業界は似ている

佐々木紀彦:(笑)。先ほどの話に戻りますと、私は衝撃なかったですね、千葉さんの様に1から立ち上げた方とは全然違って、後から入っていった人間なので。入った当初で100名程度、今では170名程社員がいます。そうすると組織の土台もほぼ出来上がっているので、極端な話、多くの出版社よりもしっかりシステムができてるなって逆の衝撃を受けた程です。

佐々木大輔:どういった所がしっかりできてるんですか?

佐々木紀彦:人事査定とか、どういうふうにフィードバックするかとか、逆に感心する事のほうが多くて。ですので、何が言いたいかというとスタートアップとか伝統的な企業の境目ってかなり緩くなってるんじゃないかなって。

そんなにスタートアップということを気張らずとも大企業とか外資系とか特に、シームレスになっているのかなっていう気がするんですよね。なので、スタートアップも恐れずに入って下さいっていう結論ですかね? それも違いますよね?

佐々木大輔:それって人事制度が東洋経済よりも合理的にできてるということですか?

佐々木紀彦:そうですね、メディア業界が特殊だと思うんですけど。先週ドワンゴの川上さんにインタビューした時におもしろい事をおっしゃっていて「出版・メディア業界とIT業界は似ている。どこが似ているかというと、まともな人間が行く場所ではなかった」って言うんです。

今は出版社でも待遇良くなって普通の人が行くようになったんですけど、昔とかだと良い意味での荒くれ者とかが行く場所だったんです。

ITもそういうおもしろい人が多いじゃないですか。だから結構良い意味でゆるいというか、結構自由なカルチャーがあるので。

どの業界から行くかによると思うんですけど、私の場合はそういう文化的なギャップとかいろんな面での衝撃とかって良い意味でなかったです。

佐々木大輔:大きな、歴史のある企業とかってその歴史の中であうんの呼吸が出来上がっていて、制度とかも合理的とは思われてないけど、あうんの呼吸で成り立ってる部分もあると思うんです。

一方スタートアップって短期間でチームを一気に作らないといけないから合理性みたいなのも付けていかないといけないのかな、と。そういったことって感じますか?

佐々木紀彦:なので今、新しいNewsPicksだと、編集者をどう評価するかを一から作ってるんですね。昭和にメディアが生まれてからあんまり変わって来なかったものを一から作らなきゃいけないんで、すごい悩むというか、大変なことがすごいありますね。

今まで所与としてきたことばっかりだった業界だったので……。そこはおもしろくもあり、刺激的でもあり。

スタートアップはフェーズによって人事制度を変える

青柳直樹氏(以下、青柳):スタートアップってフェーズによって人事制度をコロコロ変えるんです。例えば30人の組織だと創業者、CEO、COO、それぞれの部下が10人います、という場合と、30人が皆管理職で、300人の組織ですっていう場合だと、やるべき人事効果やプロセス、評価の仕方が異なってきます。

あと30人は会社が上場すれば、別にボーナスとかいらないです。という人たちかもしれないけど、そういう人たちだけで300人集めることはできない。10人の会社で新卒は新卒であっても新卒扱いされないので。結構会社は、10人、100人、300人、1000人となり、地域がわかれるとかで、人事制度を変えていきます。

事業の変化のスピードが速いので、事業に合わせて残るべき、バスに乗るべき人たちが変わってその人たちに適した人事制度を作らないといけないです。なので「事業に合わせてどうやって人事制度を作れるか?」的な所があると思います。

こっちはあうんの話との対比で「変わっていく人事制度」という所がスタートアップにはあるなと思いました。あと6年間見ていて、業界自体が学び合っていて、相当進んだなあと思って。特に人事って、元々営業だったサイバーエージェントの曽山さんが人事専任になられて、いろんな人事制度を入れていった。そしてそれが他の会社にも波及していったとか。

グリーみたいにアメリカ西海岸にオフィスを構えると、西海岸はGoogle、Facebookを代表として、結構先進的な制度とか、ちゃんとしたコーチングやメンタリング、One on Oneのやり方とか仕組みができていて、そのまま持ってきちゃう。

この9年位見ていると業界自体が、インターネットサービスとか動きが早い業界に合わせてようやく成熟してきたなって、そんな感じがします。

社員100人と毎回面談をした

千葉:人事制度ってすごい重要。一方で悩んで悩んでうちは100人まで人事制度入れなかったんです。

佐々木大輔:何もなしですか?

千葉:一応それっぽいものがペライチあるんですけど、事実上入れなかった。すごい悩んだんです。過去の失敗とかもあって。最初からガチガチだと運用で、スピード感を阻害してしまう。評価のマネージャーが頑張っちゃったりだとか。

折角スタートアップで事業に邁進するつもりが意外とブレーキになったりもしたので、いろんな反省を込めて入れませんでした。100人までは全員が社長と副社長と毎回面談をし、とにかく喋る。

で、100人超えた所で一本化しバージョン1を入れ、300人超えた所でバージョン2、で、今度500人超えたんでバージョン3を入れるみたいな。

リバイスして今どんどん進化してます。その会社に合ったものを作っていく。スタートアップって生き物の様に変えていかないと、あっという間に良くなくなってしまうので。

佐々木紀彦:それって100名までは社長、副社長が見れるレベルってことなんですか?

千葉:多分対話ができる。人事査定って受けられた側の納得感だと思うので、杓子定規の制度で「おまえはこうだ」って納得するかしないか、っていうのと、何にもないんだけどものすごい話して、普段見られていて、「おまえは良い・悪い」と言われる納得感の話。

結局グリップできるんであれば直接やったほうが納得感は得られるはずだと思ってます。なのでスピード感とか優先するなら100人までならできるんじゃないかなって思います。これ、採用面接するときも同じ話になると思います。「部長は何人まで面接することができるんだろう」って。

青柳:グリーも100人ちょっとまで全役員が集まって、全社員の評価をしてました。「あいつはこいつより頑張っている」とか激論して。

千葉:やりました、うちも(笑)。

青柳:それが100人超えて、200人くらいに近づいてきた時に、これは半年に1回全役員が1週間かけてやってると会社にとって不幸だとなって、仕組みを変えました。

千葉:同じ(笑)。300人まで頑張ったんです。全役員が集まって全社員の写真を一人ひとり出して激論した。でもきつくなってきて、さすがにわかんなくなってきました。でもそういう話ですよね。最初に合理的って話があったんですけど、必ずしも合理性が是でもないなってスタートアップで思いましたね。

徹底的に議論するからこそ、最初の100人、200人のスタートアップのコアメンバーは本当にボードメンバー全員がある意味、性格も何もしっかり把握できてる。

で、そのメンバーが全社のコアメンバーとして、古株として活躍していて、新しいメンバーが入っても把握できる距離っていうのができてきてると思います。だから必要なプロセスなんです。

新卒からスタートアップに入るのは良い事なのか

佐々木大輔:ま、そういう意味でいうとお互いを見て、見られてというのがしっかりできてのスタートアップというね。そこでちょっと話を移して、「スタートアップで働くこと」がテーマなんですけど、その良い所ってどんな所にあるでしょう? 佐々木紀彦さんいかがでしょうか。

佐々木紀彦:学生さんにとってですよね。これ1番興味があって皆さんに1番聞きたかったテーマなんですけど「本当にスタートアップにいきなり新卒で入るのは良い事なのか?」学生さんの立場に立った時に。

これ悩むんですよね。日本の大企業って異様に教育がしっかりしてるというか、型を叩き込むのってうまいじゃないですか。私も最近まで1番見込んでいたどうしても欲しいっていう学生の子が居たんですね。

この子は将来スーパージャーナリストになる、と。口説きに口説きまくって最後振られたんですけども。

けど彼の言ってる理屈もよくわかって……。結局電通に行っちゃうんですけど。最初に大企業に入って、同期のネットワークを作ったりってかけがえのないチケットじゃないですか、新卒っていうのは。

このチケットをスタートアップに使うべきか、これ「スタートアップで働くべき」って私言わなきゃいけないんでしょうけど、あえて(笑)。

これって究極の問題だなと思ってまして。すごく優秀な人なら大企業で2から3年で吸収できるもの吸い取って25、6、7でスタートアップで起業したりだとかできると思うんです。そうなるとやっぱり大企業に入ってワンステップ入れたほうが、この人の一生涯にとってバランスが良いんじゃないかなって彼と話してても思ったんです。

人によって違うと思うんですけど。私も結果論ですけど東洋経済とか古いメディアで10年間過ごした事ってすごい財産になってるなって思うんです。余裕がある分、一から先輩が教えてくれて、今やれてるなって思うんですね。

ですから蓄積したものを活かすうえでスタートアップ最高だな、と。いろんな裁量も持てるし、部門の垣根がないので。ある程度自信が持てたら最高の場所。で、今ほどスタートアップで働くのに良い時代はないなって思います。

ただ年齢とか経験によって答えが変わってくるので……。お二人のプロに聞きたい所です。一人ひとりにとって答えは変わってくると思うんですけど。

新卒入社で重要なのは同期と教育

千葉:今日のスタートアップの定義って、グリーさんとかコロプラは何なんですか? スタートアップの企業、それともまあまあな企業……(笑)?

佐々木大輔:どう思いますか? スタートアップで良いんじゃないでしょうか?

千葉:いいんですか?(青柳氏に向かって)

青柳:まあ、幅がありますよね。スタートアップに入れてもらえるんじゃないですか?

千葉:入れてもらえると嬉しいです。てっきりスタートアップの会社って10人位とか20人位の会社っていうイメージがあったりしますけど。うちもベンチャー、スタートアップであるというのであれば、そういう意味では新卒で入っても良いと思いますよ。

佐々木さん(佐々木大輔氏)がおっしゃってたように教育ってすごく大切で。教育と同期ですね。優秀な先輩がいるっていうのも重要なんですけど、教育って皆さんが思ってる以上に受け入れる会社の人がよくその人を見て教育するので。

皆さんがよく言う「研修プログラムがある」とかそういう話ではなくて、1年、2年、3年という中長期でその人をちゃんと育てるんだという気持ちがある所に入るんだという事ですごく意味がある。

2点目は優秀な同期が集まっています。うちもそうだし、他の会社もそうだと思うんですけど、新卒採用って狭き門なんですね。一定の何か強いポリシーを持って内定を出して来ていただいてる仲間たちなんで、集まった人たちっていうのは絶対気が合うんです。

よきライバルであり友になる。だから同期と教育っていうのは重要です。スタートアップの中でも大企業でも新卒にしっかり教育している所もあれば、本当にちっちゃいとこだと余裕がなくて教育できない、というバランスはあると思います。皆人それぞれだと思いますが、僕はその2点は重要だと思います。

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