「勘違い」が人を成長させる--世界一を目指した少年が語る、アイディアの生み出し方

Misunderstanding yields a seed of a big idea | Kensei Dohjima | TEDxTokyoyz #1/2

治療家の堂嶋賢征氏は17歳になるまで「みんな世界一になることを目指している」と勘違いをしていました。しかし、その勘違いが自分を成長させるきっかけとなったのです。空気を読むことが求められる日本ですが、勘違いを肯定する環境を作ることによってアイディアの種が育まれていくと彼は語りました。(TEDxTokyo yz より/この動画は2015年4月に公開されたものです)

スピーカー

みんなが日本一を目指していると思っていた

「世界一になりたい」当時14歳の僕はそう思いました。

「同級生が大学に入ってから始めることを今始めたら世界一になれるんじゃないか?」そう考えたんです。

僕はすぐに本屋に行き、今から読む本の中で一番おもしろかったもの。それで世界一を目指そうと決めました。

たくさんの本を読みました。心理学、政治、経済、デザイン……。

たくさんの本を読んだ中で1冊だけ「これだ!」 と直感的に僕の心に響いた本があったんです。それがこの本でした。

解剖学。なぜこれを選んだのか、僕も理由はわかりません。

でもその日を境に学校の授業中、僕は教科書の代わりに解剖学の本を読み、時間があればすぐ本屋に行って医学書を読みあさる。そんな毎日が続きました。

そして3年が経ち、僕は高校2年生になりました。同級生全員が卒業後の進路を考える。そんな大事な時期でした。僕はそのタイミングで人生を変える衝撃の事実に出会うんです。

それは友達とのなにげない会話の中でした。僕は友達にこう質問したんです。

「ねえ、将来は何になりたいの?」

すると友達はこう答えました。

「んー、特にない」

ないってどういうこと? 世界一目指してるんでしょ?

「え、目指してないよ」

嘘!?

「嘘じゃないよ」

そう言うんです。ほかの友達誰に聞いても同じ返事が返ってきたんです。僕、その瞬間まで同級生全員が世界一を目指していると勝手に勘違いしてたんです。

(会場笑)

ショックで(笑)。もう人生最大の衝撃だったんです。

でも僕その時気づいたんですよ。勘違いしていたことで僕は体の知識も、人のつながりも情報収集能力も、その全部が同級生より何歩も先に進んでいたんです。

ということは「もしかして世界一を目指したあの決意や志よりも、その過程で起きた勘違いのほうが重要だったんじゃないか?」そう考えました。

ではなぜ、僕は17歳まで1人で勘違いし続けることができたのか。考えたらそこに2つの理由が見えてきたんです。1つ目は勘違いを受け入れてくれる環境があったということ。

僕は母親にだけ唯一、自分の夢の話をしました。

「お母さん。僕、体の分野で世界一になるから」

皆さんの母親だったらそんな息子にどんな返事をするでしょう。僕の母親はこう言いました。

「わかった」

ただそれだけだったんです。僕の言葉を肯定することも否定することもなく、ありのままに受け入れたんです。そして僕が家でゴロゴロしていると母親は決まってこう言うんです。

「あんた本当にそんなんで世界一になれるの?」

それを聞くと僕は「あ!」っと気づいて体の勉強に戻るんですね。つまり僕の家庭では勘違いが勘違いでないものとして当たり前の存在してたんです。

これのおかげで僕は何の疑いもなく体の勉強を続けることができました。

何でもかんでもシェアする必要はない

そして2つ目の理由、情報をシェアしなかったんです。

僕、友達と夢の話を一切したことがなくて、勝手にみんな自分以上に頑張ってるんだと思い込んでました。

現代において「情報をシェアする」これとても素晴らしいことです。新しいアイディアが生まれて物事が発展していく。でも、かといって、何でもかんでもシェアをする必要はないと思います。

特に勘違いというのは、シェアをした時点で他人に指摘されて潰されてしまうんですね。僕、それすごくもったいないことだと思いました。

でも、もう少し深く考えたらちょっと違うところがあるのかもしれない、そう思ったんです。勘違いをシェアした時点で潰される。これ、実は環境によって左右されるものだったんです。

僕がまだ治療家の卵だった頃の話です。肩こりの治し方について考えてました。普通そういう時はみんな一生懸命、肩について考えるんです。どういう構造をしてて、どういう負担が掛かってて、どういう治療すればいいのか。

でも僕、当時そういう考え方知らなかったんです。どう考えたかというと「肩こりから一番遠い人って誰だろう」って考えました。

肩こらなさそうな人、皆さん思いつきますか? 肩こらなさそうな人。僕ね、思いついたんです。

たぶんマイケル・ジャクソン肩こってないよねって。

(会場笑)

で、僕それ友達に話したんですよ。

「マイケルジャクソンってきっとさ、肩こってないよね」

そしたら友達は「何言ってるの?」って言うんです。「でもそれおもしろいね」って言われたんですよ。

「おもしろいね」って言われたんで僕、調子に乗ってそこからアイディア発展させました。

他に誰がいるかな? イチローもたぶん肩こってない。メッシも肩こってないな。そうやって考えてたんです。

そしたら「もしかしてどの分野でも超一流と呼ばれる人は肩こらないんじゃないのか?

そういう仮説に辿りついたんです。そして僕はそれから医者、ピアニスト、政治家、書道家……。いろいろな分野の超一流と呼ばれる人の動きを研究しました。するとそこに1つの共通点が見えてきたんです。

そして僕はその共通点を再現する治療、それを取り入れました。

すると劇的な効果が出たんです。僕のオリジナルの治療が確立された瞬間でした。

勘違いはアイディアの種

なぜそこまでたどり着けたかというと、友達が途中で僕に「おもしろいね」と言ってくれたからなんです。あそこでもし否定されてたら、そこで思考をやめていたかもしれません。つまり、僕のこの経験から考えてました。

「勘違いを受け入れてくれる環境であれば、アイディアは加速するんじゃないか」

おもしろいと言ってくれた友人の一言や、世界一を受け入れてくれたあの母親の態度のおかげで、僕の勘違いは大きく飛躍したんです。もしその環境がなければ簡単です。

自分で作ればいいんです。情報をシェアする場所と相手を選ぶ。ただそれだけです。勘違いはネガティブなイメージに使われがちです。

特に日本人は「人と同じことしなきゃいけない」「空気を読まなきゃいけない」そういう意識が強いですよね。でもよく見てください。

今、2月ですよ。僕、半袖ですよ。でもTEDでしゃべれるんですよ(笑)。

(会場笑)

勘違いは間違いなんでしょうか。僕違うと思います。勘違いはアイディアの種なんです。

皆さん、自分の勘違いに気づいたらそのまま突っ走ってみてください。

そして自分だけじゃない、他人の勘違いもアイディアの種になるんです。そして種は環境によってどう育つかが決まります。勘違いを肯定しあえる環境、それを作っていきませんか。僕らの世代から。

以上です。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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1 「勘違い」が人を成長させる--世界一を目指した少年が語る、アイディアの生み出し方
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