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新進気鋭の起業家が創業ストーリーとこれからを語る(全5記事)

「使えないくらいのお金、生きる目的を失った」 Google出身の起業家が語る、お金ではない仕事のやりがい

起業を目指す学生が多く参加するIVSワークショップ。「メンターはいたのか」「株の持ち分はどれぐらいか」「どういった技術者を採用すべきか」といった学生からの質問に、ウォンテッドリー・仲暁子氏、WHILL・杉江理氏、freee・佐々木氏が回答しました。(IVS 2014 Winter Workshop より)

スタートアップの99%はなくなる

田中章雄氏(以下、田中):もう後半戦に入るので……。今日、起業する時の話なので、ぜひ今起業を考えているオーディエンスの中の皆さんにも参加してもらいたいなと思うんですけど。今実際にこれから起業したいと思ってる人どれぐらいいますか? 手を挙げて下さい。

おお、結構いますね。手を挙げた人、下げないでそのままにして下さい。ちょっと聞かせて下さい。(参加者の1人に)何やろうとしてるんですか? 自己紹介から始めて教えて下さい。

質問者:立命館大学の4回生の○○と言います。

田中:(杉江氏に向かって)後輩がいますよ、ここに。

質問者:ボクシングはやってません。

(会場笑)

田中:ちょっとトーンダウンしましたね(笑)。

質問者:すいません。僕がやろうと思っているのは、iOSのアプリを今作っていて、それをもとにやりたいって思ってるんですけど。これって悩みとかも言ったほうがいいんですか?

田中:なかったら別に作らなくてもいいんですよ。

質問者:一応あるんですけど。今4人でやっていて、僕が4回生で他の子が2回生なので、その子たちをどういう風に説得するかっていうのがすごい難儀になっていて。

諦めて他の人とやるかとも思うんですけど、やっぱりアイデアとかを考えてきたのがそのチームの人だったりするので。いろいろ現実を見ながらやらなきゃいけないなと思っているんですけど。

それで考えているのが、CFOはいらないだろうとおっしゃていたんですけど、でも知っとけよみたいな。やるんだったら知っとかなきゃヤバいよ、みたいなことがあったら教えていただけるとありがたいです。

田中:誰に聞きたいですか?

質問者:いらないっておっしゃってたので……。

田中:じゃあ仲さんに。指名です(笑)。

仲暁子氏(以下、仲):今振り返っていらなかった理由っていうのは、スタートアップって99%ぐらい死ぬんですよ。当時2011年ぐらいにできたサービスなんですけど、周り見渡すともう全員死んでる。どこにいるかわからないか、どこかに吸収合併されたみたいな感じで、もういないんですよね。

なので、最初の1次ラウンド2次ラウンドみたいな。(杉江氏に向かって)ボクシングに例えると何なんですかね? ファーストラウンド、セカンドラウンドみたいなのがあるんですかね?

杉江理氏(以下、杉江):……やめてもらっていいですか、そういうの。そういう……。

(会場笑)

初期の段階で最も重要なのはプロダクト

:まああるんですけど(笑)。1次戦も勝ち残れないみたいな。1次戦に勝ち残るのはお金とか関係なくて、プロダクト、プロダクト、プロダクトみたいな感じなので、プロダクトに尽きるんですよ。それは作る力だけが重要なので、お金とか事業計画とか意味なくて。

だからそこだけにフォーカスして。そこを生き残ったやつがファイナンシングに成功すると、それだけでたぶん3分の1ぐらいの生き残り率になれる、みたいな。っていうので、初期の段階でCFOとか別にもう本当いらないです(笑)。

田中:まずいいものを作れって話ですね。佐々木さんどうですか?

佐々木大輔氏(以下、佐々木):freee使って下さい。以上(笑)。

(会場笑)

田中:CFOいらないと(笑)。

佐々木:うちは70人ですけどCFOもいないし、いわゆる管理系の人、経理の人とか人事の人、1人もいないです。それだけ全員で開発するとか。

田中:ベンチャーにはそういう無駄なものいらないわけですね。クラウドで解決と(笑)。ありがとうございます。じゃあさっき他に起業していて質問も聞きたい……。(参加者の1人に)はい、じゃあ自己紹介から含めてお願いします。

質問者:京都大学薬学部4回生の○○と申します。よろしくお願いします。1月とかに登記を考えていまして、今ヘルスケアでアプリを作ろうと思っています。悩みなんですが、メンバー2人で作っていまして、今度投資家の方に壁打ちとかをしに行こうと思ってるんですけど。まあプロトタイプは作らなきゃいけないと。

って言った時に、僕もある程度作れるんですけど、完全にエンジニアではないので、どうやってCTOを取りに行こうかというのはすごく迷っているところで。どういった人物を技術屋として採るのが一番良いのかなというのをお聞きしたいです。

田中:誰に聞きたいですか?

質問者:皆さんにお聞きしたいです。

田中:じゃあ杉江さん、まず。質問の意味はわかります?

一緒にのめり込める人を探したほうがいい

杉江:まあなんとなくわかったんですけど。簡単に言うとCTO探してるってことですよね。じゃあここ(会場)でエンジニアやってる人?

田中:エンジニア系の人いたら手を挙げて下さい。

杉江:チャンス!

(2人が手を挙げる)

田中:あの2人口説きに行って下さい。

杉江:これは私のプレゼントです。

(会場笑い、拍手)

田中:佐々木さん何か他にアドバイスありますか?

佐々木:何だろうな……。何かすごいのめり込める人がいいんじゃないですかね?

田中:なんかCTOって構える必要は、僕はないと思うんですよ。プロダクトを作って、もっとプロダクトに近いような人でもいいような気がしてるんですけどね。だって2人でアプリ作っててCTOはいらないでしょ。

佐々木:最初は技術力あんまりいらないかもしれないですよ。とにかく形になって動いて、すごいものができたらそこでもっと技術のすごい人が来ればいい、っていう考え方もあるので。「これ作りたい!」っていう力があれば、英語で検索すればコードなんてすぐ書けるようになるので。全部コピペして作れるので、大抵。

(会場笑)

佐々木:だからもしかするとあんまり技術っていうよりかは、一緒にのめり込める人っていうのを探すといいと思います。

メンターはいなかった

田中:ありがとうございます。じゃあちょっとこっちの……あ、手を挙げるスピードが早かったので。選びます。

質問者:同志社大学4年の○○と言います。よろしくお願いします。今ここのIVSにも来てるんですけど、その子含めて3人で動画系の就活Web サービスを作っているんですが。

田中:お、就活Webサービス。

質問者:はい。

田中:(仲氏に向かって)なんかライバル出現しましたね。打倒Wantedlyみたいなイメージですか?

質問者:そうですね。競合かなと(笑)。

(会場笑)

質問者:失礼しました。そこでちょっとお聞きしたいのが、3人でやっていく中で3人では話してるんですけど、どうしてもメンターというか、形になったら壁打ちをしていただくということで考えているので、メンターがいなくて困っているというのがあるので。

お三方に質問したいんですけど、サービスを作り始めた当初の段階で、そういったメンターの方とどういうような繋がりがあったのかなと。どういう風にゲットしたのかなというようなことをお聞きしたいなと思います。

田中:じゃあまずライバルの仲さんに聞きましょうかね。仲さんたちがやってた最初の頃ってメンターいたんですか?

:プロダクト作ってる段階でってことですかね? プロダクト作ってる段階ではいなかったですね。やっぱり組織作りとかの段階でメンターみたいなのは結構重要になってくるのかなと思うんですけど。

プロダクト作りの時は、結構自分たちの直感を信じてやってたのかなっていう気がします。もしダメでもうちに3人とも一緒に来てくれれば大丈夫なので待ってます(笑)。

(会場笑)

質問者:ありがとうございます。

田中:佐々木さんとかメンターいました? プロダクト作ってる時に。

佐々木:僕はいなかったですね。たまにユーザーになってくれそうな人に見せる、みたいなのはやったんですけど。でもそれもあんまり新しすぎてピンとこなかったみたいで。

すごいネガティブなフィードバックばかりで。実際もうこれ以上聞くと心折れそうになるからもうユーザーに聞くのやめた、みたいな感じで(笑)。我が道を行きました。

田中:ちょっと仲さんに似てますね。自分たちの直感を信じてという感じですか?

佐々木:まあ直感というよりは、実際に「これで時間が短縮できる」とか、そういう事実はあったので、そこを信じて突き進むという感じで。

田中:杉江さんはメンターとかいたんですか?

杉江:もちろんいないですよね、これね。

(会場笑)

杉江:メンターとかマジいないですね。考えもつかなかったですね。

田中:メンターって言葉たぶん頭の中になかったですよね。

杉江:ないですないです。メンターってもう、ないですないです。ないです。

(会場笑)

質問者:ありがとうございます。

田中:まず直感で作ってみて、本当に大きくなったらメンター探すか、あるいはダメだったらもう仲さんとこ行ってみんな雇ってもらうっていうのがいいかなと思います(笑)。

:3人まとめて。

田中:3人まとめてハイヤリングして(笑)。じゃあこちらのほうで。はい。自己紹介から。

日本の会社はファウンダーの持ち株比率が高い

質問者:同志社大学の○○と申します。僕はそもそもWebサービスとかやれば結構レバレッジが効いて、いつか稼げるかなと思ってひたすらコード書いてたんですけど。

ある日突然「やっぱりこれなかなか時間かかるしいいわ」と思って。お金持ってカンボジアとか行って、それで消費者金融みたいなのをやろうと思ったんですよ。

皆さんって結構日本なら有名なベンチャーじゃないですか。実際のところ、ファイナンスとか見てるんですけど、どれぐらい自分の株って持ってはるんですか?

(会場笑)

田中:株の持ち分を聞きたい?

質問者:どれぐらいの期間があって、どれぐらいのファイナンスを受けたら、どれぐらいみんな株を持てているのかなと思って。それの速度によって、やっぱりITに進んでもいいかなと思ったので。その実際のところを聞いてみたいなと思って今日ここに来ました。

(会場笑)

田中:ちょっと、でもおかしい(笑)。株の持ち分で進むかどうか選ぶんですか、君は?(笑)

質問者:持ち分で、どれぐらい出資を受けてるとかを見て、大体これぐらいいけるのかなみたいなのをちょっと1回確認したいなと思って。聞いてみようと思って。1回仲さんの話を昔聞いたことがあって。

「結局お金がなきゃ食っていけない」みたいな話を正直言ってはって。ということはそういう正直な話もしてくれるのかなと思って1回聞いてみようと思いました。

田中:はい。じゃあオフレコモードでちょっと聞いてみたいと。じゃあ仲さん。そんなこと言ったんですか?

:(笑)。そうですね。まあ理想だけじゃ食っていけないみたいなのは結構言ってますね、常に。あとマーク・ザッカーバーグとかはたぶん15%とか。

わからないですけど、時価総額が半端ないので。だからまあ、どれぐらい時価総額が大きくなるかと自分の持ち分の掛け算なので。そのへんも単純に持ち分多くても超しょぼい会社じゃあ意味ない、みたいなのはあると思うので。そういう感じでトータルに考えたらいいと思います(笑)。

質問者:僕が聞いた1つの意図が、どれぐらいファイナンスを受けているかというのはネットで見れるじゃないですか。それで持ち分を聞いたら、どれぐらいで評価されて受けてるのかわかるなと思って、計算しようと思って聞いて。わかりました。ありがとうございます。

田中:ちなみに、これすごく日本とアメリカで差があって。日本の会社はファウンダーの持ち分がめちゃくちゃ高いです。でもその分バリュエーションもアメリカと比べるとめちゃくちゃ低いです。

アメリカのほうは結構バリュエーションもすごい高い会社も多いんですけど、その分ファウンダーの持ち分は本当に20%切ってるとかそういう会社のほうが大きいですね。

なので、さっき仲さんが言ったと思うんですけど、最終的にバリュエーションとの掛け算なので。例えば、しょぼい会社だったら100%オーナーになることができるわけなんですよ。

でもそれってほとんど価値のない会社じゃないですか。だから、その持ち分だけで判断するっていう思考自体が間違ってるんじゃないかなと僕は思うんですけど、佐々木さんいかがでしょうか(笑)。

Google時代に何のために生きているのかわからなくなった

佐々木:まあ食うために金が必要って言うと、僕Google辞めて起業したんですけど、Googleにいたほうが絶対いいですよね。本当給料めちゃめちゃ良い会社だし、6時に帰れるので、いろんなこともできると。

でもやっぱりそれを辞めて起業したいなって思うのは、お金がどうこうっていうことよりかは「こういう問題を解決したい」みたいなのに、たまたま出会って。僕Googleにいた時にですね、精神的に弱くなるっていうかおかしくなる場面っていうのがあって。

っていうのは、もうすごいお金、はっきり言って使えないぐらい貰えるんですよ。それで、毎日そうするとどうするかというと、飲み歩くんですね。

(会場笑)

佐々木:ひたすら、西麻布とかって東京の繁華街で飲んでお金使うと、なんか「俺何のために生きてるんだろう」みたいなのがよくわからなくなってくるんですよ。

田中:西麻布にはそんなGoogle社員があふれてるんですか(笑)。

(会場笑)

佐々木:しかも、独身。もう本当、特に生きる目的っていうのがないわけですね。そんな風にして生きていると、なんかこう、やっぱり自分は社会貢献しなきゃいけないと。

なんでこうやって、よくわからずあんま頭も使わず生きてて、そのままお金を使うことによって世の中に貢献するぐらいしかできていない。

そうじゃなくて、今例えばGoogleにいるということによって、一方で学んだこともすごいいっぱいあったんですね。シリコンバレーの新しいカルチャーだとか働き方だとか。優秀なエリートたちと一緒に仕事をすることで勉強になることがいっぱいあって。

これをもっと日本に拡散させるみたいなことって、やったらすごいインパクトあるんじゃないかな、ということで。

例えばさっきのオフィスの写真ってあったんですけど。うちのオフィスってGoogleのオフィスみたいなものをすごい安いお金で作ろうとするとこんな感じになるみたいな(笑)。工夫を凝らしたオフィスとかをやってるんですけれども。

やっぱりそういう風に何かこういうものを実現したいとか、こういう問題を解決したいとか、そういうのがないと人間って、最初はいいんだけど、楽しいんだけど、ある時ふと「ん? これで意味あったっけ?」っていう瞬間っていうのが出てくるんじゃないかと思います。

田中:ありがとうございます。

【いま4記事目を読んでいます】1.Wantedly・仲氏「節約しすぎてブレーカーが何度も落ちた」 創業初期のエピソードを振り返る2.「キムタクのドラマで美容師ブームがきて…」freee・佐々木氏が語った、進路変更の意外な理由3.「もうやめろ」と言われて本気になった–WHILL杉江氏が語る、ものづくりから起業家への転換点5.仕事は勉強やスポーツよりも成果が出やすい freee・佐々木氏が学生に語った新人時代のエピソードとは

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