自分の力で食べていけるような生き方がしたかった

田中章雄氏(以下、田中):朝倉さん、20歳の頃の夢ってなんですか?

朝倉佑介(以下、朝倉):20歳の頃、僕はそういう意味でいうと、82年生まれだから、2002年頃ですね。大学に入るか、入らないかぐらいの、馬をやっていたので、2年遅れです。

競馬の騎手を目指していた頃っていうのは、すごくわかり易いんですよ。なりたいものが明確で、それに向かって、突き進んでいくぞとやっていたんだけれども、なれなくなった訳です。

自分ではどうしようもコントロールできない原因で。これからどうしようかなと考える時期があって、とりあえず、大学行こうと。大学へ行くんだったら東大に行こうということでガーって勉強する。

これもまたわかりやすい目標なのでいいんですよ。何も考えずに頑張ればいいから。ただ終わった瞬間、やっぱり俺はこれから何を目指せばいいのかなということで、非常に悩みました。

田中:東大入った後の朝倉さんって当時何か目標とか夢とかあったんですか。

朝倉:ないです。ないんですけど、自分の技量で食っていきたかった。僕がもともと競馬の騎手になりたかった理由というのは、競馬の騎手って問答無用で格好いいと思うんですけれども(笑)。

格好いいでしょう武豊さんとか。最高じゃないですか。けどそれ以上に、あの世界であれば、自分の技量があればどこでも食っていけると思っていました。

日本でもオーストラリアでもアメリカでもイギリスでもフランスでもドバイでもシンガポールでも香港でも競馬ってあるし、自分の力量があれば、どこでも食べていける。

そういう生き方に強く憧れていて、競馬の騎手になることはできなくなったけれども、何か自分の力で食っていけるような生き方がしたいと思っていました。具体的にそれが何かわかんないんですけど、わかんないからもう、しらみ潰しに体験の幅を広げていくしかないんですよ。

例えば士業みたいに資格を持ったらハッピーになれるのかなとか、政治家ってどうなんだろうかなとか、興味が向いたところでひたすらおもしろいことを探し回っていました。

そんな過程で経営や起業というものに興味を持ったんですね。皆さんの中には新しいテクノロジーで世界を変えたいといった思いでスタートアップを始めよう、もしくは始めていらっしゃる方が多いんじゃないかと思います。

僕の場合はもう少し違って、個人商店でも何でもいいんだけれども、何かとにかくindependentでありたいという気持ちが強かったんです。だからSteve Jobs的な感じじゃあないんですよ。

結局、大学を卒業したあとは就職してサラリーマンになるんですけれども、不思議なもので、気づいたらミクシィの経営に携わっていました。

自分が学生時代に使っていたサービスを運営する会社の経営を担うなんて当時は全く思っていなかったですし、とにかく何となく志向していたところに戻ってきたっていうのがあって、不思議な符合みたいなものを感じます。

田中:マッキンゼーに入った頃とか、自分は将来ネット企業の企業家になるとかその中に入るっていう気持ちはすでにはあったんですか?

朝倉:何か経営に携わる仕事がしたいとは思っていました。ただネットというのは全く思っていませんでした。ネットは好きなんですけれども、ベンチャーっていうとやっぱりITであったりネット系じゃないですか。

僕、あまのじゃくなのでそれだけは嫌だなと思っていて、なるべくITじゃないところでやりたかったんですけども、気づいたらネットだったということです。

20歳の頃は夢がなかった

田中:ありがとうございます。熊谷さん20歳の頃ってどういう夢持ってましたか?

熊谷正寿氏(以下、熊谷): 20歳になる時に僕は実は夢がなかったんです。だだ、夢がなかったんですけれども17歳で高校中退しまして父の会社に入って、父の会社神楽坂という東京の飯田橋の駅前ですね、いろんなビジネスをやっていまして。

映画館とかパチンコ店とか、貸しビル業とか喫茶店とかレストランとかですね、そこでいろんな仕事をさせてもらっていたんです。それで20歳で…。

田中:それは、インターネットに出会う前の熊谷さん。

熊谷:もちろん。20歳で結婚して21歳で子供ができまして、ちょうどこの頃の僕っていうのは父親もやっていた、社会人もやっていた、あと夫もやっていた。あとは高校を中退して勉強してない自分に危機感を覚えたので、放送大学っていう今新聞に載ってると思うんですけれども、あそこの学校の1号学生だったんですね。

1期生の1号学生で、高校卒業の資格がなくても一定期間単位を取ると特修生ということで正規学生に認めてくれるという神様が僕のために与えてくれた大学だということで、放送大学の学生もやっていまして。

何しろ忙しい20歳過ぎの若者でしたね。気づいたら家族には笑顔はない、お金がないから、カミさんは子供を預けてアルバイトに行く、子供は朝ワンワン泣いているそんな姿を見て自分が何かこう、幸せじゃないんじゃないかと。

自分で選んだ人生なんだけれども、これは何か僕の無意識ながらに想像している幸せな自分と違うということに気づいて、その時に手帳に今苦しいけれども将来こうしてやるって書いたら胸がスーッとして、そのきっかけで自分の人生で一生涯やりたいことを全て手帳に書き出すという習慣が身についたんですね。

いいなと思うことを全て手帳に書きだして、将来やってやろうというところから僕の人生スタートしまして、20歳の頃は本当にお金もない時間もないという生活から、2~3年間で自分の夢をはっきりさせたっていうのが今に繋がっているんですね。皆さんにぜひおすすめしたい習慣です。

参加者の学生が持つ明確な夢とは

田中:ありがとうございます。ちょっとここで、オーディエンスの皆さんにちょっと問いを投げてみたいんですけど、今ここに集まっている皆さんの中で、今自分はもう何か明確に夢を持っているっていう人いたら挙手いただけますか。

おお! 結構いますね! じゃあ、ちょっとそのまま手挙げててください、マイクが参ります。自己紹介とどんな夢もってるか、聞かせてください。

質問者:○○と申します。国における、機会に恵まれないというか、能力があるにもかかわらず自分の能力を発揮できない環境の人たちが自由に働ける環境を作っていきたいなというのが僕の夢です。

田中:それ、日本のこと言ってます?

質問者:違います、ベトナムであったりとか……。

田中:冗談で言ってみました。

質問者:ああ、なるほど。すいません、ちょっと緊張しました。

田中:ありがとうございます。お隣の方もどうぞ、どんな夢持ってます?

質問者:○○と申します。僕は自然環境というか、どっちかっていうと農業と林業にすごい興味持ってるんですけど。

今は自然との共生とか、自然の中で生きている人っていうのは、結局、経済的に豊かではなくてすごく苦しんでいるっていう中で、やっぱこれから、どっちかっていうと人間ってどう向き合っていくかっていう問題に当たっていくと思うんで。

もっとそこを経済的にどう、経済的にも豊かになりつつ、人間的にも自然と関わるっていうのを実現させていきたいなと思ってます。

田中:2人は一緒に起業するんですか?

質問者:します?

田中:したほうがいいんじゃない!?

質問者:しましょうか?

田中:同じような夢? 1人で起業するよりも仲間がいたほうが強いっていう話を、昨日ちょっと別のセッションでやってまして。よく後で話し合ってください。こちらのほうで夢がある方、何人かちょっと、自己紹介を含めて…。

たくさんの人が笑顔になる未来を作ってほしい

質問者:同志社大学4年の○○と申します。今、内定先のサイバーエージェントで働いていてメディアをやっているんですけれども。その関係もあってまず短期的には、アップストアで一番になるようなサービスを作りたいなというのが夢で。

中長期的にはそんなにまだきれいごとを言えるような段階じゃなくて、自分がわりと貧しいので、一旦本当に稼げるようになって、そこから自分が社会をどうしたいかみたいなところに向き合っていって。

死ぬ時にはこれを成し遂げたなみたいなものを、あいつがいてくれてよかったなみたいなものを残して死にたいというのが僕の夢です。

田中:今、ちょっと3人の話をここまで聞いてて、一番共感、自分にとって近い共感を持てたのは誰の話ですかね?

質問者:熊谷さんが、やっぱりお金もない、時間もないみたいなのが僕もまさにそうなので、反骨心がめちゃくちゃ強くて、1回本当に成り上がってやろうっていう気持ちが強いです。

田中:もし、熊谷さんにこの場で聞きたいことあったら、ぜひ聞いてみてください、いかがですか?

質問者:今ですか?

田中:今。

質問者:って言われると、ちょっと頭が真っ白になってしまってるんですけれども、僕たちの世代に対して、僕個人というより、この場にいるような僕たちの世代にはどういうふうな未来を作っていってほしいかみたいなことをお伺いしたいです。

田中:熊谷さん、指名質問なので。

熊谷:○○さんのご質問に回答させていただきます。どういう未来かっていうと、やっぱし人は幸せになるために生まれてきているわけで、不幸になるために生まれてきている人は1人もいなくて。

じゃあ、幸せっていろんな人がいろんなことを考えるんだけど、共通のバロメーターは笑顔なわけだから、だからみんなにお願いしたいのは、たくさんの方が笑顔になる未来を作っていただきたい。

仕事を通じて、多くの方が笑顔になるような仕事の展開をしていただきたいなというふうに思います。以上で○○さんのご質問の回答になっていますか?

質問者:ありがとうございます。

熊谷:はい、ありがとうございます。

自分探しよりも自分作り

田中:ありがとうございます。逆に、今、皆さん多分夢がなかったほうの人たちが多いと思うんだけど、どっちかっていうと自分は千葉さんに今近い感じじゃないのかな。

まだ大学生で楽しんでいて、どっちかっていうとモテたいとかそっちのほうに気持ちが向いていて、まだ明確な夢がないみたいな、そういう学生の皆さん、どれぐらいいらっしゃいますか? 多分、さっき手挙げてなかった人全員かと思うんですが……。

ちょっとランダムにピックアップして、後ろのほうに行きましょう。今そういう夢がまだ明確じゃない中で、今どんな心境でここに来ていて、こっから今何を学びたいと思っているのか、ぜひ自己紹介から含めて聞かせてください。

質問者:はじめまして。大阪大学4年生の○○と申します。今、私も夢がないというか、夢を探している状態なんですけども。

私、6年間大学行ってるんですけど、5年半の間はもっとよくなりたいだとか、もっといい人に、いい男になりたいというふうな思いをもって、どうやったら成長できるかというふうに自分を追い込んできたところあります。

例えば、ベトナムでのプロジェクトをしたりだとか、そういった中でマネジメント・スキルを学んだりだとか、そういうことはしてきたんですけども、そういった中で、本当に自分のやりたいことが何のかというところで今立ちどまっているところです。

例えば、夢だとか目標を持った時に、例えば、ベトナムにスタディー・ツアーをして後輩を連れていきますっていうふうにやってるんですけど、それがあまり僕をエンパワーメントと言いますか、エネルギーを与えてくれなくなってきている状態で。

どうやったら本当に僕自身がエネルギーを感じられる夢と言いますか、夢を見つけられるのかっていうのを探しに来ました。そのところについてご意見を伺わせていただきたいなと思います。

田中:どうですか? 朝倉さん、こんな時、朝倉さんだったらどうします?

朝倉:はい。あくまで僕の考えですけれども……おかけくださいね。よく自分探しって言うじゃないですか? 探して見つかる自分って、多分いないと思うんですよ。

本当にあるんだったら、自分の内側から「これはどうしてもやりたいんだ」ってにじみ出るものがきっとあるはず。探して見つかる自分っていないと思ってるんですね、僕は。

自分探しよりも自分作りなのかなと思っていて、いろんなことを経験しながら、だんだんなりたい自分を作っていく。そういうプロセスが大事なのかなと思っています。

これだと思うものに出会ったら、ガッと飛びつく

田中:探して見つけるもんじゃなくて作るものということですか?

朝倉:そうですね。どこかでその出会いを待つ。何でもいいんですよ、バイトするのでもいいのかもしれないし。

インターンするとか、スタディー・ツアーするのでも何でもいいんですけど、とにかく行動の幅を広げてみて、何かそこでピーンと自分に引っ掛かるもの、これだって思うものに出会ったら、そこにガッと飛びつくっていうことを僕はやってきました。

興味がなかったら興味なかったで次に行けばいいし、興味持ったら飛びつく。そうすることで何か見えてくるものがあるんじゃないでしょうか?

田中:答えになってますか?

質問者:はい。

田中:ありがとうございます。

田中:そちら、マイク今行きます。

質問者:関西学院大学の○○といいます。内定先は、gCストーリーっていうとこに今内定もらってるんですけど。

何かもやもや全く見えてないってわけじゃなくて、今まで自分が考えていたことと最近自分がずっとどう生きたいかみたいなところ、自分のほんまに持ってた欲求は人のためにほんまに何かしたい。

あんまり自分にベクトルは向いてなくて、人に何かしてあげたいっていうとこだけで就活もして、自分がやりたいこともやってって思ってたんですけど。

この前親戚が亡くなるみたいなことがあって、そん時に何か自分はもっと生きてる証残したいなってすごいベクトルが内向きに向いて、ほんなら今まで自分がやりたいと思ってた