人はなぜ旅に出たくなるのか?
仕事とお金を失った男性が世界を旅して学んだ「人生の選択肢」

How to travel the world with almost no money #1/2

株式ブローカーキャリアから一転し、お金を使わずに世界を旅しようとバックパッカーとなりヒッチハイクで多くの国を周ったクロアチア人のトミスラブ・ペルコ氏が旅をして学んだことをユーモアを交えて語る(TEDxTUHH より)

世界は広い

(動画最初の1分ドキュメンタリーご覧ください)

トミスラブ・ペルコ氏:私はトム、クロアチア出身です。この数年間私は世界中に住んできました。旅行し、ヒッチハイクしたり、車、トラック、馬、バイク、ボート、バス、電車で移動してきました。地元の人と交流し、ボランティア活動し、修行僧になり、インド洋を横断しました。ほぼお金を使わずにまさか自分が見ることになるなどと思っていなかった世界を見て、一生心に残る体験をしました。

そういう訳で、今日はありがとうございました!

(会場笑)

いやいや、話はまだ終わっていません(笑)。多くの人はこのビデオを見て「すごい! いいな! 私もこんな風に旅することができたらな」と言いますが、実は私がやったことは誰でもできることなんです。旅を始める前、私は株のブローカーをしておりまして、9時から5時まで働き、多くの報酬を得ていました。しかし2008年に経済が悪化、不況の波が押し寄せて私は仕事を失いました。お金も底をつきました。そして生きる目的を失ってしまいました。

同じ頃に「カウチサーフィン」というWebサイトを偶然発見したのですが、皆さんの中にこのサイトをご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか? 要はこのサイトは、旅行者を自宅に泊めてあげよう、また自分も人の家に旅行中泊まろう、というサイトなのですが(Airbnbのようなもの)、私が世界各国からの旅行者を受け入れていた時、全部で150人以上が私の自宅に滞在したと思いますが

彼らのストーリーに耳を傾け、彼らのキラキラ輝く瞳を見て「いいな、私もそんな風に旅ができたらな」と思ったものです。当時の私にはそんな勇気はありませんでした。世界はとても恐ろしい場所だと思っていました。

少なくともメディア、教育システム、家族、教会等々多くの場でそのようなメッセージを受け取りますよね。私は自分が慣れ親しんだ環境を離れ、たった1人で見知らぬ世界へ出かけるなど恐ろしいことだと思っていました。そしてもうひとつ、お金が無い状況というのをとても恐れていました。

「お金がないから旅ができない」は嘘

しかし自宅に滞在していた旅行者たちから2つのことを学びました。まず第一に、勇気がある人しか旅行できないなんて嘘だ、ということです。少しだけえいやっと見知らぬ場所に飛び込む勇気を出せばいい。そしてお金が無くても旅行はできるということです。旅行にかかる主な費用は大きく3つに分けることができます。まず交通費、滞在費、そして最後のカテゴリーは食費等その他もろもろの費用です。

そして世界からの旅行者は、これら3つのカテゴリーで発生する費用を最低限に抑えることさえできれば、自分の街に定住している状態よりも、さまざまな土地を訪れながら旅をするほうがよっぽどお金がかからないと教えてくれました。

彼らの教えを胸に、その後5年間かけてほぼお金をかけずに世界中を旅しました。

どんな風にこれをしたか皆さんにお教えしましょう。まず最初にしたことはヒッチハイクです。

これをすることである地点から次の地点まで移動する間も素晴らしい冒険となりました。この中でヒッチハイクをしたことがある人はいますか? たくさんいますね! なんでそんなことしたんですか? 一体あなた達は何を考えていたんですか?

(会場笑)

今からヒッチハイクの暗黙のルールと私のいくつかの体験を「ヒッチハイク・ガイド」として映像でお見せしましょう。

(動画3:55-7:03)

ビデオ:ヒッチハイクをする時には一般常識をフル活用しましょう。まずは住んでいる街、村を飛び出し、ヒッチハイクしやすい道を選び、向かう方向に行く車を選ぶ。基本的なことですよね。

レッスン2、親指を立てます。きっとほとんどの皆さんが親指を持っていると思いますので、こんな風に指を立てます。

レッスン36、人に警戒心を抱かせないように身だしなみを整えましょう。

(会場笑)

ひげは剃って、きれいなTシャツを身につけます。ちょっと汚い格好をしている時はバックパックの後ろに隠れて、汚いことがバレないようにしましょう。

(会場笑)

レッスン54、夜間のヒッチハイクはやめましょう。

自分でヒッチハイクをしようと決めたのですから、車が見つからなくてもメソメソしないこと。

レッスン58、運転手とアイコンタクト、目を合わせます。

ね、今車が止まりそうだったでしょ? (すごいスピードで車が走り去る)

ヒッチハイクは1人でやらずに友達と一緒に。僕の友達のマリア・ジュアーナです。

レッスン21、車に乗せてもらっている間は乗せてくれた人と会話をします。

旅で見聞きしたことを話して、彼らに楽しんでもらえることだけが彼らに乗せてくれたお礼をする方法だからです。

レッスン9、シートベルトがある場合はシートベルトを着用すること。

レッスン62、運転している人が寝てしまったら運転を代わりましょう。

常にハッピーでいること。ヒッチハイクをすると決めたのはあなたです。時には長いこと待たねばならないこともあります。辛抱強く待ちましょう。人が止まってくれることを当たり前と思わないこと。99.74%の車は止まってくれません。

時間がかかったとしても、その時にふさわしい車が止まってくれるはずです。これがヒッチハイクで最も覚えておかねばならないことです。いや、結局ルールなんてないんですよ。ルールなんてクソくらえ!

(会場笑)

外に出て、人生を謳歌し、自分の限界に挑戦するんです。

(会場拍手)

ありがとうございます。他にも移動方法はあります。徒歩もそのひとつの方法です。または自転車。これはお金が少しかかるかもしれません。自転車を買って、壊れたら修理しなければなりませんから。しかし「一般的な」移動方法よりは安いでしょう。そしてもうひとつの方法は、乗せてもらう代わりに仕事をする。

実際私はインド洋をオーストラリアからアフリカへと渡る時に、移動中に船内で仕事をしました。夜間の見張りなどですね。

滞在中はほとんど人の家のソファで寝かせてもらいました。人の家を転々とソファに寝かせてもらいながら移動する「カウチサーフィン」が素晴らしいと思うのは、まず第一に無料であり、その土地で多くの異なる視野を学ぶことができることです。

ホテルに泊まって一般的な旅行ツアーに参加したなら見ることができなかったことを体験できます。泊めてくれる人が地元の人が行く場所に連れていってくれる。1人でその土地にいたなら、決して知ることがなかったであろう場所に。

もちろんこれ以外にも方法はあります。キャンプはどうでしょうか。

テントさえあればどこでも眠ることができます。大きな街では公園で眠ります。寝袋をマットレスにしてこのように。

最後の選択肢はボランティアをすることです。世界はそこに滞在する代わりに何か仕事をするボランティアの機会であふれています。時には食事まで振る舞われます。

旅行費用でこれ以外に必要となるのは食費ですが、大きな街、発展している街に滞在中はスーパーで何か安いものを買って道でそれを食べます。または自宅に泊めてくれる人と一緒に料理をすることもできます。とってもおもしろい体験ですよ。

これはドイツ人ですね。実際おいしかったんです、この食事は(笑)。

もうひとつの方法。捨てられてしまう食べ物をもらう。多くの場所の食料品店では売れ残った品をそのまま捨てることに罪悪感を感じていますので、これをもらう。バーやレストランには行きません。

このようにほとんどお金を使わずに旅をすることができるのですが、旅の途中でお金を稼ぐこともできるのです。いくつかやったのですが、道でギターを演奏する。

私はミュージシャンではありませんし、ギターのコードも4つか5つしか知りませんし、曲も4つしか知りませんが、それを何度も演奏しました。人々は通り過ぎていくだけなので、私が同じ曲を何度も演奏していることなど知りませんしね。

(会場笑)

最も重要なのは、人に語るストーリーを持つことです。これをしている時は常に段ボール紙に私はどこから来て、どんなことをしているのか、私のストーリーは何なのかその土地の言葉で誰かに代わりに書いてもらうのです。

それによって人々からいくらかお金をいただいたり、サンドイッチを分けてもらったり、ちょっとした飲み物をもらったりできるのだと思います。多くを稼ぐことはできませんが、その日を乗り切るだけのお金を稼ぐことができます。

もうひとつの方法は書くこと。ブログやFacebookのページを作ったり、最終的には本を書いたりできるでしょう。私が旅で最も稼いだのはオーストラリアに行った時のことです。

この仕事をオーストラリアでしました。私はこの仕事を「交通整理のプロフェッショナル」と呼んでいます。

(会場笑)

ご覧の通りとても大変な仕事です。「お願いですからこちらを通ってください、そちらは通らないでいただけるとありがたいです」と人々に言う仕事です。

(会場笑)

この標識がありますが、皆さんにダメですよーと呼びかけます。

(会場笑)

この仕事は時給20ドルでした。更にこの時は寝る場所と食事付きでした。13日この仕事をしてクロアチアからアジアを旅行した8ヵ月間の費用がカバーされました。

旅をして学んだこと

さて、この世界旅行で何を学んだか? 母にもよく聞かれるんですよ「あなたが世界を旅すると言ってとても心配だったけど、この旅から得たものはあるの?」と。そして私の答えはもちろんイエスです。

多くのことを学びましたが、そのうちの大部分は個人的な生き方や自分の成長についてでしたのでこれについては今日はお話しません。それと同時に「万人に共通すること」も学びました。

まずメディアが吹聴することを信じなくなりました。そして地球を守らなければならないことも学びました。そして恐らく最も重要なのは偏見を持たなくなったことです。

いかに我々が文化や人種、宗教などを持ちだして、人々の違いを指摘しようとしても、結局人間は皆同じです。

旅の途中で出会った偏見についてのこんなストーリーがあります。クロアチアから世界へと旅立とうとしていた時「気をつけてね」と皆から言われました。ヒッチハイクしたり知らない人の家に宿泊するなど危険だと。

クロアチア内の旅はまぁまぁ大丈夫だろうと皆言いましたが、そこから国境を超えてセルビアに行くことについて「セルビア人に殺されるかもしれないから気をつけて」と言われました。

私はオーケー、気をつけるよ、とその時は答え、実際にセルビアに入ると、素晴らしい冒険が待っていました。素晴らしい人々が私を連れ出してくれたり、泊めてくれたりと素晴らしい時を過ごしました。

そこからブルガリアへヒッチハイクした車で向かう道中、私を車に乗せてくれた人にクロアチア人はセルビア人をとても恐れているようなんだという話をしました「セルビア人に殺されるぞ」とクロアチア人が思っている話を。

彼は言いました「そんなことありえないね。クロアチアとセルビアは同朋さ」と。そして「怖いのはブルガリア人さ!」とも。

(会場笑)

「ブルガリア国境を超えればたくさんのジプシーがいるんだ。ブルガリアに入ったら殺されるかもしれないから気をつけな!」と彼は言いました。

(会場笑)

ブルガリアに入ってみると、これもまた人々はとても親切で素晴らしい時間を過ごしました。そしてそこからトルコへ向かうトラック運転手に乗せてもらっている時にクロアチア人はセルビア人を恐れ、セルビア人はブルガリア人を恐れていたという話をしました。「クロアチア人もセルビア人もブルガリア人も我ら皆兄弟さ! でもトルコ人、あいつらはダメだ」と彼。あぁー! また始まった! と思いました。

(会場笑)

「トルコ人は野蛮だからトルコに行ったら殺されるかもしれないぜ」と彼。

(会場笑)

トルコ人にはクルド人に気をつけろと言われ、クルド人にはパキスタン人に気をつけろと言われ、パキスタン人にはインド人に気をつけろと言われ、インド人は責める相手がいなかったようで、未開拓のへき地にいる人に気をつけろみたいなことを言われ……

(会場笑)

これは旅の教訓というよりも人生の教訓でしょう。人々の噂を信じてはいけないという。

帰国した後は? 3つの選択肢

自国に旅から戻ってくると、人々は何が起きるかわからない旅にでて帰国した後どうなるかわからないことを恐れているのがわかります。

帰国した後どうなるか。皆さんは英雄として祭り上げられるでしょう。皆がビールをおごってくれる、女性達は「キャー! あの人は世界を見てきた人なのよ!」と。

(会場笑)

しかし帰国してしばらくすると飽きてきます。旅の話をするのに飽きる、周囲の人もそれを聞くのに飽きる。そこで「帰国後うつ症候群」が始まります。そこからどうするかには3つの選択肢があります。

第一に、元の生活に戻ること。旅に出る前から付き合いがある友人たちは当時と何も変わらず、彼らと同じことについて話し、同じ場所に行き、昔勤めていた会社に出戻りするなんてこともあるでしょう。旅と比べて安定した馴染みある生活に安心感を抱くでしょう。でも旅の刺激が懐かしくなったりするでしょう。

第二の選択肢は、やはりこんな生活は嫌だとまた荷物をまとめて旅にでる。旅はとても刺激的で、たくさんの人に出会い、毎日が冒険です。しかししばらくするとどこかに所属したい、落ち着きたい、自分の居場所が欲しいと思うようになります。

旅で築く友情は強烈なものですが、その分期間限定的なものです。その国でのビザが有効な間だけの友情だと言えるでしょう。日々帰る場所があるということが懐かしくなるのです。

第三の選択肢は今お話した2つのバランスを保つということです。ひとつの場所に留まりながら、日々の刺激は失わない生活です。歩いたことのない道を歩いてみる、知らない人と突然道で会話を始めてみる、新しい趣味を楽しんだり、新しい仕事をしてみる、または本を書いてみる、TEDに登壇してスピーチをする等々です。

誰でも私がしたような旅ができるか? 私はそうは思いません。このような旅は素晴らしい体験ですが、もちろんそこにはマイナスポイントもあります。大きな確率で旅の途中心細くなるでしょう。お腹が空いてどうしようもないこともあるでしょう。体調を崩すこともあるでしょう。そしてホームシックにもなるでしょう。

直観を信じてください。この話を聞いても「そんな風に旅がしてみたい」と感じるのであればやってみたほうがいいと思います。恐れがあっても、お金がなくてできないかもしれないと思っても、心の声がそう言っているのであれば旅に出てください。有名な言い回しがありますよね、

「二十年後、やったことではなくやらなかったことを後悔するだろう」

ありがとうございました。

<続きは近日公開>

Published at

TED(テッド)

TED(テッド)に関するログをまとめています。コミュニティをフォローすることで、TED(テッド)に関する新着ログが公開された際に、通知を受け取ることができます。

このログの連載記事

1 人はなぜ旅に出たくなるのか? 仕事とお金を失った男性が世界を旅して学んだ「人生の選択肢」
2 近日公開予定

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーBizをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?