「死ぬまでにしたいこと」をシェアしよう--ニューオーリンズの廃墟から生まれた、希望のコミュニティ・アート

死ぬ前にしたいこと #1/2

大切な人を突如失った、アーティストのキャンディ・チャン氏は、人生における「死」について改めて深く考え、地域の人々が「死ぬ前にしたいこと」をシェアする空間をつくりあげた。アメリカで最も廃墟が多い街・ニューオーリンズの風景を変えた、希望のメッセージとは?(TED 2012)

大好きなニューオーリンズの人々のために

キャンディ・チャン氏:周囲の人は私達を様々なやり方で助けてくれます。しかし近くに住んでいるすべての人と語り合う機会がある訳ではないので、彼らの英知にふれることができるチャンスは稀です。語り合ったことのない彼らとも私達は同じ地域を共有しています。

過去数年間、私は地域を人々がシェアできるように努力してきました。ステッカー、鉛筆、チョークなど簡単なものを使ってできることです。

このようなプロジェクトは私が抱える様々な疑問から生まれました。「この地域の人の家賃はいくらだろう?」「偶然悪いタイミングでお互いのドアを叩いて回ることなくモノの貸し借りをする方法はないだろうか?」

「廃墟となってしまったビルに対する私達の思い入れを表現できないだろうか?」

「地域の街並みについてみんなで考えてみる方法はないだろうか?」

「テナントを募集している現在空きのある店の前に地域の人がどんな場所を欲しているかを発信する方法はないだろうか?」

このように、地域の人が自身が望むことを発信する場をつくりました。

私はニューオーリンズに住んでおり、ニューオーリンズをとても愛しています。

私の魂は恋人たち、酔っぱらい、夢見る人々を見守る巨大なオークの木の元に宿っています。そしてこの街は常に音楽の発信地であり続けています。この街の外観はとても美しいですが、アメリカで最も廃墟が多い街のひとつでもあります。

私はこの建物の近くに住んでいます。

この場所をなんとか地域の人のために活用できないかと考えました。そして私の人生を変えたある出来事についても。

大切な人の突然の死をきっかけにコミュニティ・アートを

2009年に大好きな人を失いました。彼女の名はジョーン。私にとって彼女は母のような存在でした。

彼女の死は予期せぬ、突然すぎるものでした。

死について深く考えることになりました。死について考えることで、私がこれまで生きてきた時間に感謝を覚えました。そして死について考えることで何が人生で大切なことなのかも明確になりました。しかし日々の忙しい生活の中でその感謝の気持ちや、人生で大切なことを忘れがちになってしまいます。

友人たちの力を借り、先ほどの建物の壁を巨大な黒板にしました。そして「死ぬまでに……がしたい」という文の空白部分を人々に書き込んでもらえるようにしました。

そこを通りかかる誰もがチョークでそこに書き込めるようにしたのです。これがどのような結果になるのかまったく予想ができませんでした。

しかし翌日になると壁は人々の書き込みで埋め尽くされ、それはどんどん増えるばかりでした。 ここに書き込まれたことをいくつかここで皆さんとシェアしたいと思います。

「死ぬまでに海賊行為の罪で訴えられたい」

(会場笑)

「死ぬまでに様々な国の人とデートがしたい」

「死ぬまでに百万ドルを稼ぐ歌手になりたい」

「死ぬまでに木を植えたい」

「死ぬまでに人とは違う生き方をしたい」

「死ぬまでに彼女をもう一度だけ抱きしめたい」

「死ぬまでにたった一人のための騎士になりたい」

「死ぬまでに自分を完全に受け入れたい」

廃墟と化していた建物がとても生産的な場所へと変化しました。人々の願いや夢は時に私を大笑いさせ、時に涙を誘います。そしてこれは私自身が辛かった時期に大きな支えとなりました。

この試みは「自分は一人ではない、仲間がいる」と知ること、

コミュニティをこれまでとは違う方法で良く知ること、

人々が自らを振り返り、人生を熟考し、私達みんなが変化しながら生きていく中で、何を大切に思っているかを知ることです。

みんなが夢や恐れをシェアすることがインスピレーションになる

昨年このプロジェクトをやってみたところ、自分の地域でも是非これをやりたいという何百というメッセージが届きました。そこで市庁舎の同僚と一緒にツールキットを作成し、今ではカザフスタン、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン等々世界中にこのムーブメントを広めることができました。

これらを見ても、公共の場が、人々が自己表現し、自分の意見を世に発信することを可能とするとても影響力を持つ空間になり得ることは明らかでしょう。

私達人間にとって最も大切なものは、時間と人間関係です。私達が生きる今の時代は忙しく、自分を忘れがちになりますが、自分が大切にすることは何か、人生は短く優しいということを常に心に留めておけるよう努めることが大切だと思います。

多くの場合「死」について語ることは避けられ、それについて考えることすら避けられます。 しかし私は死について考えることは人生を豊かにするための最も有効な方法であると考えます。

死について考えると自分が大切にしたいものが明確になります。このような公共の場は個人の夢や希望について考えると共に、コミュニティ全体としてもこれを考える場となります。

夢、希望、恐れ、人生のストーリーをシェアできるようになると、人々が力を合わせてある空間をより良い場所にするのみならず、お互いがお互いにより良い人生を送るための助け合いに繋がります。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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TED(テッド)

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1 「死ぬまでにしたいこと」をシェアしよう--ニューオーリンズの廃墟から生まれた、希望のコミュニティ・アート
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