天皇陛下お言葉

天皇陛下:東日本大震災から4年が経ちました。ここに一同と共に、震災によって亡くなった人々とその遺族に対し、深く哀悼の意を表します。

4年前の今日、東日本を襲った巨大地震とそれに伴う津波により2万人を超す死者、行方不明者が生じました。テレビに映った津波の映像は決して忘れることのできない本当に恐ろしいものでした。

死者、行方不明者の中には、危険を顧みず人々の救助や防災活動に従事した人があったことが今も痛ましく思い出されます。

被災地で、また、避難先で被災者の多くが今日もなお困難な暮らしを続けています。特に年々高齢化していく被災者の健康は、深く心にかかります。

さらにこの震災により、原子力発電所の事故が発生し、放射能汚染地域の立ち入りが禁止されているため、多くの人が住み慣れた場所から離れることを余儀なくされました。

今なお、自らの家に帰還する見通しがたっていない人々が多いことを思うと心が痛みます。この4年間人々が厳しい状況の中、お互いの絆を大切にし、幾多の困難を乗り越え、復興に向けて努力を続けてきました。

また、こうした努力に支援するため、国内外の人々が引き続きいろいろな人が尽力しています。この結果、地場産業の発展、防災施設の整備、安全な居住地域の醸成など、様々な進展が見られましたが、依然として被災した人々をとりまく状況は厳しく、これからも国民皆が心をひとつにして寄り添っていくことが大切かと思います。

この度の震災においては、災害に関し日頃の避難訓練と防災教育がいかに大切かを学びました。こうした教訓を決して忘れることなく子孫に伝え、より安全な国土を築くべく努力をしていくことが重要であると思います。

この14日から宮城県仙台市において、第3回国連防災世界会議が開催されますが、この会議において我が国のみならず、世界各国においてもこの度の大震災の教訓が分かち合われ、被害の軽減や人々の安全の確保に意義ある成果をあげられることを願っています。

被災地に1日でも早く安らかな日々の戻ることを一同とともに願い、御霊への追悼の言葉といたします。