ITの人材発掘・育成を目指す「未踏事業」

夏野剛氏:みなさん、こんにちは。「未踏」っていうのはですね、ITの人材発掘・育成事業というものを経産省ならびにIPAがやっているわけですが、そこの統括プロジェクトマネージャーをやっております、夏野剛と申します。

今回一般社団法人未踏の理事もつとめておりますが、私がまずはじめに「未踏って何だ?」というところを説明させていただきます。

未踏とういうのは、今若手のプログラマーやエンジニアの間では知らない人はいないブランドになっています。毎年何十人ものクリエーターを輩出しています。トータルでいうと1600人のクリエーターを輩出しております。

エンジニアのなかでは「未踏」がひとつのブランドになっている。しかしですね、一般にはほとんど知られていない。特に企業の人事部。

人事担当者というのは、企業の即戦力じゃないから人事をやっているというのはありますけども(笑)、それにしてもひどい。

更に言うとですね、この未踏の成果発表会をやっているんですけど、Smartnewsの鈴木君だとか、Gunosyの福島君だとかきちんと起業してその後、資金調達して大きく育っている人がたくさんいるんですけれど。未踏の成果発表会というのが、土日にやるからベンチャーキャピタリストがほとんど来ない。シリコンバレーでやっていたらスタンフォード大学のピッチと同じわけですよ、起業家も輩出しているわけですし。

つまりですね、未踏という人材発掘・育成事業がすごくうまくいっているにも関わらず、その後がつながっていない。

それどころかなぜかGoogleにつとめちゃう人がいる。まあ、いいんですけどね、日本には職業選択の自由があるわけですからね。日本人としてGoogleもいいんですけど、国籍関係もないんですけど、なんか寂しいなと。

今まで世界にない非常に個性的なプロダクトがあるわけです。ホントに個性的です。それを9ヶ月間かけて育てていくわけです。そこで成果を出して……就職するんじゃなあと。

(会場笑)

まあ就職するんでも良いんですが、もっと起業につなげる、ビジネスにつなげる人がもっと出て来てほしい。そんな想いで一般社団法人未踏の設立に至ったわけです。

未踏のOB・OGを中心にしますが、それにとどまらず、いわゆるアイディアベースから、プログラムをつくる、サービスをつくる、そして事業にはまだいっていない―日本版死の谷―起業の最初のところを手伝うプラットフォームをつくろうと思ってわけです。

これをやると何が良いかというと、日本は製品のアイディアやクリエイティビティでつまっているわけです。しかし、出る杭をうっちゃったり、おっさん連中がみんなで寄ってたかって「普通の人」にしちゃう。このおっさんを排除するための取り組みを頑張っていきたいと思います!