「しゃしゃった奴」から覚えてもらえる
はあちゅう氏(以下、はあちゅう):というわけで、あと30分はちょっと多めに質疑応答の時間を作らせていただいているので。せっかく今日、遠くから来てくださった方もいると思いますし。あんまりドキドキしないで、質問とかあればぜひお願いします。
司会者:質問のある方、挙手でお願いします。
はあちゅう:だいだいこういうの出ないんですよね。
霜田明寛氏(以下、霜田):そうですね。僕こういう時、すぐ質問する奴だったんですよ。でもそれをウザがられてたんですよね。
はあちゅう:ウザがられてた?
霜田:そう(笑)。
はあちゅう:主催者からしたら、すごいありがたいじゃない。
霜田:主催者からすれば。周りの学生からしたら、「しゃしゃりやがって」みたいな感じになって。就活エッジっていう就活トークライブみたいなのをやってるんですけど、毎回やっていくと来ている常連メンバーがだんだん仲良くなっていくんです。
そいつらが一緒に旅行に行ったらしくって、「お前らそんな仲良かったっけ?」みたいなこと言ったんですよ。そしたらある男が別の男をさして「でも僕あいつのこと嫌いだったんです」みたいなこと言って「何で何で?」とか言ったら、「最初就活エッジやった時、あいついち早く質問したんですよ。飲み会でもしゃしゃってて」みたいなことを言って。
その言ってた男の子はおとなしい子なんであれなんですけど、その少し嫌われてもしゃしゃる勇気みたいのも必要だなと思って。やっぱりしゃしゃった奴から覚えていくんです。
はあちゅう:こっち側はね。
霜田:こっち側は。
はあちゅう:でも、向こう側もそうだよね。
霜田:そう(笑)。
はあちゅう:周りも、「あの人は質問してる」。
霜田:「あの人」みたいな感じになって、一種威圧効果みたいなのが、質問とかしゃしゃるっていう行為にはあるなっていう話をしているうちに、誰か質問考えてくれればなと思ったんですけど(笑)。
はあちゅう:(笑)。でも救世主みたいなものだよね。だって、こういうふうに「ないですか?」って言って「ないです」みたいになって、何となく会場に緊張が走るじゃん。
霜田:(笑)。
はあちゅう:私はありがたい人が現れたって思うタイプだったけど、霜田さんとか質問したい気持ちがある人は、しゃしゃったって思うのかな?
霜田:そうですね。たぶん周りから見ると。
やりたいことは変わっていく
はあちゅう:でも本当に、『ゲスアワー』の質問でも何でもいいんですよ。時間はとりあえずあるんで。ありがとうございます。
質問者:私は『ゲスアワー』を見てお二人を知って、今日聞きにきたんですけれども。
はあちゅう・霜田:ありがとうございます。
質問者:『ゲスアワー』と全然違うなと思って、びっくりしてるんですけども。私が今思っている就活の軸として、自分の過ごす環境について、社風だったりとか、社員の方の雰囲気とかっていうところを重視して見ているんですけれども。
今日のお二人の話だと、自分のやりたいことだったりとか、自分の中の軸っていう部分にフォーカスしてるなっていうふうに思っていて、働く環境としての人の部分を見るっていうことについては、お二人はどういうふうに考えていらっしゃるかなというのをお聞きしたいです。
はあちゅう:私はそれは正解だと思います。なぜかというと、自分がやりたいことって自分では意外にわからなかったりするんですけど、周りにいる人の影響をすごく受けやすい時期だと思うんですね、特に新入社員になった時って。
そういう1社目の先輩の働き方とか人生観っていうのは、自分に染みついていくものだと思うので、それがしっくりくる人のいる会社に入れるっていうことは幸せなことだと思います。
そこで働いているうちに、何か次に自分がやりたいことだったりが見つかるかもしれないし、逆に自分はやりたいことっていうのはわりとフレキシブルで、それよりはどういう感じで誰と働くかのほうが大事なんだって思えるかもしれないと思います。
質問者:ありがとうございます。
大企業は部署によって空気が違う
霜田:そこに加えると、めちゃめちゃその通りなんですけど1個怖いのが、そこの見えてる社風って、実はほんの一部だったりする可能性があるっていうこと。
トレンダーズは80人ぐらいの会社なんですけど、特に100人ぐらいまでの規模の会社だと、だいたい数人会ったら「まあここ、社風はこれの拡大かな?」みたいなところがあるんですけど。
超大企業の場合だと、部署によって全然社風が違っちゃうっていうか、空気が違ったりとかして、配属されたところによっては、「こんなはずじゃなかった」みたいなことも起こり得るので。たぶんそこまで、全部見るのは難しいと思うんですけど、そこ考えた方がいいかなっていうのは思いますね。
僕ちょっと今その話聞いて思い出したことがあって。ちょうど2年前に取材したある保険会社の内定者の女の子が入社を決めた理由を「すごくいい人たちだらけなんです」みたいなことを言ってたんですけど。3日前ぐらいのTwitterに「マジ会社辞めたい。ファック」って書いてあって、ふぁぼっちゃったんですけど(笑)。他にも社員の悪口とか書いてあって。
何があったんだか詳しく聞いてないんでわからないですけど、人ってやっぱり流れゆくものなので。本当にいい人たちなのかっていうのはより真剣に見たほうがいいと思うんですよね。特に人っていう軸で入ると、その人が合わなかった時とか、変わっちゃった時に辞めたくなっちゃうと思うんですよね。だからそこも加味しつつ見れると良いかなと思いますね。
質問者:ありがとうございます。
人付き合いでもオンとオフを使い分ける
はあちゅう:人の話で言うと、ベンチャー企業で社長とケンカして辞めるみたいなのは、あるあるだよね。ベンチャーあるある。
霜田:あるあるですね。
はあちゅう:あとは人の話で言うと、私もわりと嫌いな人も仕事の人だからと思って、割り切って付き合うようにしてるかも。やっぱり会社にいる人たちって大勢いるので、その中で全員とは気が合わないんですよ。どうしても。
霜田:はい。
はあちゅう:でもその時にもう仕事だし、この人とメールをすることとか、打ち合わせをすることもお給料の一部だよって割り切ることによって、でもプライベートでは別に仲良くなくていいやっていう、オンとオフの使い分けみたいなできるようになると、気が楽になりました。
霜田:そうですね。確かに僕もそうで、結局会社ではコミュニケーションするんですけど、飲み会にはあまり出ないですし。別にプライベートでも全員と仲良くする必要性はないですしね。
はあちゅう:そうなんだよね。
霜田:そう(笑)。
「洗脳されても大丈夫」と思える会社に入る
はあちゅう:人で選んでもいいし、選ばなくていいってことだよね。
霜田:そうですね。さっきはあちゅうさんが言っててもそうだなと思ったんですけど。やっぱり僕らの話で言うと、僕5年間フリーでやって、自分を作ってから入ったから麻痺しないで済んだと思っていて。はあちゅうさんもこれだけ自分がある方なので、会社にいてもそういう距離感の取り方と割り切り方ができたと思うんですけど。
新卒の人を見ていて思うんですけど、22、23歳で初めて会社に入ると、もう本当に雛鳥が初めて見る親みたいなもので、「これだ」みたいに思っちゃって、そこで染まっちゃうっていうことはあるし、むしろ染めるのが新卒を採る目的だったりもするので。
そこを本当に、「仮にこの人に洗脳されても大丈夫」みたいなくらいの、好きなところの方がいいかなと思いますけどね。
はあちゅう:そうだね。「何か世界でバズるような広告を作ってやる」みたいな、キラキラした人とか、そういう大志を持って広告会社に入った人が、何か自分の好きじゃない仕事をさせられたりとか、営業さんとの軋轢で疲弊していたりとか。
そんな中でどんどん夢を失っていって、「結婚して犬飼って、あとはローンを返すだけの人生だな」っていうセリフを飲み会で吐いてたのを聞いた時は、何か感慨深いものを感じちゃった。「あれ? 5年前はこうじゃなかったよね」って思って。
霜田:麻痺するのに5年なんてあれば十分ですからね。
はあちゅう:そうなんですよね。でもいい人がいれば、それでもう自分のキラキラがずっと発電させられると思うから。
霜田:そうですね。だから真横にいる人が選べると1番いいんですよね。
はあちゅう:うん。何?
霜田:いや(笑)。なかなか会社に入ると選べないなと思って。僕無給でいいから真横にいろっていう理論で、ずっと師匠である水野敬也さんの横にいたんですけどね。
はあちゅう:そうだよね。好きな人が見つかるといいですね。
霜田:いいなとは思いますけど。
コンプレックスと共に生きる
はあちゅう:じゃ、次の質問に行きましょうか。あとたぶん2、3問は。じゃ、そこのお二人、どっちでも。
質問者:お話ありがとうございます。
はあちゅう・霜田:ありがとうございます。
質問者:最近自分のコンプレックスに気付いたんですけども、お二人もスクールカーストの上位の人に僻むじゃないですけど、そういったコンプレックスがあって、今それを克服しようと思っている私から見たらキラキラした人たちに見えるんですけど、実際本人方としては、そのコンプレックスを克服して、キラキラしたほうに入っているとは思われているのかなっていうのが1つ。
霜田:ほう(笑)。
質問者:大丈夫ですか?
はあちゅう:はい。
質問者:っていうのと、もし克服されたと思っているなら、克服して良かったと思っているかとか、どうやって克服したのかなっていうのをお聞きしたいです。
はあちゅう:私は克服してないよ、全然。
霜田:僕も克服してないですけどね。
はあちゅう:克服しないで共に生きてるんですけど。コンプレックスと。
霜田:はい。
はあちゅう:さっき、サッカー部とか野球部とかキラキラしてるって言ってて、私は「あのクラスの隅っこにいる地味な女」っていうふうに思われてるっていう思い込みがずっとあったんですよね。だから自分がみじめに見えないために、本とか読むのが好きなんですみたいなフリをして、休憩時間とかに本を読んでたんですよね。
でもその本なんか全然頭に入って来なくって「あー、今私何か寂しい奴って思われてるんだろうな」とかいろいろ考えちゃってっていう高校時代だったんですけど、高校時代の友達に大学になってから会った時に「春香っていつも本読んでてかっこよかったよね」って、キラキラしてる側の人に言われて、「へ?」って思ったんですよ。
霜田:おー。
はあちゅう:そんなキラキラさんが、私のことをキラキラしてるって思ってくれてるけど、「私むしろあなたの方向に行きたかったんですけど」みたいな。その時に、何か私たちキラキラしてるとか、自分を下において、向こうは上位にいるっていうのも、全部自分の中で作り上げた妄想で。
かつ、今スクールから出てしまって、カーストがごっちゃになったところにいると、もうわかんないんだよね。自分の見え方に関してもよくわかんないし、これをやったら克服できるみたいなのはなくって。
例えばすごいイケメンと付き合ったりとか、芸能人と何か楽しいことがあったとしても、そういう経験長く生きてたらあるんですけど、それで私あいつらに勝ったとか思うことはないんですよね。コンプレックスはコンプレックスでずっとあるっていうか。
コンプレックスを昇華できた瞬間
はあちゅう:どうなんですか? 霜田さんは。
霜田:僕は昇華してる部分としていない部分があって。ただ、1回昇華したことがあるんです。フジテレビのアナウンサーって勝ちじゃないですか。やはりアナウンサー就活業界においては、最高の勝ち組なんですよ。で、それになれなかったっていうコンプレックスが消えた瞬間は、超さもしい話なんですけど、1年半くらい前に行った飲み会のときなんですよね。
飲み会したら結構素晴らしい女の子たちが揃ってくれて、僕と連載を担当してくれてる編集者と一緒にやってて、その女の子たちに、「先週も誰かと飲んだ」みたいなことを言ってて、「どういう人たちと飲んでたの?」って聞いたら、フジテレビアナウンサーの名前が3人挙がったんですよ。男のイケメンたちが。
その瞬間に何か僕と横の編集者で「やりましたね、霜田さん!」みたいに、すげえ盛り上がって、「やっと、フジテレビアナウンサーと合コンできてる子とできてる。一緒だ僕ら!」みたいな。
つまりそこで僕は、アナウンサーになりたかったわけじゃなく、そういうアナウンサーになることによる、キラキラやそういう状況が欲しかったので、それを手に入れられたのではないかと(笑)。じゃあ、別にアナウンスメントがしたかったかっていうとそうではないし、とりあえず今やりたいことができてるからいいんじゃんっていうことで1個昇華はしてるんですけど。
V6の岡田君に努力されたらもう勝てない!
霜田:ただそこは就活の話であって、これは僕異常だって言われるんですけど、やっぱりV6の岡田君に勝たなあかんと思っていて(笑)。これ早稲田のトークショーでもしちゃった話なんですけど、大学生の時に彼女とデートしているときすごいそわそわしていて。
「どうしたの? 心ここにあらずじゃないの?」みたいなことを言われて、ちょっと申し訳ないんですけれども、『Cut』か何かに岡田君が、「僕は毎日映画を2本見て、本も読んでる」みたいな話が書いてあって、岡田君に努力されたら僕追い付きようがないじゃないですか。
それで「僕が君とふらふらデートしてる間に、V6の岡田君がそれだけ努力してるので、僕もそれぐらい努力しなきゃいけないから帰る」みたいなことを言って帰ったんですけど(笑)。っていう不安みたいなのは常にあって、そこに勝たないといけないから、まだまだみたいな。
はあちゅう:私もNEWSの加藤シゲアキさんが小説書いた時に、「えー、マジ、ジャニーズなのに小説書くの辞めてよー」って超思った。「もういいじゃんジャニーズで」みたいな。
霜田:そう。詳しくは入社したときにブログに書いちゃいましたけど、僕が会社員になったのも加藤シゲアキくんが小説を書いて、しかもそれが面白かったからですからね(笑)。
不満要素があるから成長できる
はあちゅう:でもやっぱり、そういう「人の基準」で生きないようにするっていうのを頑張らなくちゃいけないなと思って。昔キラキラしてた人たちの中にも、例えば高校の同級生とかで、田舎に帰ってお見合い結婚して、2人くらい子どもいますみたいな感じの人とかいるわけですよ。
私は高校時代に、そういう人たちこそメディアに出たりして、たぶん私は田舎かどこかで、「あ、あの子やっぱり高校時代からキラキラしてたから、雑誌に出てる」みたいな感じで見るのかなと思っていたら、逆に私がそういう雑誌とかにも出るようになったり、テレビにも出たりとか。
たぶん年収も彼女は主婦だから、私のほうが全然あるんですけど。それでもやっぱり、そっちに勝てた気は全然しないんですよね。未だ負けてるっていうか。私はたぶん、どこまで行っても不満要素はあると思っていて、でもこれからの人生ずっと思っているから、私はたぶんレベルを上げていけるんだろうなと思ってるので。
でも、あの人より幸せにならなきゃとか、みんなから見て完璧でありたいみたいなことが、必ずしも自分の幸せではないので。常に自分にとっての幸せってなんだろうとか、あとは自分にとって大事な人の幸せについて考えることによって、心を落ち着かせてます。
でも未だにコンプレックスが引き金となった、発狂するみたいな、気が滅入るみたいな期間もあって、たぶんしばらく治らないと思います。
霜田:あっていいんじゃないですか?
はあちゅう:あっていいんだと思います。
質問者:そう言っていただければ、何か嬉しいです。
はあちゅう:良かったです。
質問者:ありがとうございました。
はあちゅう:ありがとうございました。時間的にラスト1個か2個かな。
「はあちゅう」というキャラクターを利用する
質問者:お二方、貴重なお話ありがとうございました。地方から来たかいがありました。
はあちゅう:どこ? どこで知ったの?
質問者:群馬から来ました。質問なんですけれども、『人生デザイン』に、はあちゅうさんが出演されていた時に……。
(質問者、言葉に詰まる)
はあちゅう:NHKですね。
質問者:あ……えっと……すいません。
はあちゅう:何だろう。『人生デザイン』ね。
霜田:こういうのは面接で必要ですよ。
はあちゅう:いいよ。ゆっくり考えていいよ。『人生デザイン』は、イライラしてたよね、私ね。
霜田:そう。
はあちゅう:『情熱大陸』とかに密着されてみたいって思っていたから、テレビが来るって超楽しいかと思ったら、「何でテレビずっと撮ってんの?」っていう(笑)。超イライラ。
霜田:そうそう。超窮屈そうでしたよね。
はあちゅう:こんなに大変なんだ、密着って。もう終わったと思ったら撮ってるからね。っていう、はい。
質問者:すみません。お待たせしました。はあちゅうさんの言葉で、「みんなが思っているはあちゅうを演じる」みたいな文脈があったと思うんですが、みんなが思っているはあちゅうさん像を、自分ではどんな意識でその姿になろうとしているのか。
その中には、「私はこれとはちょっと違うんじゃないかな」って思ってるけど、みんながこう思ってるから、私はこうあるべきっていう考えがあるからなのかなってちょっと考えたりしたのですが、その点に関してはいかがでしょうか。もしよろしければお答えください。
はあちゅう:ありがとうございます。それに関しては、みんなが思っているはあちゅうっていうのを自分で考えている時点で、自分の思い込みでしかないんですけど、みんなっていうのはあってないようなものだよね。
たぶんそれこそ自分の思い込みなんですけど、私はその像を作ることによって、自分にはできないことをやる時の踏み込みの材料、エンジンみたいな感じにしていて。
例えば今回で言うと、新刊の帯を私が20年ぐらいずっと尊敬している林真理子さんにお願いしていて、素の自分だったらやっぱりおこがましくて頼めないっていう気持ちがすごい大きくて。
まだまだ林先生に目に留めてもらえるような存在ではないのに、「いきなり原稿を読ませて帯を書かせるとかってできない」って思いつつも、はあちゅうっていう存在とかキャラクターを考えた時に、それでもやっぱりはあちゅうとしての自分がレベルアップしていくために、ここでぜひとも帯が欲しいとか。
でもそのためには、はあちゅうっていうキャラクターを活かして帯をもらおうとか、そういうふうに考えて自分を落ち着かせてるっていうだけの話なんですよね。
誰でも「なりたい自分像」を使い分けている
はあちゅう:たぶんそういうのっていろんな人にあって、私はたまたまメディアに出る時は、はあちゅうっていうキャラクターを使ってるんですけど、例えば授業参観に出るお父さんお母さんっていうのは、普段自分が見てるお父さんお母さんではなくって、何々ちゃんのお母さんっていう役割を演じているわけで。
でも同じ人が会社に行ったら、今度は何とか部長になって、部長としての振る舞いを求められたりとか。社長になったら今度は、不用意なことは言えなくって、自分の素ではこう言いたいけど、でも会社はこっちに沿わなきゃいけないから社長としてはこう発言するとか、逆に引っ張られてると思うんですよね。
それって面接の時も一緒で、素の自分はこんなでも、今は就活生として「面接官の前で振舞わなきゃいけない自分ってどんな感じだろう」って、ちゃんと自分の中でなりたい像を描いて、それを演じてるだけだと思うので。
常に私は演技をしていると思っていて、それによって伊藤春香ではできないことが引き出されてるのかななんていうことを思っています。
霜田:いいですね。確かに。そうですね。
はあちゅう:霜田さんもここ、就活のセミナーだから就活の話してるじゃん。でもゲスアワーだとモード変わって、ゲスアワーの霜田になってるでしょ。やっぱりこう人間っていうのは万華鏡みたいな感じで、見る面によって全然違うものだと思うの。
霜田:僕の母親がゲスアワーを見て、ショックを受けてましたからね。「こんな子だったっけ?」みたいな(笑)。母親の前では子どもとしてのプレイですし、会社いると会社員プレイですし。ありますよね。
はあちゅう:そう。大丈夫ですか? 答えになりました?
質問者:ありがとうございました。
はあちゅう:ありがとうございます。
自分の半径5メートルから就職先を探す
はあちゅう:もし何かあれば、最後1名だけ。はいじゃあ、お二人どうぞ。
質問者:貴重なお話ありがとうございました。はあちゅうさんと霜田さんのインタビューが載っている、Kindleの就職・転職の本を読んで……。
はあちゅう:マイナビ? あ、Kindleの!
質問者:読んだ中で、本日のお話にもちょっとあったと思うんですが、「今までの自分の延長上に働く姿があって、就職したからって何か変わるわけじゃない」っていうところがすごく心に残っていて。
就職先を決める時に、はあちゅうさんがJALのCAだったら、その中で話しができるかもとか、企業によっていろんな職種があって、いろいろな理由があったと思うんですけど。
今まで知らなかった、どういう仕事内容で働いているのかイメージできないような企業もいっぱいあると思うんですけど、そういうところは調べていたのか、調べなくてもわかると言うか、自分の中に知識があるようなところから選んでいったのかっていう、就職活動時代のことを教えていただけたらなと思っています。
はあちゅう:私はそれこそ半径5メートルからで、知ってる企業しか受けてない。でも何も調べないわけではなくて、自分が普段食べている好きな商品を作ってるところを、裏面のパッケージから見て知ったりとか、常に使ってるWebサイトはどこが運営してるのかなって見てみて、「あ、こういう会社があるんだ」って知ったりとかして。
いきなり岐阜県に行って林業を始めようとか、そういうことは思わないんですけど、普段自分が好きなものを作ってる会社だったらマッチングするだろうとか、自分は接点がある人たちがいる会社だったら、私にも働いてるイメージ湧くなとか、そういうところからレイヤーを広げていきました。
社会科見学としての就職活動
質問者:霜田さんはマスコミに絞っていたと思うんですけど、他のところに手を広げようっていう希望があったりとか、考えたりはしましたか?
霜田:僕は視野が狭かったのかもしれないんですけどあんまりなくって、結局受けたのはテレビ局のアナウンサーを中心としたマスコミだけだったんですけど。はあちゅうさんと一緒で好きなものを作っている会社は結構調べていて。
例えば、好きな映画の製作委員会に名前を連ねている会社を全部メモって調べて、会社説明会とかに行って、それで見えることもあるんです。「あ、この会社、制作委員会には入ってるけどDVD売ってるだけなんだ」とか、「劇場の運営をここが任されてるんだ」とか、「このPR部分だけここが任されてるんだ」みたいなことがわかってきて。
じゃあ自分にフィットするのはどこなんだろうって考えた時に「別にDVD売ることがしたいんじゃないんだよな」、「もっともっと中心地にいたいんだよな」みたいな感じで、調べて、見て、削っていったっていう感じではあるんですよね。
やっぱりその、受ける時はさすがにESの締め切りが被ってきたりすると、その労力をさける分って結構限られてくるので、その本当に行きたいところしか出さないようにはしてたんですけど。見る段階では、結構いろんなとこ見て、こういうベンチャーもあるんだとかで、それで社会科見学にはなりましたね。
質問者:ありがとうございます。
否定された気持ちを燃料に変える
はあちゅう:お隣の方。
質問者:SNSもいつも楽しませていただいています。本を読む中で、はあちゅうさんは就活の時も人間関係だったりとかご飯を食べたりとか、自分の趣味をすごい楽しんでいらっしゃって。
私は何か就活が目の前にあるとそれでいっぱいいっぱいになっちゃったりとか、人間関係もずーんってすごい沈んちゃったりとかして、今もきっとお仕事とか人間関係をすごいバランスよく楽しんでいらっしゃってると思うんですけれども、どうやってメンタルを保ってると言うか、持っていらっしゃるのか。
はあちゅう:ありがとうございます。私そんなにメンタル保ってないですよ。
霜田:保ててないですね(笑)。
はあちゅう:全然保ってないですよ。保ってる時っていうかさすがに今ここでは発狂しないから保てているように見えてるだけで、アップダウンはよくあるよね。
霜田:ありますね。僕その話は聞いてないですけど、Twitter見てるだけでおとといぐらいにもメンタルへこんでましたよね。
はあちゅう:そう。何かちょっとね。
霜田:見てない感のスタンプみたいな、スカーンってやってるやつ使ったりとか、LINE@に助けを求めようとして落ちてましたよね(笑)。「にゃー」って送ってみて。
はあちゅう:そう。ちょっとLINE@には申し訳ないことをしたね。500人の人にメンヘラして。
霜田:(笑)。
はあちゅう:心が折れてたの……(笑)。
はあちゅう:私そんな保ててないんですけど、保ててないお陰でそれを分析して本を書いてたりとか、保てていない私を、どうやったら頑張って生き長らえさせることができるんだろうかって(笑)。そういうことを考えることが書籍に結び付いてるんですよね。
就活中も、瞬間的に否定された気持ちになったりとか、「え、やばい。もう行く企業ないんじゃないの」みたいなことで、悔しい思いをしたりもするんですけど、なんかそういうのは、「もう絶対に、私を採らなかったことを後悔させてやろう」っていう燃料に変えてましたね。そう思うよね?
霜田:そうですね。
はあちゅう:何年後かに会った時、「伊藤先生」みたいになってて、「あ、御社落ちたんですけどね」みたいな感じで言えたらちょっと格好いいかなっていう、そういうふうに妄想力でやっていました。
あとは人間関係に関して言うと、私は超顔が広いとか全ての飲み会に行っいてるわけではなくて、仲のいい人と意味のある時間を過ごすことが自分にとって幸せなので、就活中もゼミの集まりとかはめっきり行かなくなって、自分の深い話を聞いてくれるようなお友達と「今就活どう?」とか話し合ったりとか。
ところどころで人間関係も変わっていいと思うので、「今、私はカタツムリみたいにこもる時期だから」っていうふうに、自分をオッケーにしてあげる。それが何かダメだとか、考え込まなくていいと思います。頑張ってくださいね。
質問者:はい。ありがとうございました。
3ヵ月後には笑い話にできる
はあちゅう:霜田さんはどうしてるの? 何かいつも明るいけど。霜田さんはいいよね。
霜田:ありがとうございます。
はあちゅう:今日の霜田さんっていうブログのコーナーを持っていて、そこに満面の笑みで霜田さんが送られてると、「何か今日もこの人、人生楽しそうでいいな」って思うんですけど。
霜田:そうですね。だから、はあちゅうさんがへこんでることがわかってる時に、自分の笑顔の画像を送るのはすごい心が引けますけどね。
はあちゅう:あ、そう(笑)? でもしょうもないことで悩んでるんですよね。だから3か月後とかには笑い話にできるんだろうなとか思って、どうやってネタにしようか考えながら潜伏しているんですよ。
就活でモヤモヤしたらKindleへ
はあちゅう:じゃ、そろそろ時間なので、今日は終わりたいと思うんですけど、また『ゲスアワー』っていうYouTubeだったりとか、今日のこの内容っていうのも、あとからWebにアップされると思います。
2人のTwitterなどで宣伝するので、改めて見返したいなんて思ってくださった方は、ぜひ見てください。あと今言ってくださった、就活のことに関する2人の本みたいなのがKindleにあがってるので、もやもやしてる時に読んでいただけたら本望ですね。
霜田:そうですね。早稲田祭で話した学生時代の話もKindle化される。
はあちゅう:そうです。予定です。
霜田:さっきの、『学生時代にやっておくべき10のこと』の話が、僕らで書き下ろし原稿を加えて、読みやすいように編集した上で、Kindle化される予定なので、ぜひチェックしてください。TwitterとかLINE@とかで流しますので。
司会者:霜田さん、はあちゅうさんありがとうございました。みなさん拍手で。
(会場拍手)
はあちゅう:どうもありがとうございました。
霜田:どうもありがとうございました。