大学時代にやって、転機になった10のこと

はあちゅう氏(以下、はあちゅう):これ、私たちの大学時代にやっといてよかったっていうような10のことって。

霜田明寛氏(以下、霜田):ほう。早稲田祭でしゃべったやつですね。

はあちゅう:そう。このテーマを早稲田祭で、去年の11月に2人でしゃべったんですけど。だいたいこういうことを私たちは大学時代にやって、転機になったねっていう話なんですけど。

この中で、どれも全部役には立ってるんですけど。そういう経験を整理できるのが就活のいいところなんじゃないかなと思って。大学時代にやっておいてよかったこととか、これからやりたいなとか、まだできてないなっていうことを、就活の自己PRとか、入りたい企業を考えるのに、すごい考えるよね。

霜田:はい。考えますね。

はあちゅう:「これやり残したな」とか、あるいは「これは大学ではできなかったから、この会社でやろう」みたいな。

セリフの引用を志望動機に

はあちゅう:ちなみに霜田さん、この中で特にやっておいてよかったこととか、就活でこれが役に立ったみたいなことありますか?

霜田:本質的なとことはちょっとずれちゃうかもしれないんですけど、映画を見てたことによって、セリフを引用してしゃべることができて、それはすごい説得力を持ってた気がします。

これ1冊目の『パンチラ見せれば通るわよっ?』って本に書いちゃった話なんですけど、3年生の9月が、アナウンサー試験の青田買いセミナーみたいなので、人生初の面接だったんですよ。その時に、「志望理由は?」みたいなこと聞かれるんですね。で、アナウンススクール通ってる人はスクールの練習のときに、みんな、「人を笑顔にしたくて」みたいなことを言ってて、「これ嫌だな」と思ったんですよ。

「そんなこと思ってないし」みたいに思って。それに本当はジャニーズになりたいから、面接で言えるような、アナウンサーになりたい志望理由なんてないんですよ(笑)。

はあちゅう:確かにね。頑張って作んないといけないね。

霜田:そう。でも頑張って作ると、「笑顔のために」とか言っちゃうなと思って、面接で「志望理由、ないですね」みたいなことを言ったんですよ。そしたら、「え?」みたいになって。その時ぱっと思い浮かんだのが、「僕まだまだ未完成なんですよね」って。

「だから、こう、社会のためになります、みたいな立派なこと言えないんですよ」って言ったんです。で、そこから映画の話をしたんです。「昨日、『ラフ』っていう映画観てたんですよ」って。『ラフ』って長澤まさみと速水もこみちのやつなんですけど、「そしたら何か、2人に渡辺えりが、『未完成こそがあなたたちの武器』って言ったんで」って。

「僕ちょっとまだ未完成なんですけど、頑張った結果、いつか完成形になって、社会にいい影響与えられれば嬉しいなとは思ってるんで、未完成を武器だと思って頑張りたいです」みたいなことを言うと、結構な倍率の中通ったんです。でもそれって僕が一人称で「いや、未完成って武器なんで」みたいなこと言ったら、超うざいじゃないですか(笑)。

「映画で渡辺えりさんが『未完成こそがあなたたちの武器よ』って言ってたんで、武器だと思って頑張ります」だと、こうスッと納まるんですよね。映画のセリフとかを引用できたっていう意味で、映画見まくったのは良かったなって思いますね。

はあちゅう:うん。

霜田:自分の思ってることを、他人の言葉やセリフを借りて言うみたいな。本とかもそうだと思うんですけど。

はあちゅう:でもそういうふうに取って引用したりとか、人の言葉が出てくるっていうのは、今の講演会とかでもスキル的にやってるだろうし。

霜田:そうですね。

全てはいつか絶対役に立つ

はあちゅう:全て役立ってるよね。何かこういうふうにしゃべってると、人生どんな事でも無駄はないんだなって思うんですよ。

霜田:そうですね。

はあちゅう:私の場合は、例えば恋をするとかも内容からいくと今の恋愛コラムにも役立ってるわけだし、私は恋をしたことによって、香港大学で留学した時に出会ったアンドリューっていうアメリカ人が、心理学の専攻だったんですよ。

その人からコーチングっていう、心理学を使ったモチベーションを高める方法みたいなのを習って、それをもっと極めたいと思って、世界No.1コーチと呼ばれてるアンソニー・ロビンズっていう人の、自己啓発セミナーとかに行くの。

霜田:おー。自己啓発界の有名な人ですよね。

はあちゅう:知ってる?

霜田:はい。

はあちゅう:そう。大統領とかにコーチングしてる人で、TEDとかにも動画あるんですけど、その人の3日間7万円とかのセミナーとか私行ってるんだよ。

霜田:おー。

はあちゅう:あのセミナーすごいよ。ちょっとこの話は長くなっちゃうから、そんなに詳しくはしないですけど。セミナーの中で、水鉄砲とかでわーってやったりとか、ダンスとかもするの。

そうしたらみんな、アメリカ人とか熱狂するんだよね。「俺たちは人生を変えるぞ」みたいになってて、「あー、これが自己啓発セミナーなのか」みたいな。超楽しかったんだけど。

霜田:インドの瞑想レッスンにちょっと通ずるところがありますね(笑)。

はあちゅう:それから、その自己啓発セミナーで出会った催眠術師さんが、「俺普段は50万円で資格取るみたいなことをやってるんだけど、お前日本から来てるし、アンソニーとのご縁だから5万円でいいよ」みたいな感じで言ってくれて、「じゃ、5万円なら取るか」と思って、催眠術の資格を取って。

その催眠術の試験のパートナーが、ジョン・マカフィーさんていう、McAfeeっていうウィルス対策ソフトを作った、アメリカではその人の名前がスタジアムに付いてるような、超レジェンドな人で、その人ともメル友になれたし。

それで、日本帰ってくるでしょ。催眠術のセミナーとかもやったりした時あったんだけど、就活でもやっぱり「催眠術師です」とか言ったら、「え? その話よく聞きたいよ」みたいになったし。

それずっと役立ってて、昨日ちょうど奥さんの妊娠がニュースになってたんですけど、鈴木おさむさんと一緒に催眠術を今勉強してるんですよ。

霜田:へー。

はあちゅう:おさむさんと普通に飲みにいけるのとかも嬉しいけど、一緒に勉強できるのとかってもっと嬉しいじゃん。その人をもっと詳しく知れる感じで。

「合わない」って入社前に言ってもらえてよかった

はあちゅう:そういうふうな、1回恋をしたことによって、それが自己啓発セミナー、催眠術、鈴木おさむさんっていって、どんどん積み上がっていくんですよね。だから就活とかやってると、どんどん鬱になってくるじゃん。

「これは何に役立つんだ」みたいな。「こんな会社のエントリーシート書いてられるか」とか、そういうのも絶対いつか何かで役に立ったりとかすると思うの。

霜田:そうですね。へこみすぎない方がいいですよね。

はあちゅう:そうなんだよね。就活で死にそうになってる就活生見る度に、こっちの胃まで痛くなるよね。

霜田:そうですね。

はあちゅう:「大丈夫だから、それぐらい」って思う。

霜田:ただ単に1人の大人に否定されてるだけですからね。

はあちゅう:実は否定もされてないかもしれないんだよね。うちの会社に合うかどうかだけだから。合わないっていうのは、入る前に言ってもらってよかったですよね。

霜田:そうですね。

はあちゅう:入ってから言われちゃったりとか、大変な人たくさん知ってるからね。

霜田:イケメンと付き合えたら幸せかっていうと、そうでもなかったりするじゃないですか。イケメンが好きな人もいれば嫌いな人もいるように、無理矢理付き合っちゃうと、私にはあわなかったっていうこともありますからね。っていうことですよね。

期待しすぎないことも大切

はあちゅう:そうなんですよね。イケメンの方がなまじ外見が良かったばっかりに、中のギャップにショックを受けるんだよね。「こんなにダメな奴だったの?」みたいな。

霜田:そうですね。今、僕、会社に期待してなかったからすごい毎日楽しいですよ(笑)。

はあちゅう:トレンダーズを若干批判してるよね。ディスってます?

霜田:いやいや(笑)。正直、入る時に、別に超入りたいと思ったわけじゃなくて、「あ、何か入れるかな? もしかして新しい世界が覗けるかもな?」くらいの感じで入ってるんで、会社に対する期待値はほぼゼロで入ったんですよ。

会社が自分をどうにかしてくれるとも思ってなかったし。そうしたらそれから起きることが全部楽しく見えて。思ったよりもいい上司に会えたし、いいじゃん! みたいな(笑)。

はあちゅう:そうかもしれない。最初フラットの状態だと、そのあと起こったことが全てプラスになるから、逆に高い状態から入ると「え、こんなこともしなきゃいけないの?」とか「残業代つかないじゃん」とか、マイナスばっかりみつけちゃうけどフラットな時はすごい上手くいくよね。そういう会社に入るのが正解かなと思う。

霜田:それも1つの手段かもしれないですね。

50年かけて会社に還元していく

はあちゅう:「2、3年後に辞めるぞ」とか思って入る就活は絶対おもしろくないと思っていて。

霜田:はい。

はあちゅう:キャリアって50年とかずっと続いていくものだから、だから自分のやりたいことからまず考えるっていうことを、今回のセミナーで伝えられたらなと。

霜田:例えばぶっちゃけ言うと、2、3年で電通やめてるわけじゃないですか。それを込みで50年先の未来を見据えるって話を聞きたいんですけど。入社するときにはずっと電通にいると思って選んではないっていうことですよね。

はあちゅう:いや、10年20年電通にいるつもりで入ったの。

霜田:あ、そうなんですね。

はあちゅう:というか、むしろ周りでベンチャーで起業したい人とかは「俺は元電通」っていうのを使いたいだけだから、2年で辞めるとか言って、私むかっとしたもんね。何でそうやって期限決めて入るんだろうって。そういうのって、会社に対して不誠実じゃん。

そういうのじゃなくって、自分はこの企業に対して誠実に付き合うっていう気持ちがあった上で、でもやっぱり人間だから状況って変わるんだよね。だからそういうふうに私はたまたま2年半で電通を辞めたけど。

でも去年は電通が合コンの形式で就活をやりますっていうイベントに出させてもらったりとか、元電通っていうことを上手く還元できるようになったらいいなって思ってるんですけど。

そういうふうに、例えば2、3年だけでキャリアを見ちゃったら、「いや、今電通辞めることは、入れてくれた人事の人に申し訳ない」とか考えちゃうんだけど、「でも私は50年かけて大きく返していくんだ」と思ったら、全て正解にしていけると思うので。

霜田:おー。

はあちゅう:トレンダーズに入ったことも、「すぐ辞めるんでしょ?」とか「いつ辞めるの?」ってみんなに聞かれてたんだけど、意外と長くいたでしょ(笑)?

霜田:意外と長くいましたね(笑)。

はあちゅう:みんなにすぐ辞めると思われてたから。

霜田:はい。

はあちゅう:でも、ちょうど去年タイミングよく辞めて、また今の自分のキャリアがあるっていうことを、すごくしっくりと受け止められているので。どんと構えてるのがいいと思うんですよね。

霜田:うーん。何か萎縮してみるのは良くないなって思いますけどね。

年齢だけで萎縮するのはもったいない

はあちゅう:自分が今、何をやったら楽しいんだろうっていうことを真剣に考えたら、そっちのほうが正解に近い気がしますね。

霜田:良い大人が周りにいるといいんですよね。面接して大人を意識しちゃう人って、年齢で上下関係を見ちゃうからだと思っているんです。そうすると、大学生は、社会人に比べると、自分は1番年下だし、何にもないって思っちゃうじゃないですか。

だから大学生としゃべってても、おもしろいことを持っている人って結構いて。僕本当におもしろいなこの人、すごい経験してるなって思っちゃうと、大学生に敬語になっちゃうんですよ。「マジですか」みたいな(笑)。

僕の中でのプライオリティは、リスペクトできるかどうかなので、そういうふうにおもしろいことを持っていると、年下だろうがリスペクトしちゃうんです。それは社会人に対して誇れるものだと思うし、全然出しちゃっていいのに、それを萎縮してることによって出さないで終わっちゃうと、すごくもったいないって思うんですよね。

はあちゅう:本当に共感します。

霜田:ただ、20年とかもちろん長く生きてる方は偉いんですよ。偉いんですけど、長く生きてるということだけで萎縮しちゃうと、出せるもん出せなくなっちゃうな、もったいないなっていうのは思いますね。

「夢がかなった場所は、新たなスタート地点」

はあちゅう:今すごい時間がいい感じなんですよ。就活生へのメッセージからの、私の本の宣伝っていうので、3時半になる予定だったんですけど、今すごいぴったりみたいな時間で。宣伝ですよ、これ。

霜田:そうですね(笑)。

はあちゅう:タイトル的に(笑)。みなさんに今日配った本に、今日話したことのエッセンスも書かれつつ、私が今人生に対して考えることとかを凝縮してみたので、もしよかったら見てください。結構Twitterとかでは、就活生が今読んどいてよかったとか、試験前の人が読んで、すごい試験のモチベーションが高まったって言ってくださるので、嬉しいなと思って。

霜田:これはいい本ですよ。はあちゅう史上最強の本だと思いますね。

はあちゅう:ありがとうございます。はあちゅう10年もやってるんですよ。大学1年生の18歳からで。そのはあちゅうっていうのがあって良かったなと思いますね。電通でキャリア考えてたら、電通の私は2年半しかいなくて、トレンダーズも3年弱で。

でもはあちゅう歴はもう10年以上になるので、これからの人生もはあちゅうとしてどうやって生きていくかっていうのを、すごい考えて突き詰めていくところだと思うので、今の自分も楽しいし、未来も楽しみですね。

霜田:就活生に言うとしたらあれですかね。117ページに、「夢がかなった場所は、新たなスタート地点」みたいなね。

はあちゅう:そうですね。

霜田:会場に4年生がいたんで、内定した人にはこのページを送りたいですね。

はあちゅう:本当ですか? 「夢が叶った瞬間からそれが過去の栄光になる」からですね。

霜田:そうですね。(笑)。

はあちゅう:大変ですよ人生は。その中で前向きに生きていくにはどうしたらいいんだろうってことを考えてみました。

霜田:はい。

制作協力:VoXT