「本当のお釈迦様の一生」を書きたい

副島隆彦氏(以下、副島):後はもう悟りたい。頭に絵があって頭で悟って死んでいこうと思って。

西村博之氏(以下、ひろゆき):悟りですか。

副島:半分ね。まあ、お坊さん、お坊さまっていうのもろくでもない商売だ。葬式仏教でさ、本当はね、だから分からないでしょ。お釈迦様が偉いのか、お坊さま、あんたが偉いのか、どっちという問題があるのですよ。

大僧正とか、教会の偉いお坊さまとか、どこが偉いんだおまえは、という話があって。私だってまだ九州の田舎にね、親父の墓があるから、一生懸命墓参りしてどうのこうのと思ったけれども、もうなくなった。

ひろゆき:ほう。

副島:ろくでもないもん、今の坊主たちって。茶髪のこんな、ろくでもないくだらない坊主が山ほどいるのですけど。

ひろゆき:茶髪は珍しくないですか。坊主で。

副島:いっぱいいますよ、今。

ひろゆき:あ、マジですか。へえー。

副島:できそこないの……。

ひろゆき:九州は先進的ですね。

副島:いやいや、東京なんかでもいっぱいいますよ。

ひろゆき:そうですか。へえー。

副島:だけどさ、本当はお坊さまって肉食、妻帯したらダメなんですよ。

ひろゆき:まあ、本来は。

副島:女と寝たらいけないし、お金に執着したらいけないのに。

ひろゆき:お酒も飲んじゃいけないですけどね、

副島:うん。だから、ビルマとかタイとかの本物の仏教のお坊さんはきちんとしていますよ、今も。

ひろゆき:まあ、でもあっちって小乗仏教じゃないですか。

副島:うん、小乗のほうが正しい。大乗はウソ。

ひろゆき:そうしたら、では、仏教的なことは一切しない感じですか。

副島:いやいや、私も仏教研究をやって、今から本当のお釈迦様の一生って本を書いてやろうかと思って。で、4日前まで中国に行っていたのですよ。

ひろゆき:そうなのですか。なんでまた。

副島:新疆ウイグルに、玄奘三蔵、三蔵法師がどのようにたどって、インドで修行して19年後に帰ってきたのですか。唐の西安に……。

ひろゆき:そんな、何か残っているのですか。

副島:残っていますよ、全部。

ひろゆき:何が残っているのですか。

副島:いや、あの仏典が。彼が書いた物と、大唐西域記という本が残っている。ただ、なんにも無いですよ。遺跡といったって、ここにお寺がありました、と。大雁塔というお寺がここにいましたという。

ひろゆき:三蔵法師って本当に仏典を持って帰ってきたのですか。

副島:450巻ぐらい持って帰ってきている。

ひろゆき:そうなんですか。

副島:あの時は、本当に偉かったらしい。真理の言葉っていうのがあってね、真理っていうのがあったと。だからインドからずーっと苦労して持って帰ってきたら、当時の中国人たちが死ぬほど拝んだのですよ。本気だったのです、あのころは。

真理の言葉というのは、真言というので、真言宗とかあるでしょう。私、インドにも行って調べたし、中国に行ったりネパールも行った。モンゴルも行って、モンゴルのチベット仏教はラマ教ですから。ずっと調べて分かったのは、真理の言葉ってたった一つ。「オム・マニ・ペメ・フム」というのですよ。

ひろゆき:何語ですか。

副島:いや、それはヒンドゥー語でしょう、もともと。「オム・マニ・ペメ・フム」っていう言葉をずっと何時間も唱えている。

日本に来たら「南無妙法蓮華経」とかね、「南無阿弥陀仏」になっちゃったわけ。もう、おかしいんですよ。世界基準ではどこに行っても、チベットに行ったら「オム・マニ・ペメ・フム」といって、同じ色調で。中国では、これは浦東側で、中国語で拝んでいましたから。同じお経っていうか、あの、般若心経みたいな。

ひろゆき:海を越える間に何があったんですかね。

副島:だから、玄奘三蔵が645年ぐらいに帰ってきて、習っている日本人が2人いるのですよ。

ひろゆき:直接ですか。

学ぶべきもの、素晴らしいものがなくなったアメリカ

副島:うん、名前が残っているの。ところが、空海上人と伝教大師最澄、これは京都の北のいちばん立派な、日本でいえば、今でいえば東大みたいな比叡山延暦寺を造った男なのだけれども、彼らが行ったころは804年とか805年だから、さらに150年後ぐらい。海を渡るだけでもいっぱい死んだのですよ。

それが井上靖って人の『天平の甍』っていう小説なのですね。拝みに行ったのだけれども、真理がそこにあるから。英語でpilgrimsというのだけど、巡礼なのですよ。

大きな巨大な文化の最先端のいちばん上のところに、貧しい貧乏な国のいちばん出来のいい、頭のいい野郎たちが、留学していくのですよ。ありがたいものを、技術、最先端の素晴らしいものを持って帰ってくるのですよ。それが人類の歴史なのです。

帝国と属国があってね、今の日本は、アメリカの家来で、奴隷みたいなもので、属国なのですよ。という本を17年前に書いたのも私。『属国・日本論』というのです。日本はアメリカの属国だ、そこらのオヤジでもみんな言いますよ。

しょうがねえ、仕方ねえとか言っているの。何が、仕方がねえかと。自分の国は自分で守るっていうたった一つの大事なことぐらい言えと。

ひろゆき:それは変えようとはしないのですか。

副島:変えようとするけどなかなかできないよ。

ひろゆき:何か爆弾を抱えてアメリカ大使館に突っ込んでみるとか。

副島:そういうのもまた出てくればいいんだけどね。いろいろやったのだろうけれども。

ひろゆき:冗談です、これ。

副島:いろいろやって、少しずつ何とか、ということはあるけれど、ただ、学ぶべきもの、素晴らしいもの、大変な富や美しさ。あればそこに拝みに行きますよ。もう無いもの、今のアメリカ。

ひろゆき:今はない。

副島:もうなくなった。だって若い人がアメリカ旅行をしないでしょう、もう。

ひろゆき:そうですか。

副島:もう行かないよ。

一代で這い上がるのは相当な悪人

副島:あとさ、お金持ちになりたいというテーマもあるのだろうけれども、簡単になれるわけはないじゃないかと。簡単にいうと、おじいちゃんとお父さんが金持ちで経営者で、悪い人間なのだけども、会社の社長になったような人の子どもは金持ち。貧乏な人は最初から貧乏。

ひろゆき:まあ、そうでしょうね。

副島:ただ、這い上がらなくてはいけないから、必死でね。私なんかも九州で這い上がってきてなんとかご飯が食べられるようになって、今は、本で何千万円か年収があるから、弟子たちを少し食べさせながらできるけれども。

貧乏が上に這い上がると、この20年間で何が起きたかというと、ネット起業の社長たちはみんな一代で這い上がったやつらなのですよ。しかし、西村君たちは生き残り組なのだけれど、あとはもうみんなつぶれてなくなったのですよ。青山のあたり、赤坂の辺りでネット起業を作ったやつらは。

ひろゆき:ですよね。

副島:みんな失敗しているよ、これは。あと食べ物屋のチェーン店か何か作ったやつらもね、従業員をいっぱいだましていっぱい安く12時間働かせてこき使って、一代で這い上がっている連中はいますよ。

ひろゆき:はい。

副島:いますよ、たくさん。しかし、相当な悪人ですよ、一代で這い上がっていくというのは。ほかはね、みんなオヤジとジイサンが偉かった。それは楽だったのですよ、そのころ金持ちになるのは。高度成長経済ですから。

世の中の流れに従って、ちょっと目先が利いて、大企業の言うことを聞いていれば、全国チェーン店のネットワークに入れたら、5億、10億、20億稼ぐのは楽だったのですよ。そして地方都市の駅前ビルが建つのですよ。それが最初建てた時は1億円でも、親子で10億円になって50億円になったのですよ。

バブルってそれなのですよ。経済が膨張するっていうのは、ボワーッて膨らむのですよ。ところが、逆が怖いの。バブルがパーンと破裂すると。

ひろゆき:はい。

金儲けの教祖的な存在に

副島:バブルバーストっていうのだけれども、逆に100億円が1億円、最後には消えるのですよ。だから日本は、バブルが破裂してどんどん、どんどん貧乏になっていった。しかし、10億円ある人は5億円、3億円。まだ2、3億残っているんだったらいいのですけどね。

ひろゆき:副島さんは、バブルの時はなんで乗らなかったのですか。

副島:私は金儲けに向かないし、金儲けに興味がなかったから。私は物書き、言論人ですからね。1冊1,600円の本で、1割の160円もらって生きているわけですよ。

ひろゆき:「こうやって儲けたほうがいいのだ」と言って、大儲けして、それを書いたほうが、もうちょっと庶民的には「わーい、憧れー」となるじゃないですか。

副島:いや、私は「こうやったらひどいことになるよ」って。「やがてバブルが弾けるよ」と3、4年前に当てちゃった人間ですから。

当てたから信用があるのですよ。「こうやって金儲けしろ」なんて言ったつもりはないのに。ところが、私を金儲けの教祖みたいに思っているやつがいっぱいいて。私の言うことが当たるから。だから信用があるのですよ。

ひろゆき:はい。

副島:だから、私は嫌なことばっかり書いてきたから、本に。「こうしたら危ないから気をつけなさい、そろそろ暴落しますよ」って。「今のうちに売って逃げなさい」と、そういうことばっかり書いてきたのに、もっと、こんなに恐ろしいのは、「いつごろ暴落しますか。先物で売りを仕掛けたいのですけれども、教えてください」っていうやつがいるの。やっぱり私は金儲けの教祖様みたいになっている。

アメリカ相手に戦える中国

ひろゆき:では、ちょっと、本の中からお薦めの、買ったほうがいいものを。

副島:いや、これは今日発売になる……。

ひろゆき:そうなのですか。また別の出版社の……。

副島『新たなる金融危機に向かう世界』とか。私は年に6冊本を出すのだから。

ひろゆき:そんなに出されるのですか。

副島:出す。いくらでも出す。ユーロ暴落はアメリカが仕組んだのだと。米国債を買わせるために、米ドルを守るためにやったと。次は中国が狙われるかなと思うと、あれっ。

ひろゆき:何か、中国は上げてきましたね。

副島:強い、あそこは。ものすごく強い。

ひろゆき:戦う気がありますからね。

副島:うん、戦える。日本人だけ根性無しだから戦えないの、もう。

ひろゆき:まあ、核兵器持ってないですからね。

副島:私は、別に核武装する必要はないと思いますけどね。なぜなら、自分で刃物を振り回すやつは手足を切るのですよ。自分の手足を必ず。危ないことはするなと。アメリカの家来でも属国でもいいから、徐々に力を蓄えて、自分のことは自分でできる国になればいいのだと。少しずつやればいいのだと。

ところが、中国がうんと豊かになって、10年前は汚ねえ国だった。もう本当に汚かった。20年前なんてゾッとするぐらい汚かった。5年ぐらい前から、ウワーッとすごいですよ。1年ごとに。上海だけで4,000本、50階建てのビルが建っているのですよ、こんなビルが。

ひろゆき:4,000本ですか。

副島:ちょっとボロいけど。

ひろゆき:4,000本ってちょっと多過ぎませんか。

副島:いやいや、ところが、関東台地、横浜、千葉まで入れても600本ぐらいしかないのでしょ。

ひろゆき:へえー。

副島:上海だけで4,000本、北京は3,000本、青島が2,000本、この前行った西安、昔の長安ね。そこでもね、500本ぐらいあったよ。

ひろゆき:それ、裏が木で出来たりしません。

副島:最初は竹で造っていてね、こないだも人が落ちたりしてね。

ひろゆき:たまにありますよね、中国はそういうのがね。

副島:今はもう、竹はなくなった。

ひろゆき:あ、本当に。

日本は中国の属国になるのか

副島:それで、いい加減なビルなのだけれども、ドイツ人が設計しているのだって。だから一応大丈夫で、20年ぐらいしか持たないから、また建て替えればいいのですよ。排水溝が使えなくなったとかね。

だけど中国のバブルの恐ろしさはね、中国は国じゃないのですよ、全体がヨーロッパと同じぐらいなのですよ。30カ国分の国なのです。だからアメリカを乗り越えていくのですよ。

だから、私が去年書いた『あと5年で中国が世界を制覇する』という本が8万部ぐらい売れたけれども、中国人民日報社という中国共産党の機関紙が出している所からの翻訳が出るのだけれども。私は、別に中国や北朝鮮の手先ではないのだけれども、まあ同じアジア人同士、けんかしないで仲良く生きていけばいいのだと。

そうすると、保守言論人といわれている連中がいて、櫻井よしこや岡崎久彦、中西輝政とか、私は大嫌いなのだけれども、彼らは「日本は中国の属国にさせられる」とか言いだして。おまえら、その前に日本はアメリカの属国だということを認めろと。どこが対等な日米関係なのだと。

ひろゆき:保守の人はアメリカの属国はいいけれども、中国の属国は嫌だと。

副島:そう、はっきりそう言いますよ、今は。

ひろゆき:それは中国好きということだと、左翼になるのじゃないですか。

副島:だから、左翼がみんな嫌われていますよ。左翼は現実味がないから。貧乏人も皆平等とか言うから、結局、人間が皆平等というのは作れないのですよ。きれいごとなんですよ。だから、敗れていって、自分たちも貧乏のまま終わっていったのね。

僕の友達や先輩たちには左翼がいっぱいいたから、人生が終わっていったのですよ、かわいそうに。でも、反体制というのはそういうものなのですよ。だから、反体制の良さはウソをつかないことなのです。貧乏で終わっていくのだから。

牢屋で終わってしまったり、死んでしまったりね。しかし、それは嫌だから、私はテレビ局や新聞社にいっぱい潜り込んでいったのですよ。大学教授になったりとかして。みんな、知らん顔しているけれども、今60歳ぐらいのジジイ、ババアは左翼がいっぱいいたのだから。名指しして全部リストにと思っているの。ウソつきなのです。

ひろゆき:左翼リスト、はい。

副島:それで、右翼、左翼と君たちは言うけれども、日本共産党系の戦前からの左翼と、僕たちみたいないわゆる新左翼と言われたバカガキの過激派とかいわれているような連中と、大きく2つに種類が違うのですよ。

ひろゆき:そうなのですか。

副島:カトリックとプロテスタントが違うようなものなの。けれども、まあ貧しい人を大事にとか、虐げられた人たちを大事にという思想は、これはこれで残り続けるのですよ。これをバカにしてはいけないのです。

ただし、現実味は無いのね。誰も人を助けることなど簡単にできないのだから。だから、制度を変えようというだけであって。それで朝日新聞は左翼の総本山だったのですけれどね。船橋洋一という悪い野郎がアメリカの手先になって、朝日新聞をおかしくしてしまった。これで、もう左翼が日本にはいなくなったのですよ。