金融商品はすべて"博打"

西村博之(以下、ひろゆき):なんで生命保険を買うのか、僕はいまだに分からないんですよね。

副島隆彦(以下、副島):いや、私も入っていますよ。

ひろゆき:入っていますか、えー。ここまで話しておいて、何だったのですかその見解は。

副島:ほら、私は銀行業を30歳までしていて、真面目に生きてきた人間だから社会の枠組みをわりと認めていてね。私は、危ないことばっかり書いている人間だから、いつ殺されるか分からないから、うちの奥さんが1億5,000万円ぐらい入っているのですよ。

私が死んだら生命保険が入るわけでしょ。自分で自殺したらなかなか払いたくないですよ。しかし、事故やら殺された分には払ってあげるようになるから、私の場合は可能性が高いから入っておいたほうがいいのです。

ひろゆき:でもその本の論理でいくと、例えば生命保険会社が破たんしましたとか、あと支払わなきゃいけないのに支払いを渋ったりというのがあるわけじゃないですか。

副島:そう、渋る。いざとなると払わない。

ひろゆき:それで、しかも旦那さんが亡くなっちゃって、奥さんがてんてこ舞いの状態で、生命保険会社が「いや、支払わないよ」と言ってもめるのは、すごく面倒くさいじゃないですか。

副島:はい。

ひろゆき:そうしたら、その分を今ごろから積み立てておいて、奥さん名義の貯金にしたほうが良くないですか。

副島:そうだけど、例えば月4万円ぐらい払って年間50万円でしょ。10年払っても500万ですよ。でも保険金は5,000万円なんですよね。

ひろゆき:まあ、死ねば。

副島:そうそうそうそう。だから、博打なんですよ。金融商品はすべて博打商品。

ひろゆき:それは、なんか奥さん的には「ああ、死んだほうが得だなあ」という計算に……。

副島:ええ、そう思っていると思う、私の奥さんは。

お金とは「汚さときれいさが交じり合った脂身」のようなもの

副島:ただ、子どもが小さい時は働けないし、子どもと家族の生活のためにとかいって、戦争で兵隊さんが出ていく時に出来た制度なのですよ。ところが金融っていうのは魔物でしてね。お金っていうのはね、人間にとって恐ろしいもので、血液といっしょでね、本当は汚いものなのだと思う。

ひろゆき:そうなのですか。

副島:ただし同時に、お金で解決するっていうのはね、もう非常にいい考えで、お金は汚いのだけど、本当はきれいなものでもあって。

ひろゆき:どっちですか。

副島:うーん、その2つがグチャグチャに混ざったのがお金でね、脂身といってもいいのでしょう。デブのもとだから脂身なんかは無いほうがいいけれども、デブだから。デブは嫌われるに決まっているのだよ、今の時代は。ところが脂身もなきゃいけないらしい。

ひろゆき:まあ、一定量は。

副島:私もだんだん太ってきてね、食べてばっかりいるからダメなのですけれどもね。

ひろゆき:そうなのですか。その、銀行とか生命保険会社を信用しないのかしているのかが、今ひとつよく分からなかったのですけれども。

副島:ユダヤ人が作った、人間にとってどうしてもなくてはいけない制度なのでしょう。

ひろゆき:でも、無尽とかはユダヤ人発じゃないじゃないですか。

副島:無尽講っていうのは日本的なもので、どこの民族の中にもあるものね。みんなでお金出し合ってつぼの中に入れて、つぼの中に手を突っ込んで当たった人がそれを使えるという。東京無尽というのが、東京相互銀行になっていったのですよ。

ひろゆき:相互会社ですね。

副島:だけれども、金融というのはね、恐ろしいもので、企業が発展するとか個人が何かビジネスをやったり、事業をやる時にはどうしても必要なのですよ。それでグルグル回っていくのね。

それは、おじさん、おばさんから借りたお金では済まないのですよ。人間関係を1回断ち切っておかなければいけないのですよ。第三者が入らないと、大きなお金って動けないようになっているのですよ。

ですから、それは利子っていうか利回りとかね、配当とかで。それを狙って、狙うっていうかね、昔は年率5%ぐらいの金利が付いたから、1億円あれば500万円入ったのですよ。

ひろゆき:年間に。

副島:ということは、おじいちゃんおばあちゃんが、どうかすると1億円の財産があれば、500万円入るから、それで何とか年間暮らせたのですよ。今は0.1%ですからね。1億円あっても10万円しかもらえないのよ。

ひろゆき:でも、物価は毎年下がっているじゃないですか。

副島:だからね、物価は下がってデフレ経済ほど老人は暮らしやすいっていうのは本当らしい。しかし、元本割れしていないからね。

「暴き系言論人」が暴く政治評論家の裏

ひろゆき:本当らしいっていうのは、副島さんが自分をどこに置いてるかが気になるんですけれども。

副島:私は、より正しいらしいところに自分を置いていて、ただ私はあまり自分が正しいとは言わなくて、なるべく嫌なところ、つまり人たちが言わないところ、嫌われるところ。闇の世界とかそういうのは嫌いなのですね。

ひろゆき:はい。闇の世界。

副島:なるべく正しくないこと、裏側をのぞきたいというかね、私の「暴き系言論人」という事情、真実しか信じないというのと。普通テレビ、新聞で偉そうに言われていることは、みんなウソだと思っていますから。

ひろゆき:でもテレビはご覧になる。

副島:いや、観ません。

ひろゆき:観ないんだったら、ウソかどうか分からないじゃないですか。

副島:いや、だから昔、私だって7、8年前までは、たまにテレビに出ていたのよ。言ってはいけないことをしゃべっているのですよ、一言。もう使ってもらえなくなるわけね。私より先にデビューしてテレビ芸能人みたいになった人はたくさんいるのだけど、でも、20年待っていると、いつの間にか彼らもダメになっているのね。

それで、本田(悦朗氏)だって政治評論家や何かになっていたって、新聞記者でも何でも内閣官房機密費みたいな裏金もらっていて、汚いことになって。いったん300万、500万をもらっているとね、もうおしまいなのですよ。宮崎哲弥なんて悪い野郎でね。

ひろゆき:宮崎哲弥さんも、もらっているのですか。

副島:当たり前でしょう。だから出てこられなくなっているよ。ごろつき評論家だよ、あいつ。

ひろゆき:ほかにもらっている人がいれば教えてもらってもいいですか。

副島:誰。名前を言ってごらんなさい。

ひろゆき:いや、そこは知らないので、知っていたら教えてもらいたい。

副島:ほとんどもらっていますよ、テレビに出ているような人たちは。

ひろゆき:そうなのですか。

副島:テリー伊藤なんか居直っているじゃないですか。

ひろゆき:テリー伊藤さんもそうなのですか。

副島:当たり前ですよ、みんな。国家のお金……。

ひろゆき:三宅(久之)さんも、もらっていましたね。

副島:三宅のジジイなんかどうだっていいのですよ、あんな人なんてもう死ぬんだから。それより若いやつらも、みんなもらっている。あと、テレビ局、新聞社の幹部になっている政治部記者上がりのエリート幹部社員どもは、みんなもらっている。薄汚れた集団なんですよ。

もう徹底的に国家のお金ですよ。30万、50万、はいって。最初はね、背広代とか言ってくれるわけ。それで、取り込まれていくわけね。そして、政府や国家の悪口を言えなくなるのですよ。汚れまくっているのですよ。そのことの自覚がないのに、今回ハッと少し気づいたみたいなの。

そのメールのリストが出てきちゃったら、「いや、私はもらっていません」と言ったって「いや、リストがありますよ」って言われたら、ウソつきになっちゃうでしょう。だからみんな、だまっているのですよ、今。

ひろゆき:確かに、全然話題にならないですね。

副島:させないようにしていますもん。

ひろゆき:何か、もうちょっと世間で話題になってもいいかなと思ったのですけれども。

官僚は国家の寄生虫

副島:だから、上杉隆が頑張っていて、「リストを出す出す」と言って、ぼやけたリストしか出さないけれども、はっきりおまえ出せばいいじゃないかと。国のお金なんだと。

ただし、個人と個人、民間同士のお金のやり取りは自由なんですよ。だってそれは、「あんたにあげるから」と言って500万円あげたっていいのですよ。別に税務署なんてどうだっていいのです、あんなやつらは。私は大嫌いだからね。

そうすると、別に、お金がね、売上だろうが利益だろうがいいんですが、国家のお金というのは、ちょっと大変なのですよ。それはね、賄賂というか、涜職罪っていうのだけれどね、刑法学では。これは犯罪を構成する……。

ひろゆき:でも、官房機密費というのは、基本的に何に使ってもいいのじゃないですか。

副島:だから、領収書が出ないっていうのだから、何に使ってもいいのですよ。

副島:それで、税務署が調べろと言っても、税務署は、国税庁は政府の手先だから絶対に調べないですよ。調べなきゃいけないのですよ、本当は。だから、それはね、申告していなければ、脱税という言葉は使いたくないけれども、申告し直しなさい。

ひろゆき:贈与税。

副島:そうそう、贈与税を払えと言わなければいけないのに、絶対言いませんよ。国税庁長官以下。汚らしい野郎たちですから、こいつらみんな。官僚というのは、もうどうしようもない人間たちなの。「官僚がいなければいけない」とかね、何を言うかって。

おまえらなんか、国家の寄生虫なのだと。チュウチュウチュウチュウ血を吸っていてね、パラサイトって英語で言うのですよ。寄生虫。皆殺しにするべきだと私は思っていて。

ひろゆき:そうしたら、税金集める人誰一人いなくなっちゃいますよ。

副島:無いほうがいいんです、税金は。

ひろゆき:そうしたら、警察官とか給料払えないじゃないですか。

副島:だから、必要最小限度の自衛官と警察官を10分の1まで減らせと。

ひろゆき:はい。そうしたら税務員も10分の1に減らすと。

副島:そうそうそう。全部減らして自己申告納税制にして「私はこれだけ稼いだから、今年は200万円を税金で払う」と。

ひろゆき:自己申告納税制なのですか。

副島:いや、本当はそうなのですよ。本当は、税の基本は納税申告制度というんです。だから税務署員が払え払えなんて言えないのですよ。

ひろゆき:それは、でも、ウソをつく人がいっぱい出てくるじゃないですか。

副島:ウソつくのが当たり前じゃないですか。

ひろゆき:はあ。

副島:お金払いたくないもん。

ひろゆき:そうですよね。

副島:なのに、無理やりでも払わされるのですよ。

ひろゆき:はい。でも、それはみんながウソをついたら自己申告制って成立しないじゃないですか。システムとして。

副島:いや、だけど、1億円稼いだら、500万円ぐらい納めていいかと。

ひろゆき:たった500万でいいんだ。

副島:緩やかなものなのですよ、本当は、国家っていうものはね。

ひろゆき:ほう。

副島:道路代とか安全保障とかゴミの収集とか、いろいろあるからというけれどもね。公務員がいくらいると思いますか。1億2,600万人の国で1,000万人がいるのよ。

ひろゆき:そんなにいるのですか。10%。

副島:はい。それで家族まで入れてごらんなさい。2倍3倍。

ひろゆき:家族は別に入れなくていいのじゃないですか。公務員じゃないから。

副島:けれども、国のお金で食べているのだから。

ひろゆき:はい。ちなみに、僕は公務員の息子なのですけれども。

副島:でしょう。国税。

ひろゆき:はい、国税員の息子です。

副島:私もね、税務署と戦ったりして、今、必要悪だとか、世の中のために必要だっていうけど、最小限度にしてくださいと。消費税を10%に上げるなんてとんでもないと。もっと貧乏な人はもっと景気悪くなる。商売人もみんな嫌いですよ、そんなもの。しかも消費税はね、消費税を受け取ったお店が申告しなければいけないでしょ。税務署に。

ひろゆき:はい。

最小限度の福祉を

副島:税務署の代わりにさせられるのですよ。おかしな制度でね、付加価値税ってヨーロッパで始まったのだけれど、やはり、なるべく税金は取らないのが基本でね。それで福祉、福祉というけれども、福祉のために国家があるとかいうけれども、最小限度にしてくださいと。

あと、じいさん、ばあさんはもうなるべくサッサと死なせなさいって。あんまり長生きされると、もう老人介護でみんな大変なのだから。

ひろゆき:そうですね。

副島:私のおふくろも85歳でまだ生きていますけれどもね。いい加減にしなさいよって言いたいけれども。

ひろゆき:それはなかなか言えないのじゃないですか。

副島:いや、もう私でも言えないけれども。

ひろゆき:ええ。

副島:この間言っちゃったよ。

ひろゆき:言っちゃったのですか。

副島:だけどね、戦中派だから強いんだ。なかなか死なないんだ、こいつが。

ひろゆき:いや、今の発言で、副島さんがなんで敵が多いか何となく分かってきました。

副島:ああ、そうですか。

ひろゆき:そっかあ。

副島:昔は、30年前までは老人介護とかなかった。老人問題がなかった。だから、老人は暗い部屋に追い詰められて、いつの間にか死んでいるのですよ。今はもう死ねなくなっちゃって。

ひろゆき:そういえば、今日は何か30年前に死んでたというのが、ばれた話がありましたね。

副島:ああ、そう。

ひろゆき:足立区で、日本でいちばん最高齢の111歳の人、調べたら30年前に死んでいたという、その間ずっと年金もらっていたという。心温まる話……。

副島:それは誰かがもらっていたの。

ひろゆき:家族が。

副島:ああ、やっぱりな。

ひろゆき:はい。

副島:でもね、もう返せって言わないですよ、そういう話は。

ひろゆき:一応搾取で警察入ったみたいですけど。

副島:そうですか。

ひろゆき:ええ、さすがに30年は。

副島:国のお金だからね、分かっていてやったら。

ひろゆき:数千万円レベルの話なんでね。

失敗に終わったマネタリズム

副島:ですからね、いろんな人がいるのだけど、負担が若い人にかかっちゃいけないのですよ。若い人に職が無いというのはね、国の政策の間違い。働きたいのに職が無いという。

世の中は「おまえに能力が無いからだ」「ちゃんとした大学に行かなかったからだ」とかね。「おまえが努力しないから、おまえが貧乏やフリーターになるのは自分のせいだ」というのは、私は真実だと思いますよ。

しかしね、やっぱりここまで貧乏になるとね、日本の国も。建物はなんだかんだ立派だけれど、若い人に国がきちんとした職を、チャンスを与えることができないのは政策の間違いです。

ひろゆき:それは、もう政策がチャンスを与えるのじゃなく、国の方もある程度大きな規模で何かをしなきゃいけないのじゃないですか。公共投資をする……。

副島:だから、公共投資を一生懸命やればいいのに、アメリカがお金をふんだくって持っていくのだもん。

ひろゆき:ほう。でも公共投資をするのだったら、やはり小さな政府より大きな政府にしなきゃいけないのかな。税金をいっぱい集めなきゃいけなくなる。

副島:そう、あなたの言う通り。それが経済学の基本ですけどね。

ひろゆき:はい。

副島:ただし、大きな政府の反対の小さな政府がいいと言い続けた、ミルトン・フリードマンというシカゴ大学の学者が、本当はとんでもない食わせものだった。マネタリズムっていうのだけれどもね、金融政策を中心にした経済学は、もうこの間終わったのですよ。

ひろゆき:終わったのですか。

副島:終わったの。

ひろゆき:なんでまた終わったのですか。

副島:それは大失敗したのですよ。アメリカのニューヨークで。金融政策ばっかりで、お金の量、お札の量、債券の量、国家借金証書である国債っていうものを出し入れしながら国が回っていくと思ったのです。しかし、結局ダメだった。