このグラスの水がどう見える?
ネガティブ思考から抜け出すための、超簡単トレーニング

Getting stuck in the negatives (and how to get unstuck) #1/2

一度ネガティブモードに入ると、そこからポジティブな状態まで持ち直すのは難しい--これは誰でも経験があるのではないでしょうか。社会心理学の教授としてこの現象を実証したUCデイビスのアリソン・レジャーウッド氏が、ネガティブ→ポジティブへと思考をすぐに移行させる、簡単なトレーニングを紹介しました。(TEDxUCDavis 2013より)

ポジティブよりネガティブのほうがこころに残る

アリソン・レジャーウッド氏:今日は人の思考がどのように働くかについてお話したいと思います。私はこのことについて考えるのが大好きです。私は社会心理学者です。つまりプロの人間観察者ですね。私の仕事は人がどのように考え、どのようにその考え方を良くするかについて研究することです。

私の学者としての典型的な日々は、論文を書き、それを発表することを目的として成り立っています。こんな感じです。棒人間が私です。論文を学術誌に提出し、それが紙面に載ることに決まると、

このベースラインから一気に興奮が高まります。そして同じ日のランチタイムになると、その興奮は冷め、平常心に戻ります。しかしその数日後に、やはり論文は載らないということになれば気分は最悪です。

しばらくの間、論文が選ばれなかったことばかり考えてしまいます。

しかも例えば翌日、私の他の論文が他の場所で掲載されることに決まったとしても、その前に他の学術誌から拒否されたことが頭から離れないのです。なぜでしょう? なぜ上手く行かなかったことのほうが成功した記憶よりも記憶に深く残るのでしょうか?  

グラスに入った水は半分空? それとも半分いっぱい?

数年前から「人はネガティブなことに集中しがちなのではないか?」というテーマで研究をしてきました。物事は様々な風に捉えることが出来ますね。例えば全く同じ量の水が入った水を、「半分空」と見るか、「半分いっぱい」と見るか。

社会科学の分野では、半分水の入ったグラスを人が「半分空」か「半分いっぱい」と捉えるかで、その人の感じ方が違うことについて多くの研究が成されてきました。「半分いっぱい」と描写する人の考え方は「Gain Frame(ポジティブにフォーカスする)」です。彼らは得たものにフォーカスしますので、半分水が入ったグラスを良いものと捉えます。

しかし同じグラスを「半分空」と描写する人は

「Loss Frame(不足にフォーカスする)」ので、グラスが満杯ではないことを不満に感じます。

私達はこの二つの考え方のフレームワークをスイッチしたらどうなるのかを研究しました。人は自分の考え方を「半分いっぱい」と「半分空」の間を自由に行き来させることが出来るのか? それともひとつの考え方しかできないのか。つまりひとつの考え方に凝り固まってしまうのか。

一度不信感を抱けば、その不信感は拭われない

これを検証する為にシンプルな実験をしました。実験参加者達に、新しい手術法を見てほしいと言い、ランダムに二つのグループに分けました。最初のグループにはプラスの言い方をして説明しました。「この新しい手術は70%の成功率です」と。

もうひとつのグループにはネガティブにフォーカスし「30%の失敗率である」と説明しました。全く同じ手術ですが、二つのグループのひとつには「半分いっぱい」、もうひとつのグループには「半分空」ということにフォーカスして説明したのです。

当然、70%の成功率であると説明を受けたグループのほうがこの新しい手術を良いものであると見なし、30%の失敗率と説明を受けたグループはそうは考えませんでした。

そしてそこに少しだけ仕掛けました。最初のグループに、「逆に考えれば30%の確率で手術は成功しないということですね」と言いました。すると、彼らは意見を変え、その手術は良くないものだと感じるようになりました。

そして最初に30%の失敗率だと説明を受けていたグループは、「逆に言えば70%の確率で成功するということですよね」と語りかけても、「その手術は危険だ」という彼らの意見は変わりませんでした。

彼らが最初に抱いた手術に対するネガティブな印象が消えることはありませんでした。

もうひとつ実験をしてみました。ここでは、ある州の現知事が、ライバルと再選を競い合っているという話をしました。また実験参加者を二つのグループに分け、その知事について二つの異なったアプローチで説明をしました。

この知事が就任した当時、州の予算削減で10,000の人がクビになろうとしていた。最初のグループには、このうちの40%の人が仕事を失わずに済んだ、というシナリオを用意したところ、こちらのグループはこの知事に好意的でした。

もうひとつのグループには、60%の人がクビになったというシナリオを用意。彼らはその知事はとんでもないダメな奴だという印象を抱きました。

ここでもそれぞれのグループに別の見方を与えてみます。最初のグループには、「見方を変えれば60%の人が仕事を失ったということですよね」と。すると彼らは、この知事はダメな知事だという風に意見を変えました。

もうひとつのグループに、「でも40%の人々はクビにならずに済んだということですよ」とアプローチしても、最初の実験結果と同じように、彼らが抱くこの知事に対するネガティブな見解に影響を与えることはありませんでした。

ネガティブにフォーカスしすぎる私達人間

この実験結果から分かるのは、一度人の考え方がネガティブな方向に行くと、それに対してポジティブに考えることが出来なくなるということです。一度知事が多くの人が仕事を失う状況を救うことが出来なかった、あいつはダメな知事だと信じれば、もうそこからその意見が変わることはないのです。

なぜなのでしょうか? ポジティブからネガティブにマインドシフトするよりも、ネガティブな見方をポジティブに変えることのほうが難しいのでしょうか? 私達は、人の考え方がどのようにシフトするのかを知る為にもうひとつの実験をしました。

今度は、原因不明の病気が広まり600人の命が危険にさらされていると仮定し、最初のグループには「そのうちの100人の人が助かったとしたら、何人の人が命を落とすでしょうか?」、もうひとつのグループには「100人の人が命を落とすとき、何人の人が助かるでしょうか?」という風に質問をしました。

実験参加者の誰もが600-100という簡単な引き算をして答えを導き出します。

500人です。ひとつのグループはポジティブからネガティブを、もうひとつのグループはネガティブからポジティブを引き算するというのが違いです。私達はこの簡単な引き算の問題を解くのに実験参加者がどのくらいの時間を要したかを測定しました。

結果、ポジティブからネガティブを引き算したグループは、素早くこの問題を解きました。平均7秒です。しかしネガティブからポジティブを引き算したグループは約11秒かけて問題を解きました。

これが意味するのは、一度私達の考え方がネガティブに定着すると、その考え方を変えるのは容易ではない上に、私達はそれを変えたがらないのです。

私が研究を通じて学んだのは、私達の世界の見方はネガティブに偏りがちであるということです。ポジティブからネガティブに移行するのはとても簡単ですが、ネガティブからポジティブにシフトするのはなかなか難しいのです。良い側面にフォーカスして、ポジティブに考える為には、私達自身が努力せねばらないのです。これはとても重要な問題です。

経済を考えてみてください。青は2007年から2010年までの経済状態です。一時落ち込んだのは、皆さんも覚えている通りです。2010年までに景気はほぼ回復しました。赤が消費者の自信のレベルです。景気が悪くなると消費者の自信のレベルも下がります。そしてそれは低いレベルのままです。景気が回復した青の線レベルまで戻ることなく、消費者は心理的に不景気から立ち直ることが出来ていません。

景気を変えるというよりも、私達が景気について抱いている考え方を私達自身が変えなければならないということです。

ポジティブにフォーカスするよう自分を鍛える

個人レベルに研究を応用すると、ポジティブな側面を見る為には自分で自分を変えなければなりません。そしてそれを上手くできるように自分自身を鍛えることが可能なのです。UCデイビスでの研究で、毎日数分間自分がありがたいと感じること、感謝していることについて書くと、幸福度とこころの安らぎのレベル、健康までもが劇的に促進するという結果が出ています。

良い知らせを皆と共有するのも良い方法です。人は悪い出来事、惨めな出来事が起きたら、人に話し、慰めてもらって、それですっきりすると思いがちです。最悪な上司について、折り返し連絡をくれない友人ついて、最悪だった会議について話し続け、一日の間に起きた嬉しかったこと、楽しかったことについて話すのを忘れていませんか?

私達はこのようにネガティブなことばかりにフォーカスしないよう、マインドを訓練していく必要があります。

他人についてどうすべき、こうすべきだと文句を言う傾向がある私の話を聞き、ある日夫が「そっか。でも今日一日で何か良いことはなかったのかい?」と言いました。そこで、授業の後にある生徒がとても興味深い質問をしにやってきたこと、突然ある友人からただ「元気?」と様子をうかがうメールが届いたこと等を夫に話し始めると、私はいつの間にか笑顔になっていました。

すると、色々あったけど今日一日は良い日だったのかもしれない、と思えるようになりました。

コミュニティの中でもポジティブにフォーカスしていれば良い方向に向かうはずです。ネガティブなこと、悪いことが人の頭の中に残りやすいということをしっかり認識しておきましょう。たった一言の嫌味が、それを受けた人の頭の中にその日一日中、または一週間の間残るのです。

そしてそれは悪循環になりがちですよね。嫌味を言われた人が、そのことが頭から離れずにイライラし、他の人に八つ当たりする、そして八つ当たりされた人が他の人に八つ当たりする。

しかし、もしも誰かに嫌味を言われたり、八つ当たりされた時にその人を許すことが出来たら? レストランで愛想のない、嫌な感じのウエイトレスにテーブルを担当された時、少し多めにチップを置いていったとしたら? ネガティブの悪循環を止められるのではないでしょうか。

私達のマインドは人生におけるネガティブを自分自身で無意識に探してきて、そのことばかり考えるようになっているのかもしれないですね。皆さんが意識してそれを変え、グラスに入った水が最初に思ったよりもいっぱいだと見ることが出来ますように。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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