2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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長谷川:なるほど。今、いろんなIT企業さんも大きく成長されている中で、市場に出てから高い利益を求められて、ある意味「軸」を失ってしまってる会社さんも結構出てきているなと思ってるんです。
サイバーエージェントさんは「21世紀を代表する会社を作る」というビジョンがあって、そのビジョンに対してどういう……ビジョンが実現できてる状態って、社員さんはどういう状態をイメージされてるんですか。
藤田:あえて、ビジョンは「21世紀を代表する会社を作る」と、ちょっとぼやっとさせてるのです。「どういう会社ですか」って具体的に聞かれるんですけど……(笑)。
長谷川:ちょっと困っちゃうと(笑)。
藤田:あえて具体的に言ってないんですよ。それは変化に対応できるようにとか、我々のやることを狭めないようにとかが狙いなのですが。
根底にあるのは「インターネットで世界を○○」とか、「このプロダクトで世の中を変えたい」とかそういうことじゃなくて、「素晴らしい会社を作ろう」っていう。会社づくりがビジョンのベースにあるので、そこは正しく理解されてる感じがしますよね。もっと良い会社にしよう、もっとすごい会社にしようとみんな思っているので、そこはブレないなという気がします。
長谷川:皆さんが思われる会社づくり、「良い会社を作っていこう」ということを実現するために、いま重要課題になっているというか、もう一段上がった良い会社にするために解決したい命題って、どのあたりに設定されてるんですか。
藤田:一番は、やっぱりグローバルに成功させなきゃいけない。今、売り上げの9割が国内ですから。ただ、グローバルに成功するためには技術力、デザインなどのクリエイティブ、その2つがすごく強くならないとどうしようもないと思ってるんです。
営業力とか、言語(の違い)が関係する編集とか、そういったものはなかなか国境を越えづらいので、どの国の人でも使ってもらえるような技術であったり、どの国の人でも素晴らしい・美しいと思えるようなプロダクトを作らないといけないんですけど。グローバルに展開させるための必要条件として、技術力は十分強くなってきてると思うんですけど、世界基準から比べるとまだ厳しい状況です。
特にスマホになって、インターネット史上初めてと言っていいほど、クリエイティブが勝負どころになっていますよね。今まで、クリエイティブが競争力になったことはネットの歴史の中であんまりないんですよ。
PCで良いサイトっていうのは、グーグルだったりヤフーだったわけですから。要は、頑張れば頑張るほど企業のFLASHバリバリのホームページは(ユーザーに)見られなかったんです。あと、ガラケーのときはクリエイティブなんて、やりようがないようなものだったじゃないですか。
長谷川:そうですね(笑)。
藤田:それがスマホの普及によって、インスタグラムのようなスタイリッシュなサービス、LINEのスタンプのような圧倒的なクリエイティブ、ソーシャルのカードゲームのアート、そういったものがそのまま競争力になりました。クリエイターが活躍できる余地っていうのが今まではあまりなかったので、急に必要になってきた。この数年あわてて強化しています。
長谷川:海外展開で考えたときに、一時よりも今サイバーエージェントさんの展開の勢いがちょっと抑えめになっている印象があって。
藤田:いやいや、当社は割とマイペースでやってますよ。それよりも、やっぱり業界全体に「海外でしょ」っていう空気が作られた時期が、一昨年くらいにあるんです。私は、ネット業界の仙人のような予言として「みんな帰ってくるよ」って言ってたんですけど(笑)。やっぱり結構帰ってきてますよね。
長谷川:2年経って。
藤田:当社のグループ会社で一番売り上げてるCygames(ゲーム事業)は、海外で月5億円規模くらい売り上げてたんですよ。その5億の売り上げっていうのは、東京の渋谷からApp Storeなどに配信していたわけですから、海外に行く必要がなかったっていう(笑)。やっぱり海外進出っていうのは、現地に法人を置いてないと進出している印象にならないんでしょうね(笑)。
長谷川:(笑)。
藤田:現地でやることっていうとマーケティングくらいしかないんで。
長谷川:日本で作ったものをローカライズして。
藤田:そうなんです。当社の元専務の西條(晋一)は、どうしても今後の成長に海外が必要だから、サンフランシスコにオフィスを構えて、本格的に人をたくさん採用して開発拠点を作ってやってたんですけど、結局流行ったのはほとんど日本で作って出したものでした。「もう帰ってこいよ」って言ったんですけど、そしたら辞めちゃって、株式会社WiLを立ち上げました(笑)
長谷川:そうだったんですね(笑)。
長谷川:一回アメリカで開発拠点まで作られてやったけど、一旦開発拠点は畳んでやってる状況。
藤田:そうです。
長谷川:これから海外でシェアを取っていく、勝っていくために、今どういうマイルストーンを設定されてやってるんですか。
藤田:一にも二にも、我々は主に渋谷で開発してるわけですけど、渋谷で自分たちの文化、価値観で作り上げるプロダクトをそのまま世界に出したときに、受け入れられるようなものを作らないといけないと思っています。
当社のサービスのなかで一番大きい規模のAmebaにしても、そのまま海外に持っていくのはまず無理だと思ってるので。やはり日本語をベースにしたサービスですし。そのまま海外で通用するものを何とか生み出したいと思ってるんですよね。
だから、シリコンバレーとかサンフランシスコに行ってやるのではなくて、我々の働いている環境で成果を出すことを意識しています。ウチの会社のオフィスなんて裏はラブホテルだし、道玄坂の街並みも、綺麗な環境とは言えないですよ。
長谷川:(笑)。
藤田:でもああいう人の欲望が渦巻く雑多な環境の中で作ってるものというのがあって、それを世界に出してみて通用するプロダクトを作り上げないといけないですよね。そう思って、日々一生懸命頑張ってます。
長谷川:大量に新しい事業を作られてると思うんですけど、手応え的には世界に通用するものは作れつつあるんですか。
藤田:うーん……まだないです。めったに出ないですよ。それこそ、LINEにしても世界にあったサービスですからね。あのクラスでないとちょっと難しいですから。「なかなか出てないじゃないですか」「このやり方じゃ出ないですよ」とか言ってくる人がいるんですけど、「じゃあ他に何が出てんだよ」って言いたいというか(笑)。
長谷川:なるほど(笑)。
藤田:アメリカや他の国で流行ったもので通用するのはやはりグーグル・アマゾンくらいのレベルか、ヤフー日本法人のように人が優秀かだと思います。Criteoも日本法人の経営者が本当に優秀だったんで上手くいきましたけど、そうじゃなければ簡単ではなかったですよ。
だから、単純なサービスとか技術力だけで上手くいくっていうのは、逆もしかりだけどそんなに簡単ではない。我々は、このやり方が正しいと信じてやり抜こうと思ってます。
長谷川:まずは日本で素晴らしいプロダクトを作るっていう。
藤田:そうです。
長谷川:なるほど。わかりました。ビジョン自体は「21世紀を代表する会社を作っていく」ってことなんですけど、藤田さんとしては社会全体を見ていった中で、どのあたりに問題があってどんな社会を作っていくのがいいとお考えですか。
藤田:社会の問題を解決して会社を伸ばそうっていう意識は、そこまで我々は強くはないんですけど、会社を作る上でずっと一貫して気をつけてきたことは、「新しい市場をやろう」ということです。インターネットは新しい市場で既得権益ではない。既得権益に参入する大変さっていうのは重々承知なので。
あと、24歳で会社を作ってから、ほとんど私より年下しか採用したことがないんですよ。要は「新しい人たちで新しい分野をやってこうよ」ってコンセプトでやってるので。今でも、僕より年上は役員に一人もいない。顧問、社外取締役みたいな人もいないし。
そういう中でのびのびと新しい分野をやって……既得権益でしがらみだらけのところをやるっていうのがいかに大変かっていうのは、政府を見てもよくわかると思うんですけど。
長谷川:確かに。
藤田:そういうのをやらないで、のびのびと……要は、もっと若い人が活躍できる社会にすべきだと思ってるんですよ。そこへの問題意識っていうのは少し持ってますよね。
長谷川:そういうのは、事業的にアプローチしていくのは何かお考えなんですか。
藤田:当社の事業がほとんどそうですからね。我々はよく、派手に「内定者を子会社社長にしました」とか「入社1年目を社長にしました」ってやってますけど、あれは新しい分野であれば、若手でも必死にやればできると思ってるからです。自分もそうでしたしね。そういう人材をどんどん育成して、しかも社会を刺激して活性化させていきたいなと。
長谷川:ちなみに、去年お子さんが産まれて。かわいい写真がブログにときどき……(笑)。
藤田:あんまり顔は出さないようにしなきゃと思ってるんですけどね。
長谷川:結構出てませんでしたっけ?(笑)
藤田:いや、だいぶ遠慮してますね。僕のカメラフォルダも息子だらけですからね(笑)。
長谷川:実際にお子さんが産まれてお父さんになられて、それによるご自身の変化とか会社にとっての変化って何かあります?
藤田:それはですね……めっちゃかわいいんですよ。それにトイプードル2匹もいるんで、どんどん人間が丸くなっちゃって(笑)。
長谷川:(笑)。
藤田:起業家たるもの、何か反骨心を持ってなきゃいけないと思うんですけど。どんどん丸くなっちゃって。まずいなとは思ってるんですけど。
長谷川:すごく幸福感を感じだしてる。
藤田:そうですね。でも、今までよくわからなかった親の気持ちとかそういう社員の気持ちとかがよくわかるようになりましたし、これから学校に通いだすようになったら、その辺に対する問題意識も出てくるんだろうなと思います。
長谷川:攻めの気持ちとかハングリー精神というところでいくと……。
藤田:問題を見つけてそれを解決してやろうっていうのは、長谷川さんがまさにそんな感じだと思うんですけど、しんどいじゃないですか。やろうと思ったけど「きついな」みたいな。そういうのをやる気が、だんだん起きなくなってきてますよね。
長谷川:それは問題ですね(笑)。
藤田:例えば「スマホが出てきました、アフリカが有望です、さあやろう」っていうのは別にそんな大変じゃないんですよ。要はマイナスからのスタートではないので。そういう分野をどんどんやってきてるし、それをやり続けたことによって、何かややこしい分野に突入する意欲みたいなのはあんまり湧かないですよね。既存の問題解決はそう簡単にはいかないですから。
ただ、昔からそんなことやってないんですけどね、我々は。
長谷川:そういうのが「らしい」あり方というか。
藤田:そうですね。
長谷川:会社の目標として、業績はこれからもすごく順調に伸びていきそうな感じだと思うんですけど……。
藤田:そんな簡単ではないんですけど(笑)。自動運転でやってるわけじゃないですからね。
長谷川:5年後とか10年後に「ここまではやってやろう」みたいな目標とかってありますか。
藤田:5年後っていうと2019年か。一応2018年に1000億円の利益を出せる規模にしようという社内目標を掲げています。かなり高い目標なので難しいとは思いますけど、それに近いくらいの規模にしたいなと思ってます。
長谷川:なるほど。だいぶ時間が過ぎてるみたいなので、以上で「サイバーエージェントの今」というインタビューを終了したいと思います。今日は貴重なお時間をありがとうございました。
藤田:ありがとうございました。
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