最近の若者は内向きでも草食でもない、所得が低いだけ--麻生太郎氏×三橋貴明氏

【スペシャル対談】 麻生太郎元総理×三橋貴明氏 #4/4

民主党政権下の2012年6月にニコニコ生放送で放送された番組を書き起こし。出演した麻生太郎氏と三橋貴明氏が、最近の若者を「内向き」「草食」とレッテルづけたり、公共工事を「悪」に仕立てあげたマスコミを批判した。

「日本人」をやめたい人はほぼいない

三橋:こういうのはどうですか? バブルが崩壊してデフレになりました。そこから国のあり方を変えて、それでガッと成長した国が今までの経済的リーダーというか覇権国になってきた。オランダ・イギリス・アメリカ、じゃあ日本だって目指していいんじゃないですか? 世界の経済的リーダーを。

グローバル資本主義ってのはもう壊れてるじゃないですか。私はもともと冗談じゃないと思ってましたけど。その次の資本主義を今、日本が作る。それは国民の安全を中心とした、所得で、内需で成長すると。そういう姿を見せればいいだけだと思うので。

麻生:共通点はね、オランダの場合はチューリップバブルが弾けるんですよね。イギリスの場合は南海泡沫事件っていう、South Sea Bubbleってのが弾ける。アメリカも、みんなバブルが弾けた後で覇権大国になっていったんだよね。それくらいの意気を持とうと思うと、途端に何となくみんな内向きになって、草食系か何か知らんけど……。

三橋・角谷:(笑)。

麻生:思考方法が違うんだよね。堂々と、俺たちは世界でもっとも犯罪が少なくて、世界でもっとも対外純資産を持ってて、世界一安い金利を誇ってて、国民の貯蓄総額が現金だけで800兆円とか。日本銀行が捕捉してるお金だけですからね。裏のお金は全然別にして。金融総資産1400何十兆円、1500兆円くらいのお金を持ってるという国、うらやむ国ですよ。

だからみんな、日本人になりたがるんだから。日本人をやめてどこかの国になりたがる人ってのは、僕としてはあんまり知らないんだよ。日本人をやめて中国人になりたいって申請した人は何人いるのか知らないけど、中国人やめて日本人なりたい、何とか人やめて日本人なりたいってのは結構な数いますよ。

だけど、日本人をやめて"何とか人"になりたいって思ってる人が少ないってことは、やっぱりこの国が本質的に良いと思ってる。だったら、もっと「俺の国は良い国だ」って堂々と言ったらどう。

三橋:(元)総理、あれなんですよ。マスコミは……日本人、若者が外に出ませんよね。移民もしません。「内向きだ」とか言うわけなんですよ。なんじゃこいつらは、と。今の若者って所得が少なくて車が買えないんですよ。本当に、少なくて買えないんですね。

それをとらえて「若者は車も買わない、草食化してる」とか、めちゃくちゃ言ってくるんですよ、あの連中は。「どうしたらいいんでしょう」という話が、結局根本なんですけどね。

角谷:あと何年経ったらこんな車に乗りたい、こういう生活をしたい、こういう夢を持ちたい、実現したいと。でも5年後どころか、来月どうなってるかわからない。人生の中での不安が終わらないっていうのかな、いつまでたっても不安で不安でしょうがないから貯蓄にはしる。これは内向きどころか、安全対策ですよね。

三橋:そうです。

角谷:これを「心配ないぞ、少し緩めてもいいぞ」と思わせてくれるだけで大分違いますよね。

麻生:全然違う。少子化対策にもなる、間違いなく。一番大きなところだと思いますけどね。経済成長っていうのは出来ないって前提ですべて……。

三橋:すべて成り立ってる。前提がそうなっているみたいですね。

麻生:前提がそうだから。そこが一番ね。俺だったら全然考えてない、そこは。

「公共工事は悪」とのイメージを創りあげたマスコミの罪

三橋:経済成長って、GDPを増やすことなんですよね。GDPを増やすのに今問題になっているのは、名目値で増えないってことなんですよ。ということはお金をバアーって撒いたら、あっという間に10%、20%軽く成長できるじゃんって話なんだけど。

「そういうことをするとインフレになる」って言われてるんだけど、私たちは「インフレにしろ」って言ってるんだよって話で(笑)。もうキリがないんですよ。あの人たちの頭の中が。

麻生:なんかインフレっていうのが悪ということになってると思うね。「公共工事が悪、インフレが悪」っていう人たちと、「少しインフレにしたほうがいいんじゃないですか。そのためには公共工事を上手く利用したらどうです」っていう人たちが、まったく相容れないことになっちゃったね。なんとなくそんな感じしますよ、今。

角谷:公共事業は談合みたいなものがあまりにも横行してた時期があって、ある意味で僕は談合が良い仕組みだとは言わないけども、数が少なくなればみんなでそれをちょっとずつ上手く回しながら次に備えようとする、清濁の知恵の部分が談合にあったと思うんですよ。

僕ね、官製談合はやっぱりちょっとけしからんと思うんですよ。だけど、みんなが何とかこれで生き延びようじゃないかと思ってたものに関して、もうそれを諸悪の根源にすることによって、公共事業はそもそも悪い仕組みだということが、できあがりすぎませんでしたかね?

麻生:それは間違いなく、マスコミが作り上げた。それこそ作り上げた。

三橋:公共事業とかを批判してる人って、自分の家の前の道路使うなよって話なんですよ、私に言わせれば。談合にしても例えば、この国は公共事業を一般競争入札でやってるんですよ。つまり「どんな業者でも自由に入ってきてください、安いところに落札させますよ」……どうやって品質を確保するんですか。できないんですよ。

他の国だって普通に、一般競争入札だけじゃなくて指名競争入札もやってます。随意契約もやってるんだけど、それが悪みたいに言われてるので、このままだとこの国の公共事業の品質はどん底まで落ちますよ。予言しときますけど。

角谷:まあ技術力があったり……。

三橋:今はありますよ。

角谷:いろいろなことがあるのに、安いところから決めていこうっていうのは全体的に損しちゃうんじゃないかと思うんですけどね。そういうものの作り方と組み立て方が良しとなってしまったのは、もちろん今まで無駄を省こうと、放漫経営を阻止しようという企業の考え方としては間違ってないと思う。

でも先ほど麻生さんがおっしゃったように、国家経営の場合には……大盤振る舞いすれば解決だっていうんじゃないですよ? 国家経営っていうのは、そこは守らなきゃいけないってところがないと、作れないってことですよね。

バブル後に成功するのは独裁者

麻生:国家経営をやる政治家が覚悟して、少々叩かれようと何だろうと……「このためには政府主導で財政出動をして何をします」と言うと、一斉に叩かれるんですよ。その叩かれるのに耐えなくちゃならない。耐えられるには何をっていうと、選挙が強くなきゃどうしようもないんですよ。基盤も弱けりゃ(ダメ)。

後ろのやつもみんなワーワー言ってくるけど、「断固やり切る」って人がいない限りはなかなか難しい。世界諸国、世界中難しくて、バブルの後に成功したのはほとんど独裁者だもんね。

三橋:(笑)。中国とかね。

麻生:ヒトラーもそうだったでしょ? みんな独裁者が成功するわけ。なんとなくそれが、英雄待望論みたいになってくるのは世の中が危険だね。

三橋:ただ、『コレキヨの恋文』で書きましたけど……しつこく宣伝しますけど(笑)。高橋是清は選挙に勝って、民意に基づいてデフレ対策をやったんです。デフレがインフレになった後は、また選挙に勝って民意に基づいてインフレ対策をやったんです。だからできる人はできるんです。そういう偉大な政治家が日本にはいたんです。

麻生:確かにこの人はインフレのときには「インフレ対策です」と言い切って、あれは岡田啓介内閣だから7回目の大蔵大臣をしていたときですよ。大蔵省で拍手で迎えられた大蔵大臣。たぶん歴史上この人だけなんだけど。そしてその後、二・二六事件で暗殺ですよ。

だから五・一五事件で井上準之助、二・二六事件で高橋是清と二人、国際金融がわかる人が両方とも暗殺された。やっぱり、日本が極めて厳しい状況に追い込まれていったのは、僕はあの二人の暗殺のほうが松岡洋右の国際連盟脱退より大きかったんじゃないかなあと思うけどな。

三橋:特に、高橋是清の後の財務大臣の馬場何とかさん(※編注:馬場鍈一氏)という方がめちゃくちゃやったんですよね。軍事拡大で、全部日銀が紙幣発行とかやって、それでインフレ率が上がってって。そういうことになっちゃったから、是清が生きていたら絶対違う世の中になってたでしょうね。

角谷:つまり、「打つ手がなくて」消費税みたいな絶望感の中で、国民は待たされてる感じがしますよ。その間にいろんなことがあるはずなのに、どうもよくわからない。もちろん、政策的な歯止めはいくつかあります。しっかり判断できる人が歯止めをコントロールしてくれれば、僕はいいと思う。それは政治力、政治の腕力が大事だと思う。

だけど、不安を払拭してくれるというのも、役所の人がどう言うか知らないけど、泥かぶっても政治が「待て」と言ったり「違うぞ」と言ってくれるのがないと、やっぱり保ちませんよ。

麻生:それはもっとも大事なところで、大蔵大臣、財務大臣ひとりにおっかぶせるんじゃなくて、政治家が正しく理解して、その上で株を買うことをやり切らないと、高橋是清のインフレのときになってった二・二六事件みたいになりかねない。逆の例もありますよ。

そういった意味では、ここが踏ん張りどころであることは間違いないね。そうしないと、「ここに書いてあります」って言っても、知らないやつは全然「(付帯)18条読んだことないから」「ああそうですか」となったら、ちょっとかなわんね。

「政治家が悪い」は甘え

三橋:私は政治家じゃないから言うんですけど、最終的な責任者って政治家じゃないですよ。日本国民だと思うんですね。今の日本の混迷って……みんな文句言いますよ? 「民主党がダメだ、自民党がダメだ」、それはお前たちが2009年8月に選んだんじゃないっていうのを、わかんなきゃいけないと思うんですよ。

角谷:「あれは良いと思ったんだもん、あんなふうに(マニフェスト)言うんだもん」ってみんな思ってるんですよ。

三橋:反省しないとダメですよ。私は自民党だ民主党だみんなの党だって、どこの党と言う気はないんだけども、その政治家がどんな政治家か、例えばデフレを深刻化させたバブル崩壊後の政治家、小渕政権から麻生政権を除いてみんなそうでした。

でもその政治家だって、国民が投票で選んだんですよ? だからそこを勘違いして「政治家が悪い」ってやってる時点で、なんか甘えてんのかなって思っちゃいます。

角谷:マスコミの論調とかいう話も今日の話題に出ましたけども、そのためにニコニコ動画はあるんだと思っていただいて(笑)、皆さんも……。

麻生:ニコ動は頑張らんといかん。ニコ動にちゃんと物が言える人を出していただくように。

角谷:はい。ということで時間が来たようです。お二人、ありがとうございました。またどうぞ、ニコニコ動画に今後とも出ていただければと思います。

麻生・三橋:ありがとうございました。

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