2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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佐々木裕子氏:もう少し経済の話に戻ると、人口が減るわけですから1人あたりのGDPは相対的に上がってもらったほうがいいと思うわけですよね。ですが、本当に相対的に上がるかどうかというと、なかなか難しい。
ちょっと前のイギリスのエコノミスト誌が出した本に書かれていたんですけど、2050年の1人あたりのGDP水準の予想。米国を100とすると世界トップになる国は韓国。これちょっと古いのでほんとに今予想しても韓国かどうかはわかりませんけど……。日本は米国を100とするとどれくらいだと思いますか?
この本では58.3と推定されています。なぜか? もちろん、高齢化社会で生産人口の割合が相対的に少ない、ということは大きく影響していると思います。
1人当たりのGDPも相対的に低下し、人口の数も減るので、結果どうなるかというと、世界における日本のGDP規模は相対的に格段に小さくなっていく。
2050年には中国、インドの11から12分の1くらいの規模の国になるというのが、大方の予測です。
今は「GDP規模では追い越されたね」とかそういう話をしてますけど、そういうレベルではないわけです。人口がこれから増えていき、中産階級も増えていくインドネシア、ナイジェリア、ブラジルと比較すると、日本のGDP規模は半分以下になる可能性がある。
だからこそ、これからの日本にとって「ITテクノロジー」が特に重要になってくるのではないか、と感じます。
ITに接している皆さんだからこそ、それを感じていらっしゃると思うんですけが、圧倒的に生産性をあげられるし、多様な人々と繋がれる。まだまだこのIT革命は始まったばかりで、序盤ということろでしょう。
例えば、ITの「キャパシティ」の話だけ切り取ってみても、1日でダウンロードできる情報量が今は新聞1日分位だと思うんですけど、2050年にどれくらいになると思いますか?
3.5億年分くらいって想定されています。なので今は通信容量とか、CPUだとか、メモリだとかいってると思いますけど、ほとんど気にされない時代になっていく。
今アマゾンは物流のピックアップをドローンがやっているそうですが、今話題になり始めているロボットやドローン、AI(人工知能)、ビックデータも、今皆がスマホを持ち歩いてSNSで繋がっていることが当然であるように、15年、30年たてば普通に当たり前の世界になる可能性が高い。
ひょっとしたらアトムのようなロボットがその辺で警察官をやっているかもしれないし、タクシーやバスはすべて無人になっているかもしれないわけです。
「ロボットやAI(人工知能)、ドローンが本当に人の職を奪っていくのだろうか」という疑問に対して、去年くらいにシリコンバレーの会社が世界中のIT業界の有識者数千人にアンケートを取りました。何パーセントの専門家がイエスと回答しているでしょう。実は半々に割れているそうです。
ひょっとするとこの変化が新たな仕事も生み出していくかもしれない。「人間にしかできないこと」もやっぱりあるんだということかもしれません。
ただ、意見が「半々」に分かれているということは、もうSFや妄想の世界ではなく、すぐ先に見える未来としてとらえているほうが賢明ということです。
2011年のアメリカで、小学校に入学した子供たちの何割が大学卒業時に今存在していない仕事についているか。これはDuke大学の教授の予想ですけど。何割でしょうか。
65パーセントだそうです。 右肩上がりの人口成長とともに、経済成長することが見えていた20世紀。皆さんのお父さんお母さんが育ってきた時代です。
でも、急激な人口構造の変化とIT革命が同時進行を遂げる21世紀は、全くダイナミズムが違う。
だから仕事の定義もおそらく大きく変わっていくでしょう。
「働く」という概念の変化は、すでに起きはじめていますよね。そもそもフリーランスで生きていくといいう人が珍しくなくなったり、2~3枚名刺を持っている人が出てきたり。 受験勉強をして、いい大学に入って、いい企業に入ったらあとは安泰。という時代でもなくなりました。「こう生きれば正解」「こういうキャリアが勝ち組」という概念はどんどん崩れていっています。
世界はどんどん変わっていくので、これをやったらあなたのキャリアはバラ色ですって、多分誰も言えない。
そういう時代になってくるのだ、と教育業界の方々も痛切に感じておられていて、これからは「正解を知っている」力を育てるより「状況が変わったらそれに対応してちゃんと考えて対応できる力」を育てなければ、と教育現場の再構成をされはじめているようです。
21世紀型スキルっていうのは、これからを生きる大人にも子供にも共通して必要な力になる訳です。つまり考える力ですね。想像して新しい枠組みをとっぱらって考える力。あと自分を認知する力。コミュニケーションする力。こうやって違う人と一緒に意見を戦わせながら新しいことを学んでいく力。IT・情報に対するリテラシー。
そして、あなたは一体、この世の中で何の役割を果たしていく人ですか、という問いに対して自ら答えを出す力。社会の中で自分の立ち位置、存在意義を定義する力。
これらを、我々も、我々の子供たちも、磨き続けていかなければならないということです。
そういう時代をこれから一緒に生きていく皆さんに、最後に3つの質問をしたいと思います。
1つ目は、そもそも「キャリア」という言葉をどういう時間軸でとらえるべきだと思うか、という質問です。
改めて人口ピラミッドを見て頂きたいんですが、人生すごく長くなります。キャリアも、ものすごく長いスパンで考えなければいけない時代になってきます。ひょっとしたら75歳くらいまで、あるいは生涯「現役社会人」であるような時代になってくる。
そう思ったときに、今の短期的な視界や身近な環境に左右されて、たまたまそのとき自分が持っている名刺の上に書かれている会社の環境や肩書、部署や日々の仕事に悩んでスタックしたり、結婚した、子供が生まれた、転勤した、等というだけで何かを諦めたり、闇雲に進路変更を繰り返したりするというので、本当にいいんだろうか? という疑問が湧いてきます。
長い人生、どうせならやはり、自分が成し遂げたいこと、やり遂げたいテーマを中長期で貫いていきたいと思うんじゃないでしょうか。
60歳になっても70歳になっても社会から求められる人でいるために、今から何を積み上げていこうか、と考えたくなりますよね。
例えば、リクルートさんでも「受験サプリ」をやっていて、これは、子供に教育格差がある時代を変えて行きたいっていうテーマを掲げていらっしゃる方々が、その想いを実現するために立ち上げられた事業だと思います。
例えば私は、人のポテンシャルは無限大だと思っていて、全ての方のリミッターを外し、「未来をよりよくしたい」という純粋な想いに火をつけることで、世の中を変えていきたい。これが私のテーマです。
皆さんは、これからの長い社会人人生で、何をやっていきたい人ですか。世の中にどういう変化を起こすような人でありたいですか。なぜそれが皆さんなのでしょうか。
あともう1つは、誰とどこでどんなふうに繋がっていきたいか、という問いです。家族という概念も曖昧になり、企業の概念も曖昧になる中で、個人個人が自分達で「繋がっていく」時代になるような気がします。
皆さんは、どういう人たちとどう繋がって生きていたいですか? その価値観や選択が、皆さんのキャリア選択の羅針盤の1つになると思います。
3つ目は、ITが色んなことを代替していく時代になっていくかもしれないという中で、人として自分はどんな価値を出していきたいのか。ここだけは負けないということは何だろうか。それを磨いていくってどういうことなのか、という問いですね。
私は、人のリミッターを外し、視界が変わるような仕掛けを作る仕事って、まだまだロボットやITには負けないんじゃないか思っているところがあって。
絶対にその分野では誰にも、ロボットにも、絶対に負けない量の経験値と深い知恵を持ち合わせていたい、と思って、そればっかり四六時中考えている訳です。
今ここにいる皆さんも、ここはITでできるけど、ここはやっぱり私じゃないと、と思っているから、今のIT業界で付加価値を出し続けておられるのだと思います。
たとえこれからいろんなことが変わっていったとしても、常に持ち続けることのできる「自分の付加価値とは何か」を突き詰めて考えることは、キャリアを選択していく上で重要な1つの要素であると思っています。
ちなみにこの3つの質問は、短時間で答えが出るような簡単なものじゃないと思います。今日の3時間のワークショップの中でいきなり答えが出るなんてことは、たぶんあり得ない。でも、考え続けたり、問い続けたり、探し続けることが大事だと思うですよね。
人と話して壁打ちしてみることもいいんじゃないかと思います。そうやっていくと、自然と答えが見えてくるものだと思うんです。
2050年、ご自身が還暦前後になっている頃にタイムスリップしたと思ってください。
あなたはすごく輝いていて、それまでの人生とか、成し遂げたことについて振り返ってみてとても満足している。それは多分プライベートでもそうだと思うんですけども。
その時の自分ってどんなことやっていると思いますか? どんな人に囲まれている? 何をテーマにして、どんなことを成し遂げているんだろう。ずっと仕事を続けられていて、色んな人から頼られている自分。
こういう時代って、たったひとりでやっている仕事ってすごい少なくなっていると思うんですよね。多分いろんな人と繋がって、色んなプロジェクトをやっていくような仕事がほとんどになっていると思うんです。だって1人でできる仕事っておそらく多くの場合機械ができるようになっていってしまうから。やはり人は人と連携しながら何かを積み上げていく仕事にどんどんついていくようになる。
やっぱり、そういうときに、自分がそのチームの中で付加価値を出していくってどんな形なんだろうか。
多分答えは、今まで皆さんが蓄積されてきたことの延長に必ずあると思うんです。ご自身がやってきたこと。得意なことの延長に必ずあると思うので、ぜひ考え続けていただきたいなと思います。
世の中もどんどん変わって行くけど、もっと身近な自分の置かれている環境も、よくよく考えてみると色んなことが変わるんですよ。例えば会社の制度が変わったり、上司や同僚が変わったりする、プロジェクトも変わったりする。業界も業績も変わる。プライベートでは結婚したとか、お子さんが生まれたとか、旦那が転勤したとか。本当に色んなことが変わっていくと思うんです。
そうやって変わっていく環境の中で、「環境が変わっちゃったんだからそれに対応するしかない」とか「その中で考えるしかない、我慢するしかない、諦めるしかない」っていう道と、「でも、そんな中でも自分の未来は切り開いていこう」という道との違いは、どこにあるんだろうと、最近よく考えるんです。
で、やっぱり「未来を切り開いていく道」を選択をしていく人々は、とてもポジティブだしクリエイティブだけど、未来に左右される道は不安でいっぱいで、思考がグルグルすることが多い。
この違いは、やっぱり「プロフェッション」。これを持っているかどうかだと思うんですね。
プロフェッションって何かっていうと、もちろん日本語訳は「職業」なんですけど、どこどこの会社で仕事してます、ってことじゃないんです。
「プロフェス」ってもともとラテン語で、神様の前で宣言する、告白するっていうような意味なんですね。要するに聖職者が、「私は人生をかけてこういうミッションを全うします」って神様に宣言することが「プロフェス」。その宣言したミッションが「プロフェッション」であり、宣言したとおりにミッションを全うして生きることが「プロフェッショナル」ってことです。
そのプロフェッションを全うしようと思うと、今のタイミング、今の環境・今のステージでは、この場所であり、この会社であり、この仕事なのだ、と選んでいくのが「キャリア」なのかなと。キャリアって本当はそういうことのように思うんです。
このプロフェッションがぶれなくなると、判断に迷わなくなる。自分が何をやらなきゃならないかがわかる。
私自身が自分のプロフェッションを決めたのは実は35歳の時なんですけど、35歳の時からは、何を決めるのもほぼ迷わなくなりましたし、生きることがすごく楽になりました。
私はすごくラッキーなことに、自分がプロフェッションを決めた後に子供を産んだので、仕事どうしようとか、両立どうしようとか、そういった悩みがなかったんですね。
当然に仕事を続ける、と思えたし、そのために思い切って託児事業を作っちゃおう、と思ったんですが、ほとんど不安も迷いもなかったです。
普通だったら託児事業なんてそんな安易に立ち上げないんですけども。私が自分のミッションを全うしていくには、今は絶対に必要だと思って、ほとんど事業採算を考えずにまず作っちゃったんですね。
そういうことができるようになって、実際やっていくと、誰がなんと言おうが「自分はそれでいいんだ」っていうふうに思えるようになるし、自信が持てるようになりました。
一方で、本当に自分のミッションを全うするためには何が足りないのかも見えるようになるので、そこを変えるために自分を磨き続ける努力を惜しまないエンジンも搭載できた気がします。
とはいえ自分のプロフェッションは何か、という問いに対して私、半年くらいは泣き暮らしながら自分と向き合って、最後結論を出したんです。すごくつらいですけど、色んな人に話してみたり、自己啓発本を読んだりとか。本当つらいのですけれども、まだ本当のプロフェッションが分からないのであれば、ぜひ1度、自分のプロフェッションとは何か、という問いにとことん向き合っていただく。
未来を生き抜く力って何か。端的に言うと、私はプロフェッションを持つことに限るんじゃないかなと思っていて。色んな知識とか技術とか思考プロセスも、それさえあれば身につけられる。絶対に必死で必要なものを埋めようとしますから。
プロフェッションを全うする覚悟ができているかは、未来を切り開く道をいく上ですごく大きいかなと思っているので、是非だまされたと思ってとことん向き合っていただければと思います。
私の講演はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
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