リクルートのIT女子たち

佐々木裕子氏(以下、佐々木):IT女子ということで、輝いている女子について知りたいとか、キャリアについてどう考えているのか知りたいとか、色々と皆さんの不安を解決するヒントがあると思うので。今日はリクルートグループの中でもITに特化している会社で大活躍をされている、3人の方にスピーカーとして来ていただいています。まずは、お名前と今どんな仕事をしているかというのを一言で、1人ずつお願いします。まずは坂本さんから。

坂本千映子氏(以下、坂本):皆さん、こんにちは。今日は来ていただいてありがとうございます。私もどんな話になるか、ちょっと楽しみにしていて。ドキドキしながら、お話しできたらと思っています。私、坂本千映子と申しまして。今、マーケティングリサーチチームのチームリーダーをさせていただいています。どうぞよろしくお願いいたします。

狩野真依子氏(以下、狩野):皆さん、こんにちは。リクルートライフスタイルから来ました、狩野真依子と申します。今は決済の領域のお仕事をしていまして、世の中に出ているところでいきますと、リクルートカードというクレジットカードの責任者をさせていただいています。マネージャーもしています。今日は、私も等身大でお話をしていきたいなと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。

最勝寺綾氏(以下、最勝寺):皆さん、こんにちは。リクルートマーケティングパートナーズの最勝寺と申します、よろしくお願いいたします。私は今、受験サプリというオンラインの予備校のサービスに関わっていまして、コンテンツグループというところでそれらのサービスのコンテンツの企画だったり、制作デレクター、マネージメントをする部署のマネージャーをしております。今日は楽しみたいと思います。よろしくお願いします。

佐々木:たぶん皆様のお手元には、けっこう赤裸々に3人の過去のキャリアとか、モチベーション曲線、モチベーションが上がった時、下がった時にどんなことがきっかけだったのか、が書かれた資料があると思いますので、それをご覧になりながらお話を聞いていただければなというふうに思っています。よろしくお願いします。

リクルートの"変なあだ名"文化

佐々木:では、かなりキャリアの変遷も、モチベーションの曲線の上がり下がりもそれぞれ激しいというのを拝見しながらの、IT女子のキャリアなのですけれども。その前に3人が知り合いなのかということを、ちょっとうかがいたいのですが。本当は知り合い?

狩野:最勝寺さんとは、知り合いです。

佐々木:会社は違うのですけれども、なぜ知り合いなのですか?

最勝寺:元々、一緒に仕事をしていたりだとか、会社で異動の制度とかあったりするので、それを使って異動しているので、以前は一緒に仕事をしていたり……。

狩野:千映子さんは全社的に有名な方なので。

坂本:有名というよりも、色々と制作単位内で、リサーチチームという機能で支援させてもらうので、お仕事ご一緒したりとか、飲み会とかで(笑)。

佐々木:それがきっかけでお知り合いに?

狩野:お名前ですかね。「ビューティさん」って呼ばれている。

佐々木:ビューティさんなんですか?

坂本:笑っていただいて大丈夫です(笑)。勝手にですね、リクルートはあだ名文化で、けっこう色々なあだ名がついていて、くるぶしさんとかいたりして(笑)。変な名前がついている人もいるんですけれども、私は「千映子ビューティ」という名前を勝手に言って、勝手に呼ばせています。社長も呼んでいます、千映子ビューティって(笑)。

佐々木:とりあえず、千映子さんが消えて、ビューティさんに……。

坂本:そうなんです。

佐々木:ビューティというのは、ご自身で命名された?

坂本:友達が勝手に呼んでいて、「いいな、このゴロは」と思って、言い出したんです。

新しいマーケティング手法を開拓

佐々木:フランクにそういう感じなんですね! ありがとうございます。そういう3人の皆さんの交差するところってIT女子としてあると思うのですけれども、それぞれ、どの辺がご自身にとってキャリアの頂点かなと思われますか。一言ずつお願いします。まずはビューティさん。

坂本:一言でキャリアですね。というと私元々IT、SIerにいまして、中途で転職してきて、自分でやりたいことがあって、手を挙げて起案をして、今、組織にしてもらってというところです。キャリアのテーマでいうと、ITで開拓というのが、キーワードだったかなって思っています。

佐々木:IT開拓、開拓というと新しい分野?

坂本:そうですね。色々できることと、やらなくてはいけないことをマッチングさせて、自分でこういうようなソリューションを作った方がいいんじゃないか、というところで開拓していったという。

佐々木:なんでそんなマッチングを?

坂本:たぶんお手元にあると思うのですけれども、今はMROC(エムロック)という、マーケテイングリサーチオンラインコミュニティという、ある種リサーチの新しい手法だといわれているものをやっています。

どうしてやっているかというと、私たちのサービスを使ってくださっている方の声を聴くタイミングがどんどんなくなってきていて、それに危機感を覚えて、オンラインであれば解決できるはずだということで。手法を見つけて、その手法が必要なサービスを見つけて、それをできる人を採用していってということで、今、組織になっているところを開拓してきました。

佐々木:お二人からご覧になって、ビューティさんはどういうIT女子に見えますか? キャリア的にもどの辺が強くて、どんなキャリアがあるのか。

狩野:専門的なスキルを活かして、お仕事をされている方だなということは思います。

佐々木:どんな点ですか?

狩野:そうですね。どんなプロジェクトでも、ビューティさんが係わっていただけると、その分野に関して皆すごく安心だと感じていると思います。

佐々木:その分野というのは、ご自分が最初から思って強くなろうとしたのですか?

坂本:そうですね。あとは、そんなに強くないところもあるのですけれども、やっぱりビジネスのプロの事業と、私たちはソリューションのプロでなければいけないので、そういう意味で何とかしなくちゃいけないという思いから、けっこう仕事をしていることが多いですね。

佐々木:どうですか? ご覧になっていて。

最勝寺:そうですね。私たちは事業部にいて、それぞれ自分のサービスだったり、どちらかというとプロダクトを作って、運営していくという2人だと思うのですけれども、ビューティさんは機能組織にいらっしゃって。

そういうようなサービスやプロダクトを作るにあたってこういう方法があるよとか、こういう手法もあるよというのをご提案いただきながら、一緒に作ったりしているので、そういう意味では、ITの中でも最先端というか、そういう知識をお持ちで、アドバイスというか、手伝っていただきながら一緒に作っているというイメージです。

佐々木:先ほどITの仕事をぜひ聞きたいとありましたが、ビューティさんはその最先端の専門性をどういうふうに身につけているか。

坂本:そうですね。やっぱりスキルだけだと、あんまり事業の中でも要求されていなくて、事業課題というところを常に感じながらも、どうやったら解決できるかというのを日々、色々な人と話したりしています。

リクルートテクノロジーズというのは、例えば変わったところでいうと脳みそ研究している人とか、すごく変な人が多くて、いろいろな人と話していると、自然とそういう知識が身につくみたいなこともあるので、そこは意識的にやろうとしています。

佐々木:こんな課題があった時にどんなふうにやりますかということを色んな人に聞いてみるんですね。聞いてみながら仕入れている。

坂本:そうですね。あとは、どんな技術が使えるかというところを考えながら、仕事をするようにしています。

飽きっぽいから、新しいことに挑戦する

佐々木:ありがとうございます。じゃあ狩野さん、お願いします。

狩野:私はもともと、全社の人事組織にいまして、スタッフをやっておりました。なんですけれども、会社の中で手を挙げて異動する制度があってですね。そこで手を挙げて、ネットの領域に異動したという経緯になりますね。

最初はホットペッパービューティーという美容室とかリラクゼーションサロンの検索サービスを、立ち上げ2年目ぐらいからやっていたのですけれども。その後、IDとポイントのプロジェクトに携わったり、今はクレジットカードや決済のプロジェクトに携わったり、プロジェクト単位で新しいことに挑戦するというようなことが多かったキャリアかなというふうに思っています。

佐々木:ご自身でキャリアを大きく変えられてますよね。

狩野:そうですね。

佐々木:それはお二人からご覧になって、どんなふうに映るんですか?

最勝寺:そうですね。私はもともと仲良くさせてもらっているのですが、やっぱり変わる前とかは、すごく悩んでいるというか、考えているなというのがあるのですけれども、結局そこで考える機会があって、悩む機会があった時にいろいろな方に相談したり、その1人が私であったりするかもしれないのですけれども。

佐々木:そうなんですか。

最勝寺:手を挙げて異動するとか、新しいプロジェクトに関わるとか、何か変化を起こしている方なんだろうなということは、見ていても思いますね。

佐々木:そういう周りからの声がありますけれども、ご自身といたしましては?

狩野:ありがとうございます。そうですね、ちょっと飽きっぽいというのは、あるんだと思います(笑)。プロジェクトで皆、仲間と一緒に何かを生み出していくというのは、すごく自分にとって、楽しい、わくわくすることなので。それをやりたいなというところから、こういったキャリアになっているのかなと思います。

佐々木:ありがとうございます。では、最勝寺さんですね。

結婚して、モチベーションが下がった

最勝寺:私はですね。1番初めに入った時には、営業をやっていまして、2年目から企画の部署に移ってホットペッパーとか、じゃらんとかポンパレだとか、日々使うようなサービスに関わって、ずっと企画の仕事だとか、編集の仕事をやらせてもらっていました。

転機でいうと、実は3年前に結婚したのですけれども、それは29歳の時なのですが、その年齢の時に私の両親は2人とも働いていたもので、自分が働くというのは当たり前のことと子供の頃から思っていました。

しかし、主人のお母さんが専業主婦だったというのもあって、「仕事どうするの? 働くの? 仕事つらいんだったらやめてもいいし、自由にしたら?」ということを、ふと言われたんですね。

その時にすごく驚いたというか、はっとしてしまいました。いい意味で、働くも、働かないのも、選択としてあるのだなと。そうした時に、今まで絶対働かないといけないと思っていたものが、もうひとつ自分の意志で働きたいのなら働く。

働くのであれば、どういう仕事をするのだろうというのを、就職活動ではないのですけれども、29歳の頃にもう一度考えるきっかけがありまして。その時は半年ぐらい、結婚が決まり、結婚式とかあってすごくモチベーション的に高くなるはずなのですけれども、すごく落ち込んでしまって(笑)。

佐々木:ここね、ここですね。

最勝寺:そうです。すごく悩んでしまって、でもその時にいろいろな方に相談して、改めて自分の中では、今後子供を持つことがあった時に子供の将来を作っていくとか、教育に係わるところで仕事ができると、世の中に大義があることが残せるといいなというふうに思って。会社の中にそういった部署を新たに設けるという話があったので、そこに手を挙げて異動させてもらったという経緯です。

佐々木:なるほどね。そういう彼女をはたでご覧になっていて、坂本さんはどんなふうに思っているんですか?

坂本:なんで結婚してモチベーションが下がっているんだろうと、すごく疑問だったのですけれども、そういうことだったのだなと感じました。私も主人と結婚した途端、主人がメキシコに赴任になってしまって、その時にもやはり仕事と家とどっちを優先するべきかというのをすごく悩みましたね。

佐々木:ちなみに坂本さんはどうしましたか、結論は?

坂本:とりあえずメキシコと日本でお互いにやるというところにして、今はすでに主人も日本に帰ってきて、今は仕事ができる状態なんですけれども。

佐々木:なんでそういう結論にしたのですか?

坂本:やっぱり仕事は自分で立ち上げたやつなので、そのままやめていいのかというところもあったり、家族だったら一緒に住むべきなのかなという価値観といろいろ悩むところがあって。

でも、行こうとは思っていたのですが、どうしても仕事をやめたくないというほうが強かったのか。主人もわかってくれて、お互いそれぞれにやろうというような結論だった。最終的には、日本でやっぱり家族でやっていくべきだよね、みたいな話になって、今戻ってきてくれてます。

佐々木:そうなんだ。狩野さんは、彼女の話だと色々とライフイベントがあって、聞いていらっしゃるとは思うのですけれども、どんなことを感じられました?

狩野:そうですね。相当悩んでましたね。半年ぐらいずっと悩んで、まさにその時に同じ部署にいたので、間近で見ていたのですけれども。

最勝寺:よく飲みに連れていってもらったんです。

狩野:すごくまじめに、自分の人生にとって大事なものの優先順位みたいなところを、そのタイミングで考えられたんだろうと。でも最終的に、それだけ悩んだからこそ、決めたあとは逆に腹をくくれたのだろうと思うんですけれども。今はもう突っ走っていますね(笑)。

最勝寺:だいぶ上がりました。