なぜ若い黒人男性は恐れられるのか?
まず自分の中にある“偏見”を認める必要がある

人種の偏見を乗り越えるには?彼らに堂々と歩み寄って行くのです #1/2

人種、ジェンダー、エスニシティ、セクシャリティの多様性の職場でのあり方を専門にコンサルトするヴェルナ・マイヤーズ氏が、ファーガソン事件を筆頭とし、多くの黒人男性が無意味に命を落としてきた原因を追究。それは、私達の黒人男性に対する恐れや偏見の結果であると語り、克服への三か条を提示しました。(TEDxBeaconStreet, 2014より)

恐れられ、残忍行為の対象となり続ける黒人男性

ヴェルナ・マイヤーズ氏:今年の夏、車で長いロードトリップに出かけました。その間イザベル・ウィルカーソン著『ほかの太陽のぬくもり』のオーディオブックを聞いていました。1950年から1970年にかけて、600万人の黒人が南部の悲惨な状況から逃れ、より良い人生を送る為に北部へ移動する様がドキュメンタリータッチで書かれた本です。

本の中にはアフリカ系アメリカ人が強くたくましく闘った様が描かれていました。それと同時に、おぞましく屈辱的な話も多くありました。特に暴行を加えられ、燃やされ、リンチされる黒人男性の話は聞いているだけで辛くなりました。

そこで、「ちょっともう充分。少しこの話から離れたいわ。ラジオをつけよう」とラジオに切り替えました。するとラジオから流れてきたのはミズーリ州、ファーガソンのマイケル・ブラウンが警察官に射殺された事件。18歳の黒人男性が、凶器を何も持っていなかった、抵抗せず、丸腰であったにも関わらず、白人警察官に射殺された事件です。

彼は地面で何時間も血を流しながら倒れていた。それを恐怖に怯えながら見ていた彼の祖母、子供達、近隣の住人達。またか、と思いました。

何世紀にも渡り、黒人男性は暴力、暴行の対象となってきました。要は同じことの繰り返しで、被害者の名前が変わるだけ。ある時はアマドゥ・ディアロ、またある時はショーン・ベル、そしてある時はオスカー・グラント。そしてトレヴォン・マーティン。

バイオレンス、暴力性・残忍性はアメリカ文化の一部で、私達の歴史の中にも深く組み込まれています。私達は一体この文化をどうするつもりなんでしょうか? この文化とはつまり、私達が黒人男性を見ると、彼を避けて道の反対側へ渡り、ドアに厳重に鍵をかけ、鞄をしっかりと持ち直すことです。

原因は黒人男性への偏見

別に私たち皆が、黒人男性を見ると路上で銃を構えて彼らを殺していると言っているわけではありません。しかし、私たち皆が黒人男性に対して抱くステレオタイプや偏見が、多くの無実の黒人男性が殺されるという悲しい事件を生み出しているのです。

私達は黒人男性を恐れるように教育されてきました。私は、私達の抱く偏見を認識し、それを自ら変えようとする心がファーガソン事件のような悲しい出来事を防ぐことに繋がると信じています。

今日は皆さんに行動を起こしてほしいと思いやってきました。ファーガソン事件と同じことが二度と起こらぬよう、三つのことを考えて欲しいと思います。私はこの三つにより、私達が抱く黒人男性に対する偏見が和らぐと信じています。そしてこの三つのことが黒人男性を守るだけではく、彼らの中に希望が生まれるだろうとも。

想像できますか? 世間が若い黒人男性を脅威の対象として見なさず、彼らを私達の未来を担う若者として歓迎する世界を。そうなれば、社会はどんなに素晴らしいでしょう。アメリカはどんなに素晴らしい国となることでしょう。

自分に偏見があることを認めて

まず第一に、私達は「自分に偏見はない」と思いこむことをやめてください。「良い人」になろうとせず、正直な「リアルな人」であってください。

社会の多様性に対する理解を広める為に私は仕事をしています。ワークショップの始まる前に、人々は「多様性のプロ! 今日は来てくれて本当にうれしいです。でも、私達には差別や偏見の心などありませんよ」と言ってきます。そんな時はこう思います。

「本当に? 私は多様性について毎日考え仕事をしていますが、日々自分自身が持つ偏見を目の当たりにしていますけど」。

先日飛行機に乗り、機内アナウンスから女性パイロットの声が聞こえた時に「女性パイロットだ! 女性は空にも進出した! 女の力を見せてやれ!」ととても嬉しく思いました。しかし、その後機内がガタガタと激しく揺れ出すと「彼女はちゃんと操縦できるのかしら……」と不安になりました。

(会場笑)

そう思ってしまったんです。しかし機内では、女性だから上手く操縦できないのではないかと自分が抱いた「女性は運転が下手だ」という偏見に気がつきませんでした。それに気がついたのは地上に降りて、いくら道が悪かろうと、男性が車を運転している時には、「彼はきちんと運転出来るのだろうか」と彼の運転技術を疑うことは決してないことに気がついた時でした。

問題は、いくら私が「女性でパイロットなんてすごいわ!」と女性の社会進出を喜んでみても、そのパイロットが操縦する機体が少しでも不安定になると、彼女が女性であることによって、「女性は運転が下手だ」という自分自身が持つ偏見によって、自分の身が不安になったことです。

そして女性に対する偏見を私自身が持っていることにその時は気がつかなかった。命を預ける空の旅、パイロットは男性が良い、女性には任せられないという私の中に根付いていた「当たり前」に。

あなたの「当たり前」はどんな人ですか? 誰を信じますか? どんな人が怖いですか? どんな人といるとしっくりきますか? どんな人を避けますか?

私達は白人を好み、白人をデフォルトとして考える

意識下でどんな物事を連想し繋げるか、人の偏見を暴くあるテストがあります。これはオンラインで受けることが出来るのですが、これまでに500万人が受けています。このテストによると、私達のデフォルト、「当たり前」は白人です。私達は白人が好きなのです。私達は白人を好みます。

どういう意味で言っているのかって? 黒人男性と白人男性の写真を見た時、人は白人の顔を見た時のほうが、より速くその写真をポジティブな言葉と関連付けます。黒人の顔を見ると、より速くネガティブな言葉と関連付けます。このテストを受けた白人の70%が黒人よりも白人を好みました。このテストを受けた黒人の50%が黒人より白人を好みました。

脳が否定的なイメージを黒人と結び付け、好ましいイメージを白人に反射的に抱くこの事実、どうしたらよいでしょうか? 皆さんは多分こう思っているんじゃないですか? 「よし、肌の色で人を判断しないようにしよう! 今一度自分がどれだけ他人をその人の肌の色で判断しているかを認識するんだ!」と。

そんなことをしても無駄です。私達の社会はこれまで人種や肌の色で人を差別しないように出来る限りのことをしてきました。

問題はその「色」自体にある訳ではなく、私達がその「色」を認識した時にどのような行動を取ってきたかです。肌の色は関係がない、そんなことは戯言です。

人種や肌の色の違いは関係ない、とその違いを無いことにする為に労力を費やしている社会は、人種によって人々の未来の可能性が変わることを無視しています。その人種であるということだけで、可能性は狭まり、時には若くして命を落とす人さえいるのです。

立派な黒人男性をたくさん目にすることで偏見を減らす

科学者達は「大切なことは、人種の違いは関係ないと綺麗ごとを主張するのではなく、素晴らしい黒人達をしっかりと見ることだ」と、言っています。偉業を成し遂げた、尊敬すべき黒人の顔をしっかりと見て、彼らの顔を覚えることが、私達の脳内で自動的に関連づけられる「黒人=ネガティブなイメージ」という方程式を崩すことに繋がるというのです。

なぜ今、私の後ろに立派な黒人男性たちの写真をスライドショーで流していると思います?

(会場笑)

黒人の素晴らしい男性はたくさん居すぎて選びきれませんでした。今私は、皆さんの脳内で自動的に関連づけられるネガティブなイメージと黒人男性を切り離そうとしています。このように若い黒人男性が素晴らしい人間へと成長し、私達の社会をより良い世界に変えた例を思い出してほしいと思います。

これは科学が提示するひとつの解決への道ではありますが、例えば白人でも嫌な感じの人の写真と素晴らしい黒人の人の写真を横に並べると、私達は戸惑いますよね。例えばジェフリー・ダーマー(白人の連続殺人鬼)とコリン・パウエル(黒人の元国務長官)。ね?

(会場笑)

私がここで言いたいのは、皆さん自身の偏見から目を背けずに、積極的にそれと向き合ってほしいということです。偏見があることを否定することなく、皆さんの偏見が間違っていたことを証明する根拠を探してみてください。ここまでが第一のポイント。

若い黒人男性を避けないで

第二に、若い黒人男性を避けないでください。別に難しいことではありませんが、意識してやる必要があるでしょう。数年前にウォールストリート・エリアを、私と同じように多様性を啓蒙する同僚の韓国人女性と歩いていました。夜も遅い時間でしたが、私達は少し道に迷ってしまいました。

すると道の向こう側に人がいます、「あぁ、よかった。黒人男性がいるわ」と、私は特に考えることなく彼のほうへ向かっていきました。すると彼女は「それは……興味深いわね」と言いました。道の向こうに人がいて、それが黒人男性だった。

なぜかわかりませんが、私は黒人男性は一般的に道を良く知っていると思っています。彼女は「え? なんであなた『イエーイ、黒人男性がいたわ!』なんて黒人がいたことに喜ぶの?」と言いました。彼が黒人だったことを喜んでいた私に、彼女は困惑したようです。

「嫌だ! 私ったら多様性コンサルタントのくせに夜中に黒人男性と遭遇することを恐れてしまった! 私だって白人ではない有色人種なのに! もう、嫌だわ!」と彼女は言いましたが、私は「リラックスして。もういいから。私が黒人男性のことをよくわかっているだけなのだから」。

私の父は黒人です。そして私には黒人の息子がおり、以前は黒人男性と結婚をしていました。私の黒人男性歴は広く深いので、どの黒人男性が良い人か区別できます。そこでその日に道を尋ねた黒人男性も、「レディ達、その場所なら知っているから連れて行ってあげますよ」と、とても紳士的でした。

皆さん、偏見とは、その人がどのような人かを知る前に私達が自分自身でつくりあげた、その人のストーリーのことです。しかし、黒人男性は恐れるべき、避けるべき対象であると教えられた私達が、彼らがどんな人達なのかを知る為にはどうしたらいいのでしょうか?

自分が快適と感じるコンフォートゾーンから出てください。危険なリスクを取ってでも、と言っている訳ではありません。私が言っているのは、広く色々な人と付き合ってみてくださいということです。皆さんの周りにはどんな人がいて、どんな人がいないですか? 皆さんは何人の黒人と深い付き合いをしていますか?

彼らと深く知り合ってみる

ご自身の周りを見てみてください。仕事場、教室、教会、どこへ行っても必ず黒人の若者はいるはずです。皆さんは笑顔で彼らに挨拶をしていることでしょう。そこからもっと先に深く、近く、親密な友情関係を黒人青年たちと築いて欲しいのです。彼らの人柄を知り、黒人青年たちに対するステレオタイプがいかに単なるステレオタイプであるかに気づかされるような関係です。

皆さんが考えていることはわかっています。私にも白人の友達で、「私にそんなこと出来るかしら? そんなことは無理だと思う。絶対に失敗するに決まっている!」と言う人がいますので。

そうかもしれませんね。でも、これはいかに完璧にこなせるかが問題ではないのです。その人と深く繋がることが出来るかどうかです。新しいことをする時、少し居心地が悪い思いをしないことには、その場所で居心地がよくなることはありませんよね。居心地が悪かろうと、とにかくやってみてください。

若い黒人男性達は、誰かがあなたたちに真剣に興味を持ってくれたら、警戒せずにその人を受け入れてみることです。皆さんを悪いようにしようとする人が世の中の全てではありません。皆さんを皆さん自身として、一人の人間として見てくれる人を探すのです。

皆さんとは違った人々と深く付き合うことで、親愛や、その関係からとてもパワフルで素晴らしいものが生まれます。そこで、自分とは違うと思っていた人が実は自分とそんなに変わりがないことに気がつく。慣れ親しんだ快適なコンフォートゾーンから出て、もっと大きく、輝く場所へと出てみましょう。

こうすることで、ファーガソン事件を再発を防ぐのです。これが皆が、特に若い黒人男性が輝ける未来へはばたけるようなコミュニティづくりです。

差別的発言にはNoを言う

最後は少し難しいかもしれません。わかっています。でも言います。もしも間違ったことをしている人を目にしたら、例えそれが大切な人であれ、指摘することです。例えば、ホリディイベントの時期には家族が集まって食事をします。そこでの会話を見逃してはなりません。

皆さんは、「おばあちゃんったら偏屈ね!」「ジョーおじさんは人種差別者ね」と言わなければなりません。皆さんが家族を大事にしていることはもちろんわかっていますし、彼らは良い人でしょう。しかし、彼らの発言が偏見を持つ好ましくないものであれば、私達はそれを指摘せねばなりません。

だってその場には子供達もいるんです。「なぜ偏見がなくなることはないのか? 世代を超えて語り継がれるのか?」という議論がありますが、それは私達が何も言わないからです。「おばあちゃん! 今はそんな風に人のことを呼ばないんだよ」「ジョーおじさん、彼には当然の報いだなんて言わないで。そんなことは誰の身にも起きてはならないことよ」と言えるように。

そして、子供達の目から人種差別のおぞましさを隠そうとしないでください。子供を持つ黒人の親は、特に若い男の子を持っている親は、日々人種差別の醜さにさらされています。私達の国は素晴らしく、理想に燃え、ここまでたくさんのことを乗り越えてここまで来たけれど、まだ終わりではないのだと子供達に教えるのです。

私達の中にはまだ歴史を通じて生まれた白人優位的な価値観が残っており、それが私達の社会の制度に深く根付き、それによって若い黒人男性達は虐げられています。

子供達には「まだまだこれからだ。若い黒人男性を見たら、彼が黒人であるという事実だけではなく、彼はどんな人間であるかを認識するように」と教えてください。そして黒人男性を、世の中の不条理と闘う社会の一員として認めてください。若い黒人男性が「黒人の男」としてではなく、彼ら自身として認められる社会にする為に。

黒人男性に素晴らしい人はたくさんいます。史上最もすぐれた政治家、勇敢な軍人、汗水流して働く肉体労働者。彼らは黒人男性のあるべき姿を世に啓蒙しています。他にも黒人男性の科学者、芸術家に作家、コメディアン。思いやり溢れるお祖父ちゃんに、息子。彼らは頼れる父親であり、夢を抱く若い青年達なのです。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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