キャリアを積むなら「社内のブルーオーシャン」を狙え--グリー取締役・青柳氏からの助言

成長するキャリア #1/3

IVS 2014 Fall Kyoto
に開催

サイバーエージェント取締役「CA8」の一員である宮﨑聡氏と、グリーのエースとも呼ばれる青柳直樹氏が2014年秋に開かれたIVSの対談セッションに登場。モデレータにプロノバ・岡島悦子氏を迎えて、成長志向のキャリアの組み立て方について語りました。(IVS 2014 Fallより)

身近な起業家に圧倒された学生時代

岡島悦子氏(以下、岡島):このセッションは、グリーの青柳さんとサイバーエージェントの宮﨑さんをお招きして、「成長する人のキャリア」というテーマでお二人のキャリアについてうかがっていこうと思います。よろしくお願いいたします。

青柳直樹氏(以下、青柳):よろしくお願いします。

宮﨑聡氏(以下、宮﨑):よろしくお願いします。

岡島:たぶんこれを見ている人も、お二人が早回しのキャリアだなって感じ……今35歳と34歳で、もちろん上場企業の役員でいらして。宮﨑さんは今年CA8(取締役)になられて、今までどんなふうにキャリアを作ってきたらこんなふうに早くできるのか、あるいはここまで活躍できるか、みたいなことをうかがっていきたいと思うんですが。

まず青柳さんからいきたいと思います。キャリアの転機みたいなことが3つくらいあった、とさっきおっしゃっていたんですけども、まずドイチェ(ドイツ証券会社)に入られて、全然違う畑から(グリーに)入られて、今の自分はSFCを卒業したときにはたぶん……。

青柳:想像できてないですね。「どうやったらいいかわからないけどなりたい」っていうのは遠いところであったのかな。

岡島:そこはかとなくは何を思ってたんですか? そのときには。

青柳:目の前に見える起業家の方々が、一番近いモデルだったかなと思います。

岡島:例えば誰とかってあります?

青柳:当時は、今ヤフーの副社長の川邊(健太郎)さんが大学なんかにいらっしゃって、結構近い距離にいたので「こういうのもアリなのかな」と。

岡島:電脳隊をやられて、その後っていう。

青柳:ただそのときの僕からすると、電脳隊をやってその会社をヤフーさんに売却するみたいなのが想像つかなくて。圧倒されて、壁の高さを知るみたいな。そういう感じだったので、どうやって昇っていったらいいんだろうみたいなのはわからなかったですよね。

「フワッとしていた」CAに入社を決めた理由

岡島:なるほど。宮﨑さんにも最初に何を思ってたのか(聞きたいのですが)、まずサイバーエージェントに入られたんですよね。

宮﨑:そうです。僕はサイバーエージェントに2004年に入ってます。

岡島:そのとき、何を思ってました? 他も迷ってた?

宮﨑:インターネット業界か、成長産業のどこかのベンチャー企業に行こうと思っていて。いろんなところを受けてだいたいそういう機会をいただいたので、一番ピンと来たところに入ろうと思って、それがサイバーエージェントだったんです。

岡島:それは人決め? 領域決め?

宮﨑:その当時、やってることは広告事業以外はまだフワッとしてたので、何かやれそうだし、「この人たちとデカいこと一緒にやりたいな」っていう思いだけで決めましたね。

岡島:藤田(晋)さんだったり……。

宮﨑:はい。そのときの幹部だったりとか。

岡島:今のご自分たちは、もしかしたら宮﨑さんのほうが(キャリアが)見えていた感じかな。サイバーの役員の人たちの上がり方とかを見てて。

宮﨑:ですね。でもその当時は役員体制がやっと出来てきた、みたいな。

岡島:CA8が始まったのが……。

宮﨑:僕が入った後の2008年ですね。

岡島:じゃあそういう仕組みでもなかったのでっていう。

宮﨑:まだそういう仕組みはなくて、曽山(哲人)が人事本部長になってからいろいろ変わった感じがします。

岡島:仕組み化されていってという感じですよね。

過去の経験は再現される

岡島:じゃあ、それぞれにうかがっていきたいと思います。青柳さんはどういうキャリア、どんな感じで成長してきたかって思い起こすとどうですか?

青柳:毎回スプリントやってる感じで、数年先のゴールに行ったら違う景色があるってのを一応信じていて、それを繰り返してる感じで。私のほうは、宮﨑さんと違って最初に入った会社が違う業界で。

岡島:投資銀行をやっていて、そこから……当時のグリーは何人くらいだったんだろう。

青柳:当時は私が社員番号20番でして、でも社員が10人くらいしかいなくて。

岡島:鍋食べましたよね(笑)。

青柳:そうでしたね(笑)。あのときは、グリーというブランドというかサービスがあって「これをもっと面白くできるんじゃないかな」という思いの人が集まってきた。今は当時のグリー、PCのソーシャルネットワークっていうグリーは全体の中では一部になっているんですけれども、すごくよかったのはあのサービスがあって……。

岡島:あれは何年なんですか?

青柳:サービスは2004年から開始されてまして。

岡島:そうですよね。一緒にNILS(New Industry Leaders Summit)を2004年の11月にやったときに、後ろのほうに田中(良和)さんがいて、笠原(健治)さんも立ち上げてて、「田中さんやらないの?」みたいなことをみんなざわざわして言ってて。

青柳:ちょうど今週末でウチの会社が10周年になりまして……。

岡島:おめでとうございます。

青柳:ありがとうございます。

岡島:じゃあ2006年だったんですね?

青柳:2006年の頭に入りまして、当時はミクシィさんがドドドっと来てて「グリーどうすんの?」みたいなときに入らせていただいて。でも逆にいうとそれがよかったのかなって、10年経って歴史を見ているからこそ言えますけども。

岡島:これ(動画)を見る人……学生さんもそうだし、後に動画あるいはログミーで読まれる方もそうだと思うんですけど、あそこでグリーに飛び込めるってことがひとつの大きな分岐で。

青柳:今お話をうかがって2つ思ったことがあって。例えば当時、僕がミクシィに入って成功する船にただ乗っていた場合と、わからない航海に出た場合で、今の自分はどっちがよかったかなと思って。わからないですよ? でも、僕は比較的チャレンジはあるけれども、船の行く先を一緒に決められるみたいなところを選ぶ指向性があるなと。

岡島:それは割と、子どもの頃からの意思決定のパターン?

青柳:振り返るとそうなんだろうと思います。

岡島:それって大きいですよね。皆さん迷ったときに何を選ぶかっていう軸、習性はあって。

青柳:その話で思い出したんですけど、昔岡島さんに「人を面接するときに昔の経験を根掘り葉掘りとはいかないまでも聞く。結構再現されるよ」ってことを……。要は、前の会社だと新卒の採用はするんですけどそれくらいで、ちゃんと何百人採用とかやったことなかったので、いろいろおっしゃっていただいたのを思い出しました。

岡島:意思決定のパターンって実は本人はわかってなかったりするんですけど、迷ったときに比較的リスキーなほうを取るのか、みんなが「良い」っていう承認欲求のほうを取るのか、ある程度のパターンはたぶんありますよね。だからそこでグリーを選べるっていうのは、小心者の私とかは「ないな」っていうかすごいなって。

青柳:何でしょうね。グリーのサービスを作った田中とかだったら、それ自体でこういう場にも来れるし勝負してるわけなんですけど、当時の僕なんて世の中にたくさん同じ人がいる。

岡島:「投資銀行でイケてる人」っていう。

青柳:わからないですけど(笑)。「投資銀行でネットが好き」っていう重なってるのはあったけど。そういうところで自分にいわゆるレバレッジをかけていこうと思うと、比較的「これ勝負張ったね」というところに張っていったほうが、中期的には裏切られない。そういう感じはしますね。

26歳で迎えた、修羅場を乗り越える体験

岡島:一個そこに大きな分岐があって。ただ、面白いですよね。キャリアの話なんであれですけど、入ったのはCFO(最高財務責任者)じゃないですか。投資銀行の人がやってる仕事とCFOがしてる仕事って、似てるけど違いますよね。

青柳:全然違ったんですよ(笑)。

岡島:それは田中さんとか山岸(広太郎)さんもわかってなかったのか、何なんだろう。

青柳:お互いイメージができなかったですよね。田中と山岸は……当時山岸はサービスを見ながら管理部門もやっていて、山岸のところを誰かに渡さなきゃとなって「青柳くんがいる」っていうことだったと。

岡島:「数字に強いだろうな」くらいの感じですよね、きっと。

青柳:僕は仕訳とかやったことないんで(笑)。

岡島:(笑)。「弥生会計? 知りません!」みたいな。

青柳:「弥生っていうのがあって、こうやるんだ」みたいな感じですね。自分のPCにインストールするところから始まったっていう。

岡島:でも、ドイチェでのバックグラウンドがあったからKDDIとの提携というところに……。

青柳:そうですね。KDDIさんには、未だに「最初会ったときにはドイツ証券の名刺をお前は持っていた」って(笑)。僕はもともとドイツ証券のときにKDDI担当だったんですよ。KDDIさんの役員の方と一緒にIRをするとか、そういうお仕事をさせていただいていて、親近感も勝手に持っていて、KDDIさんにお会いしたみたいな。

岡島:オフレコだったら止めてほしいんですけど、全体の流れ、空気としては「ミクシィをグリーは追いかけてるけど大丈夫か?」みたいなところから、KDDIさんとの提携でグッと立ち上がったじゃないですか。そこの功績はすごく大きいと思っていて。そこは、ご自身のキャリアを振り返ったときにはどんな分岐なんだろう?

青柳:まず、人様の会社にアドバイスする仕事をしていて「これを逃したらダメ、この1打席で打たないとダメだ」というのがあったので、そういう意味では追い込まれて意思決定をする、自分の責任を取るというか。そういうことを初めてやったなと思いますね。

岡島:アドバイザーからプリンシパルに、という主役側に(立つ)ところで本当に打席が回ってきて、「ここが背水の陣」という。

青柳:今でも覚えてるのが、その2006年にいろんな会社さんと必死で交渉してたんですけど、本当に「これ!」という交渉で僕は机の下で手が震えてたんですよ。

岡島:えー! 今考えるとありえないですね(笑)。

青柳:(笑)。で、「これは俺の壁がきた」と思ったんですよね。それはすごくいい経験でした。

岡島:今、いろんな若い方のキャリアの話をしていると、抽象化した話ですけど「自己肯定感」とか「自己効力感」とかがない人が多くて、どこかみんな人が良いという……承認欲求をもとに「それがカッコいい」と思うキャリアを選びにいっちゃう人が多いんですよね。

そっちは自己肯定感の話なんだけど、今言っているのは自己効力感っていう、なんか修羅場っぽい球がくるとワクワクして「俺なら超えられるんじゃないか」と思えるってすごく大きくって、これは宮﨑さんも経験あると思うんですけど。それを20代ででしょ?

青柳:そうですね。26歳でした。

岡島:試合に出られるっていうのがすごいですよね。

青柳:本当にラッキーだと思いますね。当時は今みたいに「どんどんスタートアップ(して)いいぞ」みたいなのがなかったので。

岡島:しかも、大企業がベンチャーにガンガンお金を出していくっていう素地もまだない感じじゃないですか。

青柳:そうですね。KDDIさんは、今では非常にベンチャー界隈で存在感があるんですけど、大企業の中では相当、あの……特殊な(笑)、もともと第二電電だからみたいな。

岡島:チャレンジャーっていうポジショニングで。

青柳:ああいう方々だったから、僕らを受け入れてくださったというところがあって。そうじゃなかったら、僕らは単純に若者の挑戦として終わってたかもしれませんね。紙一重だなと思いますけどね。

岡島:そういう意味ではそこで逃げちゃう人もいるし、交渉が上手くいくことと上手くいかないことがありますけど、それを乗り越えて「自分はできそうだな」みたいな感覚が得られたのか。

「経営のなかでのブルーオーシャン」に進め

青柳:その後で、私は財務での交渉が向いてるんじゃないかと……手が震えてたお前が言うなって話なんですが(笑)、徐々に覚醒しまして。財務もいいんだけれども、これは自分以外でもできる人がいるんじゃないかと思うようになりまして、こういうファイナンスのバックグラウンドを持ってるんだけど、もっとビジネスのほうに入っていくっていう。そういうのをあの1年で感じられたなと。

岡島:その辺からずっと、事業開発側っぽいところに寄せていって。

青柳:これがまた、当時はそういう人がいなかったんですよ(笑)。

岡島:だからやっぱり、かっこよくいうとブルーオーシャン……。

青柳:経営の中でのブルーオーシャンに行ったほうがいいっていうのは、確かにありますね。

岡島:今入った人がそうできるかといわれると、またちょっと違ったりする。

青柳:僕自身の経験でも(先人が)誰もいなくてブルーオーシャンだったから良かったというのがあるので、自分のポジションを引いて他の人に丸投げするっていうのを、自分のキャリアのもうひとつのルールにしてますね。

例えば僕が管理部門をスコッと抜けて事業開発に行ったら、今度は管理部門のヘッドのポジションができるし、事業開発をずっとやってたんですけど「これはちょっと立ち上がりかかったな」というところで一番おいしいところを誰かに任せようと。

岡島:かっこよすぎじゃないですか、それ(笑)。

青柳:良く言うとね(笑)。で、行きたかったからアメリカに行ったと。そういう感じで、僕も後任の方もハッピーっていう。

岡島:やっぱり、割と自分の果実を回収しようって気持ちになりやすいじゃないですか。自分の果実じゃなくても、「オレやる詐欺」みたいな人もいるでしょ。「あれは俺がやった仕事だ」みたいな。そこはポジションを空けて、「ポジションが人を育てる」で次の人もちゃんと育っていく。

青柳:これは僕らも、今のスタートアップもそうだと思うんですけど、最初にすごく苦労したって過去があって。グリーっていうと「ダメなほうのSNSでしょ」みたいな感じで人が入ってくれなかった時期があって。

そこから強迫観念とまではいかないけど、どういうふうにポジションとかオポチュニティを作って会社の仲間を増やして会社としての可能性を広げるかといったときに、リスクを取って入ってきた人の数……数というか想い以上に会社は大きくならないので。そういうことを考えてましたね。

岡島:なるほど。ありがとうございます。

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