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14歳の女の子が「ネットいじめ撲滅システム」を開発するまで

Rethink before you type #1/2

ソーシャルメディアの普及で深刻化するネットいじめ、それを防ぐ方法は果たしてあるのでしょうか? 14歳のTrisha Prabhu(トリーシャ・ブラブ)氏は、ネットいじめのせいで命を絶った同い年の少女のニュースを聞き、強いショックを受けました。若者のネットいじめを撲滅するために、彼女が起こした行動とは?(TEDxteen2014より)

14歳で命を絶った女の子が抱えていた苦しみ

トリーシャ・プラブ氏:「おい、死ねよ」「なんでまだ生きてんの?」「ブス!」。フロリダ州のレベッカ・セドウィックは、若干14歳にして、ソーシャルメディアを通してこのような卑劣で攻撃的かつ、辛辣で不愉快なメッセージを受け取りました。

これらの言葉はレベッカを自殺へと追い込み、彼女は実家近くの給水塔から飛び降りました。2013年秋、学校から帰宅した私はこのニュースを聞いて驚き、衝撃を受け、そして失望しました。一体なぜ私よりも幼い女の子が自らの命を断つほどまでに追い込まれなければならなかったのか。

「何かしなければ」とその時に思いました。こんなことはもう二度と繰り返してはいけないのです。しかし、レベッカが受けた痛みや不幸は消えません。もう取り返しがつかないのです。

私の名前はトリーシャ・プラブ、14歳です。アメリカ、イリノイ州の大都市ネイパービルから来ました。私は取り返しがつかなくなる前にネットいじめを根絶しなければならないと思っています。

私には大きな夢があります。全ての人が夢を持ち、そしてその夢を追い求め、実現させる権利をもてるものに変えたいという夢です。レベッカの話を読んだ時、私はこう思いました。

「彼女のように苦しんでいる人が他にもたくさんいるのだろうか?」

数えきれないほど多いネットいじめ

その後すぐに、レベッカは数えきれないほど多くの被害者のうちの1人にすぎないことを知りました。メーガン・ミアーは14歳の誕生日を迎える3週間前に亡くなりました。寝室のクローゼットで首を吊っているのを夕食に呼びにきた母親によって発見されました。

メーガンのSNSには「この世界にお前がいなければいいのに」というようなメッセージが送られてきていました。メーガンはとても傷つき、苦しんだでしょう。

18歳のタイラー・クレメンタイはロットガーズ大学の学生でした。タイラーは大学という新しい環境と、自らのゲイというアイデンティティーを受け入れようとしていました。

しかしある日、タイラーのルームメートとその友達が、タイラーと彼のボーイフレンドの最も親密な瞬間をウェブカムで撮影し、ネット上に公開しました。もう取り返しはつきません。辱めにあったタイラーは自ら命を断ちました。ジョージ・ワシントン・ブリッジから飛び降りたのです。

これらの話を書き直すことができたら、全ての加害者に自分が何をしようとしているのか考え直すよう説得できたら、と心から思います。でも、もし本当に出来たとしたら? 傷つける前に止めることができていたら? メーガン、タイラー、そしてレベッカは今でも生きていたでしょうか?

大人より若者のほうが、ネットいじめに加担しやすい

ネットいじめは非常に大きな問題です。アメリカ国内だけでも、52%の若者がネットいじめを経験しています。そしてその38%が自殺願望を抱いています。では、世界的な視点で見てみましょう。

全人口の4分の1が若者です。数に直すと18億人です。ソーシャルメディア革命のこの時代に、ソーシャルメディアを利用する若者の数は年々増えており、ネットいじめ被害者の数も増えています。

では、なぜネットいじめを受けてしまうのでしょうか? 偏見かもしれませんが、私は子供たちが残酷で意地悪な悪魔だとは思いません。では、大人たちはどうでしょう? ソーシャルメディア上で優しいですか? それとも意地悪ですか? 大人に関しては、私はよくわからなかったので調べてみました。

その年、学校の科学の課題として、年齢とソーシャルメディア上で侮辱的な発言を行う意欲が関係しているかどうか調べてみました。そこから何がわかったか。12歳から18歳の若年層はそれより上の年齢のグループに比べ、40%も侮辱的な発言をする意欲が高いことがわかりました。

なるほど。この数字には特に驚きませんでした。しかし理由はなんだろう? なぜ若年層はそんなに侮辱的な発言をしたいのでしょうか? さらに調査を続けました。するとある日、偶然読んでいた記事の中にこの問題に対する考えをガラリと変えてしまうような一文をみつけました。

その記事には、「未成年の脳はブレーキのない車のようなものだ」と書いてありました。未成年の脳は、ハイスピード、動き出したら止まらない、考えない、思いやらない、ただ行動あるのみ。では、どうしてそうなってしまうのか? 

未成年は行動する前に考えることができない

私たちの脳は少し変なのです。脳は後ろから前に向かって発達します。つまり、脳の前方部分は25歳でやっと完全に発達するのです。それの何が問題なのか? 前頭前野皮質は、急な決断や衝動的な決断、とっさの判断など、物事の決断能力を担っています。だから未成年は行動する前に考えることができないのです。

よく考えもせずに、レッドブルを15本も飲んだり、英語の期末テストをさぼったり、あり得ない行動をとってしまうのです。行動する前に考えたりしません。私はこの話を友達に話しました。

「まったく! こんな恐ろしいことってある!?」と私が言うと、友達は「トリーシャ、あなたの熱意には感心するわ。でも、まるで今問題が発覚したみたいに15分以上もこの話をしているわ。確かにこの問題は深刻だよ。でもソーシャルメディアサイトもすでに対策を始めているよ」と諭してくれました。

私は「そうね、確かに」と言いました。しかしその後すぐ、ソーシャルメディアサイトが行っている対策は効力の低いものだとわかりました。彼らは「ストップ、ブロック、通報」メソッドを採用していました。被害者がネットいじめ加害者をブロックすることでいじめをストップし、速やかに両親や保護者に通報する。合理的に思えます。

しかし実際はどうなるか。私たちはネットいじめに遭っていることを、誰かに話すのが怖いのです。調査によると、ネットいじめの被害者10人に9人は誰にも打ち明けられないと言います。それに、なぜ被害者側にネットいじめをブロックするという負荷を与えるのでしょう?

なぜネットいじめの加害者側の行動を変えようとしないのでしょうか? 私は憤慨しました。ネットいじめを根絶させる効果的な方法はひとつも存在しませんでした。そしていじめは音もなく広がり、世界中の多くの人々に影響を及ぼしていました。

しかし、そこで私はひらめきました。私がした調査から、未成年者は行動に至る前に考えないという結果が出ています。つまり彼らはコメントをする前に考えていないということでしょうか? では、何をしようとしているか考えるチャンスを与えたらどうでしょう?

もし未成年者たちがソーシャルメディア上で侮辱的なコメントをしようとした時、「ちょっと待って。とても侮辱的な発言をしようとしているよ。きっと相手をものすごく傷つける。本当にコメントしていいの?」こう私に聞かれたとしても、彼らはそのコメントをするでしょうか?

当時まだその答えはわかりませんでしたが、結果が楽しみでした。その年、私のテクノロジーと科学のスキルをフル活用して2つのソフトウェアシステムを開発しました。

「Rethink」により誹謗中傷は激減する

これにより、自分がしようとしていることに関しての忠告が表示された時と、されない時の侮辱的なコメントをするに至る意欲に差が出るかを調べることができます。4~6週間、私は地元の図書館にこもり調査に没頭しました。

他の子供からは変な目で見られましたが、最終的には全て報われました。この調査では有効な1500の実例データが集まりました。それにより、わかったことは……、

「ちょっと待って。とても侮辱的な発言をしようとしているよ」という忠告が表示された場合、93%の未成年たちはコメントするのをやめました。このシステムにより、侮辱的なコメントに至る意欲を71.4%から4.6%にまで減少させることに成功したのです。

(会場拍手)

考えてみてください。私の研究により、コメントをする前に、投稿する前に、誰かを傷つける前に、手遅れになる前に、皆が少し考え直すだけでネットいじめは根絶出来得るということがわかりました。

嬉しいことに、私の「Rethink」は急激に支持され始めました。数週間前、私はグーグル・サイエンス展覧会に出席し、グローバル・ファイナリストになりました。

(会場拍手)

ありがとうございます。そして現在、このアイデアでアメリカ暫定特許権を所持しています。私の今の最大の目的はこれを商品化し、ネットいじめをなくすことです。現在クローム用の拡張ブラウザと携帯端末用のアドオンの作成に尽力しています。

これが現実化すれば「Rethink」は世界に広まり、手遅れになる前にネットいじめを失くすことが出来ます。

皆が少し考え直すだけで、ネットいじめはなくなる

スティーブ・ジョブズは以前こう言いました。

「シンプルにすることは、複雑にすることよりも難しい。新しく生み出すことは、派生させることよりもずっと難しい。だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山でさえ動かせるからだ」

彼の言う通りです。投稿ボタンを押すか押さないかを決める、ほんの数秒間がその後の未来を大きく変えてしまうということが「Rethink」によって証明されました。クラスであなたの前に座っている肥満の子や仕事場でウザい上司に侮辱的なコメントを送るか否かは、その子の人生やあなたの仕事に影響します。

皆さん、どうか取り返しがつかなくなるその前に一度考え直してください。全てが繋がっているこの世の中では忘れてしまいがちですが、私たちが今何をしようとしているのかを、少し落ち着いて立ち止まって考え直す必要があるのです。

私たちの発言には大きな力があります。ですから、考え直すという選択をしてください。コメントする前に考え直そう。取り返しがつかなくなる前に。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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