チームラボ・猪子氏「テレビ局は一切ドラマを作っちゃいけないんですよ」 日テレ社員を囲んで語る、テレビ業界が生き残る術

緊急座談会!テレビと広告の未来とは?クリエイター座談会 #3/4

ウェブとテレビをミックスした新たなメディアプロジェクト『SENSORS (センサーズ)』(日本テレビ)。バスキュール・朴正義氏、チームラボ・猪子寿之氏、PARTY・中村洋基氏、THEGUILD・深津貴之氏、NewsPicks・佐々木紀彦氏の5名が、ネット時代におけるテレビコンテンツのあり方などについて熱い討論を交わしました。

双方向性の良さを最大限発揮できる、日本の特殊環境

朴正義氏(以下、朴):生放送を同時に国内で見れる環境って、アメリカとかではそんなになくて。スポーツだとすごく食いつきが良くて、スーパーボウルとかメジャーリーグとかそういうのでみんなで応援しようっていうのは素直にアレだと思うんですけど。

『BLOODY TUBE』みたいなやつとかは、何でこういうのをやるのか意味がわからない……わからないじゃなくて面白さはデモったのでわかるんですけど、それを全米でやるネットワークがないっていう感じじゃないですかね。時差の問題とかもあって。だからヨーロッパとかアジアではいけるかもしれないけど、少なくともアメリカでは(できない)。

実際にハリウッドのソニー・ピクチャーズにも行ってきたんですけど、そこでも「こんなことできるのか」って言われて、テレビじゃなくて映画館で全部やりたいみたいな。そういう反応のほうが普通でしたね。

三枝孝臣氏(以下、三枝):どっちかっていうと、クローズドのリアルイベントにしてるのが多いんじゃないですか?

:そうですね。結局そういう、(テレビの前に)全員が同時に集まるっていうのが、なかなかイメージできないっていう。ツイッターだけでツイッターを拾ってどうのっていうのは、一方向というか受け付けたやつをするだけで、それをまんますぐに返してさらにどうの(双方向)っていうのは、「イメージ湧かないわ」みたいな。

三枝:要するに、日本みたいに「5局から7局を50~60%といわれる人たちがシェアして見る」っていう特殊環境の中だと、インタラクションを生みやすいってことですかね。

中村洋基氏(以下、中村):価値は出てくるというか。

:その領域が大きくなるかはわからないですけど。結構未来の映画とかで描いてるのって、全モニターがテレビだろうが何だろうが同じもの(を映して)、独裁者みたいな人が突然バッと映って、でも超インタラクティブになってるみたいな(笑)。そういう世界が日本で先にくる、みたいになったら楽しいなと思うんですけどね。

猪子寿之氏(以下、猪子):コンテンツのリアルタイム参加っていうのは普通なんだけど、それがもうちょっと分散して行われてる。ネットだとリアルタイム参加って普通じゃないですか。それを超分散しちゃってるっていう。数千万人みたいな単位で同時に何かするっていうのは、環境的に他ではないので。

三枝:いろんなところが特殊環境っていう。

猪子:そうですね。

中村:それが最後のチャンスって言った意味なんですよね。

猪子:そういう意味では、海外のクリエイターとかはそういうチャンスが逆にないですよね。

テレビ局はドラマを作るべきではない

深津貴之氏(以下、深津):僕はもともとロンドンに留学してて、そのときがきっかけでテレビを見なくなった。向こうではBBCの4チャンネルしかなかったんだけど、クッキングかガーデニングしかやってないみたいな状態で、それで見なくなっちゃったんですね。

実際どんなだったかと言うと、オシャレな番組は限られた時間だけで、9割くらいは「おばちゃんがドアの建て付けとガーデニングをすごく細かくやってる」みたいな。それで見なくなっちゃったんで、見たいときに見たいものが出てこないっていうのがテレビの弱点でもあるんですよね。

そこを逆に克服したら、急に強くなるんじゃないかなと思うんです。スポーツとかニュースはみんなで同時に見ればいいと思うんですけど、ドラマやアニメなんかは、テレビでは1話だけずっと流してて、「1話が気に入ったら2話から先は自分でネットで見れば」みたいなのでいいんじゃないかと思うんですよね。

テレビで連続ドラマを放映するのは今は普通の形なんですけど、実際に僕が見ると、たまたま実家に帰ってテレビをつけたら7話くらいからスタートしてて、さっぱりわからないので。やっぱりテレビをつけたタイミングで1話がやっててほしいなと感じたりしますね。

猪子:そう考えると、テレビ局は一切ドラマを作っちゃいけないんですよ。

(一同笑)

中村:あれ、一番視聴率が出るんだよ。

猪子:マジ!? 嘘でしょ?

中村:嘘じゃないですよ。圧倒的にドラマですよ。

猪子:イメージ的に……まあそっか。制作と放送がセットだからね。

:それは結構日本の特徴みたいで、アメリカとかではやっちゃいけない。

猪子:(自分の)イメージで言うと、ドラマは制作大手がやるもので、本来はローカルインフラを握ってるところがやるようなコンテンツではないですよね。論理的には制作大手がやって、グローバルで配給するみたいなのがもっとも効率が良い。

三枝:それが本当は効果的なコンテンツの配給。

猪子:それが映画になったり。海外のドラマってそうですよね。グローバル(が前提)でみたいな。元からそう(作ってる)。地上波のインフラを持ってるところは、本当は生放送みたいなものじゃないけど、「同時」っていうのに集中したほうがいい。

三枝:それはテレビでしかできない。

テレビ最大の長所は「公共性」

:テレビで一番良いのって、一言でいえばパブリックなことだと思うんですよね。パブリックを捨ててはダメで、それはネットでは絶対にできない事なので。ネットはもう、ソーシャルのタコツボがたくさんあるみたいな感じなんで。

(テレビは)パブリックがすごくて、つけたら何が見れたら超パブリックかっていったら「今がわかる」っていう。テレビをつけたら今がわかるっていうのがテレビの未来だと思うので、ライブ技術を超磨くのが生き残る道。そのぶん「ライブの解像度を高く」っていったら、それが双方向になってるというか。

パブリックな情報の出し口はテレビがまさにやってるけど、じゃあネットでパブリックな情報の受け口があるかっていうとどこにもなくて。「どこに意見を言えばいいんだろう」みたいなのがどこにも、2ちゃんねるにもなければニコニコ動画にもなくて、テレビがどこかで「パブリックな情報を受け付けるのは僕らです」って手を挙げたら、結構変わるような気がしていて。

それが今やってるような活動の延長にあったりすると、デバイスも変わったりとか、そんなことを思うんですよね。

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