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IVSスタッフの起業家としての成長(全3記事)

価値あるイベントは「運営」にこそ旨味がある--IVSスタッフたちが語った学び

国内の著名ITベンチャー企業の経営陣が列をなして参加するクローズドカンファレンス「IVS」。スタッフとしてこの豪華イベントを支え続け、裏側を見てきた佐俣アンリ氏、木下慶彦氏、大湯俊介氏の3名が、狭き門であるIVSスタッフを目指すにおいての心構えなどについて語りました。(IVS 2014 Fallより)

IVSスタッフが意識する、おもてなしの心

奥田:じゃあここで質問をガラッと変えまして、今度は今回のIVSをもてなす側として、いらっしゃる方々をどういうふうにもてなしたいと思いますか? スタッフとして。

佐俣:なるほど、突然変わりましたね(笑)。整理しないといけないな。

奥田:今度はスタッフとして。あと、どんなところを感じてほしいですか。

佐俣:運営スタッフは過去最大、70名ですね。「構想5年!」って映画みたいですけど(笑)。本当に良いメンバーでやってるなって思うので、細々いろんなことを改善してるんですよね。

そういう細々を見つけるのは別にいいんですけど、「かゆいところに手が届くイベントだな」とか……ほとんどの大きいイベントって、いわゆる業務を委託してる人たちが回してると思うんですけど、そうじゃないイベントがどう回ってるのかを見てほしいっていうのは、正直スタッフ側としてはあります。

ただ、お客様をもてなすという意味では本当に良いイベントなので。スタッフがいることに気付かないというか、「全力でセッションやネットワーキングに集中できたな」って思ってもらえるようなことを、できるといいなと思ってます。

奥田:わかりました。それでは次は木下さん。

木下:今6~7回参加して、合計3年くらいやってますけど、ここにきて脇を締めてというか初心に返って、初めて参加してみんなにプレッシャーをある程度与えられながらやってるような、そんな気持ちで向き合いたいなと思ってます。

そうは言っても知ってる方もすごく多いので、具体的に言えば普段から交流がある人以外により声をかけるとか、そういうこと。おそらく、集中する人には集中するわけなんですよ、コミュニケーションって。なのでそういうことは非常に意識して、参加者の方をもてなしたいなと思ってます。

奥田:はい。次は大湯さん。

大湯:「個人」と「場」とひとつずつあるんですけど、個人という意味では、今回からどちらかというと現場の仕事よりももう一段階レイヤーの高い「全体を見ていく仕事」をアサインしていただいているので、それこそ普段の経営の写し鏡じゃないですけど、どうしたら場がより良くなるかってことを意識しながら仕事をしたいなと、個人的には思ってます。

その上でどういう場にしていきたいか、どういうもてなしをしたいかって話なんですけど、スタッフをやってて感じるのは、すごくやる気もあるし良い人が揃ってるなって思うんですよね。なので、スタッフなんですけど……どんな人がどれくらいこの動画を見てくれてるかわかりませんが、チャンスを取ろうとしている人たち。

それこそ狩られようとしているじゃないですけど、その中でも素敵な人が集まってるので、暇なときとかにスタッフにちょっと目を向けていただけると、実は良いことが起きるんじゃないかなと思うんですよね。スタッフ側だけじゃなくて、見てるほうの人としても。

そういう意味でも、IVSって他のイベントに比べるとかなりいい場所だと思ってます。実はそういう楽しみ方もあるんじゃないかなと思ってたりするので、チャンスがより生まれる場になったらいいな、していきたいなと思ってます。

「IVS」という場を一言で表すと?

奥田:わかりました。ありがとうございます。これから、実は「カメラ目線で最後に一言」みたいなのがあるんですけど、「IVSを一言でいうとどんな場所?」という質問がきてます。ちょっとだけ考えていただいて、ビシッといっちゃってください。

佐俣:IVSとは……?

奥田:どんな場所。はい、佐俣さん。……まだちょっと考えていいですよ。ここはビシッとした目線でいくところだと思うので。

佐俣:なるほど……これは難しいですね。

奥田:「俺から」っていうのでもいいですよ。

佐俣:じゃあ木下さんお願いします。……上島竜兵ポジション(笑)。

木下:(笑)。

奥田:チャンスを取っていきましょうよ(笑)。

木下:僕にとってIVSは「新しい音を聴く場所」だと思ってます。僕は最近、「モスキート音が聴こえるか」っていうのをよく言っていて。

モスキート音は蚊の音で、小さい頃にしか聴こえないような音みたいな話があると思うんですけど、いろんなところに行って「いい場所だったな」って思う場所っていうのは、ここにしかない体験だったり経験だったり、ある意味情報だったり、そういうものがあると思ってて。

IVSっていうのは常にそれをくれる場所だなと思ってますし、僕自身それをみんなに伝えることであるとか、このコミュニティに対して戻したいって思いはあります。そういう場なんだと思ってます。以上です。

奥田:ありがとうございます。では大湯さんいきましょうか。

大湯:IVSは私にとって「振り子」かなと思ってます。どういうことかというと、人が成長していく、企業が成長していく……まさに自分が組織を作ってて思うのは、やっぱり両極端の考え方が常に必要。アグレッシブにいくことも必要だし、でも目の前のリスク要因を排除していかなくちゃいけないと。そのどっちが欠けても大きい企業はできない、人間としても成長できないと思ってます。

そういう意味でIVSはアップサイドも見れれば、スタッフをやることですごく地味な小さいところも気にしなくてはいけないという意識が芽生えたりするので、その行き来をする振り子なのかなと自分の中では思って。今回の質問を受けたときに、それをパッと思い出しました。

奥田:ありがとうございます。では大トリですね(笑)。アンリさん、一言いきましょう。どうぞ。

佐俣:僕にとってのIVSなんですけど、「一里塚」だなと思っています。成長の道しるべです。IVSは必ず半年に1回あるんですね。おそらく、これからも半年に1回あるんですよ。

僕は世界一のベンチャーキャピタリストになりたいって公言してて、あと7年くらいでなると言ってるんですけど、IVSのスタッフをやらせてもらって4~5年経って、「4~5年でこの位置だな」っていう。で、半年後も必ずあるんですね。

僕も必ずスタッフでやらせてもらうんですけど、そのときに周りの起業家と比べてとか、周りの投資家と比べてとか、海外のゲストの方、例えば今回は登壇者にY Combinatorの方がいらっしゃいますけど、その方と比べてどれくらいなのかを、必ず半年に1回ジャッジメントが来るんですね。

このジャッジメントに対して、自分がどのくらい戦えてるかがわかる。その一里塚になるっていうのが、僕にとってのIVSの意味付けかなと思ってます。

奥田:ありがとうございます。じゃあ私からも一言。こうやって、スタッフのお話をうかがってきました。スタッフの中だけでも”無限”を感じます。可能性がどんどん広がってどんどん成長していく様子と、あと自分自体の能力を解放する、無限のところまで挑戦するっていうのを毎回感じられる場所がIVSです。

見切り発車でスタッフに応募してみよう

奥田:では……最後の質問ですが、これからIVSのスタッフを志願する人たちへのアドバイスを。今、IVSはフェイスブック等での拡散でスタッフ募集が行われていて、応募すると審査があって、Skype面接があって、そこで選ばれた人たちが今回参加しています。

さらにどんどんスタッフを拡充していこうという小林さんのお考えなんですけども、そういうちょっと下の方々に、優しくても厳しくてもいいので一言。スタッフを目指している人、検討している人に一言ください。

佐俣:「来ればいいじゃない」って話かな(笑)。それに尽きると思ってます。やっぱり今はすばらしい時代で、こういったコンテンツも動画に出ますし、テキストにも書き起こしてもらえるので、ある程度のコンテンツは得られるんですよね。

正直、社会人で働いてたり起業してたりして、3日間4日間使うって結構なことです。起業家の寿命って何年だろうと思ったとき、この4日間の時間はどういう意味があるんだろうって考えると思うんですけど、来ればいいじゃないってのが僕の中の結論です。見てみないとわからない、やってみないとわからないことって多いので。

「ただ、有給取れないんですよ」とか言う人も多いんですけど、来ればいいじゃないと。来ないんだったら一生わからないので、とりあえず応募してみて来てみればいいんじゃないっていうのが、僕にとってのメッセージです。

来てもらって一生懸命やって「いらないな」と思えばそれはそれでいいですし、とりあえず来ればいいじゃないと。それに見合うだけのものがあると思ってるので、僕は独立して人のお金をお預かりしても参加してるので。ぜひ、来ていただければいいなと思います。

奥田:ありがとうございます。次、木下さんお願いします。

木下:スタッフに興味がある皆さんに向けてですけど、面白いと感じたらぜひ来てほしいと思います。僕が尊敬する起業家で早稲田の先輩でもある、今ヤフーにいる小澤(隆生)さんという人は「迷ったら面白いほうを選べ!」というのを言っていて、もう2択なんだと思うんですよね。面白いか、面白くないか。

面白いと直感的に感じたらそこに飛び込むというのがすごく重要で、しっくりこなければずっと考えてればいいかもしれないし。でも面白いことが来たときに、ぜひ飛び込んできてほしいなと思ってます。

奥田:ありがとうございます。最後、大湯さんお願いします。

大湯:お二方が気合いって感じだったので、ロジカルに攻めようかなと思います(笑)。なんで来たほうがいいのかって僕も大前提で思ってて、僕もお二方が話してる間に考えてみたんですよ。

ひとつ思ったのが、書き起こしとかでコンテンツって出るんですけど、スタッフの仕事ってなかなか外に出ないんですよ。これってネット上とかでは絶対わからなくて、小さいことが大事だって意識を持ったりだとか、近しい目線にライバルがいたりだとか、そういうことを感じられるのってスタッフで参加しなきゃ意味がなくて。

メインとしては、お金を払って登壇の内容を聞きにくるわけじゃないですか。でもそうじゃなくて、スタッフをやるほうが絶対学びが多いと思うんですよね。なので、表に出ていないIVSの真髄を見るって意味でいうと、スタッフ参加しか道がないと思ってて、スタッフを絶対やったほうがいいと思ってます。

もう一個は、社会に出ちゃうと仲間ってなかなかできなくて。僕がすごく良いと思ってるのは、大学の仲間で起業するとか、同窓会とかで会った人と起業するとか、そういう人とのほうが絶対うまくいくと思ってます。利害関係がないので、良い仲間が見つかるんですよね。

で、社会に出てから唯一、同じ釜の飯を食う経験ができるところなんですよね。仕事で看板背負って「○○をやってる○○です」と言うと、「これ系の人ね」と規定されちゃうので、話ができることが限定されたりとか、「ちょっと競合になりそう」って話になっちゃうんですけど、IVSだとスタッフなんで、リクルーティングに繋がったりとか投資に繋がったりとか。

とにかく人となりが見えて一緒に同じ釜の飯を食う経験ができる、仲間ができるので、スタッフは超おすすめって感じでございます。

奥田:ありがとうございました。スタッフのお話を今日はずっとおうかがいして、私もやっぱりこの空気を感じてほしいと思います。おそらくスタッフの募集の際に、応募するときに結構皆さん「自分でいいのかな」とか迷う部分があるんじゃないかと思うんですけど、まず空気を感じるために見切り発車で来てください。

これは私の本(の内容にある言葉)なんですけど、見切り発車っていうのはある意味、自分ができるかなって思うときに3割の力しかなくても、発車したらその後で7割を誰かが埋めてくれる。後ろを埋めて一緒に走ってくれる。

なのでスタッフに挑戦するということも、3割の力しかない人も最後は7割をいろんな人たちが協力して自分の力を完成させてくれるって意味で、スタッフからの応募というのはとても意味があるんじゃないかなと。まだまだ力がないからこそ、挑戦してほしいと思います。今日は本当にありがとうございました。

佐俣・木下・大湯:ありがとうございました。

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