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「今のままでいいのか」という40代からの不安の乗り越え方(全4記事)

「40歳定年説」をきっかけに退職を決意 『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』著者が語る、セカンドキャリアの3つの要素 

仕事・プライベートでも責任のある立場となり、若い頃のように失敗もできない40代。日々の中で、なんとなくモヤモヤした思いや不安、焦りを感じている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』著者で、『からまる毎日のほぐし方』を9月に上梓した尾石晴氏にインタビュー。本記事では、セカンドキャリアで重要な3つの要素について語りました。

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人生100年時代に知っておきたい「40歳定年説」

——尾石さんは、退職して自主的にサバティカルタイム(用途を決めない休暇)を取ったとおうかがいしました。そのきっかけになった「40歳定年説」について、教えていただけますか?

尾石晴氏(以下、尾石):これはリンダ・グラットンさんの『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』や、ちきりんさんの『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』にも書いてあるんですけど。

学生時代が20数年あって、そこから30〜40年の職業人生を過ごして、あとは老後で引退というロールモデルが、これまでの社会では一般的だったと思うんですけど。これからは人生100年時代になったので、そういうロールモデルが通用しないと言われていますよね。

そう考えた時に、ちょうど学生の期間が20年ぐらい、社会人経験が20年ぐらいになるのが40代に入った時なんですよね。なので、そこで第1の職業人生が終わったと区切ってみる。すると、残りの20数年をどう生きていくか、今一度考え直さなきゃいけないんだなと思うようになりました。

いったん40歳で「本当にこの仕事や働き方を続けていいのか?」と考えたほうが、残りの20数年は良い職業人生が送れるんじゃないかなと思っています。

退職してサバティカルタイムを取ることを決意

——退職してサバティカルタイムをとろうというのは、大きな決断ですよね。

尾石:私は文章を書いたりしてお金をいただくことが増えていたので、その副業のお金をプールしていたんです。一方で、本業は、毎日9時から18時まで働いて、子どものお世話をしていると、副業に関わるような時間は、夜1時間とか1時間半ぐらいしか、取ることができなかったんですよね。

毎日1時間やっても1年で365日で見れば、そんなに大きいことはあんまりできない。なので、ある程度プールしてきた副業のお金と、自分が本業で16年ぐらい働いて貯めてきたお金で、しばらくの間、自分の好きなことを試行錯誤してみる期間が取れるんじゃないかなと考えるようになりました。

こどもの小1の壁も同じタイミングでありましたし、コロナの到来もあったので、用途を決めない休暇ということで自主的にサバティカルタイムをとり、副業からひもづけて、自分ができそうなことを模索してみたいなと思ったんです。

——長期間の休みを取りにくい方の場合、会社員として働きながら、自分を見つめ直すにはどうしたらいいでしょうか。

尾石:そうですね。とにかく週のうち3時間だけでも、用途を決めない時間を作って、自分の好きなことをするといいのではないでしょうか。それは、本を読むでも、勉強するでも、副業を始めてみるでも、何でもいいと思います。もしくは、毎朝30分の時間を作ったり、週末にそういった時間を作るところから始めるのがいいんじゃないかなと思います。

今まで「時間」と「お金」を使ってきたものを洗い出す

——会社員の場合は、まとまった休暇でやろうとするよりも、日々の中で自由に使える時間を少しずつ作っていくということですね。用途を決めない時間の使い方の一例を、具体的に教えていただけますか。

尾石:私がおすすめするのは、今まで自分が時間とお金を一番使ってきていることを書き出してみることです。例えば、「時間があったら本を読んでるな」という人は本を読む。「新作のスイーツを検索して試すのが好きなんだよね」という方は、新作スイーツのリスト化でもいいと思います。

あと「旅行にたくさんお金を使っているし、プランを考えるのが好きだ」という方は、それもいいと思うんですよね。ただ調べるだけだと、普通の検索行動で終わってしまうので、「これを他者に見せるとしたらどうするか」ということを考えてみると、視点が自分の内側から、「他者に見せる可能性のあるもの」として外に向かいます。

副業するということは、他者に自分の商品を買ってもらわなきゃいけなくなりますので、「他者から見たらどう見えるか」を考えることは重要ですよね。用途を決めない時間が取れるなら、自分が今まで時間とお金を使ってきたことを洗い出し、自由に使える時間の中でやってみる。プラス、余裕があれば他者の視点も考えてみる。

例えば、他者に見せるとしたら、「旅行のプランをどういう売り出し方にするか?」と考えて、「忙しい人でも38時間で行ける韓国ツアー」のプランを考えるとかですね。「自分だったらこう」というものに、他者の視点を入れて、プランを作ってみる。そんな模索をしてみるとおもしろいんじゃないかなと思います。自分も楽しいですし。

もし、それを副業につなげるなら、次は、発信して市場を見極めてみる。「あなたの旅行を考えます」なんて商品を作ってみる。その後は、商品を作るために必要な売り出し方、販売サイトを考えるなど、実務的なことをやってみるとか。時間さえあれば、無限にいろんなことができると思います。

「お金」「つながり」「健康」の3つの要素が肝

——尾石さんは書籍『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』の中でも「人生100年時代を生きるためには『お金』と『つながり』と『健康』の3つの要素を持つ自分業が大事」だとおっしゃっていました。いろいろなチャレンジを通して自分業を模索されてきた中では、失敗経験もあるんでしょうか。

尾石:失敗したというか、向いてないなぁと自覚したのは、講師業です。確かにお金にもなるし、受講者さんとのつながりもできるんですけど、私には向いてないなと思いました。そういう仕事は、いくら副業としての要件を満たしていても、私の場合は外しています。

向いてないことをやると、結局続かなくなっちゃうと思うんです。この(自分業を構成する『お金』と『つながり』と『健康』の3つの要素のうちの)健康って、肉体的な健康だけじゃなくて、精神的な健康の意味も含んでいるんです。

やっぱり自分がおもしろいなと思う仕事をやるほうがいいので。私にはあまり向いてない仕事だと思ったので、イベントで何か教えたり自分でセミナーをすることは、今はほとんどやってないですね。

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