ビジネスシーンにおける「話が噛み合わない要因」

加藤想氏:今日は、話がかみ合わない時の要因や対処法について考えていきます。

まずは、話がかみ合わない原因について考えていきます。例えば、ほぼ全員と話がかみ合わないと感じる場合は、自分自身に問題がある可能性が高いです。ほかの人とは問題ないけど、特定の人とはまったくかみ合わない場合は、自分だけではなく相手にも問題があるかもしれません。

ほとんどの場合、どちらか一方だけに問題があるのではなくて、複数の要因が絡んでいます。また、仕事の話題はいいけど、プライベートな話やちょっとした雑談が苦手という方もいるかもしれません。今回はビジネスにフォーカスして、話がかみ合わない要因について考えていきます。

代表的な原因は5つあります。まず1つ目は、話の内容が漠然としていることです。相手との認識にずれが生じる要因としては、話の内容がぼんやりしているとか、主語や述語のない曖昧な会話になっている、などが挙げられます。

話の抽象度が高いということは、その分、解釈の余地が大きいとも言えます。情報が足りない部分は相手が想像で補っているので、受け取り方や解釈の仕方によってずれが生じてしまいます。相手が推測しなくても内容が理解できるように、具体的に伝えることが大事です。

2つ目としては、前提条件にずれがある。これもよく起こります。そもそもの前提や目的の共通認識が取れていないと、話がどんどん違う方向に進んでしまいます。例えばビジネスの場であれば、話を始める前に議論のゴールや目的、前提条件などを確認する必要があります。

人によって「好みの話し方」は異なる

3つ目は、好む話の組み立て方が異なる場合です。人によって好みの話し方は異なります。これを事前に押さえておくことが大事です。例えば、結論から話してほしい人もいれば、順を追って説明してほしい人もいます。相手のコミュニケーションの好みを知ることで、お互いにイライラしてしまうという状況を避けることができます。

4つ目は、「主題に関する知識量に差がある」です。持っている情報量や知識の量に大きなギャップがある場合も、相手との会話が成り立たないことが多いです。

例えば、新入社員と部長が話すための会議とか、「若手から提案をしてくれ」と人事が設定したミーティングなど、こんな場面だと既存社員と新入社員の話がまったくかみ合わずに、以降、それらの機会が設けられることはなくなった、なんてこともあり得ます。

会社や商材、サービスに対する知識量の差から、既存社員と新入社員の間にギャップが生じてこんなことが起こります。

5つ目は、頭の中で整理されていない。これもよくあります。頭の中を整理せずに思いついたことをそのまま伝えてしまうと、お互いの理解が浅いところでとどまってしまいます。

また、こうしたケースは話し手だけではなくて、受け手の頭の中が散らかっている場合にも起こります。議論や会話を進める中で、「そもそもの目的はこれとこれです」「つまり、こういうことですか?」「今の話で出た結論ってこういうことですよね?」と、整理しながら話すことが大事です。

会話にずれが生じた時の対処法

では次に、話がかみ合わない時の対処法について考えていきます。そもそもですが、話の前提条件を合わせることを意識する必要があります。どこで話がずれたのか、再度認識のすり合わせを行う必要があります。「私はこういう認識で話していましたが、合っていますか?」と、随所ですることが有効です。

あとは、主語と述語を明確にすることも非常に大事です。「誰が何をするのか」といった主語・述語が曖昧なまま会話を進めると、認識違いが起きてしまいます。特に急いでいる時や時間がない時ほど、言葉を省略してしまうことは多いです。仕事の大切な話であれば、「先ほどのお話はこういうことでしたよね?」と、確認用のメモを送ってみるのもよいと思います。

あと、相手がどこまで理解をしてくれているか、どこから認識がずれているか、理解度を確認することも重要なポイントです。

例えば、自分が上司の立場で部下と話をする際は、「理解できたところまで話してみて」というかたちでコミュニケーションするのもよいです。自分が部下の立場で上司と話をする時は、事前にメモを作った上で話をしたり、「こうした認識で合っていますか?」と、メモを通じて確認することが大事です。

あまりにも相手と話がかみ合わない場合は、日をあらためるのも1つの手です。話している内容の重要度や優先度にもよるんですが、「一度、この話は持ち帰ってもいいですか?」と、打診してみるのも手です。

相手の意見を自分なりに整理したり、伝えるべきポイントをメモにまとめたり、こんな十分な準備を行って、後日仕切り直すこともありだと思います。

コミュニケーション上手な人の特徴

相手とうまく意思疎通ができる人は、日頃どんなことを行っているのか? 例えば、次のようなポイントを実施している人が多いです。

会話の内容だけでなくて、表情なども含めて相手のことを理解しようとしている。相手の話をよく聞いて、自分の理解度を常に意識している。相手がどのように受け取っているのかを確認しながら話している。こんなことが挙げられます。

重要なことは、自分が伝えたいことを一方的に伝えるのではなくて、相手に合わせてコミュニケーションを取ることだと思います。ぜひこれらの点を意識しながらコミュニケーションをして、話がかみ合わないなんていうことがないように仕事を進めてもらえればなと思います。

わかりやすく話すためには、一番は論理思考のトレーニングをすることが大事です。「今、自分が話しているのは全体のどこの部分なのか?」と、頭の中で地図を描きながらコミュニケーションをすることが、実は一番近道だったりもします。ぜひ参考にしてみてください。