2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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データによる技術分析や未来予測などを提供するアスタミューゼ株式会社。今回、「事業を目利きする力を養う方法」をテーマとしたセミナーに、『起業の科学』著者の田所雅之氏と同社代表の永井歩氏が登壇。起業家から経営者への必要なスキルの移行や、PMF達成後の成長を継続するための仕組み作りなどが語られました。
田所雅之氏(以下、田所):(スタートアップや新規事業の)目利きのポイントとしては大きく5つあると思います。みなさんも書かれているように、まずは経営者・経営陣の能力です。これまでのトラックレコードや資本政策が成功しているか、地頭の良さなどが重要です。
さらに、市場への洞察も必要です。これはミクロレベルのユーザー洞察だけでなく、マクロレベルの洞察、つまり「なぜ今この事業を行うのか」というWhy nowの視点です。例えば、規制の緩和や強化、社会の動向、テクノロジーの進化が理由かもしれません。
結局、自分たちが乗ろうとしている市場が成長しているのかどうかが重要です。寝ていても毎年2倍に成長する市場に乗っていれば、何もしなくても自然に伸びていくということです。
逆に、毎年10パーセントずつ落ちている市場であれば、ものすごく速く駆け上がらないと、2倍に成長するのは難しいということです。だからこそ、ユーザーのインサイトや洞察だけでなく、マクロ的な見立ても非常に重要になります。
これは長くなる話ですが、特に「起業家から経営者に移行する」という部分が大事だと思います。この移行については、僕が最近書いた本にもまとめましたが、例えば「誠実さ」「決断力」「集中力」「人間味」「対人スキル」「コミュニケーション」など、起業家として求められるものが徐々に変わっていくのです。
初期段階では、できるだけ分業せず、お客さんと話しながらプロダクトに集中することが重要です。しかし、成長して人が増え、PMFを達成すると、プロダクトだけでは不十分になります。ここで仕組み化が求められ、取引先や代理店、メディア関係者など、多くのステークホルダーとの関係を見極め、集中するべきものを判断する必要があります。詳細については、資料を見ていただければと思います。
次に、シード期の話に戻りますが、ここで重要なのは「実行力」と「スピード感」です。
僕がベンチャーキャピタルで学んだ中で、みなさんに覚えていただきたい言葉に「ケイデンス」があります。ケイデンスとは、定点観測でどれだけ成長しているかを測ることです。起業家はよくビジョンを掲げ、大きな目標を語るものですが、そのスナップショットだけではなく、時間をかけて成長が継続しているかどうかを見極めることが大事です。
例えば、ある起業家が「毎月20パーセント成長しています」と言った時、それを一度聞いて信じるのではなく、1ヶ月後に再度確認し、その成長が本当に持続しているかをチェックするということです。
翌月に会った時に、本当に20パーセント成長しているかどうかが重要です。「すみません、今回は従業員のトラブルで5パーセントしか伸びていません」と言われたら、それはケイデンスがないということです。スナップショットでは何とでも言えますが、定点観測でどれだけ成長しているかを見極める必要があります。
つまり、「一番伸びている時期の1ヶ月分の成長」×「12ヶ月」が、その起業家の年間成長率を大まかに示します。もし1パーセントしか伸びないのであれば、年間では15~20パーセント程度の成長にとどまります。しかし、競合が毎月20パーセント成長していれば、年間で4倍から5倍に成長することになります。モメンタムがなければ、その起業家にはケイデンスがないと判断できるわけです。
見立てのポイントとしては、3つの質問が重要です。
まずはWhat、「どれくらいの進捗・成長があるのか?」、次にHow、「どのような施策を行ったのか?」、そしてWhy、「なぜその成長が起こったのか?」です。重要なのは、現象そのものではなく、その背後にある再現性です。
例えば、「毎年足が速くなっています」と言われた時に、「なぜ速くなったのか?」と質問します。「フォームを解析し、プロのコーチをつけて、股関節の柔軟性を高めたことが成長の要因です」と答えるアスリートと、「理由はよくわかりません」と答えるアスリートがいた場合、どちらに期待しますか? 圧倒的に前者でしょう。このように、What、How、Whyを聞くことが重要なポイントです。
これはシード期に限らず、シリーズA以降でも、成長のドライバーを起業家がどう捉えているかがパフォーマンスに大きく影響します。このあたりをしっかり見極めることが重要だと思います。
シリーズAでは、ケイデンス評価が大事なのはもちろんですが、徐々に仕組み化も必要になります。
KPIの設計やPMF(プロダクトマーケットフィット)の再現性も重要です。僕がよくする質問の1つに「お客さんの成功を定量化していますか?」というものがあります。カスタマーサクセスは、プロダクトを使った瞬間にハッピーになるわけではありません。
たとえばBtoBのSaaSでは、オンボーディング、アダプション、オペレーションの各段階を経て、最終的にサクセスに至ります。それぞれの段階で、オンボーディングの終了率やオペレーションでの活用状況、費用対効果などを定量化しないと、どこに注力すべきかがわからなくなります。
シリーズAになると、組織化と分業化が求められます。この時、KPIは単なる指標ではなく、組織全体の「問い」になるべきです。KPIが10個も20個もあるわけではなく、「自社にとって今最も重要なKPIは何か?」という問いが、キーとなるメンバーの頭の中で常に意識されていることが大切です。
シリーズAでは、顧客の洞察やインサイトに基づいているかどうかが非常に重要です。属人的な部分を排除し、メンバーに対して仕組み化や定量化を進めていくことが求められます。
シリーズBになると、攻めだけでなく守りが重要になり、MOAT(競争優位性)の構築、いわゆる「オセロの四隅を取る」という戦略も必要です。スタートアップの目的は、勝つことだけでなく、勝ち続けるための仕組みを作ることです。
MOATについては本2冊にまとめているので、ぜひ読んでいただければと思います。ネットワーク効果やIP、ブランドの第一想起といった要素を掛け合わせ、長期的な戦略を構築できているかが大切です。
また、上場後の成長ストーリーもシリーズBで見極めるべきポイントです。上場することで採用力が高まる、信頼が増す、新たな資金調達が可能になるなど、上場後のストーリーとMOATが掛け合わさっているかどうかが重要です。
今日は時間がないので詳しくはお話ししませんが、フェーズごとの事業の「筋の良さ」を見極めるための44項目のチェックリストがあります。今後、みなさんが目利きする際の参考にしていただければと思います。
まとめると、経営者が重要であるのはもちろんですが、徐々に仕組み化し、定性的な要素を定量化して再現性を高めていくことが大切です。何が正解かはフェーズによりますが、初期段階で個の力に頼っている部分を、仕組みに翻訳し、定量化していくことで勝ち続ける仕組みを作ることが最終的な目標です。
PMFがゴールではなく、その後の仕組み作りが重要です。これを軸に、見極めていただければと思います。以上です。
司会者:田所さま、ありがとうございました。
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