CLOSE

IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO DMKTZ(全1記事)

リードタイムに8ヶ月、大量の廃棄…変革を迫られるアパレル産業のDX化 デザイン〜生産過程まで効率化、業界の課題を解消する技術

「IVS2024 KYOTO」内にて、次世代の起業家の登竜門とも言われる日本最大級のスタートアップピッチコンテスト「IVS LAUNCHPAD」が開催されました。本記事では、DMKTZ CEOのジャック・セイ氏が、長らく解決されてこなかったアパレル産業の課題を解消するAI技術について語りました。

長らく解決されてこなかった、アパレル産業の課題

ジャック・セイ氏:はじめまして。私はジャックと言います。DMKTZの共同創設者であり、CEOです。DMKTZは、テキスタイル(繊維)とアパレルデザインのための「AIコパイロットCADプラットフォーム」です。

衣食住の「食」の不可欠さにはかないませんが、「衣」はわたしたちの 日常生活における必要不可欠な要素です。稀に必要としない人もいるようですが……。ほとんどの人にとっては必要不可欠なものですよね。

そんな中、繊維およびアパレル産業は、長らく解決をされない課題を複数抱えてきました。1つが、長すぎるリードタイムです。デザインコンセプト作り、素材調達、試作、生産の最初から最後までに約8ヶ月かかってきました。

そして過程においては、サンプルの差し戻しや修正変更による多くの廃棄が発生してきました。この時代、企業はグローバルなESG関連規制やESGゴールへの適合を求められます。繊維・アパレル産業は、さまざまな意味で変革の必要に迫られているのです。

そんな中、DMKTZは、これらの問題を解決するべく、3Dスキャン・コンピュータグラフィックス・AIを搭載したデザインシステムを提供します。私たちは、洗練されたデジタルワークフローを提供することで、すべてのDX化とデザイン作業・協働・生産過程の効率化を実現します。

AIでデザイン作業・生産過程の効率化を実現

ではその過程を見ていきましょう。まず、デザイナーは実物のモデルをスキャンし、3Dで仮想のフィッティングモデルを作成します。AIを活用して3Dモデル上でのランドマーク(測量重要ポイント)を検出し、さまざまな衣服の種類に必要な300ヶ所以上の全寸法をデータとして抽出できます。

次に素材です。プロ仕様でありながら非常に簡単に使える当社開発生地スキャナーで、デザイナーは本物の生地を3Dでスキャンし、デジタル素材ライブラリを構築できます。ライブラリでは生地の質感を360度どんな角度からでも確認でき、AIによる生地の物理特性のシミュレーションも可能です。

生地の材料構成要素と仕様を入力すれば、物理特性シミュレーションが出力されます。つまり、私たちのAIを使っていただくと、さまざまなことが非常に簡単になるのです。

デザイナーは瞬時に複数の色の選択肢を試したり、新しいデジタル生地を一瞬で作成したりすることも可能です。物理的なサンプルを作成することなしに、さまざまな素材設定で新しい生地アートワークを仮想的にデザインすることさえ可能です。物理的サンプルをまったく作成することなく、すべてを進めていけるのです。

生地デザインを完成させたら、そのまま衣服のデザインに進みましょう。デザインライブラリから生地をインポートし、異なる生地を混ぜたり組み合わせたりしてさまざまなアパレル品目をデザイン可能です。

大きく仕上げたデザインにアートワークやロゴなど細かいディテールも取り付けられます。また、トリム、ステッチ、アクセサリーを付加するなどして、異なる選択肢のスタイルをデザインし、デジタルワークスペース上で創造力を解き放つことができます。

リードタイムは8ヶ月→実質4ヶ月に短縮

最後に大切なことを言い残しました。デザインのワークフローに関わるすべてのステークホルダーが、コミュニケーションをとって協働できます。各人は、デザインのレビューやプロダクションノート上に、デザインについてのコメント・伝達事項・参考画像などを付加することが可能です。

DMKTZによるワークフローのデジタル化で、リードタイムは8ヶ月から実質4ヶ月にまで効果的に短縮されました。サンプル製作と配送にかかっていたコストは、半分にまで削減されました。

また、もう1つの最重要成果として、CO2排出量の削減が実現され、ESG要件準拠が果たされることが挙げられます。私たちのビジネスモデルは、SaaSサブスクリプションとデジタル化設備販売の2つで構成されています。ここまでで、すでにLVMHやH&M、ユニクロなどのアパレルや生地のブランド・ODM・小売店を含む250以上の企業とお取引をしてきました。

私たちが確立したテクノロジーは、学術界やAI業界からも評価されています。現在はシードⅡラウンドの資金調達中であり、前回のシードラウンドは、シリコンバレーの500Globalと、繊維産業をターゲットとする戦略的企業VCから投資をいただきました。

日本は世界的に有名な数多くのアニメIPで知られており、2024年の日本のアニメ市場規模は約2.14兆円、関連商品は約9,400億円と見込まれています。デザインワークフローを使えば、製品を効率的かつ環境に優しくデザイン・生産できます。デジタル上で市場に出すこともできますし、市場の正確な需要を捉えることができることで、利益が最大化されます。

ぜひ、AI設計ソリューションのパートナーとしてDMKTZをお選びいただければと思います。変化の激しいアパレル市場において、大きな成功をつかみ取りましょう。ありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • “退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!