2024.12.10
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ダメな部下を引き上げるリーダーシップアプローチ 3選(全1記事)
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伊庭正康氏:もしあなたに、やる気の見られない部下がいたら、簡単に引き上げる方法があるということを覚えておいてください。今日は「ダメな部下を引き上げるリーダーのアプローチ3選」を紹介していきます。
3つのステップで危機感に火をつければいいというお話なんですが、じゃあどうすればいいのか。質問を頂戴していますので、その対応策を紹介しましょう。
「やる気のない部下への接し方について教えてください。決められた目標に対して、『どうせ無理。やらなくても誰かがやってくれる』。先輩との同行などを当たり前だと思っている。レスが遅い。発言したところで何も変わらないので無駄」。
「このような部下がいる状況です。採用の段階で、『ミスマッチなのでは?』と思ってしまうことがあります。このような部下には、今後どう接していけばいいのでしょうか」。実はそんなに難しくはないんです。もしあなたにもこういう部下がいたら、今から言う3つをやってください。
まず1つ目、やる気のない部下がいる場合、お互いの「基準」がそろっていないので、基準を合わせてください。私は「水戸黄門の印籠」と申しております。どういうことかと言うと、水戸黄門は悪党たちに対して、「控えおろう! この紋所が目に入らぬか」みたいなことを言いますよね。
この印籠という黒い箱を見せるだけで、悪党たちが「ははー!」とひれ伏すんです。この印籠をちゃんと示せという話なんです。どういうことかと言うと、職場における印籠として、職級ごとの定義や、グレードごとに設定された定義があるんです。主観の基準ではなく、客観的な事実として、ちゃんと印籠を見せましょうという話です。
例えば一例で、縦軸に職級を並べました。上から「GM(ゼネラルマネジャー)」「M(マネジャー)」「P(プレイヤー)」みたいな感じで書きました。それぞれ、3・2・1、3・2・1とグレードが設定されています。
よくよく見ると、「職務記述書」であるとか「職務明細書」みたいな難しい言葉が、ブルーとオレンジのところに書いてあります。プレイヤーのレベル1のところには、「○○の顧客層への営業活動」、そして「目標は四半期でこれぐらいやってください」という職務が書いてあります。
そして、求められる役割としては、「営業活動において、○○を円滑に遂行してください」とか、「関連部署と○○について連携を持ってください」と、職務と役割が書いてあります。これをやる気のない部下に、「これをお願いします」とちゃんと明確に伝えていますでしょうか?
さらに、それだけではダメで「わかりました」と言われてしまいます。次は右側にある、薄オレンジの「職務明細書」と書いてあるところ。ここには求めるスキルとスタンスに分けて設定されていることがよくあります。例えばプレイヤーのレベル1に求めるレベルは、きちんとスキル・スタンスで明示されているかというお話なんです。
例えば私の前職では、スキルに関しては、全社で「見立てる力」「仕立てる力」「動かす力」と、3つの力(で明示していました)。もう少し分解すると6つの力になるんですけども、3つの力があり、それに合わせて職務ごとにこういったことを求めますというのが、ちゃんとスキルで設定されていました。多くの会社でそのようなことをやっています。
それだけじゃなくスタンスもあるんですね。例えば前職であれば、どの職級であろうとも、「圧倒的な当事者意識」、そして「考え抜く・やり抜く姿勢」「学び続ける姿勢」「協働を追求する姿勢」を会社として求めます。そして、プレイヤーのレベル1には、このようなスキルとスタンスを会社として要求しますと明確にしています。
(部下としては)「私はここまでできたらいいと思っているんですよね」(ということですが、)こういう表現はしませんけども、「ああ、それはあなたの考えね」と。「これが今あなたに求められている役割で、スキル・スタンスなんだけど、これについてちょっとすり合わせしようか」と、きちんとすり合わせをしてください。
これに対して、「いや、私はそれはできません」と言われたら、「これは会社として決めていることだから、それができませんというのは、ちょっと困るんだわ」ということですよね。ですから、これを水戸黄門の印籠のように使う。これは人事、もしくは上司に聞いてください。絶対ありますし、なければ作ってください。
ステップ2。その上でやらねばならないことを明確にするんですね。例えば四半期、半期で取り組むべき目標として、ちゃんと達成・未達成がわかるようにするんですね。
なぜかというと、「危機意識を醸成しよう」という話なんです。誰も目標を外したくはないし、評価を下げたくないんですよ。ですから、きちんと目標として設定しておくことが大事なんですね。
確認していきましょう。例えば定量目標と定性目標があったとします。定量目標でやる気のない部下がいたとします。営業であれば、「あなたには目標いくら、そしてもう1つの目標で何件やってくださいね」みたいなものがあるんですよね。
定性目標で言うと、1つの例としては、組織への影響とか事業・サービスへの影響がある。組織の影響のほうには、「あなたは○○をすること通じて、○○を達成してください」と書いてあります。
つまり定性目標であっても、「こういうことを通じて、これをやってください」と、最後はちゃんと達成・未達成がわかるようにしておくんですね。目標を下ろしたところで納得するかという話なので、プロセスが大事なんです。
まず、部下に「自分なりにどんな目標でやりたいのか」を考えて、書いてきてくださいと。部下に考えてもらった上で、上司と要望をすり合わせ、合意をします。
基本的にやる気のない部下の場合は、(難易度の)低いものや曖昧なものを持ってくるので、ここのすり合わせのところで、先ほどの「相手に求める役割とかスキル・スタンスを調整しよう」ということで、最終的に合意をするわけですね。
目標は(上司から)下ろすものではなく本人から言わせ、すり合わせる。「だって、あなたは言いましたよね」という感じになるので、これが大きなポイントになるんです。
そして、3つ目。やる気のない部下は、何かを達成したいと思っているわけじゃないんです。たぶんご相談者の方もそうだと思いますが、部下は別に目標を外してもよくて、他の人がカバーしたらいいと思っているんですよね。だとすれば、それは違うという話なんです。
「達成するために」じゃなくて「悪い評価にならないために」、定期的に確認をする場を持つということです。その人は達成したくないんですけど、悪い評価はもらいたくないんです。
ここがポイントで、達成しなくても、他の人がやってくれると思っているわけですよね。悪い評価をもらうのは、誰もが嫌なんです。だから、悪い評価をもらわないように、決めた目標が進捗にかなっているか、ちゃんと確認する。
これを本人から報告をしてもらうスタイルがお勧めです。本人から状況やうまくいっていない要因・対策を、どんなかたちでもいいので考えてきてもらう。それをベースにすり合わせをやるんですね。
「あれができた」「これができた」とチェックリストのような確認だと、本人は考えないんです。本人に考えさせるのが大事なので、まず本人から報告をしてもらってください。もちろん抜け漏れはいっぱいありますが、それに対して、あまりネガティブに考えないことをお勧めします。
「じゃあ、ちょっと確認していこうか」と、ポジティブストロークでいく。「よく考えたじゃん」とか「でも、ここはどうかな?」と(やっていって)、本人の否定は絶対にしないでください。これが本人の成功体験になっていくんです。
ではまとめていきましょう。今日お話ししたことは、「やる気のない部下をやる気にさせるためには、危機意識を醸成する」というお話でした。1つ目は、「基準」を調整し、「あなたに求められていることは、このレベルですよ」ときちんと伝える。
2つ目は、基準を明確にしたら、「この四半期、3ヶ月で、あなたにはこれを求める。これを求め、これができなければ評価が下がりますよ」と、ポジティブなストロークの中でちゃんとやっておく。本人から言ってもらってすり合わせをすればいいだけです。何が達成、何が未達成かを、ちゃんとすり合わせしておく。「達成できなけりゃマズいな」と(思わせるんです)。
そして3つ目。悪い評価にならないように、定期的にちゃんと本人に考えさせ、報告し、すり合わせをしていく。これをぜひやってください。この結果、2回、3回評価が良かったとしたら、「私はやればできるのだ」という自己効力感が高まり、周囲からも承認され、「初めてこんな目にあった。なんかおもしろいな」となります。
そういう成功体験を持ってもらえたらどうでしょう。私は管理職をやっていた時に、このパターンがめちゃくちゃ多かったです。どの会社にも、こういった方はいらっしゃいますが、それを引き上げるのが上司の務めなんです。
全員がやりたいことがあるわけじゃないし、ポジティブではない。仕方なく仕事をしている人もいます。そこからスタートしてやる気を引き上げるのも、上司の仕事なんですね。まずはこのようなアプローチで危機意識を醸成し、次のステップを作ってみてください。
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