2024.10.10
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経営者力診断スペシャルトークライブ:上司としての悩みを一掃する! Z世代を育てる・人を動かす・転職で成功する、上司コミュニケーション術(全6記事)
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経営者やリーダー向けの各種セミナーを開催する経営者JPのイベントに、『部下を育てる上司が絶対に使わない残念な言葉30』著者の曽和利光氏が登壇。「Z世代を育てる・人を動かす・転職で成功する、上司コミュニケーション術」をテーマに講演を行いました。本記事では、上司・部下コミュニケーションを課題を解決するためのヒントを語ります。
井上和幸氏(以下、井上):あらためてなんですが、事前のご質問にもあったところなのでこういうかたちで書きましたから、当然の疑問だったと思います。
「気持ちはよくわかる」「君はどうしたいの?」「とりあえずやってみて」「あとはやっておくよ」「責任を取るよ」という言葉自体がなんでダメなんだろう? と思われた参加者の方もいらっしゃったと思うんですが、繰り返すと、この言葉そのものが絶対的にNGということではない。
曽和利光氏(以下、曽和):そうですね。
井上:要するに、この発言がされている裏にある思考と行動がいい状態なら問題ないし、もしかしたらそこがずれている場合もあるので、この言葉自体がNGになるということですよね。
曽和:「よくわかるよ」なんていうのは、本来ならばすごく重い言葉だと思うんですよ。はっきりと人間と人間の頭の中をのぞき込むわけにはいかないのに、「よくわかるよ」と言うのって、すごいことだと思うんです。普通は「えっ、なんでわかるの?」って思われるかもしれない。
でもそれは、その人との日々の関係性だったりがあってこそのことなので、先ほど井上さんがおっしゃられたように、ちょっと嫌な言い方というか違うかもしれないですが、「この言葉を吐ける資格」があると思うんですよね。
部下やメンバーの方にそれを話しても、誰にでも「そうだな」って思われる人は、この言葉を吐いてもいい。だから、この言葉を言ってもいい資格のある人がいるんじゃないかなって思うんですよね。
井上:関係性ですよね。
曽和:はい。
井上:今は部下の話で来ているので、ちょっと違う視点の話になっちゃうかもしれないんですが、部下もそうだし、それ以外のお客さんや同僚かもしれないし、もしかしたら上司かもしれないんですが、そういう方々とも「気持ち、よくわかる」系の場面ってあると思うんです。
私見でもあるんですが、「気持ちがよくわかるよ」という言葉自体は、あんまり言っちゃダメなのかなって実は思っていて。青くさいんですが情緒的に言うと、1つは「その方が本当はどう思っているか」ということに、まずは自分自身が気持ちで寄り添っているかが大切だと思うんですよね。
「気持ちがよくわかるよ」という言葉自体は否定しないんですが、「曽和さん。ということは、今はきっとこんなふうに思っていらっしゃるんですよね」ということだと思うので、アウトプットの時ってそれだけ言われてもどうかなと思うんです。
曽和:そうです。なので「気持ちはわかるよ」じゃなくて、「こう思っているんじゃないか?」という推測を述べるスタンスだったら、そもそも言葉としても問題ないと思うんです。
井上:そうですよね。もし芯を食っていなかったら、「いや、そういうところもあるかもしれないですが、実は自分としてはこうで……」とか言ってくれたりしますし。
曽和:「自分にはこう見えるよ」というアイメッセージとか、「あなたはこうだよね」というユーメッセージじゃなくて、「私から見ると、こういう行動をしているあなたはこんなふうに見えるよ」だったら、知的誠実性の上でも正しいと思うんですよね。
井上:なるほど。
曽和:でも、わかりもしない状況で、しかも日々観察をすごくしているかというとあんまり見てもいない人が「気持ちはよくわかるよ」って言ったら、相手はどう思うかという話ですね。
井上:今おっしゃった「アイメッセージ」と「ユーメッセージ」が、みなさんに対してわかりやすいかもしれないですね。
「君はこうなんだ」と言うのって、言われたほうは「そうじゃないよ」って、もしかしたら当たっていても感情的にカチンと来るかもしれないですね(笑)。だけど、「あくまでも私は、あなたについて今こう思ったよ」という話をされるといいですよね。
曽和:はい。
井上:わかりました。
井上:ちょっとまた(話が)戻るかもしれませんが、時間もあるので次にいってみましょうか。曽和さんの2大コミュニケーションご著書のもう1つで、報連相をあらためて取り上げていらっしゃいます。
曽和:こっち(『部下を育てる上司が絶対に使わない残念な言葉30』)が上司の方向けで、こっち(『シン報連相』)は部下の方向けの本なんです。報連相って昔からある話だと思うんですが、カタカナの「シン」なので、「パクリやないか!」みたいな感じなんですが(笑)。
井上:(笑)。
曽和:(本のタイトルを)編集者の方から推薦していただいて、僕は気に入っているんです。なんでこれを書いたかというと、早期離職をする若者とか、リアリティショックを受けて五月病になっちゃうような人がみんな悩んでいるのが、結局は上司とのコミュニケーションだと。
特にコロナ禍でよくあったんですが、学年の違う人とのコミュニケーション。例えば学生がアルバイトをする比率も減ったり、あるいは体育会に所属する割合が減ったりとか、上下コミュニケーションが減ったんですよね。
リアセックさんや河合塾が作っている「PROG」というテストがあって、僕もデータを見せてもらって、それをベースに記事を書いたこともあるんですが、対人コミュニケーションとか、特に上向きのリーダーシップが減ってきているところもあって。
コロナでよりそうなったんですが、今時のところで言うと、DNAが変わったわけじゃなくて、環境として上下関係をあまり経験せずに社会に出てきている人が多い。ところが社会に入ると、学校で4つ上の先輩ぐらいとかはいても、社会に出ると40個上の先輩がいたりする。
井上:確かに(笑)。
曽和:我々にも先輩がいたりと、ものすごい先輩がいるわけです。より苦手意識(が芽生える)というか。
曽和:特に上目線について、僕は「上向きのリーダーシップ」という言い方をよくしているんです。昔のリクルートではちょっと悪い言葉で、本当に汚い言葉で恐縮なんですが「じじいリテラシー」「ジジ転がし」とかと言っていたんです。今までも大事だったんだけれども、それがあらためてこれからも大事になってくるかなと。
報連相というと、単に業務連絡みたいなイメージがあるかもしれないんですが、適切な報告・連絡・相談をすることで上を動かす対人能力のことだと思って書いたのが、その本ですね。
井上:なるほど。
曽和:あともう1個言うと、これはよく動的人材ポートフォリオの話や人材版伊藤レポート2.0で出ていて、一部で……というかけっこういろんな会社で問題になっていますが、簡単に言うと日本全体の人口ピラミッドも変な形になっているわけですね。そもそもピラミッドじゃないわけで、つぼ型みたいな感じになっているわけですよ。
井上:ある意味、人みたいなかたちになっていますもんね。
曽和:そうですね、人の形。
井上:男子トイレマークみたいになっていますから。
曽和:日本の平均年齢ってだいたい49歳ぐらいで、中国が10個下、インドはさらに10個下という感じです。しかも、ピラミッドの形を見てもいびつ。大企業とかプライムに上場しているような企業って、軒並みだいたい平均年齢が48、9歳ですよね。
そうなってくると、若い人から見ると「結局、どの会社も上が詰まっている」というのがけっこうキーワードです。どの組織を見ても、上におじさん、おばさんばっかりいる。そういう時代背景もあるかなと思います。
曽和:でも、上の層の人がいることって、もうどうしようもないじゃないですか。じゃあ、そういう組織や社会において、若い人たちがそれでも活躍しようと思ったら何ができればいいかといったら、言ってみれば彼らを動かすことができればいいわけですよね。
よく「権限を持たないと何もできない」という人もいるんです。ただ、これもリクルートで言われたことでもあるんですが、ペーペーで権限なんかなくても、権限がある人が「そやな」と言ってOKを出してくれたら、(自分自身で)権限なんかを持たなくても動くわけですよね。
井上:「上司とかキーパーソンを使え」っていう。特に僕や曽和さんはリクルートで人事にいたり、僕が広報にいた時も、別の意味でも「使えばいいんだ」というのはすごく言われましたけどね。それで叩きこまれたのも、自分にとってもすごく大きかったかもしれないですね。
曽和:僕は、それがけっこう目から鱗だった覚えがあって。昔話で言うと、僕が最初に(会社に)入った頃の人事の役員の大ボスの方に、新人の頃にサシで飲みに連れていってもらって、「お前、どんなやつを採ってんだ?」って言われて(笑)。
その時はもう「うわっ、やばいことを聞かれた」と思って、「地頭が……」「コミュニケーション能力が……」みたいな普通のことを言っていたんですが、「アホか! そりゃそうやけれども」という話になって。そこで聞いたのが、実は今の上向きのリーダーシップの話でした。
だからちょっと言葉は悪いんですが、「じじいを動かせるやつを採れ」と。別に社内だけじゃなくてお客さまも含めてそうなんですが、世の中にはいろいろ決裁権やパワーを持っている人がいると。
彼らを動かすことによって会社を動かしたり、社会を動かしたりすることができるんだから、いかような方法かはキャラによると思うんですが、「上向きのリーダーシップを持っている人を採っていくと、それはものすごくでかい仕事ができるやつなんだから、そういう観点も持っておかないとダメだよ」と言われて、確かにと思ったことがあったんですね。
同時に「自分には関係ないな」というのはすごく思ったんです。だから、それで大企業の中で出世するのは諦めて……。
井上:そうなんですね(笑)。
曽和:なので、自分のルサンチマンも含めて詰まっているのが、この『シン報連相』というか(笑)。
曽和:(『シン報連相』は)「出世してきた人たちは、若い頃にどんな人たちだったんだろう?」というのを思い起こしながら書いた感じでもあって。これって、もう昔からずっとそうだと思うんですよね。
例えば、大久保利通が島津久光に取り入る時に囲碁を勉強して、本にメッセージを挟んで、ぜんぜん権力がない若者がものすごい決裁者を動かす話って、実はいっぱいあるじゃないですか。
井上:そうですね。
曽和:これは嘘らしいですが、豊臣秀吉が織田信長の草履取りをやっている時に胸で温めていて、「お前、できるやつやな」って思うとか。そういうのは、実は昔からあることだと。
ただ、特に今みたいな逆三角形みたいな組織、上が詰まっている会社・社会という時代において、若手のビジネスパーソンが活き活き、のびのびと自分のやりたいことを実現していくためには、これが必要なんじゃないかなと思ったんですよね。
井上:なるほど。今日の参加者の世代は若干上の年齢層ではあるので(話を)合わせると、こじつけているわけじゃなくて、曽和さんは実際に「若手の方にとって」ということで本を書かれたと思います。
中堅世代の方とか、あるいは今日は社長の方もいらっしゃいますが、そうじゃない方からすれば全員にボスはいるわけです。外にお客さまもいればパートナーもいると思うんですが、そういった人たちに対しても、すべて感覚は同じことでもありますよね。
曽和:そうですね。
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