2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:株式会社ベルシステム24
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川崎佑治氏(以下、川崎):勝木先生、『頭痛ーる』の頭痛ダイアリー(頭痛ーるでは「痛み記録」という)をお医者さんと一緒に見るということは、もしかしたら「気象病のせいで頭痛なのかもしれないな」と思ったら、お医者さんに相談に行っていいんですか?
勝木将人氏(以下、勝木):ぜひいらしてください。気象病って言うと、まだ「何それ?」となることはあると思います。
なので、気象病の具体的な症状である「天気が悪いと頭痛が起きるんです」「天気が悪いと関節が痛むんです」といったことを訴えてください。「特に天気が悪い時なんですよね」とおっしゃっていただけると、非常にドクターは助かると思います。
川崎:お医者さんの中でも、だんだん気象病の認知は広がりつつあるんですか?
勝木:頭痛を診ている医者の中では広がってきていると思います。ただ、まだ頭痛以外の症状もいろいろありますから。どんな医者でも必ず知ってるかと言われたら、そこまでではないので、今後も学会などでの発表をがんばっていこうと思っています。
川崎:頭痛ダイアリーを一緒に見ることで、頭痛って改善していくんですか?
勝木:そうですね。生活習慣で頭痛が起きている人や、体調が悪くなってる人がけっこういます。例えばお腹が空くと頭痛が起こる人がいます。夕方になるとお腹が減ってくるので、ちょっとつまみ食いをするだけで治るとか。
逆に朝になるとお腹が減っていて、朝起きた時から頭が痛い人は、ちょっと夕食を多めに食べたり、朝ご飯を早めに食べることで治ることもあります。
あとは寝不足や寝過ぎも(一因として)あります。「土日に頭が痛い」という方の話をよく聞くと、「お昼までだらだら寝てます」。そこでちゃんと起きるようにするという生活で治せる頭痛もかなりあります。
川崎:そうなんですか。そういうことで頭痛が治っていくという知識がぜんぜんなかったものですから。岩見さん、そういうのあります?
岩見統之氏(以下、岩見):僕は治るというよりも、そもそも自分が気象病・頭痛持ちかというのも……。たまに「頭が痛いな」ということはありましたけど、やはりこの事業を始めてからちゃんと(頭痛ダイアリーを)つけるようになりました。
さっき安中さんも言ってましたけど、相関があるんだなと。僕は急激な変化があった時になりやすいんですが、4つのタイプのどれかがわかるようになったのは、やはりちゃんと記録をつけるようになってからですね。
川崎:つけるまでは?
岩見:たまに「頭痛いな」というぐらいですかね。
川崎:気に留めないかもしれないですよね。記録をつけるようになったら、気圧の急激な変化で頭が痛くなるタイプだと自分でわかったんですか。わかるとどうなんですか?
岩見:「なんで痛いんだっけ」というのがわかるとちょっと安心します、というのがまず一番大きいです。僕の場合はたまたま気圧だったんですけど。先ほど勝木先生からお話しいただいたように、人によって睡眠なのか、お酒の飲みすぎや空腹なのかといったことが違うので。まずは自分がどういう症状かを記録していただくのが大事だと思います。
川崎:なるほど。やはり記録をつけていって、1ヶ月単位とかでお医者さんと一緒に振り返るのは、けっこう意味があるんですね。まったく知りませんでした。ありがとうございます、勝木先生。
勝木:今、岩見さんがおっしゃったように生活習慣で治せるところもあるんですが、それでもやはり頭痛が起きちゃったり、天気には抗えないですから。それでも痛い時は、これらのお薬を『頭痛ーる』のアラートが出たりした時に飲むといいですよということで、患者さんに処方したり紹介をしています。
川崎:お薬なんかもあるんですね。
勝木:そうですね。有名なのは「五苓散(ごれいさん)」ですよね。
岩見:ありがとうございます。僕は『頭痛ーる』を始めてから、予測ができるので、早めに薬を飲んでしまうようにしています。痛みが我慢できない状態になって飲む人はけっこう多いと思うんですけど、そうではなくて、もう「痛みがきそうだな」と思ったら早めに飲んでしまう。
川崎:それで痛みの緩和につながることもあるんですね。
岩見:そういうのはけっこう助かりますね。
川崎:だいぶQOLが上がりそうですよね。勝木先生、実際そういう指導なんかもされることがあるんですか?
勝木:そうですね。この五苓散という漢方薬が一番よく使われる気象病のお薬なんですけど、天気が悪くなったり調子悪くなりそうだという時点で飲んでもらう。そうすると、頭痛などの気象病が起きずに済みますと、よく患者さんもおっしゃってますね。
川崎:そうなんですね。頭痛って突然きて、もうどうしたらいいかわからない……我慢するしかないみたいな。(つらくなってから)頭痛薬や鎮痛剤を飲むようなイメージしかなかったんですけど、あらかじめ対処する方法も、もうおやりになってる方々がけっこういらっしゃるんですね。
勝木:そうですね。
川崎:へぇー……そういう時代になっていることをぜんぜん知りませんでした。
勝木:五苓散という漢方薬が一番よく使われます。あとは処方薬であれば利尿薬とか、市販薬もあるめまいのお薬。こういうお薬を『頭痛ーる』のアラートが出た時に飲んでいただくと、頭痛を起こさずに、その後も快適に生活を送れるというのはよく聞きます。
それでも難しければ、もっと高度な薬はいろいろあります。特に、月に2回以上片頭痛がある方は、予防治療と言って、毎日これらの薬を飲むことで、そもそも頭痛が起きなくすることができます。
なので、月に2回片頭痛がある方は、もちろん『頭痛ーる』を使ってダイアリーをつけて対処することも大切ですけど、それでも難しければぜひ医療用の薬を開始してください。
もし近くに頭痛外来がなくてお困りの方は、最近オンライン診療の頭痛外来も出てきていますから、利用していただけるといいと思います。頭痛を相談する所が近くにない場合は、オンライン診療をやっているクリニックを利用するというのが1つ。
もう1つは日本頭痛学会の頭痛専門医一覧というページがあるので、ここに載ってる先生であれば頭痛に詳しい先生、気象病に詳しい先生ですので、ご相談なさるといいと思います。
ということで、気象病の症状は頭痛などがあります。今回は『頭痛ーる』を用いた研究で、やはり気象病というものがあることを私たちは証明しました。
気象病は自律神経の乱れが原因と言われていますので、まずは『頭痛ーる』で記録をして、生活習慣の見直しやストレッチ、食事。それでも難しければ薬などを使って、みなさん対処していただけると幸いです。
川崎:なるほど。勝木先生、ありがとうございます。なんかもう知らないことだらけで驚いてしまいましたけれども、岩見さん、どうですか?
今『頭痛ーる』というアプリは、非常に多くの方がお使いになっているということなんですけれども。お使いになられてる方もここまで詳しい内容をご存知なんでしょうか?
岩見:僕らもなるべくわかりやすく情報をお届けできるように、先生たちにもご協力をいただいていますが、やはりまだまだ啓発の段階かなと思います。なので、僕らがいかに情報発信をしていけるかが、今後のポイントかなと。
川崎:やはりこれは、知っているか知らないかでぜんぜん生活が変わってきそうだなというレベルで、すごく深い示唆があったかなと思うんですけれども。
まず人間には内耳があって、女性になんとなく頭痛が多いとよく言われるんですけど、さっきの岩見さんのケースで言うと男性ももちろん、同じメカニズムで影響を受けているし。もう老若男女が影響を受けるという感じなんですか?
岩見:そうですね。私の子どももそうだったりするんですけど。保健室の先生から「この子ってなんで毎回来るんだろうね」と。よく保健室に行く子は、僕らも(子ども時代の)記憶にあると思うんですよね。
川崎:あります、あります。
岩見:それが『頭痛ーる』を見ることによって、「この子は気象病なんだ。気圧の変化に弱いんだな」とわかっていただいたという声は、けっこういただきますね。
川崎:勝木先生、小児科でも頭痛の話題はけっこう多いんですか?
勝木:小児も頭痛・片頭痛の人はいっぱいいらっしゃいます。特に小児は症状を言葉でうまく説明できない子が多いので、「なんかよくわかんないけど調子が悪いな」と早退しちゃったり。保健室で休むという、隠れ片頭痛の子は多いと思います。
川崎:確かにお子さんは自分で何が起きてるかなんてわからないし、うまく言えないですよね。だけど、もしかしたら親御さんや周りの大人の方々が「これって気象病かもしれない」と気づいてあげられる可能性があるってことですね。そのあたりもちょっとご説明いただいてもよろしいでしょうか。
勝木:はい。まず片頭痛は進行性の疾患と言われてます。だいたい中学生ぐらいから始まって、30代~40代がピークで、50~60歳ぐらいになると軽快してなくなっちゃうというのが一般的な経過です。
普通の片頭痛なんですが、一部の人は慢性化して一生苦しむことになります。月に15日以上も痛くなって、頭痛が止まらなくなっちゃいます。この慢性化した慢性片頭痛ですと、3割は治らないと言われています。
特に痛み止めを飲みすぎちゃうと、1年間に3パーセントの人が慢性化の状態になってしまい、50歳、60歳、70歳になっても「頭痛が止まらない、なんでだろう」というふうになってしまいます。
こうなっちゃうと7割の人しか元どおりにならないので、軽症なうちに受診してほしいというのが私たちの気持ちです。
軽症な状態から先に進ませないことが非常に大事なわけですから、大人に限らず小中学生、高校生もぜひ頭痛や気象病に関して知ってほしいというのがお願いです。特に「痛み止めを飲みすぎる」ことが慢性化を引き起こしますので、避けていただけたらなと思います。
「頭痛で困ってないよ」と言って病院に行かない人もたくさんいるんですけど。そういう方は、ぜひこの「HIT-6」という質問に答えてください。6問に丸をつけるだけなので、1分ぐらいで答えられます。
これを解いていただいて、もし50点を超えていれば、ぜひ病院に来ていただくと生活がすごく良くなりますので、やっていただけるといいと思います。
勝木:それでは、小児も含んだ頭痛のお話をさせていただきます。まず私たちは頭痛に対してどんな治療をするかというと、片頭痛と診断したら、『頭痛ーる』などの頭痛ダイアリーの記載、痛み止め、そしてそもそも痛くならないようにする予防治療を行います。
薬物乱用頭痛にならないように「月に10日は頭痛の痛み止めを飲んじゃいけませんよ」という指導をして、月に2回以上痛くなる場合は、毎日飲む予防治療を考えます。
頭痛の診断は大きく「片頭痛」と「そのほかの頭痛」という言い方になりますが、片頭痛の特徴はそこそこ痛みがあって、体を動かしたりするとしんどいのが特徴です。また吐き気や光・音過敏を伴うことも特徴です。
ざっくりとした聞き方として、片頭痛を持っている人はお酒を飲んだり運動したり、お風呂に入ったりすると悪化します。こういう人は片頭痛だと思ってもらって大丈夫です。
逆にそのほかの頭痛として、緊張型頭痛の場合はお酒を飲んだり運動したり、お風呂に入ると治っちゃいます。こういう頭痛はそんなに困ってない緊張型頭痛になりますので、簡単に見分けることができると思います。
勝木:『頭痛ーる』などの頭痛ダイアリーの記載は、具体的にはこのような感じになります。午前、午後、夜と痛みの強さを書いて、何の薬を飲んだかを記録します。生活への支障度を書いて、どういう時に痛かったのかをメモしてもらいます。
これが実際の患者さんの頭痛ダイアリーですが、毎日痛くて痛み止めを飲んでたのが、ちゃんと治療をするとだんだん頭痛の頻度が減ってきて、1ヶ月半もすると頭痛はほぼなくなりました。こういうふうに、頭痛ダイアリーを書きながら治療を一緒にやっていきます。
『頭痛ーる』で頭痛ダイアリーを記録する時のポイントとしては、まずちゃんと記録することが大切です。次に、頭痛は全部が全部同じではないはずです。痛みの強さや吐き気があるのか、眩しさがあるのか、うるさいという感じがあるのかなど、1回1回の頭痛の特徴をしっかりと自分で把握するのがステップ2です。
その中で特にしんどい頭痛の時は「じゃあ、なんで頭痛が起きてるんでしょうね」ということを一緒に考えていきます。
ストレス、月経、食べすぎや空腹、寝すぎや寝不足、天気、疲れなどが原因としてあって、特に小中高校生は、しっかりこの3ステップを意識して頭痛ダイアリーを書くと、自然と生活が良くなって治りますので、ぜひ『頭痛ーる』を使って記録をしてください。
川崎:へぇー……。先生、小中高校生は頭痛ダイアリーを見てお医者さんと一緒に振り返ることで、軽症の頭痛が治ってしまうこともけっこうあるんですか?
勝木:そうですね。例えばスマートフォンを夜遅くまでいじった次の日は痛いんですけど、それを本人が気づいてないこともけっこうあるんですね。
なので一緒に(記録を)見て「こんなに寝不足って書いてあるけど、なんで?」って聞くと、「実はスマートフォンで遊んでました」と言われます。「それをちょっと直してみようよ」と言ったりすると、頭痛が減るのはよく経験します。
川崎:やはり振り返れるようにしておくことが、すごく大切なんですね。もし振り返らずにずっと頭痛が続いていくと、痛み止めでなんとか対処療法的にやろうとして、慢性化して治らなくなってしまう場合もあるんですか。
勝木:そうですね。特に高校生になると、お小遣いを持って自分でドラッグストアとかに薬を買いに行く人もいますから、どんどんそこから悪くなって。
私は今、大学に勤めてますけど、学生さんなど卒業した20代のスタッフに話を聞くと、やはり高校ぐらいから少しずつ痛み止めが増えていく。大卒ぐらいで、就活とかですごく飲むようになっちゃったというかたちで、私の所に来る方は多いですね。
川崎:やはり早め早め、軽症のうちに対処をしておいたほうが、ご本人も周りの方も非常に楽だし安心だということですね。
勝木:はい、そう思います。
川崎:すごいですね、いかに大切かわかってきました。ちなみに『頭痛ーる』で、このダイアリーがつけられるんですか?
安中朋哉氏(以下、安中):はい。『頭痛ーる』のメモ機能で自分の痛みと、服薬をしたかしてないか、あとは簡単なメモが取れる機能があります。
川崎:そうなんですね。先生、紙じゃなくて『頭痛ーる』でつけたダイアリーをお医者さんにお見せしても一緒なんですか?
勝木:一緒です。特にデータを取りやすいですし、私たちとしても、紙よりもスマートフォンでまとめページとかを見るほうが早かったりするので、助かります。
川崎:そうか、紙の場合はいろいろめくったりして、先生側も把握するのに(笑)。
勝木:1ヶ月に「今月は1、2、3、4、5……」とかって頭痛の数を数えるので。
川崎:そっかそっか、アプリだとこれに収まって出てくるから。
安中:痛みを記録していただくと、その時の天気がどうだったか、薬を飲んだか飲まないかが一覧のリストでバッと表示されますので、非常にあとで振り返りやすい仕様になってます。
川崎:お医者さんとしても振り返りやすいんですね。
岩見:さっき言われていた痛みのレベルもつけられるようになってるので。実際にどれぐらい痛かったのかというと、やはり一番痛い(レベルだ)と薬を飲んでるっていうのが僕自身も多いですけど。
「薬を飲んで痛い」「飲まなくてこれぐらい」「ちょっとズキズキする」というのをメモに残しておくと、あとで振り返る時に役に立つかなと。
川崎:なにか安中さん、工夫があったりするんですか?
安中:もともと、頭痛ダイアリーという紙で存在しているものを参考にさせていただきながら、『頭痛ーる』ではアプリの中に落とし込んでいきました。
ただ書く項目があまりに多すぎると習慣化しないこともあると思ったので、例えば痛みの段階を10段階から4段階にギュッと縮めました。ちょっともの足りないかもしれないんですが、これで記録は十分つけていただけて、お医者さんも振り返れるよとおっしゃっていただきました。なるべく習慣化しやすいように簡易化しています。
川崎:そういうUXの工夫もあるんですね。
安中:そうですね。なるべく少ないステップ数で、例えばアプリを起動してすぐメモをとれるように。すぐ予報が見えて、すぐメモがとれます。
川崎:確かに奥のほうにあったら「痛いのにやってらんないよ」という感じになりますよね。パッととれるのは大事ですね。
勝木:小児の場合は、まずは非薬物療法が大切です。痛い時は休ませたり冷やしたり、部屋を暗くして、もし布団に潜ったりして音や光を避けるような動作があれば、耳栓やアイマスクやサングラスなども検討します。
これは痛い時の話で、予防治療としての生活改善は、先ほどから申している頭痛ダイアリー。あとは生活習慣ですね。早寝早起き、急激な空腹や急な満腹を避ける。体の姿勢の改善や運動、サングラスや帽子の着用。
スマホやテレビ、あとは寝る前に読書したり勉強すると、頭が冴えて寝れなくなることもあるので。もしそれで寝れなくなっちゃってたらやめること。あとは脱水を防ぐ水分補給や体操ですね。
このようなことを指導するにあたって、やはりまずは記録をしていただく必要がありますから、病院にかかる前から、ぜひ頭痛ダイアリーをしっかりつけていただけるとうれしいです。
勝木:こちらは私が2年前に新潟県糸魚川市と協力して、全市内の小中高校生にアンケート調査をした結果になります。
地方都市なので子どもは3,000人ぐらいしかいないんですが、そのうち76パーセントからアンケートを回収したところ、片頭痛の有病率は年をとるにつれて少しずつ上がってきて、高校生ではなんと16パーセントもいることがわかりました。
また高校生になると薬が自分で買えちゃうので、市販薬をいっぱい飲んで、1.5パーセントの人がすでに薬物乱用頭痛になっていることも明らかになりました。片頭痛は、特に中学校や高校になるとより顕著に出てきて、大人になってだんだん自立し始めると、痛み止めを間違って飲む子も出てきちゃうというのが明らかになりました。
アンケートで「どんなことに困っていますか?」ということを聞きました。「頭痛が起きると嫌な気分になる」「頭痛を我慢しなきゃいけない」という気持ちの面もそうですが……。
学校を休んだり保健室で休んだり、授業や課外活動、部活動、家でのことに支障をきたしたり、機会損失をしている人が、やはり3~4割ぐらいいることがわかっています。
一方で「病院を受診してますか?」と聞くと、やはりこれも3割ぐらいで、みんながみんな受診しているわけじゃないこともわかりました。
これはAIによる解析です。AIに「どんな子たちがいるのかを分析してください」とお願いすると、まず大きな原因として、やはり多くの子が天気のせいで頭痛を起こすことがわかりました。
その人物像ですが、大きく3つ(あります)。あんまり困ってない頭痛の人たち。天気やスマホで頭痛が起きちゃってるんだけど、病院へ行かない人たち。そして、もういろんなことで頭痛が起きちゃって、学校に行けないとかいろんな支障をきたしているので、ちゃんと病院に行ってる人たち。この3つをAIが判別してくれました。
勝木:3番は困ってないから、まだいいんですよね。1番はもう(症状が)進んでしまって、すごく困ってる人たちも病院に行っていて、治療が始まってるのでいいんです。
問題はこの2番目の中間の人たちです。天気やスマホで頭痛が起きてけっこう困ってきてるけど、まだ病院には行っていない人たちがいること自体が問題ですし。
片頭痛が進行性であるということをAIが可視化してくれてますから、軽症から重症に移動する人たちを、どうにかしっかり治療したり、頭痛ダイアリーを書いてもらいたいなというのが、この研究でのメッセージになります。
これが最後です。小児の頭痛の対応ですが、15歳以上は医療法上は成人と同じ扱いになるので、いろんな薬が使えるんです。けれども、なによりまずは頭痛ダイアリーを使って、どんな時に頭痛が起きるのかをしっかり明らかにして、生活習慣を指導することがとても大切です。
特に中学生はだんだん大人になってきて、ちゃんとダイアリーを書けるようになってきますので、ぜひ頭痛ダイアリーを書いてもらうように指導していくのが大切だと思います。
小学生は言語化が難しいので、非常に治療するのも大変なんです。ダイアリーを書ける子はいいんですけど、書けない子の場合は難しいんですが、その精神的発達を待つしかないということがあるのも事実ではあります。
いずれにしろダイアリーをちゃんと書いていただくのが非常に大切で、それでも難しければお薬を使いましょうというのが、小児の大切なポイントになります。
川崎:先生、ありがとうございます。ここまでわかってるんだという衝撃を受けたんですけれども。岩見さんは、どうご覧になりましたか?
岩見:たぶんこれは勝木先生をはじめ、頭痛学会の先生たちがやはり……。先ほどの我々の論文もそうなんですけど、東洋医学ではずっとそうじゃないかと、まことしやかに言われていました。でもデータがないので、西洋医学ではなかなか立証されない。
そういう疑問点を持たれながら(気象と頭痛の関係のデータ)分析をされて、先ほどもご自身の地元で小学生・中高生に対して、先生が自分で働きかけておられるという。こういう先生たちの努力のおかげで、我々がご協力させていただく部分があって、今ご一緒させていただいている感じになりますので。
表層的な部分でわかった(だけでなく)、より大きな部分がわかってきている。でもまだ解明されてないことは(まだあると思うので)、もっとやっていけるんじゃないかなと思います。
川崎:わかりました。ちなみに『頭痛ーる』が11年目に突入していて、4年前から勝木先生ともプロジェクトがありました。1年前にはいよいよ論文化もされて、世の中に1つ知識が増えているわけなんですけれども。
今後、これってまだまだいろんな可能性があるような分野にも聞こえるんですけど、そのあたりってどうですか?
岩見:はい、ありがとうございます。
川崎:いきなりメニュー表が出てきましたけど、これは何ですか?(笑)。
岩見:(笑)。先ほど勝木先生からお話をいただきましたけれども、我々が提供させていただいてるサービスを見ていただくと、無料とプレミアムプランと2つ出させていただいてますが、アカウントとしては1つしかつけられないんですね。
なのでお母さんが(ダイアリーを)つけていただく時に、ご自身もお子さんも頭痛がありますといった時に、2つはつけられなかったんです。
そこにもう少し対応できないかなということで、2024年7月に「ファミリーケア」プランという新しいプランを出させていただきます。これは4アカウントまでつけることができます。お母さんご自身もつけていただけますし、お子さまが2人いらっしゃるのでお子さま2人も。
最初に「ペット」という話がありましたけども、実は子どもだけではなくて、ペットも気圧の影響を受けて餌が食べられないとか、持病でてんかんを持っているワンちゃんは発作が起きやすいという声もいただいてます。
お子さんなのかパートナーなのかペットなのか、それはご自身でつけていただければと思いますけども、4アカウントまで記録がつけられます。
川崎:お子さんもなかなか症状の言語化が難しいというお話がありましたけれども。ペットともなるとそもそも本当にどういう状態なのか、声なき声と言いますか。てんかんのワンちゃんなんかはよく知られてますけれども、元気がないなというのが、実は気象の影響を受けていたりするんですか?
岩見:獣医師の先生たちにお話をおうかがいすると、特に持病を持っている子は、やはり気圧や気象の変化によって体調の変化が起こりやすいということでした。
川崎:それで、もしかしてそのTシャツは?
岩見:そうですね、「human & animals」。
川崎:上に立ってもらえますか。そうなってるんですね。「人も動物も」。
岩見:すべてに対応させていただきますという。
川崎:そこも含めてファミリーというプランが7月に。
岩見:ローンチさせていただきます。
川崎:安中さん、またキャラクターが増えましたね。
安中:そうですね、一気に。真ん中に「マロ」という猫のキャラクターがいますけど、周りに家族やペットやパートナーが増えて、にぎやかな感じになっています。『頭痛ーる』をリリースして、勝木先生からも「メモ・記録が大切だ」とおっしゃっていただきましたけれども。
実際にユーザーの声で「自分のペットの様子や家族の様子を見るのに使っていて、非常に助かってます。ただアカウント1個なんですよね」というお話をいただいていて、ようやく(実現できました)。
『頭痛ーる』が始まってから今まで、予報と気象病の啓発をテーマにして進めていたんですけれども。いよいよメモ機能に注目して、そこをみなさんに便利にお使いいただこうというところで、大きなバージョンアップとなります。
川崎:家族が増えるとどうですか、パッとつけられます?
安中:そこはUI的には非常にこだわりを持っています。今までのステップ数を変えずにサッと選べて、ワンタッチでメモがとれるようなUIを何種類か考えて、その中から絞り込んで作っています。
川崎:じゃあ引き続き、パッと記録がとれるという、あの良さは失われていない。家族や大切な存在の記録もとれるように対応できたけど、「パッと」という気軽さはそのままですね。
安中:そうですね。
川崎:わかりました、ちょっと7月が楽しみですね(笑)。というわけで、本日はいろいろなテーマでお送りさせていただきましたが、丸々頭痛の1時間ということでした。
勝木先生がまさかそんなビッグデータの解析から、世の中で初めての知識で世界中から注目されるような論文を書いておられて、気象と頭痛ってやっぱり関係してたんだというのが迷信じゃなくなったと。我々人類は、非常に大きな節目を迎えていたんだということがよくわかりました(笑)。勝木先生、本当に驚いてしまいました。
勝木:こちらこそデータをお借りできて、こんなに大きな仕事をさせていただいて、感謝の気持ちです。ありがとうございます。
川崎:ありがとうございます。『頭痛ーる』は、もちろん匿名データのかたちで、個人情報にはかなりの配慮をした状態で、ただ人類の発展のために学術的な研究にもこのように役立っています。それをまたユーザーのみなさんにお返しできるように、今どんどん進化を遂げているということです。
では勝木先生、本日はありがとうございます。
勝木:ありがとうございました。
川崎:イノベーターズラウンジ、頭痛と気象との興味深いお話を聞けて非常にうれしかったです。また次回のイノベーターズラウンジでお会いできることを楽しみにしております。それでは、さようなら。
株式会社ベルシステム24
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