倉庫の自動化・省人化を実現するRENATUS ROBOTICS

安藤奨馬氏:「『空気』のような物流システムを」。RENATUS ROBOTICSの発表を始めます。

弊社は東京大学発の、「米国×物流×ロボティクス」スタートアップです。創業3期目、ナスダック上場を目指しています。昨今のEC配送需要の拡大に伴い、市場規模は年20パーセントで成長しています。一方、倉庫の現場はどのようになっているでしょうか?

むむ! こちらの作業員、必死になって商品を探し回っているようですね。棚に無数に並べられた何万種類もの中から商品を探し、倉庫内を駆け巡る、何十人もの作業員の姿が見受けられます。

そんな倉庫の自動化・省人化が叫ばれている中で、私たちが開発をしたのが「RENATUS」、世界で唯一の「ワンストップ梱包型」大規模・自動倉庫システムです。ロボット、アルゴリズム、昇降機、ラック、すべて自社で開発をいたしました。

ロボットは4m/s(毎秒4m)、自転車と同じ速度で高速に移動します。そして、このロボットを最大2,000台を同時制御するアルゴリズムによって、商品を絶え間なく、最適な順序で出荷する。そんな最高パフォーマンスの自動倉庫を実現いたしました。

1回の出荷が約4分→12秒に圧縮

従来の作業は非常に非効率で、1回の出荷に約4分の時間をかけていました。では、「RENATUS」を活用すると、この時間はどれだけ圧縮されるでしょうか? デモをお見せします。

お、こちらの女性、レギンスパンツを注文しましたね。注文データが転送されます。出荷作業開始。このように注文が入りますと、商品の入ったコンテナをロボットが運搬します。そして、このロボットがコンテナを昇降機に移載します。

昇降機はこのコンテナを受け取り、1階の作業員のいるステーションに運搬します。ここで作業が行われます。次に、流れてきた商品の中からピックして、ハンディで検品。そして最後に段ボールへ梱包します。作業はたったこれだけです。

前半は自動倉庫が処理を行うので、作業員の所要時間は0秒、後半は12秒。これまで4分かかっていた作業が12秒に圧縮されますので、20名必要だった作業員を1名に削減します。

倉庫を5棟建てるだけで、ユニコーンに

事例の紹介をしましょう。埼玉・草加市のこちらの物件、主にアパレルの商品を扱っています。ビジネスモデルは大きく2つ。1つ目は「買い切り型」で、こちらの倉庫を購入した物流企業さまは、わずか2.5年で投資回収が可能です。

次に「SaaS型」。SaaS型の展開により、中小企業さまも私たちのサービスを利用することができ、私たちのTAM(Total Available Market:ある市場で獲得できる可能性のある最大の市場規模)はさらに拡大します。

(ここまでのお話で)ニーズが大きいことはわかったと。しかし、私たちはこの事業でユニコーンになれるのでしょうか?

この問いを明らかにするため、先行プレイヤーの時価総額を参照します。EXOTECは時価総額3,000億円、PSR(Price Sales Ratio:株価売上倍率)は20倍。Symboticは時価総額3.3兆円、PSRは37倍をつけています。PSRが30倍前後の場合、売上は50億円でユニコーン。私たちは倉庫を5棟建てるだけで、ユニコーンになれるのです。

人類が物流を意識することのない世界へ

ユニコーンは通過点に過ぎません。そんな「RENATUS」の未来の話をしましょう。「完全無人倉庫を実現したい」というのが、私たちの次なるミッションです。

唯一残された、このピッキングの手作業、自動化が可能です。現在、こちらのピッキングアームの研究開発に取り組んでいます。たった12秒の作業をも0秒へ。私たちは限界に挑戦します。また、2024年内の米国進出を目指しています。先日行われた「Berkeley SKYDECK」のピッチコンテストで、世界各国100社以上が参加する中、私たちが優勝を収めました。

なぜ、日本で作って米国で売るのかというと、さまざまな理由があります。(米国は)莫大なマーケットが広がっており、円安により、米国の人件費は日本の3倍に到達しています。また、"Made in Japan"のブランド価値は健在です。さまざまな要因が、私たちのグローバル展開を後押ししています。

そして最後に。私たちの創業のきっかけは、MonotaROの鈴木(雅哉)社長との出会いでした。鈴木社長は10年もの間、世界各地で自動倉庫の技術を探し回られていましたが、理想の自動倉庫には出会えずじまい。

そんな時に、私たちと出会いました。半年以上のディスカッションを重ね、「よし。この若者たちに託してみようじゃないか」と、鈴木社長はおっしゃいました。こうして誕生したのが、この「RENATUS」です。

物流の完全無人化は、確定未来です。私たちは、このプロダクトを世界に提供することで、もう人類が物流を意識することのない世界を作ります。「『空気』のような物流システムを」。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)