「キャパオーバー」には大きく2パターンある

熊谷翔大氏:今日は「キャパオーバーに陥った時に考えたいこと」がテーマです。とあるリスナーの方から相談いただいたお悩みをテーマにお届けしていきます。

初めに質問ですが、あなたは仕事において「今、自分のキャパシティを超えているな」と感じた経験はあるでしょうか? いわゆる「キャパオーバー」の状態ですね。おそらく一度は経験があるんじゃないかなと思います。

相談してくださったリスナーの方も、まさに「キャパオーバーで悩んでいます」と打ち明けてくださいました。もちろん、私もこれまでに何度も経験があります。

キャパオーバーの状態は大きく2つのパターンがあると思っていて、1つは仕事の量が多くてキャパオーバーになってしまうパターンです。そしてもう1つは、仕事の難易度が自分の能力を超えてしまってキャパオーバーになってしまうパターンです。

もちろん、どちらのキャパオーバーも大変な状況に変わりありませんので、なんとか解決できるようにいろいろと工夫していく必要がありますよね。

じゃあ、どんなふうに工夫をするのか? というお話なんですが、前者の「仕事の量が多い」パターンの時は、基本的には仕事の量を減らすか、ある意味なんとかがんばって終わらせるしかないかと思います。

一方でちょっとやっかいなのが、後者の「仕事の難易度が高くて、自分の能力を超えてしまった」パターンなんですよね。「仕事が難しくて能力が追いつかないな」と感じてしまって、なんとか自分で切り抜ける自信も浮かんでこなくて、余裕がなくなってしまうイメージです。

そのリスナーの方にもよくよく話を聞いてみると、どちらかというと仕事の難易度が高くて、自分の現時点の能力を少し超えてしまっていて、キャパオーバーに感じてしまっている様子でした。

難易度が高い仕事はとにかく切り分けて考える

ということで、今日はそんなお悩みに少しでもヒントになればと思って、仕事の難易度が高くて自分の能力を超えてキャパオーバーになってしまった時に考えたい、3つのことについてお話しいたします。

まず1つ目ですが、その仕事をとにかく切り分けて考えましょう。能力的にキャパオーバーしている時って、頭の中で「わぁ、難しい仕事がきた。私には無理だ」という感じで、やや思考停止みたいな状況になりがちなんですよね。よくわからないから難しく感じてしまって、結果的にどんどんキャパオーバーになっていくというイメージです。

能力的なキャパオーバーにもいろいろあるかと思っています。例えば、やったことがないから難しく感じるのか、過去にやってうまくいかなかったからなのか、それとも苦手な人と一緒に動く時間が長い仕事だからなのか、いろいろあるはずなんですよね。まずはそれを落ち着いて見極めるのが大切です。

また、自分が苦手な仕事の要素が多いパターンもあるはずです。どういうことかと言うと、例えば人前で話すのが少し苦手な人にとって、その仕事の一部にプレゼンテーションがある場合、なんだか全部が難しく感じてしまったりするんですよね。

でも、一つひとつを切り分けてみると、「これは苦手で能力がちょっと足りないけれども、この部分はいけそうだな」という感じでわかってきます。とにかくその仕事を切り分けてみて、キャパオーバーに感じる問題を小さく捉える工夫をしましょう。

“誰かに仕事を引き受けてもらうこと”は逃げとは違う

続いて2つ目ですが、その仕事を誰かに引き受けてもらいましょう。もし本当に自分が苦手でできなくて、それが原因ですべての生産性が下がってしまってキャパオーバーになってしまうのであれば、もしかしたらそれはあなたがやるべき仕事ではないかもしれません。得意な人に任せるとか、または自分で誰かに頼む権限がなければ、素直に上長に相談してみましょう。

これは決して逃げるという意味ではありません。健全に自分からSOSの声を上げること自体は悪いことではないと思いますし、仕事において必要なスキルだと思います。だからこそ、「誰かに引き受けてもらう」というのも、大切な考え方として頭の片隅に置いておきましょう。

そして最後に3つ目ですが、「成長のチャンスが来た」と捉え直してみましょう。難易度が高い仕事をどのように捉えるかという、ある意味気持ちの面も大切だと思います。

やはり人間は成長しようと思ったら、自分の能力の100パーセントを少し超えるくらいの、110パーセントから120パーセントのことをやらないといけないですよね。耳にしたことがある方もおられるかもしれませんが、いわゆる「ストレッチゾーンに身を置く」という考え方です。

だからこそ、もしあなたが「今、キャパオーバーしているかも」と思ったら、そうではなくて、「もしかしてこれは成長のチャンス?」という感じで自分に問いかけてみてください。

これには唯一の注意点がありまして、もしそれがストレッチゾーンではなくて「パニックゾーン」に入ってしまっているのであれば、無理はしてはいけません。例えば自分の能力の150パーセントくらいの仕事をやり続けてしまうと、それはパニックゾーンで、間違いなく心身の健康を壊してしまうはずです。

そこだけ注意をしていただいて、もしストレッチゾーンなのであれば「成長のチャンス」と前向きに捉えてみて、その仕事に向き合うことも必要だと思います。

キャパオーバーへの対処法3点まとめ

ということで、仕事の難易度が高くて自分の能力を超えてキャパオーバーになってしまった時に考えたい、3つのポイントについてお話ししました。

1つ目は「その仕事をとにかく切り分けて考える」。2つ目は「その仕事を誰かに引き受けてもらう」。そして3つ目は「『成長のチャンスがきた』と捉え直してみる」です。

キャパオーバーになると、とても大変でつらいと思います。でも、3つ目にお伝えしたように、もしかしたらあなたの成長にとっての大きなチャンスかもしれません。だからこそ、心身の健康には十二分に注意をしていただきつつ、いろんな工夫をしてもらえるといいんじゃないかなと思います。

今日の内容は、部下・メンバーを持つマネジメント層のみなさんもしっかりと頭に入れていただいて、「悪いキャパオーバーになってしまっていないか?」「成長のチャンスにつなげることができないか?」ということを考えてあげて、育成とサポートをしていただけるといいんじゃないかなと思います。

それでは、今回はここまでです。本日もすてきな1日をお過ごしください。