2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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本イベントは、「多様性を事業の力に変える組織経営」をテーマに、組織経営に関わるビジネスパーソンに向けて開催されました。エール株式会社取締役の篠田真貴子氏とLINEヤフー株式会社上級執行役員CEO室長兼人事総務グループ長の稲垣あゆみ氏が登壇。本記事では、「制度をどう作るか」の2種類の考え方についてお伝えします。
稲垣あゆみ氏(以下、稲垣):うちは2023年10月に合併してLINEヤフーになったので、今、人事責任者としての悩みの1つにあるのが、旧LINEと旧ヤフーで、女性の活躍っぷりというか、管理職比率が違っています。旧LINEのほうが、高かったんですよね。でもLINEは女性系の施策はまったくなかった。
坂本祥二氏(以下、坂本):へぇ~、おもしろいですね。
稲垣:何か掲げてるわけでもなくて、「女性のためのメンターが……」みたいなことも特にやってはいなくて。たぶん自然にそうなっていった。
篠田真貴子氏(以下、篠田):そういう風土だった。
稲垣:はい。特に意識して取り組みをしてないけれども、そういう状態だったLINEと、一生懸命そこを変えようとしているヤフーのみなさんと、今ガッチャンコして「制度をどうする」というところにいます。
坂本:福利厚生の産業をやっていると、制度について聞かれることが多いので、多様性の議論をすると、私も制度にすごく寄ってしまうことがあります。制度、風土の2軸と経営と現場を考えた時に、ついつい、この3番というか、まず簡単な「現場から上がってくる声を制度で解決しよう」というのが、経営者の頭の中には出てきてしまう。
本来は経営層目線での①経営方針/KPIみたいな議論もあれば、より④現場風土によった考え方もある。先ほどのマジョリティがあからさまになってるのも、経営層の無意識がそこに出ちゃってたのかなと思うんですよね。このへんの考え方について、篠田さんのお考えをお聞きできますか?
篠田:いや、この絵はおもしろいなと思って。例えば現場風土の4番から(サポート制度の)3番に矢印を向けて描かれてるけど、どういう意図とか考えでこっち側にされたんですか? というのは、あんまり社内事情をつまびらかにしたくはないと思うんですけど、さっきの話は別にヤフーさんが特別ではなくて。制度を入れると現場風土が変わると思いすぎだと、私は思っています。
人によっては、3から4に矢印を向けたくなるんじゃないかと思うんですよね。逆に4から3に描かれているのはなぜか、おうかがいしたいです。
坂本:そうですね。本質的には両方かなと思います。よく意識したほうがいいものに矢印を描いています。今①経営方針から②経営陣マインドに矢印を引いてますけれども、当然②が醸成されて初めて①になっていきます。
特に日本の企業での課題で言うと、つい「サポート制度を変えれば、現場風土が変わるよね」とか。あとは経営陣のマインドを変えようみたいなところはけっこうあるんだけれども、ちょっとKPIが適当というか。女性管理職とか比率を出すんだけど、経営戦略としっかりリンクしてないとかもよくあるので、本来は両方に矢印があるのかなと思います。
篠田:そうですよね。特にこの④から③の矢印を意識したいというのはすごく共感します。制度をどう作るのかという考え方は、論理的にも2種類あると思っています。それこそ人事部とかに特にパワーがある会社ですと、「民に知らしめるのである!」みたいな感じで。
(会場笑)
篠田:そんなことはおっしゃらないけど、端から見るともうそうとしか思えない行動をされる。でも、もう一方の考え方は、現場をよく見てると、すごく少ない事例だけど非常にうまくやっている現場があると。
うまくいっている小さい事例を仕組み化して、全体に使いやすくするためのツールとして制度を入れる。この大きく2つの、まったく違う思想があるなと思っています。特に多様性ってテーマにおいては、私の好みはやっぱり④から③の矢印なんですよ。
なぜなら、多様性を事業成果という力に換えるのって、やっぱり当事者同士の関係性づくりの話であり、その各々の内面のマインドの話が非常に効いてくるんです。
「制度で人が変わるって、機械じゃないんだから」ってよくいやみっぽく言うんですけど(笑)。人は機械ではないので、左にいってほしいと思って、右から力を加えたら、むしろ反発して右にバーンっていっちゃうのが人間じゃないですか。
そこを踏まえると、「制度で人が動くって、ちょっと社員を馬鹿にしてませんかね」と思っちゃうんですよ。だからそれよりは④から③、または両方。そうは言っても実際にうまくいってないから制度って仕組みが当然必要なんだけど、出発点が頭の中の論理的なものになってしまっている。
さっきのスタンプでいくと、「いや、みんながデコメって言ってるんだからデコメでいいじゃん」っていうのを制度にするのは、まったく意味がない。「実際におもしろいって言われたスタンプがこの白い丸いものなんだから、それをもっと使えるようにしようよ」っていう、そっちの発想を感じました。
稲垣:今篠田さんの話を聞いて思ったのが、(当時のLINEでは)意思決定の際に、経営とか判断する人のために資料や会議をやるのではなかったんだなって気づきました。「女性の制度を作ったほうがいいんじゃない」っていうのは、それを作る事実や、意思を伝えるツールとしての宣言というか。
「会社はこれを大事だと思っているよ」と言って見せるという、コミュニケーションのための意味合いと、実際にそういうものが増えていくことの差を、聞いてて感じました。
篠田:本当にそうですね。
坂本:福利厚生の産業に関わっていると本当に思うのが、最初に「いいね」と言われる制度と、実際に使われている制度って、ぜんぜん違ったりする。さっきのスタンプの話じゃないですけれど、聞いて「あ、いい制度」って思うのと、例えば女性の活躍推進が本当にされているかって、かなり断絶があるなとは、確かに今のお話を聞いてすごく思いましたね。
稲垣:それこそOSを変えるのが①で、②の意識改革は難しいじゃないですか。「意識改革を進めるためには何をするといいの?」っていうのが、むしろ私が聞きたいところなんですけど(笑)。結局、経営というか上の人たちの意識を変えることなんだと思うんですけど、人ってなかなか簡単に変わらなくて。
社会のニーズは変わってきているけど、男性中心で働いているのが今の社会で、それは急に変わらないと思うので。「そこのOSの人たちに何を伝えると、本当の変革になるのかな」っていうのが、やっぱり一番難しいと思ったんです。
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