今後20年で、日本の人口は約1,300万人減る見込み

石丸伸二氏(以下、石丸):続いて、今の危機感と選択を踏まえて、3つめの挑戦についてお話をします。市政運営です。YouTubeでご覧になった方も多いかと思います。「自分のところの市議会議員は知らないけど、なぜか安芸高田市長の議員は名前が言える」みたいな方、意外といらっしゃいますよね。

そこで、私が何を思って何をしたのか、その挑戦です。まず最初に持っていた危機感をみなさんと共有したいと思います。

おそらく、みなさんもこのグラフを見たことがありますよね。日本の人口の推移です。2010年頃に1億2,800万人でピークをつけました。そして10年経って、2020年はもう減ってきています。1億2,600万人ぐらい。

ここからですよ。グラフに書いてある数字は20年後です。2040年の数字は1億1,280万人。これからの20年で、日本人は約1,300万人減ります。この人口の推計は、残念ながらほぼ間違いなく実現します。なので、1,300万人がいなくなります。だいたい東京都の人口と同じ数です。

そして起きている現象が少子化なので、若いほうからいなくなります。まさに、この東京都民が丸ごと消滅すると想像してみてください。しかもそのほとんどは東京じゃないんです。北海道から沖縄まで、全国の地方でその人たちは減っていきます。

年間だいたい65万人、島根県の今の人口と同じぐらいです。毎年減っていきます。これでも日本経済、日本社会が維持できると思う方がいれば、ちょっとその理由を教えてもらいたいぐらいです。まず、もたないと思います。これが大きな私の危機感です。

そして、ここにいるみなさんは元より、全国民が共有できる、そして共有しなければならない危機感だと思っています。

議会との衝突、メディアとの衝突

石丸:この危機に対して何をどうするか。選択の問題です。市長になりましたが、市長としてできることは何か。市政運営において財政を司る、財政の健全化、これはもちろんです。しかし、これは対症療法に過ぎないので、それだけではもたない。原因療法が必要だと考えました。

だから、議会との衝突、メディアとの衝突。相手が誰であろうと、いいものはいいし、悪いものは悪いとはっきり言うことが正義だと思っています。ちなみに今日は中国新聞の記者がお越しらしいです。やりゃできるじゃないか。その調子でこれからも広島県を、中国地方を報道していってください。

大きいニュースも小さいニュースもいろいろあって当然です。しかし、その中で大事なニュースがあるんです。それを広く伝えられるのは、やはりメディア、特にマスメディアだと思います。なので、徹底して、容赦なく、丁寧にメディアを批判してきました。

議会に対しても同様です。「議員の機嫌を損ねれば政策が通らないよ」と。わかってます。わかっていてこうしてきたんです。なぜかというと、機嫌の良し悪しで政策を通したり通さなかったり、そんな議員や議会に市政は任せられないからです。

原理原則に立ち返ってもらう、立ち返らせる必要があると考えました。なので、議会と、議員と、しっかりと向き合ってきたつもりです。たった3年、4年ですべてが変わるとは思っていません。実際、今の議員の多くが考えを改めるとは思っていません。しかし、いつかわかる人が出てくる。そう期待をしました。

公式YouTubeが自治体として日本一の登録者数に

石丸:1つ例え話をすれば、天動説と地動説というものがあります。昔は太陽が地球の周りを回っていたと、みんなが思っていたんですね。それが正しいとされた。そんな中、ガリレオは有罪判決を受ける。最後に「それでも地球は回っている」と、言ったとか言わなかったとか。

そのあと地動説が正しいことが証明されます。もちろん科学的に。ただ、その過渡期はどう変わっていったのか。天動説を信じてた人たちが「あれ? やっぱこれ地動説じゃない?」と思いを改めたわけじゃなく、そう言ってた人たちがいなくなっただけです。時間が解決しました。

大事なのは、「それでも地球は回っている」と言う人がそこにいたかどうかだと思います。今すぐ変わらなくても、いつか将来において変わるだろうと私は信じています。そうした狙いを持った選択ではあったんですが、幸いにして副次的な効果も得ました。それがこちらです。

YouTubeの公式チャンネル登録者数が、自治体として日本一になりました。今は登録者が26万人います(2024年5月16日時点)。この知名度・認知度によって、2023年度の安芸高田市のふるさと納税は前の年から2億5,000万円増えました。YouTubeの広告収入等はわずか7ヶ月で1,300万円、臨時の収入として市に入っています。

また漫画の話をします。『封神演義』の中に、聞仲という軍師と黄飛虎がいるんですね。わかりますか? 聞仲が妲己を評してこう言います。「真の陰謀家は1つの行動で2つも3つも効果を考えるものだ」。それをやってみて挑戦したところ、非常にうまくいきました。以上が、私がこれまでに経験してきた3つの挑戦です。

東京都知事選への出馬を表明

石丸:最後に、事前の告知にあった「この人生くらいなら賭けてやる」という言葉の意味をご紹介したいと思います。私の人生において4つめの挑戦になります。新たな挑戦です。私、石丸伸二は次の東京都知事選に出ます。

(会場拍手)

石丸:東京を動かして、日本を動かしてみます。東京を変えて、日本を変えたいと思います。東京の一極集中、そこから全国に渡る多極分散に向かう時が来ています。そうでなければ、もう日本が持たん時が来ているんです。

当然、簡単な勝負ではありません。困難を極めます。だからこそ、私、石丸伸二の人生くらいなら賭けてみましょう。私たちは変われるし、変えられると、もうみなさんはすでに知ってらっしゃいますし、わかってらっしゃるはずです。あとはそれをやっていくだけです。みなさんの挑戦を楽しみにしています。

この挑戦は1人でも多いほうがより大きな力になります。まずは今日ここに集まったみなさん、そしてオンラインで視聴しているみなさん、我々からぜひ始めていきましょう。一緒にがんばりましょう!

(会場拍手)

狩野恵里氏(以下、狩野):ありがとうございました。驚きのニュースが出ましたね。そういうことで、みなさんに「ぜひ写真撮影や録画を」というところもあったわけなんですかね。思いをみなさんに伝えてほしいということだったんでしょうか。

漫画好きの石丸氏がビジネスパーソンにおすすめする本

石丸:事前にご質問をたくさんいただいておりましたので、時間が許す限りお答えいただきたいと思いますが、まず最初の質問がこちらですね。

先ほども戸愚呂兄弟の話がありましたが、石丸市長は漫画好きで有名です。「ビジネスパーソンにおすすめの漫画はありますか? その理由も教えてください」とのことです。

石丸:山ほどありますね。どっちがいいかな? この質問をくださったのが男性か女性かで、またおすすめのタイプも変わってくるんですが、全般的にいこうかな。

狩野:はい。お願いします。

石丸:少し古いんですが、まさにビジネスパーソンに向けて『働きマン』をおすすめしたいと思います。女性が主人公で、週刊誌に勤めているという設定なんですが、その彼女がふとしたシーンで言います。「あたしは仕事したなーって思って死にたい」と。とことんそこにかけてみる、その生きざまがかっこいいなと思ったのでおすすめです。

狩野:ありがとうございます。どんどん質問にまいりましょうか。たくさんいただいています。続いて、「石丸さんには尊敬する上司はいましたか? それはどんな方でしたか?」。銀行時代も含めてということですかね。

石丸:これも本当に多いんです。今、ぱっと4、5人が思い浮かびました。1人挙げると、私を三菱UFJ銀行の為替アナリストとしてニューヨークに送ってくれた上司です。その方に恩があるのはもちろんなんですが、その方がすごく人として優しい。優しいというのは、生き方が丁寧な方だったので、ものすごく尊敬しています。

「自分たちの立場、役割には何か意味があるんだよ。それをしっかり果たしていこうよ」と、常に部下に呼びかけていた方なのですごく尊敬しています。

人生の選択をする時に最も重視することは?

狩野:それでは続いてですが、「多くの決断と選択をされてきた石丸さんですが、人生の選択をする時に最も重視することは何でしょうか」。まさに大きな選択をされたばかりですが、何を重視していますか?

石丸:私においては、それが社会の利益にどれぐらいかなうか。今、関心はそっちにいっています。個人の利益と社会の利益は、時々相反するんですね。みなさんもそうかもしれません。ただ、やっぱり個の利益を追求しても限りがあるのかなと思って、より大きな幸福を願うのが巡り巡って自分の幸福になるのかなと今は思っています。

狩野:次の質問がこちらです。「ビジネスパーソンから市長になって感じた、今の行政や政治家に足りないことなどありますか?」。30分ぐらい話したいと思いますけれども、簡潔にお話しいただければ。

石丸:はい。特に政治家の方ですが、覚悟、責任感が不足してるのかなと思ってしまいます。

狩野:「覚悟」というと、もう少し具体的には?

石丸:今の日本に対して責任を負うのはもちろんなんですが、将来の日本に対しても責任を負う。それがわかってるのかな? という心配です。

狩野:もうそろそろお時間が終了ということで、質疑応答を終了させていただきたいと思います。最後に、今、壁を乗り越えようとしているビジネスパーソンのみなさまに、あらためてメッセージをお願いします。

石丸:挑戦は特別な誰かのものではありません。私たち全員のものです。怖めず臆せず、ぜひ全員で挑戦していきましょう。立てよ、国民! みなさんの奮起を期待します。

狩野:安芸高田市長、石丸伸二さんでした。大きな拍手でお送りください。ありがとうございます。