2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
第1239回 トレンド経営学『いい質問をするための2つのキーワード』(全1記事)
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加藤想氏:今日は、いい質問をするための2つのキーワードについてお話をしていきます。ふだん会議の場面などで質問をして、「いい質問ですね」と言われたことはないでしょうか。会議の場面以外でも度々聞く言葉ですが、そもそも「いい質問」とはどんな定義なのでしょうか。
試しに、ChatGPTにいい質問とは何なのかを聞いてみました。すると、「いい質問とは、問われた人に新たな気づきや学びを与える質問のこと。具体的には、具体的で本質的であること。自分の関心、かつ相手の関心ごとであること。過去の経験と、現在の文脈に沿っていること」。こんな記載がありました。
ただ、これを見て、なんとなく「まあそうだな」と思った方も多いと思うんですが、実際に詳しく見てみると、この文章自体が抽象的でよくわからないかなと個人的には思います。
「いい質問とは何なのか」ということは、私自身もけっこういろんな書籍を見て学んでいるところではあるんですが、個人的には安斎勇樹さんの書籍『問いかけの作法』が非常に参考になりましたので、ちょっとご紹介したいなと思います。
この本では、組織内の意見の中で「こだわりがある意見」と「囚われている意見」の2つをしっかり見抜くべしという内容が書いてありました。
ここで言う「こだわり」というのは、組織の独自の強みなどが含まれていて、それを見つけたらちゃんと継続的に育てる必要がある意見のことです。一方で「囚われ」というのは、認識の固定化や目的の形骸化などによって発生するもので、疑って問い直すべきものとあります。
このキーワードを見て、いい質問というのは、こだわりや囚われを発見する呼び水になるものというふうに私は解釈をしています。
こだわりや囚われを発見するために、もちろん組織内のチームミーティングなどで見つけることも非常に効果があると思うんですが、個人との1on1で話す時にも、この意識はけっこう効果的じゃないかと考えています。
例えば、メンバーが仕事に忙殺されて困っている場面の1on1を考えてみます。目の前の仕事は、メンバーにとってこだわりを持って取り組んでいるものなのか。もしくは、とりあえずこれまでどおりのやり方を踏襲していて、無理やりやらないといけないのでなんとかやっている、囚われのものなのかを判断していきます。
この際の質問としては、「『どれでも好きな仕事をしていいよ』と言われたらどれを選びますか?」「どの仕事を真っ先にしてますか?」といった極端な質問をすると、本人にとってはいい気づきになって、この質問は結果的にいい質問になった可能性があります。このように「いい質問」の定義というのは、正直、人それぞれ解があるかなとは思います。
相手にとって気づきを与える質問というのは、「囚われなのか、こだわりなのか」の2つのキーワードを意識してみると、いい質問につながるかなと考えています。
ただ、そもそもの話になるんですが、いい質問をすることは非常に大事だと個人的にも感じていますが、例えば会議の場などでは「いい質問ですね」という言葉を言わないように意識をしています。
会議の中で、議論や質問も自由に出るほうが絶対にいい場になると感じていますので、「いい質問ですね」と言ってしまうと、「いい質問をしないといけない」「私の質問はしょうもないな」と、周りのメンバーが質問しづらい空気を感じてしまう場面があると思います。
なるべく「いい質問ですね」とは言わないようにして、なおかついい質問をする。こんな意識を持つのがいいんじゃないかと思っています。
というわけで、今日は「いい質問って何?」ということを考えてみました。個人的には、こだわりや囚われを発見する、そんな問いがよいと考えています。今後のコミュニケーションのヒントになりますと幸いです。
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