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世界10か国の超一流企業でキャリアを積んだ”ヴィランティ牧野祝子”氏新刊『結果を出してサクッと帰る 神速時短』発売即重版記念【無料オンラインイベント】(全4記事)

仕事を自分でやるか相手に任せるか、優先順位付けができるマトリクス タスクを抱え込んでしまう人が、幸せに働くための時間の使い方 

いつも時間に追われている、仕事漬けなのに成果が伴わない、プライベートを楽しむ暇がない……こんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。『結果を出してサクッと帰る 神速時短』の発売を記念して開催された本イベントでは、著者であり国際エグゼクティブコーチ/企業研修講師のヴィランティ牧野祝子氏が登壇。本記事では、世界10ヶ国で20年以上会社員をしてきた牧野氏が、幸せな人生を送るための時間の使い方についてお伝えします。

前回の記事はこちら

自分の中のモヤモヤを言語化してアウトプットする

ヴィランティ牧野祝子氏:ここからは、みなさまのアウトプットの時間にしたいと思います。チャットに書いていただいても、1人で考えていただいても大丈夫です。みなさま、今何かモヤモヤがある方、いらっしゃいませんか。朝、パートナーと揉めてモヤモヤしたとか、お子さまに対してのモヤモヤでも、会社の中でもなんでもいいです。

「これが嫌だな」とか「ハッピーじゃないな」と考えて、何に関してのモヤモヤなのか、言語化してみていただけたらと思います。今日はここまでやっていただくんですけど、第三者に相談してみるとか、本人に思い切って伝えてみることを、次のステップとしてやっていただく。そうやってアウトプットすると、意外に解決することがあるんじゃないかなと思います。

では少し時間をとりますので、よろしかったらモヤモヤを書いてみてください。その間に、みなさんに書いていただいたチャットを読みますね。

「今、ボスは俺にどうしてほしいのかなぁ」と。それもモヤモヤですよね。「聞く」アウトプットで、「このプロジェクトで私にどういう役割をしてほしいんですか?」と聞いていただくといいんじゃないかなと思います。

あと「『質問するな』という上司がいる」。これもよく聞くんですよね。そういった方には聞かないでください(笑)。聞いたら絶対に教えてくれそうだなって人に聞くか、あとはそういう状況を作るのもありかもしれません。

例えば「質問するな」って言われたら、1on1の時に「どうしてですか? 私、とっても困っていて、教えてくれたらうれしいんだけどなぁ」と言えるような環境を作るといいかなと思います。

アメリカの大きな組織のトップにキャリアの相談をした経験

「上司が忙しすぎるので、自分のキャリアパスを相談できない」。これ、ありますよね。私もキャリアの最後のほうはわりと忙しかったんですけど、人からキャリアについて相談されるのって、すごくうれしいんですよ。

私は戦略部署からマーケティングに移りたいと思ってる時がありまして。その時はアメリカの国際的なお酒の会社だったので、私はロンドンにいて、彼(上司)はアメリカにいたんですね。

アメリカでプロジェクトをしている時に、たぶん何百人もマーケにいるような、アメリカの大きな組織のトップの人とお近づきになる機会がありました。その時に思い切って、キャリアのことを相談してみました。

そうしましたら、彼はすっごく忙しい人なんですけど、「僕は人からキャリアの相談をされるのが大好きなんだよ」って言ってくれたんです。「じゃあ、僕と別に時間をとろうね」と言って、20~30分くれたんですね。その時に、「将来マーケティングをやりたいんだけど、どうですかね」みたいな話をさせていただきました。

私の周りにいるキャリアを積んでいる人たちは、多くの場合、後輩とか他の方からキャリアの相談を受けることが大好きな人が多いです。一般的にそうだと思うので、ぜひぜひ聞いてみてください。

業務で忙しい時は難しいかもしれないので、それ用に別に時間をとるとか、ランチをしながらとかできると思います。ぜひ「こういったことを相談したいんだけど」とメールやチャットで送って、状況を見てお話ししていただくといいんじゃないかなと思います。

言語化が苦手な人にはポジティブフィードバックをする

あとは言語化が苦手な人に対してですね。これはまず安心安全な環境を作ってお話をする。あと一番効くのは、ポジティブフィードバックをしてあげることです。「こんなところは良かったね」「こんなところが上手だね」と言われて悪い気がする人って、絶対いないと思うんですよ。

もしかしたら最初は、ポーカーフェイスで「うれしい!」って顔はしないかもしれないですけれども、だんだん氷が溶けてお近づきになっていきますと、少しずつ話しやすくなる。

あとは「これ、どう思ってますか」「どうやってやったらいいと思いますか」と、質問をしてあげてください。いきなり「このプロジェクト、どうやって進めたらいい?」とか大きな話をすると、答えられないかもしれないので。答えられそうな質問を少しずつしてあげると、だんだん花が開くように答えてくれるんじゃないかなと思います。

自分じゃなくてもできることは部下に任せる

ということでみなさん、アウトプットしていただいていかがでしたでしょうか。質問しながら、またはアウトプットで言語化してみたら、意外に明確になったり、すぐに解決することが、きっとあるんじゃないかなと思います。

では次ですね。優先順位のほうに行きたいと思います。アウトプットして「これやりたいな、あれやりたいな、これもいいね」ってやってると、やることがいっぱいになってしまいます。そこで、「何をやめるか」「何を他の人に任せるか」の優先順位の付け方が大事になります。

というのは、私は常に「これは今やらなくちゃいけないかな」とか、「今考えなくちゃいけないかな」と考えてるんです。そして、これは私にしかできないかな、私がやらなくちゃいけないかなということ(を優先的にやる)。

以前は私も、「ちゃんと責任を持ってやって、上司に渡さなくちゃ」と思っていたんですけれども。けっこう部下に渡したほうが得意なことって、いっぱいあったんですよ。自分でできると思ってたけど、すごく苦手なんだって、他の人に渡してから思いました。

もちろん部下ができないと困るので、渡す時には早めに渡して早めに返してもらうのが大切です。ただ、自分だけしかできないと思っていても、けっこう人に任せたほうがいいことも、私にはいっぱいありました。

ですので、私じゃなくてもできたことや、考えられたことをするのは、すごく時間の無駄だなと。そういった、「何をやめるか」の判断基準についてお話ししたいと思います。

人は貢献をすると幸せになる

今日のセミナーの前に、みなさんにたくさんご質問をいただきました。「そんなに時短をして、祝子さんは何をやりたいの」とか「人生の目的は何ですか」。「余った時間で何をやりたいんですか」というご質問もいただきました。

私にとって、人生の目的は幸せなんですね。きっと人って、幸せになりたくて生きてるんじゃないかなと思います。別に収入とかはどうでもよくて、幸せのベースにあるのは、私にとっては貢献なんですね。(心理学者のマーティン・)セリグマン博士がやっているポジティブ心理学を学んで、すごく納得したんです。「人は貢献をすると幸せになる」というのがベースにあるようでして、私もそうなんですね。

私にとっては、コーチングでどなたかが幸せになってくれるとか、今日のセミナーで何かの参考になったら、すごく幸せなんです。なので、私は時間が余ったら、何か貢献したい。質問されたら答えるし、その人と時間を過ごしたりします。

あとは食べることが好きなので、季節の野菜を買いに行って、今だったら新鮮な空豆とかグリーンピースを家族と食べたり、ワインを飲んだり。なので、人生を豊かにするための貢献とか、おいしいものを食べるとか、好きなところに行くとか、素敵な人と会話をするとか。余った時間はそんなことに費やしております。

私がアンハッピーに感じる時間は、「なんでこんなことをやんなくちゃいけないんだろう」と感じるタスクをしている時ですね。特に私の場合、事務作業をやっているとそういう気分になるので、それを減らすようにしています。

優先順位をつけるためのマトリクス

ということで、優先順位をつけるためのマトリクスを紹介させていただきます。このマトリクスは、目標を「自分の幸せ」に置いてるんですね。生産性を高めるとか(仕事を)早くするとかよりも、「自分が幸せな人生を過ごすために、どう時間を使うか」という意味のマトリクスになっております。

上の時間軸は、自分が好きなこと、嫌いなこと。時間を忘れるぐらいやっていて楽しいか、楽しくないか。右が、自分にしかできないか、他の人にもできるか、となっておりますので、ちょっと考えてみてください。要は、とりあえず右上のことをやる。そして左上を全部、やめるか任せるか捨てることがポイントです。

私の場合は、日本食を作ったりフュージョン(多国籍料理)を作ったりして家族と食べること。これは他の家族にはできないですし、市場に行ったり料理を作ったりするのが好きなので、右上になります。

仕事では、「これからどうするか」というブレストや、コーチングの方にお話をさせていただいてセッションしたりアドバイスをしたり。そういったものは右上になるかなと思います。私の左下の手放すものは事務作業です。私は時差があったら時間を間違えるし、いろいろと細かいことをやるのが苦手で、資料を作っても間違えたりする。

そういうことをやってると、「なんでこんなことをやらなくちゃいけないんだろう」と、ぜんぜん楽しめないんです。例えば会社員時代、私の部署で「週のレポートを作りましょう」となりました。最初やっていたら、けっこう上司が喜んでくれたんですよ。でも「私がやらなくてもいいのかなぁ」と思い始めて、チームの人に渡しました。

私じゃなくてもできることで、私が楽しめないことだったので、渡してよかったと。どんどん手放したり任せるようにしています。

相手の迷惑を考えて、仕事を振るのをためらう日本人

任せる時のポイントについて話します。日本の方は本当に優しくて、みなさんいい方が多いので、「人に渡すと迷惑なんじゃないか」とか「その方も忙しいからどうしよう」と思うんですね。みなさんに考えてみていただきたいんですけども、例えばAさんに(仕事を)渡す時は、Aさんにとって得意で楽しいことを渡していただきたいんです。

なので、例えば私はキャリアに関するお悩み相談を受けるのが大好きなので、それを受けたらうれしいんです。ただ私にとって事務仕事は苦手なので、他の人から振られたらとっても嫌なんですね。

なので、人に何かを振ったり任せたりする時に、「その人は何が得意かな」ってところをある程度見てあげてください。知らない人ばっかりのチームとか、4月から新しいチームができた時は、相手が何が得意だったり好きなのかがわからないので、一緒にこのエクササイズをやっていただいてもいいですし、聞いたらいいと思います。

それを聞いて向こうに開示していただくことも、(仕事を)時短でうまく回す秘訣だと思います。ということで、みなさまにとって左下(楽しめない・他の人でもできること)は、何かありそうですか。手放したものとか、「これは手放そうかな」みたいなことがあったら教えてください。

この前聞いておもしろかったのが、野菜を洗うのを誰かにやってもらう。例えばうちは障害児もいるので、お手伝いに来ていただいている方がいらっしゃるんですね。野菜の量はそんなにないんですけれども、例えば「グリーンピースをむいて中身と分けといて」とかは、私はお願いしちゃいます。

「そうは言っても手放せない」という時に考えること

「疲れた時にスマホをだらだら見ない」。そうですね。私の場合、「疲れたらすぐ寝る」のが鉄則です。「(部下に任せたら)することがすべてなくなった」。そうなんですよ。私も一時いろいろ回したら、部下がすごい活躍しちゃって。今思うと変なんですけど、私はちょっと嫉妬したんですね。

部下がすごくやってくれてうれしかったんですけれども、同時に私は存在意義がないなって感じたんです。でもその分、自分はワンステップ上がった仕事をすればいいことですので。どんどん渡して、その方に成長していただいて、みなさまもステップアップしていただくのがいいと思います。

お子さまに家事を任せるにも、すっごくいいと思います。どんどん渡してください。私は子どもの頃、アイロンがけをして母に50円もらってたんですけれども(笑)。その時からアイロンがけが得意になりました。みなさん、たくさんコメントをいただき、ありがとうございます。

あと一言二言申し上げます。「そうは言っても渡せないよ」とか「手放せないよ」って時があると思うんです。そういった時には、時間の使い方は投資だと考えます。今ここでこの時間を使うのがいいのか悪いのか、後からどうなるかを考えるんですね。

仕事もプライベートも子育てもマラソンです。今150パーセントを出して、常に走って自分を潰しちゃうのは、会社にとってもみなさまにとっても、ご家族にとってもよくないなと思います。ある程度そこをペースメーキングすると考える。そのために、渡すことややめることを考えます。

優先順位に迷った時の「幸せの配当」の考え方

あと、すごくおもしろい本を読んでアイデアをいただいたんですけれども。今その時間を使う価値もありますが、後から生まれる価値もあります。これを「幸せの配当」と私は考えてるんですね。例えば、上海で忙しかった時、私は「このミーティングに行かなきゃだめだ」とか「これは絶対私が出なくちゃだめだ」って思うタイプだったんです。

たまに、子どもの運動会やお遊戯会があるわけですね。これは反省なんですが、「ママが来てくれなかった」という思い出を作ってしまったんです。それで(会社員時代の)最後のほうは、子どものほうを優先するようにしました。もちろん、その時に子どものお遊戯を見に行って楽しいっていうのもあるんですけれども。

その後に、思い出として写真を見て楽しめる。先週娘と部屋の片付けをしていて、昔のちっちゃな子どもたちの写真を見せたんですけど。「あの時こうだったよね」とか「この保育園のお遊戯、こうだったよね」みたいな話をしました。もうあれから10何年経ってるんですけど、また楽しめるんですね。

その時に私がミーティングに出ていたら、絶対今楽しめてないと思うんですよ。なので、もちろん小さなミーティングにいっぱい出るのも大切なんですけれども、たまには出なくても会社は絶対に潰れません。

親としてお遊戯会を見に行くとか、写真を撮るとかは、私しかできないことなので。そういうことをしておくと、その時も楽しいし、15年後に写真を見て「こうだったね」って、また幸せな気分になる。これを幸せの配当と呼んでいます。時間を投資して配当が回ってくるみたいな感じで、将来的にも楽しいのはどっちかなと考えて、優先順位をつけていただけたらと思います。

「どんな環境に自分を置くか」も大切

あと、究極の選択は時間を使う環境。どんな環境で時間を使うのがいいかなって、私はよく考えます。私のクライアントさんで、「転職しようか迷ってます」という方もいらっしゃるんですけれども、どんな環境に自分を置くかって、すごく大切だと思うんですね。

なので、いくらそこでがんばったり生産性を上げたりしても、良くない環境にいたら、がんばれるところってこのぐらい(小さい)と思うんです。でも、環境を変えたらその振り幅が大きくなるんですよ。なので、環境はすごく考えていただきたいなと思います。

よく言うのが“If you are the smartest in the room, you are in the wrong room.”。「(その環境で)あなたが一番頭がいいと、逆に学べないんじゃない?」みたいなことですね。

あと、「あなたは近くにいる人の5人の平均なんだよ」というのもよく言われるので、どんな人と付き合うか。今はオンラインコミュニティもありますので、どんなコミュニティにジャンプインするかも大切かなと思っております。

そして私にとっては、ポジティブフィードバックをくれて成長できる環境。みんなが応援してくれる環境。そして自分の良さを生かせる環境が、すごく大切かなぁと思います。ということで、ぜひみなさま優先順位をつけて、任せる、やめるを徹底していただけたらと思います。ありがとうございました。

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