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だかぼくオープン講演「難しい人間関係を解決する、コミュニケーションの技術」(全5記事)

指示待ち、反発、無気力……困った部下の3つのタイプ リーダーや管理職が陥りがちな職場の人間関係の悩み

幸せ視点の経営を学ぶ、革新的なオンラインスクール hintゼミの主催で行われた本イベント。新著『小さくはじめよう 自分らしい事業を手づくりできる「マイクロ起業」メソッド』を出版した、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授の斉藤徹氏が登壇しました。本記事では、上司を悩ませる職場の人間関係や、個人が成長していくステップについて語りました。

リーダー・管理職の悩みで最も多いものは

斉藤徹氏(以下、斉藤):まずは、「リーダーの方・管理職の方 職場の悩みアンケート」をピックアップしてきました。やはり「人間関係の悩み」がかなり多いんですよね。2番目は「チームのマネジメント」ということで、かなり近しいものです。3番目は、自分自身のものですね。

やはり時間管理とかストレスとか、ウチの問題・ソトの問題という人間的な問題ですごく悩んでいる。チームの業績や自分の将来よりも、とにかく人絡みの問題が多いということなんですね。今日は職場の人間関係の悩みを解決するためのコミュニケーションの技術について、お話をしていきたいと思います。

今日は(スライドを指しながら)この人にメインキャラクターになってもらって、いろいろ話してもらいましょう。今日のテーマは「職場のコミュニケーションでうまくいってないこと? あるある。人間関係って難しいよな」です。

では、「コミュニケーション」とは何かと言うと、「みんなで何か価値を生み出し、社会生活を営むために、お互いにウチとソト、自分自身と外側とのバランスをとり、知覚や感情、思考を交換したり共有したりすること」です。

「ウチ」と言っても、自分の本当の内側と、人に見せているペルソナの2つがありますよね。ペルソナというのは、自分の外的な側面、人と接している部分です。だいたい人間は職場や家族、他人の場とか人間関係に合わせて、その時々の自分のキャラクターを演じることが多いです。

自分自身もペルソナを持っているし、他者もペルソナを持っていますよね。結局コミュニケーションは、このペルソナ同士が言語情報ないし、言葉にならない非言語情報でコミュニケーションする構図になっています。

個人の成長と自己実現に必要なステップ

斉藤:「ウチ」と「ソト」はとても大切なものです。むしろ人間というのは「ウチ」と「ソト」のバランスを取りながら成長していくものなんだと、経営学者のクリス・アージリスが言っています。

彼はこういうふうに考えました。「自分のパーソナリティ、いわばペルソナやキャラクターが、自分の本当の内側とバランスが取れているかどうか。それが『適応』なんだ」と。それから、「自分のパーソナリティが外部とバランスが取れているか。それが『順応』なんだ」。

人間は適応と順応を繰り返しながら、どちらかに行ってしまったり、バランスを崩しては保とうとしたりして、だんだん成長していくんだと。彼は、そのバランスが高いレベルで取れている時に、自己実現が達成されるんだと言いました。

今のアージリスのお話と、ロバート・キーガンが提唱した「成人発達理論」を組み合わせて考えてみると、こんな図にあらわすことができるでしょう。横軸が他者尊重、縦軸が自己追求だとすると、人間は成人発達理論の一番未熟な「自己中心型知性」、未成熟な知性から成長していって、社会性に目覚めると「環境順応型知性」になっていくと。

そこからさらに主体性に目覚めて、 自分に自信がついてくると「自己主導型知性」になっていく。ソト側にがーっと傾いて、今度はウチ側にがーっと傾いて、いずれにしてもバランスが悪いんだけれども、ここから他者と自己のバランスがいいかたちになる。これが「自己変容型知性」です。

その自己変容型知性が、その価値観で繰り返し成功を積み上げると、「ウチとソトのバランスってこういう感じでいいんだ」と感覚をつかめてきます。自分に自信がついてきて、それが信念として醸成されて、自己実現に向かっていく。こういう構図かなと思っています。

指示待ちや忖度をするタイプの部下

斉藤:先ほど出した部下との人間関係とか、いろんなことに悩んでいらっしゃる方は多いと思いますが、これを3つに類型すると、こうなると思います。無気力でサボりがち、最低限のことしかしないパターン。

それから、自ら考えたり行動することはしない。上司の顔色を見て、自分の意見が出てこないパターン。それから、とにかく反発してすぐ対立しちゃうとか、どうも愚痴っぽい意見が多いパターン。こういう3つのパターンにわけて、今日は考えていきますね。

同調型、つまり指示待ちや忖度をするパターンは、だいたいこんな感じかなと思います。私が上司だとして、プロジェクトの進捗会議で進捗状況が悪いから、部下と面談するとします。

部下に「プロジェクトの進捗が遅れ気味だけど、どう改善できると思う?」と聞く。そうすると忖度する人は、「はい。遅れており、申し訳ありません」と答える。次に私は「なんで遅れているんだろう。問題はどこにありそうかな?」と聞く。そうすると部下は「申し訳ありません。とにかくがんばって、来週までに遅れを取り戻します」と答える。

私は「じゃあ(内容は)短くてもいいから、進捗報告を共有してみたらどう? 僕も知りたいし」と伝える。部下は「はい。明日からそのようにさせていただきます」と答え、私は「わかった。がんばってね」と言い、部下は「はい。がんばります」と返事をする。

なんとなく進捗は共有するようになったんだけれども、一方通行で「なんか手応えがないな」という感じの部下ですね。このケースは上司のほうを見ているので、3つのタイプで言うと、難易度は一番低いかなと思います。

部下からの反発や愚痴を感じるケース

斉藤:続いて、今度は「独善型」ですね。部下からの反発や愚痴を感じるケース。これはさっきと同じように、上司が「プロジェクトの進捗が遅れ気味だけど、どう改善すればいいと思う?」と聞くと、「もともと無理なスケジュールだったんですよ。お客さんの要望も多くて、正直まいっています」と答えるタイプです。

そして上司が「そうか。計画に無理があって、お客さんとの問題もあるということか。どうすれば現状を改善できるかな?」と言ったら、「人を投入するか、期限を延ばすか。このままだと頓挫するので、何か手を打てませんか」と返してくる。

上司が「困ったな。でも君はプロジェクトリーダーなんだから、何か最善の対策を考えるべきなんじゃないかな」と言うと、「そうですか。ではお客さんの要望を全部断りましょうか」と返してくる。

こんなことを言われると、上司としては「いや、そこは優先度を考えて、その判断をするのが君の役割なんじゃないか」となり、「……(ため息)」みたいな感じになる。こういうケースもありますよね。この難易度は中ですかね。

一番難度が高いのは、無気力で自己中心タイプの部下

斉藤:でも、一番厳しいのは「無関心型」かな。上司が「進捗が遅れ気味なんだけど、どうすれば改善できると思う?」と聞いたら、「まあ、厳しいっすね」「どんな状況か教えてもらえる?」「ええと、状況っていうか、厳しいです」となる。

そして、「このままプロジェクトを進めていて大丈夫かな?」「いや、ダメだと思いますよ。お客さんは怒ると思いますよ」と続く。

次に上司が「じゃあ何か改善策を考えられないかな?」と尋ねると、「いやぁ、でも、ちょっと目の前の仕事で手一杯で思い付かないです」と返され、「……(ため息)」という感じになるかなと思います。

いかがでしょうか。これは難易度が高いですよね。ここでちょっとみなさん、特にリーダーの役割を持つ方に質問させてください。あなたの悩みはどれに近いでしょうか?①部下に「指示待ち」とか「忖度」みたいなものを感じる。②「反発」とか「愚痴」を言う部下が多い。③「無気力」で「自己中心」の部下が多い。

部下に一番多いのは「指示待ち」タイプ

斉藤:複数回答も可能ですので、ここで(①②③の中から)選択してみてもらえますか。いったん(マイクを)戻しますね。

平岡いづみ氏(以下、平岡):投票機能を開けますので、みなさまご回答をお願いします。

斉藤:今、投票してくださいね。いろいろとお話を聞くと、やはり「指示待ち」が多くて。「無気力」の方はほんとに厳しいですよね。でも、感情的には「反発・愚痴」が一番腹が立ったりしますし。

平岡:(笑)。そうですね。今、ちょうど113名の方が回答されています。

斉藤:ありがとうございます。でも、3分の2の方は「指示待ち」の部下がいらっしゃるってことですね。3分の1ぐらいの方は、やはり「反発」とか「無気力」とかね。づーみん(平岡さん)はどうですか?

平岡:全タイプいるかなと。聞きながらつらい気持ちになりました(笑)。

斉藤:づーみんは(業務範囲が)広いから、対象はかなり多いですものね。

平岡:会社全体で言えばそうですね。でも、自分のメンバーで言うと、そんなに多くはないですが。

斉藤:すべてのタイプでいろいろ。

平岡:いらっしゃいますね(笑)。

斉藤:チャレンジされていらっしゃるということですね。ありがとうございます。自分自身も(①②③のような部分がある)と言ってくださっている方もいますね。みなさん、どうでしょう。こういう部下の方で、「それはぜんぜん大丈夫。楽勝」って方はいらっしゃいますか? 人の気持ちはなかなかコントロールできないから、そんなふうにいかないですよね。

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