2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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生成AIやメタバースなど、日々進化するテクノロジーをどのように捉え、どう使いこなせばいいのか。本イベントでは、各界の識者たちが登壇し、これからの時代のテクノロジーとの向き合い方について語りました。本記事では、早稲田メンタルクリニック院長/精神科医でYouTuberの益田裕介氏が、SNSにおける規制の必要性や、トラブルに巻き込まれないためのSNSとの付き合い方について解説します。
山田裕輔氏(以下、山田):なるほど。SNSでのコミュニケーションの悩みとして、XやInstagramのコメントにおける誹謗中傷をどうしても見てしまうのも、依存になるんですか?
益田裕介氏(以下、益田):そうですね。不安だから(コメントを)見る。誹謗中傷がついていないと安心する。しばらく経って、やはり(中傷のコメントが)ついているのかなと気になって見る。ついていないと安心する。これは依存行為ですよね。そもそもついていようがついてなかろうが、どっちでもいいじゃないですか(笑)。だけど何度も見てしまうのが依存行為です。
山田:逆に、どこのタイミングで自分自身が問題として捉えればいいのか。私もふだんからSNSとかを見るんですけれども、どこからが依存だなと思うべきなんでしょうか。
益田:これはまだ人類が定義しきれていないというか、ぜんぜん医学的な定義がないのでわからないですね。でも少なくとも臨床上問題になるのは、SNSのせいで夜に寝なくなってしまうとか。SNSをきっかけに「痩せないと」と思って摂食障害になってしまう子たちがいる。そういうのは病気だし、SNS依存ですよね。あとは現実的にはどこまでかはわからないですよね。
山田:先ほどもおっしゃっていましたけど、基本的にはSNSを通じて、仕事ができないとか寝られないとか、ご飯を食べ過ぎる、食べられないとか。何かができなくなってくると、原因をSNSにあてる(といいのでしょうか)。
益田:そうですね。結局、精神疾患は心の病気なので。心って複雑だから、1つの要因だけで決まることはあまりないんですよ。SNSの背景には、友だちとの人間関係やいじめ、家族関係の問題が組み合わさって(いることがあります)。だから、「どこから病気ですか?」というのはちょっと難しくて。
最終的には、何度も(SNSを)確認してなかなか夜寝ないとかで、病院に来て治療したり話し合う。そういうことが臨床現場では起きている、としか言いようがないというか。歯切れが悪いですけど、そうなりますね。
山田:なるほど。質問も来ているので聞いてみたいと思います。お子さんにYouTubeを見せ過ぎた結果、YouTubeをずっと見てしまっている子がいると。ただまったく見せないのも実際には難しいのではないか。子どもに適切な使用方法を教えてください、と。
我々(のような大人)であれば仕事ができなくなる、という指標があるかもしれません。お子さんの場合はどう判断していくべきですか。
益田:これもぜんぜんわからないですよね。難しい。どうあるべきかは、まだ誰も答えを知らないですよね。おそらくあまりいいものではないだろうとは、みんな薄々気づいているんですけど。
たぶんSEcollegeさんもご存じだと思うんですけど、学習のピラミッドがあって、やはり習うよりは教えるほうがいいし、受け身で聞く学校の授業よりは、読書のほうが記憶の定着がいいんですよ。
さらに読書よりは、積極的にこういう動画のコンテンツを見たほうが、学習の定着率がいいんです。そして動画を見るよりは、グループワークとかワークセッションをしたほうがいい。それはわかっているので、できれば子どもたちには、YouTubeを見るよりはみんなで遊んだりしたほうがいいんでしょうけどね(笑)。
山田:(笑)。難しいですよね。たぶん昔から、ゲームをずっとやってしまう子どももいましたよね。
益田:そうですね。それも寝不足になるとか、授業の成績が悪くなってしまうので、引きこもりの原因になってしまうこともあります。でも現実に落とし込むと、普通に夜8時間から10時間寝る時間を確保すれば、学校に行かなくてもいいのではないかという理論もあります。
まあ学校に行って、運動は絶対にしたほうがいいとわかっているので、運動を1~2時間なのか3時間なのかわからないですけど、その子の体力に合わせてやったりして。家族と会話したりご飯を食べたり、家のことをする時間を入れたら、あまりYouTubeを見る時間がない気がしますけどね。現実的には、1日に1~2時間以上は見られないんじゃないでしょうか。
山田:ありがとうございます。ちなみに先ほどちょっと話に出た、運動することは、メンタルヘルス的にも良いんですか?
益田:運動がメンタルヘルス的に良いということはわかっていますね。あとは体力をつけるとか、いろんな意味で必要だとわかってきています。ましてや子どもの時はより大事だと思いますね。
山田:なるほど。(大人が)子どもと一緒に遊んでもいいし。
益田:そうですね。体を動かしたり、子ども同士でスポーツをして学ぶとかも大事ですね。
山田:ありがとうございます。話をもともとのSNSの功罪に戻したいんですけれども、SNSを用いたいじめも、発生していると思います。これに関しては益田さん的には、防ぎようがないといったところですかね。
益田:これはいくつかのフェーズに分ける必要があるのかなと思っています。いじめと言っても、1人が1人に対して攻撃をする時点がありますよね。この時点で防ぐのはけっこう難しいので、学校でも誰でもいいんですけど、誰かが1人を攻撃している時に、問題に早く気づいて介入してやめさせる。これができると火消しとしては早いですよね。
次に、5人くらいの集団が1人をいじめている段階もあると思うんですよね。1人がいじめるよりはこっちのほうが見つけやすいし、対処しやすいと思うので、適切なタイミングの介入が大事なのかなと思うんですよ。ここで大人が社会のルールとして、きちんと介入しないといけないですね。
だけど、例えば今度はペロペロ事件(未成年の少年が、「あきんどスシロー」の店内の醤油ボトルの注ぎ口などを舐める動画が炎上した事件)みたいに炎上した場合。1,000人とか1万人ぐらいが1人を誹謗中傷するようになってしまうと、集団の狂気みたいな感じで、なかなか介入するのが難しいなと思います。誹謗中傷で亡くなる著名人もいらっしゃるので。
これを大人たちが止めようとすると、なかなか難しいですよね。でも発生自体を止めるのは、不可能ではないかなと僕は思います。(いじめる側が)1〜5人、10人くらいの時に見つけたら、適切に介入してすぐ止めていくことが大事だと思いますね。
山田:仮に自分が発信したものが想像していないタイミングで炎上した時は、どういうメンタルでいればいいんですか?
益田:10年前と違って、炎上が定期的に起きると、みんなわかってきているわけですよね。些細なきっかけやしょうもないことで、集団の狂気が起きて、特定の1人や特定の発言を攻撃する。
数ヶ月くらい経つとみんな忘れるし、「なんであんな攻撃をしていたんだろう」と冷静になるので。そういうものだと思って諦めて(笑)、しかるべき対応をとる。本当は良くないんですけど、どうしようもないですから、しばらくは仕方ないのかなという気はしています。早いうちに法改正をしないといけないんでしょうね。
山田:わかりました。先ほどもありましたけれども、どうしてもSNSの中で承認欲求に駆られて、迷惑系YouTuberみたいになる人がいる。あれは単純に、SNSが生み出した承認欲求の(問題なんでしょうか)。
益田:もともとそういう人たちな気がしますけどね。そういう人たちが、たまたまそういう仕事を今、現代でやっている気がします。
山田:ああ、なるほど。
益田:だから犯罪があったら、ちゃんと捕まえないといけないんでしょうね。
山田:犯罪までいききらないことが多いですよね。
益田:やはり法の解釈の問題も必要だし、あとは些細なことで経済的損失もけっこう起きるわけですよね。そうすると損害賠償が何億円とかになったりもするので、精神科医じゃなくて法科学者とかに時間を割いてもらって(笑)。新しいルールが必要だなと思いますけど、早く作らないと駄目ですよね。
山田:そうですね。続いて、我々は実際にSNSとどう付き合っていけばいいのか。SNSはいろいろな情報に出会えるんですけれども、そこで我々が、メンタル的にすり減らないでSNSとうまく付き合っていく方法はあるのでしょうか。
益田:これも難しいですね。たぶん(SNSは)人類が新しい道具を手に入れたということなんですよね。それとの付き合い方がまだ言語化されていないし、ルールが定まっていないと思うんです。「マルハラ」って特にそうじゃないですか。
山田:そうですね。
益田:大人から見るとよくわからないですもんね(笑)。でも、若い子たちはそれをなぜか感じている。それは10代特有の不安症の悪化なのかもしれないし、何か投影されているかもしれないし、わからないですよね。
あとは炎上をどのタイミングで、どうやって火消しすれば集団の狂気に発展しないのかをきちんと研究して、適切な介入が必要でしょうね。人間は絶対にそういうこと(集団の狂気)を起こすことだけはわかっているので、教育で止めることはたぶん不可能でしょうね。
山田:なるほど。
益田:だから「狂気をどう止めるのか」かなと僕は思いますけど、なかなかそれが難しい。アメリカだと子どもには(スマートフォンを)どう持たせるのかとか、規制を入れるのか、法律の段階でディスカッションが起きている。
Meta社とかは「いやいや」とか言って、協力しないですけど。日本もそういうディスカッションをしていく必要があるんでしょうけど、利権が絡むので、みんなそんなこと言わないですけどね。
山田:付き合い方が非常に難しい。現時点で言うと、発信していくうえで注意しなければいけないことはありますかね。
益田:結局、法律ができるまでは、(SNSは)そういう狂気が生まれやすい場所だと知っておくとか、親子できちんと話し合って教育していく必要があると思うんですよね。
大人の場合だと、やはり発達障害の人とかは暗黙知がわからなかったりします。だからきちんと説明するとか、「炎上するよ」「何でもかんでも反論したら駄目なんだよ」というふうに、具体的にストレートに説明し続けていくしかないのかなとは思いますね。
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