2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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2024年2月29日、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて衆議院政治倫理審査会が開かれ、岸田文雄首相が現職の総理大臣として初めて政倫審に出席しました。本記事は、岸田首相に対する審査の模様を全文書き起こしでお届けします。
輿水恵一氏(以下、輿水):公明党の輿水恵一でございます。政治資金はなぜ非課税なのかというと、政治資金は国家の繁栄と発展のため、そして国民のみなさまの安全、安心、幸福を実現するための活動に使われるからです。
そして我々政治家は、その政治資金をどのように集めて、何に使ったのかを、政治資金収支報告書をもって国民に開示する義務があるわけです。政治資金収支報告書に多額の政治資金の記載がされていないという問題は、国民のみなさまが大変疑念を持たれるものであり、大きく信頼を損ねる事案であると思います。
今回の自民党の聞き取り調査ですが、「収支報告書、還付金等に疑問や違和感を感じていた者が数多くいた」と書いてあるんですが、まさに我々は、政治資金の透明性や適正性をしっかり重視して、国民のみなさま方にどうやって伝えていくかといった責任があり、そこに思いや使命があると思います。
国民のみなさま方に、もっと誠実に向き合う。もっと謙虚に向き合う。もっと真剣に向き合う。そういう意識改革があれば、「これはいけない」「もっと丁寧にやらなければ」「もっと誠実にやらなければ」といった取り組みができるのではないかと私は思っています。
そういった意味では、今回の問題の一丁目一番地は、我々政治家の意識改革が大変重要であると考えるわけです。国民に対する透明性、適正性を重視して、政治収支報告書をしっかり開示していく。そういったことに対する意識について、岸田総裁の考え、今の受け止めをお聞かせ願えますでしょうか?
岸田文雄氏(以下、岸田):委員がおっしゃるように、政治は公のものであります。ですから、政治資金も公のものである。だからこそ、非課税扱いになっている。私たちはこの基本を忘れてはならないと思います。その基本に基づいて、政治資金についても考えなければなりませんし、制度を作っていかなければならないと思います。
政治資金収支報告書の適正化、そして公開のありようについても考えなければならない。そして、政治資金は民主主義における大変重要な要素でありますから、政治資金に疑念が生じるということは、まさに民主主義の危機であると。
そういった強い危機感を持って、この問題を取り扱わなければならないと思います。再発防止等、法改正についても強い思いを持って、自民党として真剣に取り組みを進め、本国会において結果を出していきたいと考えます。
輿水:ありがとうございます。
輿水:そんな中、私たち公明党は他党に先駆けまして、(2024年)1月18日に政治改革ビジョンをみなさまにお示ししました。まさに「不透明な政治資金を一掃していこう」といった中で掲げた、大事な3点がございます。
適正性をちゃんとモニタリングできること。政治資金を使う主体は議員ですが、その議員もわかる。また、国民のみなさまにもわかりやすい適正性のモニタリングのためには、デジタル化が必要である。さらに、その政治資金の授受についてトレーサビリティが大事だと(いう3点です)。
そういったものをきちんと担保するため、資金の取り扱いにおいて、口座の振り込みや管理がされていれば、その中身は明確になってくる。
さらに、使い道は本人だけでは適正な判断ができない場合があるので、第三者機関による監視をしっかりと組み合わせながら、二度とこのような問題が再発しないよう提案を出させていただいているわけです。この我々の提案に対する岸田総裁の受け止めについて、お聞かせ願えますでしょうか?
岸田:先ほど、自民党として検討を進めている、政治資金規制法をはじめとする法改正におけるポイントを3点申し上げました。基本的には、委員からご紹介があった御党の取り組みと重なる部分が多いと思います。
デジタル化、あるいはトレーサビリティについてご指摘がありましたが、先ほどの自民党の案で言うならば、デジタル化等を通じて透明化を図っていく点です。そして、振り込みやデジタルを通じて収支報告書を提出するといったデジタル化を進める部分は、委員がおっしゃったデジタル化とトレーサビリティに重なると思います。
外部監査の重要性についても、我が党として法改正を進めるべきだと思います。問題意識は、委員のご指摘と重なるものであると認識しています。
輿水:ありがとうございます。できるだけ早く、こういったものを前に進めます。政治改革には、与党も野党もないと思います。結果をもって国民のみなさまに示すためにも、与野党が結束しての協議会の場等もしっかり立ち上げていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
輿水:最後に「政治資金を活用する主体は誰なのか?」。まさに議員本人であると思います。政治資金を活用する中心者が議員であるにもかかわらず、収支報告書に瑕疵があった場合、会計責任者のみの責任を問われる。こういうことは、ちょっと違うのかなと思うわけです。
しっかりと国民に示していくという意味では、意識改革が必要です。意識改革といっても、なかなか長続きしない場合があるわけです。意識改革をしっかりと後押しする意味から、相当の注意を怠った場合は会計責任者等の監督に罰金刑を科す。こういったことも必要かと思いますが、岸田総裁のご見解をお聞かせ願えますでしょうか?
岸田:政治資金が政治資金規正法に則って取り扱われることは当然のことでありますが、それに違反した場合に厳格、厳正な対応が行われることによって、違反に対する抑止力を高めていく。こうした取り組みは重要であると考えています。
そして委員のご指摘のように、一定の悪質な事案においては、会計責任者のみならず議員本人にその責任を問う。こうした考え方は重要であると思いますし、その際にどういった要件で問うのかが、現実的で具体的な議論になると思います。
その際、監督等において過失等の責任があった場合に、その責任を問う。その基本的な考え方は、我々も参考になると思います。
輿水:いよいよ本気で国民のみなさまに向かい合って、本気で改革を進めていく。その先頭に、岸田総裁に立っていただきたい。このような思いで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
穀田恵二氏(以下、穀田):日本共産党の穀田恵二です。今回の裏金事件は、自民党の主要派閥が揃って政治資金パーティにおける政治金収支報告書を偽造し、裏金作りを行っていたことであります。岸田さんは、今回の裏金作りは政治資金規正法に違反するという認識はありますか?
岸田:今回の動きについては、検察の捜査を受けて事実を確認した上で、それぞれの議員が修正の作業を行ってきたものであると認識しています。法律に従って、検察において判断が下されたものであると認識します。
穀田:相変わらず、そういう認識が不足していますよね。政治規制法に基づく考え方、理念に反していることをはっきりさせなければなりませんよ。そこで今回の裏金問題は、みなさまからあったように「誰が何のために、いつからこのシステムを作ったのか」ということが問題になります。
総裁の弁明書にも、遅くとも十数年前から行われた可能性が高いとある。それは、具体的に関係者に確かめたのか。いろんな報告書の中にあるように、少なくとも森(喜朗)元総理大臣、松本淳一郎氏の名前が挙がっている。このお二方については、確かめましたか?
岸田:聞き取り調査の中で、それぞれの議員からさまざまな発言が行われました。そして委員のご指摘のように、今日までの経緯についても、当然ヒアリングする側からも質問を行いました。
結果として、少なくとも十数年以上前からこういったやり取りが行われていたということを、弁護士のみなさまが報告書にまとめたということです。ご指摘のように、森元総理が直接関わったという発言があったことは、私自身は報告を受けていません。
穀田:少なくとも安倍派の主だった幹部の方々が、「会長と会計責任者の事務局長でやっている」と、おっしゃっているわけです。ですから、元総理の森さんは責任者であったわけです。その方に確かめるのは、当たり前ではありませんか?
安倍派では、いったんやめると決定した還付を聞き取り報告書に書いていますよね。いったんやめると決定したものを誰が復活させたのかについて、「わからん」と言っているわけですね。それは調べましたか?
岸田:報告書の中で、委員がご指摘のような発言があったという報告は受けています。しかし結果として、その経緯を十分確認できなかった。捜査権等がない中にあって、なおかつ再発防止の観点を重視しながら行った聞き取り調査においては、ご指摘のような点について確認できなかったと承知しています。
穀田:「関係者」というのは、少なくとも安倍派の事務総長やその他役人、幹部の方がいますよね。その経過の中で、切り替えた時の方も含めてわかっておられるわけです。その方に聞きましたか?
岸田:ヒアリングの中で、ご指摘のような方々についても、その経緯について質問したという報告を受けています。報告書の中に結果が記載されていますので、私はその結果の報告を受けています。
穀田:「わからん」と書いてある調査報告書なんですよ。それをわかるように努力するのが、全容解明の初歩ではありませんか? そのことについて、何ら手を打たないで、報告書のとおり話をしていたのでは、何のための弁明かということになるじゃないですか。
穀田:裏金作りでは、派閥側から収支報告書に記載しないよう指示があったとされる。この点については、誰がこのような指示をしたのかを確かめましたか?
岸田:報告書の中においては、「派閥の事務局からそういう指示があった」という記載があった。報告書を見る限り、そのような記述があったと記憶しています。
穀田:総裁の発言・答弁は、結局、報告書の内容をなぞっているだけなんですよ。これでは、その後どうなっているかが不十分だから、出席される内容について、新しい事実やいろんな努力をされたことが求められているのではありませんか。そこが大事じゃないですか?
しかも、結局「何に使ったのか」についても、報告書のとおりお述べになるだけですか? 「わからん」ということですか?
岸田:冒頭でも少し触れましたが、使い道については、報告書の中に書いてありますように、事務所費や研修費、備品の購入といった具体的な使途が確認されています。
領収書が全部揃っているものもあれば、一部の領収書にとどまるものもあります。しかし、今、申し上げたような使い道が確認され、結論として政治活動以外に使われたものは確認されていない。報告書の中ではこのように明記されていると承知しています。
穀田:報告書の問題は、全部聞いているから知っているんですよ。お互いに見ているんだから。問題はそれ以後、どういう努力をされて、この問題について解明されたのか。それで真相究明がすべてだとお思いですか?
岸田:捜査の権限もない中での聞き取り調査ですから、実態はすべて把握できているものではないと思います。しかし、当初の再発防止と策を考える上で、聞き取り調査は大きな意味があったと考えています。
その上で、政倫審でのやり取りをはじめ、さまざまな説明努力が続けられています。こうした努力を続ける中で、実態把握についても努めていくことが重要であると考えます。
穀田:この報告書で明らかになった内容は、ほんの一部なんですよ。この報告書を見て、世論は「これは明らかに不十分だ」と言っているわけですよ。ですから私は、今の答弁を聞いても、なんら新しい前進はないと。
そういう意味で言いますと、みんなが疑問に思っている点について、そういう方々に国会に来ていただいて、証人喚問して、事実を問い詰める以外ないと、あらためて感じました。以上です。
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