裏金問題の責任の所在

藤田文武氏(以下、藤田):日本維新の会の藤田文武でございます。岸田総理が政倫審に自ら名乗り出られて出席し、また説明責任を果たそうということについて、まず敬意を表したいと思います。

ぶら下がりの会見で、総理は総裁として政倫審整に自ら出席し、説明責任を果たすと述べられました。であるならば、自民党の多くの議員が関わり、派閥である清和会、志帥会が意図的に、組織的に、長期間にわたって違法行為を行ってきた問題の全容を、トップリーダーとしてトップマネジメントとして、すべて把握して出席するご覚悟だと認識しています。

その上で、清和会のことについて聞きたいと思います。清和会の裏金作りについて、先ほど弁明にもありましたが、いつから誰の指示で始まったのか。

また、安倍(元)総理が「いったんやめよう」とおっしゃったとお聞きしていますし、報道も出ています。にもかかわらず、続けられた。またもとに戻ったわけですね。

これについて、どこに責任の所在があるのか。誰がどのように、実態となっていたのかを、私は明らかにすべきだと思うんですね。実態を究明し、それを是正して新たな対策を打っていくということです。それについては、総理がしっかりと把握されて、今日この場に出ておられるのでしょうか?

岸田文雄氏(以下、岸田):ご指摘の点については先ほど少し触れましたが、党の聞き取り調査は、当然のことながら捜査権等がない制約の中で進めてきたわけです。再発防止策として何が求められるのかを中心に、聞き取り調査を行いました。

ご指摘の経緯についても、聞き取り調査の中で、関係者に対して質問を繰り返したわけです。しかし先ほど申し上げたように、結果として、少なくとも10年以上前からこうした取り扱いがされていました。弁護士のみなさま方にまとめていただいた報告書の中で、そう記載されています。

党の再発防止策に必要な情報は、こういった聞き取り調査の中でしっかり得られていると思っています。しかしご指摘の点については、残念ながらはっきりした経緯や日時等を確認できていない。これが現状であります。

聞き取り調査で最も重視したポイント

藤田:少し聞き方を変えます。先ほど、「こうした事案が具体的にいつどのように始まったかは、判然としないものの」とおっしゃいました。それを今、ご説明いただいたと思います。

じゃあ、それは真相を究明しなくていいと。つまり事務方が、これだけ大掛かりなことをスキームとして作って始めたとは、考えにくいと思っています。もしそうだったとしたら、ガバナンスとして機能していないということですから、それこそ問題ですよね。

おそらく誰かが指示し、この巧妙なスキームを作り始め、「やめよう」と言ったけれども、もとに戻した。そういう真相があるわけなんです。それを総理は目をつぶろうと。明らかにせずともよいとお考えなのか、明らかにすべきとお考えなのか、どちらですか?

岸田:法的には別存在である、派閥の中での取り扱いについて、結果として自民党自身の信頼が損なわれているわけです。ですので、この聞き取り調査の中で、派閥のやり取りについてもさまざまな質問を繰り返しました。

そして、効果的な再発防止策を作るためにはどこがポイントなのか? これが、聞き取り調査の最も重要なポイントでしたが、ご指摘の点については十分確認できていないということです。

だからいいと申し上げるつもりはありません。今後とも、こうした政倫審をはじめ、さまざまな場で関係者の説明が続けられなければなりません。その中で、そういった経緯についても確認されることは重要であると考えています。

藤田:やはり真相はわからずということで、「その先に進んでいくことはあまりないだろう」と、受け取らざるを得ないと思いました。

不記載の3,059万円がそのまま口座に残っていた

藤田:それでは、岸田総理が代表を務められて、会長を務められていた宏池会についてお聞きします。先ほど野田議員からもありましたが、ヒアリング調査によると、宏池会は2018年から20年の3年間で3,059万円の不記載ですね。これが裏金かどうかというのは、事の性質によると思うんです。

先ほどの弁明書においては、誤解、転記ミス、事務処理上の問題であるというかたちで、かなり軽微に扱われています。しかし一般の感覚で考えると、3年間にわたって3,000万円が確認できないということでしたので、年平均で1,000万円くらいですね。パーティはだいたい2万円くらいでやられることが多いですから、1,500枚分というかたちです。

この転記ミスが行われていたんですが、弁明書や報告書によると、誰が打ったかわからないものが漏れ落ちていたと書いてあるんですが、私は意図的にやられていたんじゃないかと思うわけです。もし漏れ落ちていた、つまり入出金がちゃんとなされていて、転記ミスが行われていたのであれば、この3,059万円は何らかのかたちでぴったり残っていたんですか? 金庫にあったんですか? 通帳にあったんですか?

岸田:指定された口座に振り込まれていたと報告を受けています。

藤田:じゃあ、この3,059万円というのは、漏れ落ちた分がぴったり残っていたということなんですね。

岸田:はい。結局、修正した金額に合うかたちで口座に残っていたと報告を受けています。

藤田:これはちょっと、私には想像できないんですが。長らく続いてきた慣習であるということで、2017年以降もあったかもしれないし、なかったかもしれなかったと。もしかしたらその分はあったかもしれないけれども、ぴったり残っていたんだったら、その前はなかったと断言できますよね。そういうことでいいんですか?

岸田:修正した結果については、先ほど申し上げたとおりです。その前について、「そういうことですか?」という推察を、今委員の方からいただきましたが、それについては書類等が残っていませんので、確たることを申し上げることはできません。

藤田:果たしてそんなことがあるんだろうかと、あまり納得できなくて。数百枚単位のものが、しかも誰が打ったかわからないものが、過失として漏れ落ちていたと。そして金額も、誰も手をつけずにぴったり残っていたということなんですよね。

本当ですかね? 今、総理が公の場で発言されているので、それは信じたいと思いますが、新たな事実が出てきたら、少し違う展開になると思います。なのでそれは確認させていただきたいと思います。

総理の「出る」で一転、みんなが出席に変わったドタバタ劇

藤田:最後に1問だけ、自民党のガバナンスについてお聞きします。誰がこういう慣習を始め、こんなに巧妙なスキームを、長年にわたって続くものを、続けたのか。その真相も究明できず、説明責任を果たすよう組織マネジメントもできていないんじゃないかと、先ほど野田議員からもご指摘がありました。

そして政治改革の具体案も、中間報告の提出からだいぶ時間が経っています。我々は早急に論点をまとめ、党内でも議論し、自民党以外は各党すべて出揃っている状況です。この案も出て来ないし、政倫審の最後の参加者については、総理が「自分が出る。公開でやる」と言って押し切ったかたちです。

それは、私はよかったと思います。しかしこれだけ二転三転し、最初は2人しか出ない、いや5人出る、最終的には誰も出ないと。そして総理が出ると言って、みんな出てくるというドタバタ劇、内向きの権力闘争、見苦しい泥試合、こういった学級崩壊のような状況が、ずっと続いています。

私はもっと早くリーダーシップを発揮して、政治改革も他党よりも早く、「自分たちはここまで進んでやるんだ」ということを、出したほうがよかったんじゃないかと思います。

まさに危機対応ができない自民党という組織が、こんなドタバタの組織が日本国を動かしているというのが、私は悲劇だと思うんです。この危機管理体制、党内のマネジメントについて、総理のお言葉をいただきたいと思います。

岸田:先ほどから何度かお答えしているように、政倫審については、本人の意思が尊重されるという規則・ルールに基づいて運営されます。このことから、開催や方式をめぐり、今おっしゃったように、さまざまな動き、やりとりがあったと理解しています。しかし、それと自民党のガバナンスが問題だということは、当たらないと思っています。

自民党の良き伝統

岸田:自民党においては、組織として、先ほど申し上げた聞き取り調査等も、幹部がそれぞれ役割を果たして対応しているわけです。また逆に、党として激しい議論を行いながら、結果が出たならば一致結束して対応する方針は、我が党の良き伝統だと思います。

政治改革についても、私が本部長を務めている政治刷新本部も、中間取りまとめに向けて、平場で1日4〜5時間と大変な議論を行いました。その際に、本部長として私は真ん中に座っているわけです。なかなか表現するのは難しいですが、私に対して極めて厳しく激しい議論が次々とぶつけられました。激しい議論を4〜5時間やった上で、政治改革についても結論を出し、中間取りまとめを行いました。

我々の良き伝統は、いかに激しい議論を行っても、結果が出たならば、一致結束の方針で努力することだと思っています。

中間取りまとめのみならず、今後の法改正においても、しっかりと党の方針を実現してまいります。そして法改正等についても、この国会で結論を出すべく、党として作業を進めてまいります。

藤田:ありがとうございました。政治改革についても、次の予算委員会でもやらせていただきます。今日はありがとうございました。