一晩で3,000万円以上の収入を得る“勉強会”

野田佳彦氏(以下、野田):派閥のパーティの問題だということで、今日はいろいろと議論になっています。派閥のパーティの問題もあるけれども、総理ご自身が何回も何回も政治資金パーティをやることも、大きな問題であるという認識を持っています。

先般の予算委員会でも質問させていただきましたが、その時の総理の答弁を聞いていて、まったく反省がないと思ったんですね。

例えば「2022年に7回もパーティをやっている。異常じゃないか」と申し上げた私の質問に対してはどういう答弁かというと、「あれは勉強会だ」とおっしゃいました。国民の疑惑を招くことはないと、むしろ開き直っておられました。政治資金パーティを「勉強会」という言い方でごまかすのは、やめたほうがいいと私は思いますよ。

一晩で3,000万円以上の収入を得るような集会をやって、それを勉強会と言っている。どう見たって法令上は政治資金パーティじゃないですか。だから、収支報告書に記載して報告するわけでしょう? 政治資金パーティを、あえて勉強会と言い換えるようなやり方はごまかしだと思いますが、いかがですか?

岸田文雄氏(以下、岸田):ご指摘のパーティについてですが、従来から答弁させていただいているように、総理就任前から続けている勉強会を引き続き行っているものであります。「大臣規範にある、国民の疑念を招くものには当たらないと判断した」と、説明させていただいています。

そして、大臣規範に対する政府の解釈については「国民の疑念を招かない」と各国務大臣が判断したというのが従来の政府の答弁でありました。だからこそ歴代内閣においても、そういった考え方に基づいて、各大臣はそれぞれの政治資金パーティについて取り扱っていると承知しています。

野田内閣の際にも、何人かの大臣が政治資金パーティを開催しています。その際に各大臣が、「従来から続けてきたものである」「大臣規範には触れるものではない」といった説明を行いながら、パーティを開催していると承知しています。

要は、大事なのは説明であると思います。国民のみなさまの疑念を招かないようしっかり説明した上で、大臣規範についても考えていく。これが、あるべき姿ではないかと私は考えています。

国内外の情勢が不安定な中、1ヶ月に3回パーティを開催

野田:予算委員会と、まったく同じ答弁だと思うんですけどね。大臣規範には当たらない、反しないと言います。内閣総理大臣としての心の中の規範はないんですか?

例えば2022年4月に、3回パーティをやっています。4月に大阪、広島、東京と、1ヶ月に3回です。2022年の4月は、2月にウクライナの侵攻がありましたね。4月はウクライナ情勢が非常に緊迫していました。また、20年ぶりの円安にもなっています。知床半島では、遊覧船の沈没事故もありましたね。

いろんなことが国内外で起こっている時に、あなたは3回もパーティをやっているんですよ。内閣総理大臣としての内なる規範はないんですか? おかしいと思いませんか? こんなことをやっていたら、疑念を招きますよ。今の答弁では、まったく反省していないと思いました。

岸田:まずご指摘の時期は、おっしゃるように、さまざまな動きが国内外で発生しました。それに対して、私自身は内閣総理大臣としての務め、あるいは内閣としての務めには全力で取り組み、責任を果たしてきたと考えています。政治資金パーティ等が、総理大臣としての職務に影響を与えたことはないと確信しています。 その上で、総理大臣としての内心における規範はないのかというご指摘ですが、こういったご指摘を受けていることについては、私自身、引き続きしっかりと受け止めた上で、今後について適切に判断します。

今後のパーティ開催は「在任中にやることはない」

野田:先ほど(2022年の)4月に3回パーティがあったと言いましたが、2022年を振り返ってみると、7月には安倍元総理が銃撃されて亡くなられました。9月には国葬がありました。いろんなことがあるんです。その年の半ば以降も、コンスタントに7回もパーティをやり続けているんですよ。

内閣総理大臣になる前からの勉強会だと言いますが、内閣総理大臣だったら、この慣習はやめなきゃいけないことだと思いますよ。それをやめようとしないで、去年もやろうとしたじゃないですか。去年の12月15日に、「岸田文雄と国政を語る会」を都内のホテルでやろうとしていて、それを延期されましたね。中止ではありませんでしたが、まだやろうとしているんですか?

今、私の意見を受け止めると言いました。これは明確に言ってほしいんですが、在任中は、もう政治資金パーティはやらないと明言できますか?

岸田:大臣規範との関係は、先ほどご説明したとおりです。私自身、国民の疑念を招くものではないという判断のもとに開催しました。この考え方は変わりません。その上で、今ご指摘があった今後については、ご指摘等も踏まえて、適切に判断します。

野田:明確に言ってください。「内閣総理大臣としては、もう政治資金パーティはやらない」と明言できないんですか?

岸田:内閣総理大臣として、パーティを開催することは、今は考えておりません。

野田:「今は考えていない」ということは、ほとぼりが冷めたらやるということじゃないですか。在任中はやらないと言ってください。

岸田:はい。結果的に、在任中にやることはないと考えています。

野田:一晩に3,000万円も集まるようなことは、勉強会なんて言ってはいけないし、そんなことをしょっちゅうやっている総理大臣ではいけないと(思います)。

私は政治刷新本部長をやめろと言いましたが、これからもパーティをやると言ったら、「内閣総理大臣をやめろ」と言いたくなるくらいの思いで質問していました。今ようやく明言されたので、これは了としたいと思います。

いつから収支報告書の不記載があったかは、依然不明の状態

野田:最後にもう1つ質問したいのは、いわゆる岸田派の問題です。宏池会は2018年から2020年の3年間の政治資金パーティ収入、約3,000万円を収支報告書に記載していなかったという問題があります。

元会計責任者の方が略式起訴されて、罰金100万円、公民権停止という略式処分を受けています。この元会計責任者の方は、古くからずっとやっていらっしゃる方なので、当該対象の3年間より前も不記載があったのではないかと、我が党の岡田幹事長が質問されました。

いろいろと押し問答がありましたが、最後に総理は、「確認できる範囲内で最大限努力する」と言って、対象となる3年間より前も調べてみるとおっしゃっていました。(それは)確認されましたか? 不記載がありましたか? お答えください。

岸田:はい。確認いたしました。ご指摘の点は、平成29年以前のことについて確認しろということでした。6年以上前ということになりましたが、確認いたしまして、資料は確認できませんでした。資料等がありませんので、平成29年以前のことについては、私自身、その実態を確認することはできていません。

野田:通帳とかのチェックをしなかったのですか?

岸田:6年より前の部分については、資料は確認できませんでした。

野田:先ほどの弁明で、不記載は長い間の慣行だという表現をされていました。なので、遡った調査はどうしても避けて通れないと思います。引き続き、調査してほしいと思いますし、引き続き予算委員会でも質問していかなければならないと思います。

この弁明に出たら、予算委員会は職権で衆議院を通過させるといった動きも、なんとなく漏れ聞いています。しかし、これと予算委員会の話を連動させるべきではないと思います。総理には予算委員会の中でも、誠意ある答弁をしてほしいと思います。

時間がまいりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。