2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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村田太氏(以下、村田):みなさん、こんにちは。ジェイフィールの村田と申します。ジェイフィールのセミナーは企業向けが多いのですが、今日はふだんと違ったテーマの学校やオランダということで、いつもと違う幅広い方にお申し込みをいただいています。
一番若い人で中学生の方にもお申し込みいただいていまして。あとは学校の先生や教育関係者など、ふだんのジェイフィールのセミナーではお会いできない方々が多くいらっしゃいますので、私たちも楽しみにしています。
最初に少し会社の紹介をさせてください。ジェイフィールと言います。
スライドの、仕事がおもしろい、職場が楽しい、会社が好きだ。この3つを子どもたちの前で堂々と語れる大人を増やしたい。そして、そんな社会に変えていきたいという思いで、2007年の11月6日に設立した会社です。
今日が11月16日ですので、先々週、17年目に入った会社になります。そんな私たちを応援していただいてるのが、右上にありますAMUSEという会社です。ご存じの方も多いかもしれませんが、エンターテインメント企業のAMUSEになります。彼らがキーメッセージとして「感動だけが人の心を打ち抜ける」というメッセージを出しています。
ジェイフィールのフィールは「感情」です。良い感情の連鎖を人や組織、社会に起こしていきたい。そんな社会に変えていきたいというところで、感動の感と、感情の感が一致して、創業以来サポートいただいています。
村田:この組織や人のコンサルティングをやっている私が、なぜオランダの学校に行ったんだということになるんですけども。実は私、もう1つ活動をしています。ジェイフィールでコンサルタントをやっている傍ら、NPOの活動もしています。
スライドの赤字のところを見ていただければと思うんですが、主に公立の小中学校向けにキャリア授業の一環としてドリームマップ®という授業を届けています。しかも1時間目から6時間目まで、丸1日使った授業をやっています。来月も東京の小学校で6年生に授業を届けに行きます。
ただ、今回私がオランダに行った理由はあくまで個人的な理由になります。そこを少しご紹介できればと思います。
そもそも「なぜオランダ?」ということですが、きっかけは娘の小学校での出来事です。私の娘は今、小学校4年生ですが、去年、小学校3年生の時に担任の先生を3人経験しています。1学期に1人がメンタルで休職され、2学期が終わった時にも代わりにきた先生が休職されるという残念なことが起きました。
そういった経緯があったので、学校から緊急保護者説明会というのがありました。そこで起きた状態が非常に私は残念というか、寂しい気持ちになったんですね。もちろん詳しくはお伝えできないんですけども、シンプルに言うと学校側と保護者側の対立構造になったのです。対話を通じて、どうより良い解決策を作っていくかという建設的な話し合いがなく、それぞれの立場でひたすら主張をしていたと。
終わった後にどうしたらいいのかなと思って、個人的に校長先生に連絡をして、この間の場がすごく残念だったので、ぜひ、あらためて対話をしたいと提案しました。残念ながらそういう場は実現しなかったんですけども、なんとなく学校と保護者・家庭の間にすごく分厚い壁みたいなものがあって。どうしたらこういうものが変わっていくんだろうと思いました。
社会に開かれた教育課程の実現を掲げている中で、親として、保護者として、社会の一員として何かできないかなとずっと考えてたんですね。
村田:そんな時に今日ゲストでいらっしゃいます菜央さんに出会いました。出会ったと言っても直接お会いしたわけではなく、この後で紹介します、オランダの学校視察のコーディネーター・企画を全部菜央さんにやっていただいていて。その説明会に初めて行きました。
そういった問題意識を持っていたので、オランダという国に非常に興味があったんですけども。実際に説明を聞くまではどんなところかなんてわからなかったんですけど、聞けば聞くほど、非常に魅力的な国だなと思って。説明会の後半には、もうオランダに行くことを自分の中で決めていました。
少し写真があります。これは私が行く前の春のツアーですけど。こんなかたちで、主に学校の現役の先生が多いんですけども行きました。
私が行った会はこちらですね。この時も小・中学校の先生と、あと高校の先生もいました。そして企業系のコンサルタントの私と、あとは企業の経営者の方がお二人いらっしゃったので、比較的多様なメンバーで行くことができました。
現地の先生たちと話をしたり子どもと話したり、授業を見させていただいて。非常に学びが多い機会になりました。
今回はこれを日本にどう還元できるかという部分と、日本の企業組織がもっと良くなっていく部分で何かヒントはないかなというところで、今回菜央さんと一緒にセミナーをやろうということになりました。
村田:というところで、ふだん「菜央さん」と呼んでいるので、オランダの菜央さん、おはようございます。
三島菜央氏(以下、三島):おはようございます。今日はよろしくお願いします。
村田:そちらは今、朝8時くらいですかね。
三島:そうです。8時5分です。サマータイムが終わって、日本との時差が8時間になりました。みなさんこんにちは、三島菜央です。
関西生まれ、関西育ちで、高校2年生の時に中退しました。今日本でニュースになっている宝塚音楽学校ではないんですが、同系列の阪急グループの高校に通っていたので、宝塚音楽学校とよく似た制服を着て、学校に通っていました。
ずっと吹奏楽を続けて、全国大会にも出るような学校でした。バリバリの部活人間でしたが、体調を壊して将来に不安を感じてから学校に足が向かなくなりました。そして高2で高校を辞めて、高等学校卒業程度認定試験を取って、大学に行きました。
その時、大学に現役で合格することと、長期留学をするというのが親との約束だったので、関西外国語大学に合格して、アメリカに1年留学しました。
アメリカではいろんな刺激を受けたんですけど、自分のしたいことでもないのに就職活動をするのはおかしいとルームメイトと話して、自分が本当にしたいことを探したんですけど見つからなくて。
私は先生になる前、ベンチャー企業で起業のためのかばん持ちというか、勉強をさせてもらったんですね。その時に企画営業などをさせてもらったことが、今、学校開拓や視察先を見つけたりするのにすごく役立っていると思います。
その後、英語をやってこなかったことに後悔する人が世の中に多いと思い、教育の重要性を感じて、常勤講師1年を経て採用試験に合格して教員になりました。
職場で今の旦那と出会ったんですけど、子どもが生まれた時にすごく働き方が大変で。先生あるあるなんですけど、夫婦で教員だったので、年間300人ぐらいの生徒を見ても、たった一人の自分たちの子どもを大切にできないことから、他の国を見てみたいとオランダへの移住を決意しました。
オランダに移住してからは、会社を設立して、太さんが参加してくださったような視察を行ったり、現地の小学校で英語講師もしています。最近、フードバンクでボランティアを始めたりもして、この社会にインテグレートできるように努めています。
書籍に寄稿させていただいたり、AbemaTVに出させていただいたり。あと東洋経済オンラインの記事を書かせていただいたりとか。けっこうヤフーコメントが荒れていたんですけど……(笑)。でも、いろいろ社会に対してアドバイスというか、オランダにいるからこそ見えるものをお話しできたらと思って寄稿しています。
三島:では、データで少しオランダを見てみたいと思います。
オランダは面積が日本の約8分の1で、九州とほぼ同じサイズなんですね。人口は約1,760万人のとても小さな国です。ですが小さいながらにやり手というか、アメリカに次いで輸出額が世界2位の農業大国になっています。
公用語はオランダ語で、学校の子どもたちもオランダ語を学んでいますが、世界で最も第二言語としての英語を流暢に話す国だと言われ、オランダの教育史の中でも、バイリンガル教育は最も成功した政策の1つでもあります。
ご存じの方もいるかもしれませんが、オランダは世界で初めて同性婚を法律として認めた国で、けっこう性にもオープンな国です。対話をベースとした国なので、同性婚を認めるところもあるのかなと思います。よく「葉っぱの国」と言われいますが、大麻所持に関しては5グラム以下であれば非犯罪という姿勢をとっています。
私たちが使っているWi-FiやBluetoothもオランダが開発に携わっていました。。私たちが何気なく使っているもので、この小さな国が貢献しているものがあったりします。みなさんがご存じのハイネケンとかKLMとかフィリップスとかユニリーバとかBooking.com。これらはオランダの代表的な企業になります。シェルも少し前まではオランダに本社機能がありました。
村田:私もハイネケン、現地でたくさん飲みました。
三島:そうですね。たくさん飲んでいましたね。
村田:ハイネケンに愛着が湧いちゃったんでね。久々に飲んでとてもおいしかったです。
三島:ウェルビーイングの観点では、国連児童基金(ユニセフ)が出している子どもの幸福度で、2013年と2020年に「子どもが世界一幸せな国」になっています。
大人の幸福度も最新の「World Happiness Report」(世界幸福度報告)では世界5位で、ワークライフバランスが非常に取れた国だと言われていて、QOL(クオリティオブライフ)は2023年は1位でした。
オランダを語る時に欠かせないのが移民の存在で、私たちも移民ですけど、約1,800万人の人口に対して、1,300万人がオランダにバックグラウンドを持つ人たち。オランダのバックグラウンドとは、両親がオランダ生まれであるということになります。
約1,800万人のうちの500万人は、両親の両方あるいはどちらかがオランダ以外の国の生まれであると。25人のクラスだとすると、8人が両親の両方あるいは片方がオランダ生まれではないという状況です。
三島:太さん、(視察した)教室の中で何か感じられましたか?
村田:そうですね。圧倒的に現地の子が多いですけど、アジアっぽい人が1〜2人いたり、中東系の人がいたり。やっぱり日本の教室以上に多様性はあるなというのと、町を歩いているとそんな感じがすごくありますね。
三島:そうですね。言語が異なったり文化が異なるということは、けっこう困難を極めます。特に学校だと、相手が言っていることがわからないというのはけっこう情緒に影響したり、暴力行為になることもあり得ます。
この国の対話を大事にするところが、移民と一緒に生きていることや違いを認めあうことの根底にもなっているのかなと思います。
ただ私は、ひょっとしたらこれがこれから日本が向かう先なのではないかと思っていて。違う文化の人たちが混ざりあう国。それを強みに変えられる国ではどのように教育をしているのかは、少し日本のヒントになるのではないかなと思っています。
村田:実は私がオランダ視察に行った時、事前に3、4回菜央さんに勉強会を開いていただいて、表面的に見ていたオランダを、解像度を上げ下げして具体的に見ていったら、学べば学ぶほどすごく興味が湧きました。いい意味で日本との違いもありますし、日本と近いなと思うこともありました。
村田:少しオランダの歩みをみなさんと共有できればと思います。
30年前ぐらいは日本とオランダはそれほど状況が変わりませんでした。私はそこにすごく興味があるんですけども。
ここに書いてあるように、1980年代初頭の「オランダ病」。病気といっても別にウイルスとか人体に影響を与えるわけではなく、天然資源の輸出に依存したが故に製造業が衰退して失業率が高まる現象のことをオランダ病と言います。
それによって深刻な経済不況と、失業率が高まった。そうなると、将来への不安が国全体を覆います。この時の「ワッセナー合意」が今のオランダに非常に大きな影響を与えたと言われています。(スライドの)ここに書いてありますけども、労組と政府と経営者の三者間で合意をしたと。
具体的には国を挙げて働き方を変えていこうということですね。日本ではコロナ前から働き方改革や働きがい改革を掲げて、だいぶコロナをきっかけにいろんなものが加速しましたが、オランダはもっと早くからこういうことに取り組んでいた。このワッセナー合意以降、労働関連法案が変わっていきました。
あとはオランダを語る時、特に経営の文脈でワークシェアリングが欠かせないとよく言われますが、今もオランダの土台にあると私は感じます。そういったものが進んだことで、失業率が改善され、経済の成長が安定してきた。
1980年から2000年ぐらいの約20年をかけてオランダモデルが確立された。日本にもこれを参考にして取り入れた法案があったりするそうですが、20年ぐらい月日をかけないとなかなか変わっていかないのだろうなと感じています。
村田:働き方も見ていきたいと思います。まず大きいのは雇用形態の違いですね。
先ほど菜央さんのスライドでもありましたが、オランダはパートタイムもフルタイムも日本でいう正規社員なんですね。日本はパートタイムと言うとアルバイトとかパートさんみたいな言い方をすると思うんですけども。これが一番の違いかと思います。
(スライド下部に)1996年 労働時間差別禁止法とありますが、この法律が土台にあります。同一労働・同一賃金とはまた違い、待遇差、格差をしてはいけないということですね。ここが一番大きいと思います。
あと、フルタイム、パートタイムを働く人が選択できるということですね。日本はなんとなく正社員になると時間を選択できないところがありますけど。このあたりが自分で選択するところを大事にする国だなと感じます。
手前味噌ですがジェイフィールも「家族第一主義」を価値観の一番上に置いてます。何があっても家族を大事にしようということですけど。ただ、オランダで言われる家族第一主義とは少し質感が違うなと思っています。
オランダでは、子どもが生まれたら働き方をセーブするのが大前提です。日本も共働きが当たり前になっていますが、馬力で例えば(男性1馬力、女性1馬力の)2馬力で働いていたのが、日本だと(出産後は)女性側が時短勤務にしたり働く時間をセーブすることが多いと思います。
オランダの場合は(男女)それぞれが0.25馬力ずつ減らすと。世帯収入は減るかもしれないけれども、家族の時間を大切にするということに何よりも重きを置いているので、こういう働き方に変わります。
あと、ちょっと驚いたのが、授かり婚が少ないと聞いて。菜央さん、授かり婚があまりないと言うのはどんな感覚なのかをちょっと教えてもらえると。
三島:子どもをどう授かるかについては、やっぱり宗教とかによって少し違いがあると思うんですけど。
オランダ生まれオランダ育ちの人たちの、いわゆる昔から続くオランダ文化としては、自分たちの人生設計の後に子どもをどうするかだし。私の周りで言うとすごく晩婚化していて、自分たちの人生をきちんと謳歌してから家族を持つという感覚の人が多いのかなと思います。
村田:パートナーシップのあり方がずいぶん日本と違うという話も少し現地でしましたけども。ただ、そうは言いながら日本と少し似ているなと思ったのは、どうしても子育てで女性の比率が高くなってきたり。パートタイムで働く人は女性の割合が多いかなというのはあるんですけど。
村田:これ以外に働き方や生き方で、日本とオランダでぜんぜん違うなと思うことはありますか?
三島:うちの娘は学校に通い始めて5年目ですけど、送り迎えの時の男女比率はほぼ半々か6・4ぐらいですかね。助け合って子育てをする、家事・育児をするというのがけっこう一般的かなと思います。日本からすると、ひょっとしたらものすごく参画していると言えるかもしれません。
村田:変な話、離婚したとしても、ちゃんと子どもを一緒に育てるのが大前提になるということですもんね。
三島:そうですね。離婚したパートナー同士でも子どもを一緒に育てているので、送り迎えの様子だけを見ていると、離婚しているかどうかわからないってことはよくあります。
村田:次は菜央さんの資料になるので、ちょっと紹介いただければと思うんですけど。
三島:これはうちの娘が通っている小学校の先生たちがどう働いているかなんですけれども。
430名と書いてあるのでまあまあ大きめの小学校ですね。週5日、月曜日から金曜日まで担任をしている先生はほとんどいません。月から金までを2人で割っているほうが多い。
高学年、5年生ぐらいになると、次の中等教育に移るためにどれぐらいの学力があるかをシビアに見る時期になるので、フルタイムを当てることはよくあるんですけれども。そうじゃない場合は、私が月・水で、もう1人の先生が火・木・金みたいな感じで、1週間を2名で割ることが多いと思います。
村田:私が一緒に視察に行った学校では、ワークシェアリングの一環で、校長先生が2人いて、校長先生もフルタイムじゃなくパートタイムが当たり前だったりとか。そのへんは日本では考えにくいですよね。
三島:私が勤務している学校もそうですね。校長は週4日しか働いていなくて。その1日休んでいる日に私は勤務しているのですれ違うんですね。
だけど、SNSとかWhatsAppで連絡を取り合って、「今度、ランチ行こうね」って約束をしたりとか。そういった感じで、けっこうオンライン上のコミュニケーションを得意とするところはあります。
村田:オランダはけっこうIT企業もあります。だからいろいろなツールを使っていて、効率的にコミュニケーションするというのも土台にあるかもしれませんね。
三島:そうですね。
村田:そういうものが客観的な指標にどう影響を与えるかを少し調べたんですけども。
これは、労働時間が少ないほうが順位が上ですが、オランダは4番目ぐらいですね。あと、さっき言った男女ともに働いているという労働参加率では世界2位。
それから女性就業率も、80年代はオランダも専業主婦が多かったと聞いていますが、この30年ぐらいで世界3位まで来ている、パートタイムの影響もあるかもしれませんが、それでも働く女性がこんなに多いというのはすばらしいと思います。
そして、労働生産性。ワークシェアリングやパートタイムが広がり、場合によってはコミュニケーションが難しくなるのかなと思う中で、労働生産性が10位と高い。ワークシェアリングとかをすると、ミスコミュニケーションが学校の中とかで起きたりするのかなと思ったりもするんですけど、問題にならずに引き継ぎとかができている感じですか?
三島:得意なほうだと思います。後々お話ししますけど、オランダの人はコミュニケーションの取り方をけっこう心得ているところがあるので、それがすごく助けになっていると思います。
村田:そういうものがあるので、ワークシェアリングしても機能すると。形だけ真似てもなかなかうまくいかないところもあると思うので、そのへんの話は後でできればと思います。
あと少し毛色の違うところでは、もともとイノベーション大国と言われていますが、イノベーション指数も7位と競争力は高いのかなと思います。
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